【宅建士試験】権利関係の勉強方法は?傾向と攻略法を徹底解説!
この記事は専門家に監修されています
宅建士
関口秀人
「宅建の権利関係は難しいの?」
「民法の勉強法や考え方のコツが知りたい!」
宅建の権利関係の勉強でお悩みの人も多いのではないでしょうか?
ここでは宅建の権利関係の勉強法について、傾向と攻略法を踏まえて徹底的に解説します。
この記事を読み終わる頃には、権利関係の勉強法がはっきりと見えてくるはずです!
宅建の権利関係の勉強法についてざっくり説明すると
- 宅建の権利関係は難易度が高い科目である
- 正しい勉強法で合格ラインを目指すことが大切である
- 権利関係を攻略するためのコツがある
宅建士試験の権利関係の特徴
宅建試験では、おもに以下の4つの分野から出題されます。
- 権利関係(14問)
- 宅建業法(20問)
- 法令上の制限(8問)
- 税・その他(8問)
配点は科目によらず1問1点なので、権利関係は14/50、つまり試験全体の得点の28%を占めていることがわかります。宅建業法に次いで権利関係は重要度の高い科目です。
宅建業法や法令上の制限などの科目は、暗記中心で点差がつきにくいという特徴があるので、権利関係を攻略できるかどうかで試験の合否が分かれるともいえるでしょう。
宅建の権利関係を苦手とする受験生は多く、特に権利関係の「民法」 に受験生は苦しめられます。
とにかく範囲が広いので闇雲に勉強するべきではなく、正しい勉強法で合格ラインを確実に越すことを目指すのが良いといえます。
権利関係で学べること
権利関係では民法を中心とする基本的なルール について学びます。売買契約、賃貸借契約などが例としてあげられます。
たとえば、土地を購入する、マンションを売却する、アパートを借りるなど、不動産取引が行われると権利義務が発生、変動、消滅し、当事者間での権利関係が変動します。
権利関係について勉強することで、土地や建物の売買や賃貸の仲介・あっせん等を行う際に、お客様に重要事項の説明をするときなどに、身につけた知識が役立ちます。
出題範囲と配点
出題項目 | 問題数 |
---|---|
民法 | 10問 |
借地借家法 | 2問 |
区分所有法 | 1問 |
不動産登記法 | 1問 |
配点は1問1点ずつの14点満点です。
民法は権利関係の7割を占めており、一般法である民法とその他3つの特別法を学びます。
借地借家法では賃貸借契約について、区分所有法ではマンション等の建物の規約に関すること、不動産登記法では表示や権利の登記などの不動産登記について、おもに学習します。
権利関係の難易度
権利関係は宅建士試験の中でも難易度の高い科目です。
非常に苦手とする人が多く、権利関係が原因で挫折したり不合格になったりする人も多いです。
難易度が高いゆえに、権利関係を捨てて残りの36点で合格を目指そうとする人も出てきています。
権利関係の平均点
宅建の権利関係の平均点は、例年7点前後で得点率に直すと半分前後です。
なかには権利関係をほぼ捨てて来ている人が居ながらの平均点なので、8点以上は得点したいところです。
権利関係の勉強が苦手であっても、合格するためには5点以上は得点する必要があります。
権利関係が難しいと感じる理由
権利関係で出てくる内容は法律用語なので言い回しが独特であり、そもそも文章を理解するのに時間がかかります。事例問題に出てくる内容も複雑なので、すぐに答えを出そうとすると余計に分からなくなります。
加えて、学習範囲が非常に広く、どうやって手をつければ良いのかが分からなくなります。
ひたすら暗記するだけの勉強では限界がありますが、勉強の仕方が分からなければさらに難しいと感じてしまいます。
権利関係の勉強法
権利関係は自己流で勉強すると、その膨大な量を捌きろうとして永遠に時間が過ぎてしまいます。
短い勉強時間で合格するためには、勉強の順番や範囲を絞ることが非常に重要です。
ここで権利関係の勉強法について詳しくみていきます。
民法対策を重点的に行う
民法は理解するまでに時間がかかる科目なので、他の科目との勉強の順番を考慮しても、早い段階から手をつけることをおすすめします。
民法は他の法律の基礎となる重要な科目です。 民法での考え方が分かると、借地借家法、区分所有法、不動産登記法などの特別法も理解しやすくなります。
条文が読みやすく分かりやすくなるためにも、用語の理解、制度の趣旨や目的を意識することが大切です。
過去問と同じ問題は出にくい
宅建士試験は過去問の類題が出やすい試験ですが、権利関係についてはその傾向が弱いといえます。したがって過去問だけをやっていても十分な得点にはなりません。
過去問は10年分以上をチェックして、「意思表示」や「時効」、「抵抗権」など繰り返し出題されている分野を把握するために用いることがおすすめです。
間違えた問題を確認するときに解説を読むことがあるかと思いますが、ただ解説文を覚えても理解にはつながりません。物事の考え方を理解することが大切になります。
結論暗記は通用しない
事例問題の結論だけ覚えても、本番では応用がききません。
「なぜその法律が作られているのか」「その目的は何か」を理解することが大切です。
結論を暗記するのではなく、法律の「目的」とそれを実行するための「効力」の理解に努めることを意識するのが良いです。
理解に努めることで、その後の実力が大幅に上がるレバレッジの利いた勉強を実践することができるでしょう。
図を書いて整理する
問題文をただ読んでいるだけでは、すぐに答えには結びつきません。
図を書いて事実関係を整理することが大事です。最初のうちは面倒でも書いていくうちに慣れてきます。
図で視覚的にイメージすることで、事実関係を正確に把握しやすくなり、本番の試験でもスムーズに回答しやすくなります。
判例の暗記はケースバイケース
具体例があると法律の意味が捉えやすく、法律の理解を助けるための補助として、いくつか判例も覚えたほうが良い場合もあります。
また、条文と同じくらい大切な判例もあるので(判例法)、こうした判例法はしっかりと覚えることがおすすめです。
ただし判例集などを購入する必要はなく、テキストに載っているものや過去問に登場したもので十分です。
権利関係の攻略のコツ
権利関係の勉強を進めていくうちに、完璧を目指したくなることがあるかもしれませんが、満点を取ろうとすることはおすすめできません。
合格ラインに届くように効率的に勉強するのが一番です。
ここで権利関係の攻略のコツをみていきたいと思います。
満点は狙わない
権利関係は難易度が高く、満点を取ることは極めて難しいです。
満点を狙うと他の科目の勉強がおろそかになり、むしろ合格が遠のいてしまいます。
宅建の権利関係では8点~10点を取れれば十分合格できます。8点~10点くらいであれば、過去問で範囲を絞って勉強することができます。
原則と例外を疎かにしない
法律の条文では「原則~」「例外~」という文言が出てきますが、民法等の権利関係においても、原則と例外を理解することが非常に重要です。
「原則として~できる」ただし「例外として~できる」というように、原則と例外を念頭に置いて主旨を読み取ることが大切です。
原則と例外を理解していると、知識の整理に役立ちます。
要件と効果を理解する
原則と例外を疎かにしないためには、「要件」と「効果」について理解することがとても大切です。民法の条文も要件と効果という形で記載されています。
簡潔にいうと、要件とは法律効果を発生させるための条件のことで、効果とは一定の要件によって生じる結果(権利の発生・消滅など)のことです。
-
原則「~ならば(要件)…」「…~できる(効果)」
-
例外「ただし~ならば(要件)…」「…~できる(効果)」
原則と例外、要件と効果に着目すると、条文の理解を深めることができ、権利関係の問題が解きやすくなるでしょう。
知識を広げすぎない
試験が近づくにつれて、あれもこれもやっておこうと知識を広げたくなるかも知れませんが、むやみに手を広げすぎるのはかえって逆効果です。
権利関係の学習範囲はとても広く、勉強時間には限りがありません。他の科目の勉強に悪い影響を及ぼさないためにも、論点を絞った勉強法を意識することが一番です。
あくまでも目標は合格なので、それに必要な知識に的を絞って勉強するよう心がけましょう。
深く勉強しすぎない
権利関係、特に民法は奥が深く、勉強していくと面白いと感じることがあるかも知れません。しかし試験に関係ないところを勉強しても意味がありません。
宅建は不動産取引における実用的な知識が問われる試験です。司法試験のように民法や権利関係の勉強を深く掘り下げる必要はありません。
深くなり過ぎないように合格ラインを目指して勉強することに集中しましょう。
権利関係の重要論点
ここで宅建の権利関係の重要な論点について確認します。試験勉強を進める際はぜひ参考にしてください。
民法
- 意思表示
- 時効
- 抵当権
- 代理
- 売主の担保責任
- 不法行為
- 相続
- 賃貸借契約(借地借家法との比較)
借地借家法
- 賃貸借の期間
- 更新方法
- 第三者への対抗要件
区分所有法
- 規約
- 集会の決議
不動産登記法
- 表示に関する登記
- 権利に関する登記
- 登記手続きの原則・例外
必ず過去問は10年分以上解いて、出題傾向を確認しておきましょう。
自分で多くの問題を解いていくうちに重要な論点が分かってくるはずです。
権利関係のおすすめのテキスト・問題集
権利関係が明らかに足を引っ張っているのであれば、「出る順宅建士シリーズ」のような科目別テキストで注力して勉強し、得点率を高めるのが良いでしょう。
出る順宅建士では非常に広い権利関係の学習分野を重要度ごとに分けてくれているので、最低限の得点を狙う勉強もしやすいです。
また、暗記よりも内容理解が大切な権利関係の科目の特徴を反映しており、「なぜそのようになっているのか」までしっかりと理解できるような解説になっている点もポイントです。
購入者からの評判も高くおすすめの一冊です。権利関係が苦手という方はぜひご活用ください!
宅建の権利関係まとめ
宅建の権利関係の勉強法まとめ
- 宅建の権利関係は範囲が広く、論点を絞って勉強することが重要である。
- 民法の対策を重点的に、暗記だけではなく理解する勉強法が大事である。
- 満点を狙わず、8点~10点を目指して勉強することが合格への近道である。
宅建の権利関係の勉強法について、あらゆる角度から徹底的にみてきました。
権利関係は難易度が高い科目ですが、正しい勉強法でしっかり対策をすれば合格を狙うことも可能です。
試験合格を目指して頑張ってください!応援しています。