宅建試験は女性に有利?女性宅建士の就職先や年収・求人の実態まで解説!
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宅建士
関口秀人
「女性が宅建を持っていると有利になるの?」
「仕事や求人はどのくらいあるんだろう」「年収はどれくらい?」
こんな疑問をもつ女性の方はいらっしゃいませんか?
この記事では、宅建試験は本当に女性に有利なのか?女性宅建士の就職先や年収・求人の実態も交えて徹底的に考察していきます!
宅建士に興味をもっている女性の方は必見です!
女性の宅建取得についてざっくり説明すると
- 宅建士の仕事は女性に向いており、宅建を持っていると仕事や年収などで有利になる
- 女性宅建士の需要は高く就職先もさまざまなので、40代以上でも活躍できる
- 主婦の宅建試験の合格率は高い
宅建の資格は女性にぴったり
宅建の資格を女性が取ると、仕事をするうえで高い効果を発揮することができます。
女性ならではの良さと宅建の仕事がもつ特徴の親和性は一体どのようなところにあるのでしょうか?詳しく見ていきましょう。
顧客に安心感を与える
宅建士の大きな仕事として、顧客に重要事項を説明する、というものがあります。この際に宅建士が女性だと、お客様に柔らかい印象を与えてくれるという長所があるのです。
女性は男性に比べて会話が上手だと言われています。コミュニケーション能力に長けているので、ちょっとした雑談を通じて緊張をほぐしたり、人の気持ちを汲み取って物事を伝えたりすることができるのです。
重要事項説明書の内容は文章も長く難しい言葉が多いので、知識がない一般人にとっては理解に苦しむものでしょう。
ですが、女性が細かいことを丁寧に分かりやすく説明してくれることで、お客様も安心して話を聞くことができます。
事務的な作業が得意
女性には仕事が丁寧な人が多いと言われており、事務的な作業が向いていることも親和性のひとつとして挙げられます。
重要事項説明書や契約書類など、不動産取引に関する重要な書類に間違いは許されません。書類にミスがないか一つ一つ確認して、もし不備があれば修正するという作業も宅建士の仕事です。
このように事務的な仕事には地道な作業が多く正確性が求められるので、書類の確認ひとつにしても、女性が持つ丁寧さと細やかさがプラスにはたらきます。
宅建事務の仕事
また宅建事務という仕事もあります。
宅建事務の仕事としては、重要事項の説明、契約書類の作成、窓口業務、電話応対、業務関連の資料作成などがあげられ、仕事の幅が広いことが特徴です。
特に重要事項の説明は宅建の資格を持っていないとできない業務です。事務職的な要素に加えて、宅建の知識と専門性を活かして働くことができるやりがいのある仕事でしょう。
事務的な仕事だけでなく、さまざまな人とコミュニケーションを取る機会もある宅建事務の仕事には女性の方が採用されやすいという声もあり、女性的な活躍が求められる場が多いのです。
宅建士の女性割合は高い
全国宅地建物取引業協会連合会によると、2020年時点での宅建士の女性割合は25.2%でした。
税理士や司法書士、行政書士など、士業では女性割合が20%を下回ることが多いので、宅建士の女性割合は高いと言えます。
宅建は他の士業と違って独立開業の色は薄く、就職や転職に直結する資格だということで、安定思考の人が多い女性からの人気を高めているのでしょう。
ちなみに1993年時点での女性割合は16.9%だったので、27年のうちにかなり女性の宅建士が増えてきたことがわかります。
さらに2022年度宅建試験の受験者数を見ると、男性147,902人に対して女性78,146人と、女性の受験者割合は34.6%となっています。
このように宅建の女性割合は昔から今まで長期的に増え続けており、年々女性人気が高まっている資格だと言えるでしょう。
女性宅建士の仕事と就職先
女性宅建士にはどのような仕事や就職先があるのでしょうか?
実際に詳しく見ていきたいと思います。
宅建士の独占業務
宅建士の主な仕事として重要事項の説明、重要事項説明書への記名・押印、契約書への記名・押印があります。これらはすべて宅建士の独占業務であり、資格を持っている人にしかできない仕事となります。
そのため、独占業務のある資格を持っていると様々な面で優遇されるという強みがあります。
宅建士証の住所記載には注意
宅建士が不動産取引の当事者(買主や借主)に重要事項説明を行う際には、宅地建物取引士証というものを提示しなければなりません。
この宅建士証には住所が記載されており、お客様に自分の住所が分かってしまう可能性があるので特に女性は注意が必要です。
宅建業法の改正により、重要事項の説明の際に宅建士証を提示するときには、住所欄の上にシールを貼っても問題ないとされています。このようにして個人情報の扱いに気をつけ、業務を行うのが良いでしょう。
宅建を持つ女性の就職先
女性が宅建の資格を活かして働ける場所は、不動産業界だけでなく様々な業種にあります。
建設会社や住宅メーカーでは、一戸建てやマンションの建設や販売を行っていたり、銀行などの金融業界では担保となる不動産の評価などを行っています。
上記のどの業界でも契約事項の説明や書類作成等の細かい仕事は必須であり、この点で女性に向いています。
不動産管理会社や駐車場関係の会社でも宅建の知識が役に立ちます。来客、電話、メールなどのお客様対応の際に、専門知識を持って優しくテキパキと対応してくれる女性は心強い存在となるでしょう。
宅建士の設置義務
不動産会社などの宅地建物取引業者は、5人に1人の割合で専任の宅建士を設置しなければならないと法律で義務付けられています。
専任とはパートやアルバイトなどの非常勤ではなく、正社員や常勤の宅建士を雇わなければなりません。
宅建士が居なければ不動産業として営業を行うことができないので、宅建を持っている人への需要は高く、雇用において大変有利になります。
40代以上でも活躍できる
宅建士には独占業務があったり、宅建士の需要が高いことから、年齢を問わず活躍することができます。
年齢不問の求人も多くみつかりますし、宅建を持っていることで採用に結びつきやすくなるでしょう。
女性でサービス業や接客業などの経験があるとお客様とのコミュニケーションがスムーズにとれたり、40代以上の女性であればそれまでの社会経験や人生経験が宅建の仕事に役立つこともあります。
パートやアルバイトもしやすい
もともと不動産業界は人の入れ替わりが激しい業界なので、もしライフステージに合わせて退職などをしたとしても、宅建士資格を持っていれば再就職がしやすいことが特徴です。
再就職の場合でも、宅建士を募集するパートやアルバイトの求人は多数存在しています。
育児や家庭の事情等で正社員で働くのが難しかったとしても、パートやアルバイトなら家庭とも両立しやすく、ライフスタイルに合わせて働く曜日や時間を調整しながら無理なく働けるのは宅建士の大きな魅力と言えるでしょう。
未経験やブランクがある場合
経験者はもちろん即戦力になりますが、業務が未経験でも宅建の資格を持っている女性は歓迎される傾向にあるので、転職できるチャンスがあります。
一般的にはブランクが長くなるほど再就職は難しくなりますが、家庭の事情などにより一定の休職期間があったとしても、宅建の資格が社会復帰の後押しをしてくれる可能性は十分あります。
未経験者歓迎であったり、主婦や女性を積極的に採用したいという企業もあるので、色々な会社の仕事情報をこまめにチェックしてみることがおすすめです。
未経験だからと言って、すぐに諦めるようなことはせずに、まずは確認してみることが大切です。
女性宅建士の求人と年収
女性が宅建士の資格を取得すると、さまざまなメリットがあります。
ここでは女性宅建士の求人と年収について具体的に見ていきましょう。
求人が多い
正社員、パートやアルバイト、あらゆる雇用形態で宅建の有資格者を歓迎する求人が多いです。宅建事務、営業サポート、アドバイザーなど、宅建資格があることで仕事の幅が大きく広がります。
昔は不動産関連は男性が中心というイメージが強かったかも知れませんが、今は仕事をするのに性別は関係なく、むしろ女性のほうがソフトで親しみやすく、話しやすいというお客様もいます。
女性宅建士の採用に対して積極的な企業も増加しており、女性が宅建の資格を生かして就職、転職できるチャンスはとても多いと言えるでしょう。
年収は高め
宅建の主な就職先である不動産業界や金融業界は給与水準が高いことが多く、平均年収は500万円前後となっています。
営業職か事務職か、などといった仕事内容によっても年収に差が出てきますが、宅建士にしかできない業務があるので重宝され、さまざまな職種で年収アップを狙うことができます。
事務職の場合でも宅建の資格を持ち合わせていると、収入面で一般事務よりも待遇が良いことが多いです。パートやアルバイトなどでも、時給が高く優遇してもらえるケースもあるようです。
資格手当のメリット
月に平均して2万円の資格手当ももらえるので、資格を持っているだけで単純に年収24万円も増加します。
宅建の資格には、会社が手当を支払ってでも採用したいというだけの価値があります。資格だけで収入がプラスになることは資格取得の大きな魅力ではないでしょうか。
宅建試験は女性に有利?
宅建試験は女性の合格率が高いことが大きな特徴です。女性の合格者が多いのには、女性ならではの理由があるのです。
女性の方が合格率が高い
過去2年間の宅建試験の女性の合格率は以下のようになっています。
令和4年度宅建士試験
男性 | 女性 | 計 | |
---|---|---|---|
受験者数 | 147,902人 | 78,146人 | 226,048人 |
合格者数 | 24,535人 | 13,990人 | 38,525人 |
合格率 | 16.6% | 17.9% | 17.0% |
上記によると、女性の合格率が男性を上回っており、女性の合格率のほうが全体の合格率よりも高いことが分かります。これは令和4年度だけでなく、ほぼ毎年のようにこのような結果となっています。
宅建では主婦の合格者が多いことも特徴の一つです。主婦には日常生活を通して、段取りを組んで一度に複数の家事を効率的にこなす力や同じことを毎日続けられる力が培われています。
これらの力は宅建の勉強をする際にもプラスにはたらくのです。
また主婦には家庭、育児、地域の付き合いなど、いくつもの役割をこなした経験があり、そういった主婦や女性としての経験を仕事に生かせることは、試験に合格した後の強みになります。
再就職を強く望む主婦は、資格取得に非常に貪欲で勉強熱心なので、必然的に女性の宅建の合格率も高くなるといえるでしょう。
独学でも合格を目指せる
宅建は国家資格であり、決して楽に取得できるような資格ではありませんが、宅建を取得することのメリットと比べると、かなりコストパフォーマンスの良い資格であると言えます。
一般的に、合格に必要な勉強時間は300時間前後といわれており、半年ほど真面目に勉強を積めば独学でも合格が可能で、実際に独学で宅建を取得している人も少なくありません。
女性が宅建士を目指す際のポイント
宅建は女性が独学で合格を目指せる資格ではあるものの、資格取得を急いだほうが良い場合や、状況に応じて独学以外の方法を取ったほうが良いケースもあります。
女性が宅建の資格取得を考えるときに注意したい点をみていきたいと思います。
育休などを利用する場合
育休などを利用して資格取得を目指す場合、仕事を休むことができる期間は決まっているため、限られた期間内で合格しなければなりません。
そのため、独学で失敗してしまうと厳しくなってくるでしょう。
主婦は育児なども忙しく思うように時間が取れないので、勉強できる時間が短ければ通信講座を利用することがおすすめです。
再就職を考えている場合
一度退職した人で、宅建の資格を生かして再就職を考えている場合、復職までの期間は短いほうが良いです。
職場復帰までに何年も空いてしまうと、どんどん再就職しにくくなってしまいます。確実に一発合格を目指すなら独学は避けるべきです。
宅建試験対策ができる通信講座には「全額返金保証」が付いているものもあります。この機会にチェックしておくのが良いでしょう。
女性の宅建取得まとめ
女性の宅建取得まとめ
- 宅建の仕事は女性の良さを生かすことができる上に、資格があると仕事が多く、資格手当などにより年収も上がりやすい。
- 独占業務や宅建士の設置義務などもあり、女性宅建士の需要は高く、雇用形態や年齢に関係なく幅広く仕事ができる。
- 再就職に向けて宅建を取得する主婦が多く、試験に合格後は主婦や女性の経験が仕事に役立つというメリットがある。
この記事では、女性が宅建を取得する際のメリットについて、徹底的に考察してきました。
国家資格は持っていると有利になるものばかりですが、特に宅建は女性におすすめしたい資格です。
資格取得を迷っているなら、ぜひ女性宅建士を目指してみてはいかがでしょうか?