宅建が食えない資格と言われる理由は?実際の収入事情や将来性まで徹底解説!

この記事は専門家に監修されています

宅建士

関口秀人

「宅建って食えない資格なの?」

「宅建は稼げない資格って聞いたけど、本当?」

このような疑問をお持ちの方、いらっしゃいませんか?

不動産取引のプロとして不動産業界を中心に活躍している宅建士ですが、巷では「食えない」「稼げない」という評価も見られます。

不動産業界においては、資格の有無よりも営業力が重要視されるのは間違いありませんが、それでも宅建が非常に価値のある資格であることは間違いありません。

こちらの記事では、宅建が食えない資格と言われる理由や将来性などについて、詳しく解説していきます!

宅建は食えない資格なのかざっくり説明すると

  • 不動産業界での需要は高く、将来性も高い
  • 不動産取引の場では欠かせない存在なので、「食えない」という意見は誤り
  • 宅建士の年収は平均年収よりも高い為、魅力は多い
  • 需要は常にあるため、自分のスキルを伸ばすことも重要

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宅建は食えないと言われてしまう背景

不動産取引のイメージ

宅建は不動産取引に関するプロフェッショナルであり、不動産業界で活躍するためには欠かせない資格です。

非常に需要の大きい宅建資格ですが、残念ながら以前よりも「食えない資格」「稼げない資格」と言われるようになってしまっています。

まずはその理由について確認していきましょう。

人口減少で不動産取引が減少する

日本は人口減少局面に直面しており、今後は人口がどんどん減っていきます。

また、都市への一極集中が進み大都市の住宅建設が進む一方で、地方では空き家問題が深刻になっており、不動産の価値が下落しているのは否めません。

さらに、今後は大都市でも建設できる場所が無くなり、また人口減少の影響もあり不動産取引が減少すると言われています。

このように、人口減少に伴って不動産取引が減少することから、宅建士の必要性が以前より低くなってしまっているのです。

宅建士の仕事がデジタル化される

引っ越しを経験したことが有る方であれば、スーモやアットホームなどのインターネットで物件を探した経験はあるでしょう。

以前は、店舗に足を運んで物件を探す方法が主でしたが、宅建士の仕事がデジタル化されたことで街の不動産屋が打撃を受けました。

また、現在はVRを使った内見や電子契約、AIによる不動産鑑定価格査定などが行われているため、今後ますます宅建士の需要が減っていくと言われているのが実情です。

潜在宅建士が就業しはじめる

令和2年度時点で、宅建の資格登録者数は107万人となっていますが、実際の宅建就業者は32万人程度にとどまっています。

70万人ほどの潜在宅建士がいる計算になりますが、働かない理由は年齢や家庭の事情など様々です。

しかし、デジタル化が進みテレワークでの働き方が中心となれば、育児との両立や地方での業務がしやすくなる恩恵があるため、今は働いていない多くの宅建士が職場復帰することが考えられます。

その結果、宅建士の数が増えて需要が低くなってしまうことが懸念されています。

「宅建は必要ない」が間違いな理由

理由のイメージ

今後の日本の状況などを考えると、一見「宅建士は不要」という意見は正しいように見えます。

しかし、実際に宅建士が不要とされるのは誤りであり、今後もその存在が求められる場面は多いです。

不動産取引の際に必要不可欠

一般的に、不動産に関する知識を持たない一般人と専門家である不動産業者には大きな知識の差があります。

不動産業者と一般人が不動産取引をする際に、トラブルを未然に防ぐ意味でも宅建は必要不可欠な存在なのです。

3つの独占業務が存在

宅建士には独占業務があり、重要事項説明・重要事項説明書面への記名押印・契約書への記名押印の3つは宅建士取得者しか行うことができません。

宅地建物取引業法において「不動産売買の際に契約書には宅建士の記名押印がなければならない」と定められているため、この法令を遵守しなければ不動産取引は不可能なのです。

つまり、不動産業者にとって宅建取得者は必要不可欠な存在なので、常に需要があると言えるのです。

不動産業者は宅建士の設置義務がある

宅地建物取引業法において「宅地建物取引業者は従業員の5人に1人を宅建士にしなければならない」と定められています。

この基準をクリアできなければ不動産業者として活動することができないので、宅建士取得者の存在価値の高さが分かるでしょう。

つまり、不動産業界において宅建の資格を持っている人材は重宝されるため、需要が無くなることはあり得ません。

業界別に宅建士の需要を分析

宅建の資格は不動産業界を始め、さまざまな業界で力を発揮します。ここでは宅建の需要を業界別で確認していきましょう。

不動産業界において資格は必須

前述したように、不動産業者には宅建士の設置義務があるため、不動産業界で宅建取得者は貴重な存在として評価されます。

さらに、営業する際に資格の有無でその営業マンの信頼度が大きく変わるため、自分の成績を伸ばすという意味でも宅建の取得は有意義です。

また、企業における従業員の宅建取得率が高い企業は信頼度が上がるため、取得することによるメリットは大きいのです。

建設業界で不動産販売を行う場合

建設会社の中では自社物件の販売や賃貸の募集を行う企業もあるため、その際に宅建の資格は必須となります。

また、宅建士は二級建築士との相性が良く関連が高いので、建設業界を志望している方はダブルライセンスを目指しましょう。

不動産業界のみならずゼネコンなどの建設業界でも活用できる資格なので、活躍の幅が広いことが分かります。

保険業界・金融業界で役立つ

住宅ローンを組むにあたり、団体信用生命保険という生命保険の加入することになりますが、その際に宅建資格が活かせます。

また、金融機関では不動産を担保に老後資金を借りられる「リバースモーゲージ」という制度があるため、金融機関でも宅建士資格は活用できるのです。

FPとの相性も良いため、金融機関や保険業界での就職や転職を目指している方は、FPと宅建のダブル取得を狙うと良いでしょう。

宅建士は実際に稼げているのか

ペンとお金

取得メリットは様々ですが「宅建士は稼げるのか?」という点も気になりますよね。

こちらのトピックで、宅建士の収入事情について解説していきます。

平均年収は500万円程度

宅建士の平均年収は約500万円前後となっており、働き方・勤務年数・役職によって400~700万円までの振れ幅があります。

日本の平均年収が436万円であることを考えると、平均よりもやや高めであることが分かります。

また、不動産業界では多くの企業が歩合制を採用しているため、実力次第では平均を大きく上回る年収を稼げるチャンスもあります。

前述した通り、資格の有無でその営業マンの信頼度は変わるため、稼ぐチャンスを増やすためにも宅建士の取得は必須と言えるでしょう。

より稼ぐためには営業力が必須

不動産業界は基本給に加えて歩合制が導入されていることが多いため、ガッツリと稼ぐためには資格の有無よりも営業力が重要であると言われることもあります。

営業力が重要であるのは確かですが、資格を取得していることで顧客から信頼を得ることができるのも確かなので、資格勉強と営業スキルの向上を同時に目指すのが良いでしょう。

営業力は知識だけでなく人間性や性格なども影響するので簡単に伸ばすことは難しいですが、最も手軽で簡単な方法は「成績が良い人の真似をする」ことです。

営業成績が良い人はトークがうまかったりなぜか人から気に入られる、という特徴があるので、つぶさに観察して自分にも取り入れられそうな部分があるかどうかを確認してみて下さい。

資格手当や昇給も期待できる

多くの不動産系企業では、宅建士資格を取得することで月に1~3万円程度の資格手当を支給してくれます。

また、役職に就くことで年収50~100万円程度の昇給が期待できるため、資格を取得してからコツコツと努力を重ねることで着実に年収を増やすことができます。

新人の頃は給料が安いと感じていても、長く勤めることで高収入が期待できるようになるため、宅建士の給与水準は平均を上回るのです。

宅建士の年収については、以下の記事でより詳しく解説しています。

宅建士に将来性はあるのか

ASKの看板

今では各地で需要のある宅建士ですが、今後もこうした需要は消えないのでしょうか。

ここでは宅建の将来性を考察していきましょう。

法律で仕事が確保されている

前述した通り「宅地建物取引業法」という法律で宅建士の仕事は確保されています。

不動産市場は日々変動し、新たな規制や法令の導入が頻繁に行われています。

不動産事業所には宅建士の設置義務があると共に、宅建士を置くことで会社の信頼度が上がるため、需要が無くなることはありません。

また、近年は宅地関係の法令が年々厳しくなっており、将来的に仕事が無くなる可能性は低いことを考えると、宅建士の将来性は明るいと言えるでしょう。

AIに代替されない仕事

書類作成などの単純業務はAIに代替される可能性がありますが、不動産売買では対人コミュニケーションを通して信頼関係を築くことが大切です。

クライアントに対する説明やアドバイス、交渉スキル、信頼の構築など、人間関係を築く能力は人間の方が大幅に優れています。

また、相手の意向を汲んだ上で細かいニーズをクリアした物件紹介が非常に大切なので、宅建士の重要な仕事がAIに奪われることは無いでしょう。

逆に、単純業務をAIに任せることで宅建士は顧客へのよりきめ細かいサービスを提供できるようになるため、AIとの補完性も高いと言えるのです。

独立開業する場合は独自性を出す

宅建士資格を生かして独立開業する場合は、自身の様々なスキルが収入に直結します。

インターネットを使った広告やAIを取り入れたサービスなど、最新技術を上手に取り入れながら顧客を開拓しなければ稼ぐことは難しいです。

また、ダブルライセンスやこれまでの経験を活かして差別化することで独自のサービスを提供できるようになるため、日々研鑽を積む姿勢を継続することが重要と言えるでしょう。

宅建は需要がある目指すべき仕事

宅建は法律で設置が定められている上に会社の信頼度に関わる大切な存在なので、需要が無くなることはありません。

人口減少やデジタル化など、宅建士にとって不利になりかねない事象が起きているのは確かですが、それでも宅建士の将来性が明るいことに変わりはありません。

空き家問題の解決に宅建の知識を活かしたり、デジタル技術で業務を効率化させるなど、技術の進化を有効活用してうまく取り入れることで、今後ますます活躍の場を増やすことができるはずです。

宅建は食える資格なのかまとめ

宅建の価値まとめ

  • 活躍の場は広いため、宅建資格の価値は非常に高い
  • 宅建業法で宅建士の仕事は保護されているので、需要が無くなることは無い
  • 将来性に関しても申し分なし
  • より稼ぐためには営業スキルを伸ばすことも大切

宅建士は「食えない」「稼げない」資格であると言われることが有りますが、それが誤りであることをお伝えしてきました。

不動産業界においては欠かせない存在であり、宅建業法においても独占業務が保障されているので、その価値は非常に高いのです。

また、将来性も高く一度取得すれば生涯有効な資格でもあるので、どのような方にもおすすめできる資格と言えるでしょう。

こちらの記事を参考にして、ぜひ宅建士の取得を目指してみてください!mark

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