社労士試験の免除制度ってどんなもの?免除条件や免除指定講習についても解説!
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「社労士試験の科目免除制度ってなに?合格に有利になるの?」
「科目免除を受けることができるのはどんな人?」
試験を受験する上で、試験科目を減らすことが出来るのはとても魅力的ですよね。しかし、免除を受けることが必ずしも有利だとは言えないケースもあります。
この記事では、社労士試験の科目免除制度について分かりやすく解説します!科目免除制度の利用を検討している人は是非参考にしてください!
社労士試験の科目免除制度をざっくり説明すると
- 実務経験など一定の条件を満たせば試験科目を一部免除できる
- 科目免除利用者の合格率は一般受験者より高いが微々たるもの
- デメリットも多いので利用するかしないかを十分に検討すべき
社労士試験の免除制度とは
社労士試験は、試験範囲が広く難易度が高い試験です。試験科目は択一式で7科目、選択式で8科目あります。しかし、実務経験など一定の条件を満たすことで、試験科目を一部免除することが可能です。
科目免除の対象として、以下の4種が挙げられます。
- 地方公務員・国家公務員
公務員(国・地方)として労働社会保険法令に関する施行事務に通算10年以上従事している人
例えば、労働局、市役所、町役場、旧日本郵政公社等での勤務経験など
- 労働社会法関連の従事者
-
厚生労働大臣の指定団体の役員または従業員として労働社会保険法令事務に通算15年以上従事している人
-
社労士法人や事務所、弁護士事務所で補助者として労働社会保険法令事務に通算15年以上従事し、全国社会保険労務士連合会が行う免除指定講習を受講し修了した人(税理士事務所は対象外)
- 日本年金機構
日本年金機構の役員又は従業員として社会保険諸法令の実施事務に通算15年以上従事している人
- 全国健康保険協会
全国健康保険協会の役員または従業員として社会保険諸法令の実施事務に通算15年以上従事している人
以上の4つです。
このように、対象となるのは一般企業に勤務する会社員等ではなく公務員等で労働社会保険法令に関わる業務に関係している人のみになります。
どの科目が免除になるのか等のより詳しい情報は社労士試験のオフィシャルサイトをご確認ください。
一部の免除資格は事前確認も可能
社労士試験では、自身が有する実務経験が科目免除の対象となるかどうかを試験センターにまで事前に問い合わせることが出来ます。
社労士試験では、受験資格としても実務経験が必要であり、出願時に実務経験の証明書が必要となりますが、この時に併せて科目免除申請のための証明書を別に提出しなければなりません。
事前に確認することで、勉強科目を絞ることも出来るほか、科目免除の対象となると思っていたら実は対象外、といったことを未然に防ぐことができます。
科目免除については、一度確定すると合格まで何度受験しても有効のままです。
科目免除者の合格率
科目免除を受けると、試験科目が減るため合格率も高くなるように思えますが、実際にはどの程度プラスに働くのでしょうか。科目免除者が他の受験生に比べてどの程度有利なのか分析していきます。
2021年度社労士試験結果
一般受験者 | 科目免除者 | |
---|---|---|
受験者数 | 37,306人 | 841人 |
合格者数 | 2,937人 | 106人 |
合格率 | 7.9% | 12.6% |
2022年度社労士試験結果
一般受験者 | 科目免除者 | |
---|---|---|
受験者数 | 40,633人 | 841人 |
合格者数 | 2,134人 | 115人 |
合格率 | 5.3% | 13.7% |
2023年度社労士試験結果
一般受験者 | 科目免除者 | |
---|---|---|
受験者数 | 37,306人 | 834人 |
合格者数 | 2,937人 | 92人 |
合格率 | 7.9% | 11.0% |
データ出典:社会保険労務士試験オフィシャルサイト
実際に数字を比べてみると、やはり科目免除者の合格率は一般受験者よりは高くなっています。
しかし、その差が大きく開いているわけではありません。科目免除を受けたからといって合格率がぐんと高くなるわけではないのです。
科目免除利用時の点数の算出方法
科目免除利用者の合格率がそこまで高くない要因として、科目免除利用時の点数の算出方法が挙げられます。
科目免除を利用した場合、点数は各年度の合格基準点を基に算出されることになっています。
科目免除利用時の点数の算出式
総得点の合格基準点÷満点相当の点数×免除科目の満点相当の点数
以下、2018年度の場合を例にとって、点数を算出してみることにします。
<選択式>
- 合格基準…総得点23点以上かつ各科目3点以上
(「社会保険に関する一般常識」「国民年金法」は2点以上)
- 配点…各問1点/一科目5点満点の計40点満点
<択一式>
-
合格基準…総得点45点以上かつ各科目4点以上
-
配点…各問1点/一科目10点満点の計70点満点
この数字をもとに、科目免除の場合の点数を算出します。(小数点第二位以下四捨五入になります。)
<選択式> 23点÷40点×5点=2.9点
<択一式> 45点÷70点×10点=6.4点
このように計算して出た点数が免除科目の得点となります。つまり、科目免除した際に充当される点数は満点扱いではないということです。
科目免除の際の当該科目の点数は、総得点の合格基準点を基本としているため、どんなに受験した他科目の点数が高得点であっても、免除科目においては関係ないのです。
そのため、総得点で高得点を狙うためには、実際に受験する方が高得点を狙える可能性があります。
そもそも科目免除ができる科目は自身の実務経験と関連の深い科目なので、免除科目の得意不得意にかかわらず、免除せず受験して得点源とする方が得策ともいえるでしょう。
免除申請の方法
先ほども少し記述しましたが、科目免除の申請は、受験の申込と一緒に行います。書類は試験科目免除申請書の他に、実務経験など免除資格を証明する書類の添付が必要です。
この証明書は、受験資格用のものとは別にもう1つ必要になるので注意しましょう。申込期間は、例年4月中旬から5月末日となっています。
ちなみに、受験経験があり科目免除の申請が既に決定されていたことがある場合、
全国社会保険労務士連合会(旧厚生省・旧労働省含む)より交付されており免除決定通知書に記載されている「免除決定通知番号」を受験申込書に記載することで、免除を受けることが可能です。
免除指定講習について
社労士試験では、「免除指定講習」を受講し修了することによっても科目の免除が受けることが可能です。
ただ、この講習は誰でも受講できるわけではなく、実務経験も必要になります。
もし対象者であれば、実務経験に加えて講習の受講をすることで最大で4科目の免除を受けることが可能です。
免除指定講習の受講資格
免除指定講習を受講できるのは、労働社会保険法令事務に通算15年以上従事している人(近い将来その条件を満たすであろう人を含む)の中でも、以下の2つの条件に該当する人になります。
-
社労士事務所または社会保険労務士法人事務所の補助者
-
健康保険組合・厚生年金基金・労働保険事務組合等の指定団体役員または従業員
※指定団体の詳細はこちらを参考にしてください。
講習の内容
講習は、通信指導と面接指導を組み合わせて実施されます。
通信指導は通信教育の形式で行われ、約6ヶ月間の添削指導を行います。
その後、講習科目ごとの面接指導が実施されます。
面接指導は決められた日程で3日間行われ、最終日に40分程度(一般常識は50分)の修了試験を行い判定されます。
例年8月から9月初旬にかけて受講の受付を行い、10月から3月までの6ヶ月間、通信指導を行っています。
講習科目
講習により免除出来る科目は以下の通りです。
- 労働災害補償保険法
- 雇用保険法
- 労働保険の保険料の徴収等に関する法律
- 厚生年金保険法
- 国民年金法
- 労務管理その他の労働及び社会保険に関する一般常識
これらの科目全てを免除出来るわけではなく、この中から最大4科目を選択します。選択の仕方は以下の通りです。
-
1~3の中で2科目まで選択できる
-
4、5のいずれかを選択できる
-
6は申請可能である
この組み合わせにより最大4科目まで希望科目の講習の受講が可能で、講習を修了すれば科目免除を受けることが出来ます。
免除指定講習の費用
講習の受講には、受講費用がかかります。この費用は1科目45,000円です。4科目受講すると合計180,000円かかるため、非常に高額となります。
免除の申請方法
講習を無事終了し免除資格を得ることが出来たら、次の3点を出願時に提出して科目免除の申請を行います。
-
講習修了証のコピー
-
実務経験を証明する書類
-
受験資格証明書
免除指定講習は受けるべき?
免除指定講習は、最大4科目の免除を受けることが可能なため、通常の試験科目の半分の受験で済み、一見、好都合な制度だと思えるかもしれません。
しかし、受講するに当たって、通信教育に半年の時間を要する点や、受講費用が高額な点も考慮すると、積極的にオススメできるものでもないです。
受講資格がある人は、その科目に関わる実務経験を15年以上有しており知識も豊富であると考えられるため、そこまでの時間と費用をかけてまで試験を免除する必要があるのかも正直疑問です。
また、科目免除による合格率がそれほど高くないという点からも、免除指定講習の受講はあまりオススメしません。
社労士試験の科目免除まとめ
社労士試験の科目免除まとめ
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社労士試験には、一定の実務経験等の条件を満たすことで申請の上、科目免除を受けることが可能
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科目免除の対象者は、公務員等で労働社会保険法令に従事している人で、実務経験期間が15年以上である人
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科目免除した場合の合格率は、一般受験者と比べてそれほど高くはない
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科目免除した場合の当該科目の点数は満点扱いではなく、総得点の合格基準点をベースとして算出されることから、必ずしも科目免除したことが合格に有利とはいえない
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実務経験に免除指定講座の受講を組み合わせることにより最大4科目の科目免除が可能
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免除指定講座は、受講期間6ヶ月に加えて受講費用が高額なことから、あまりオススメ出来ない
科目免除制度は、試験科目を減らし勉強科目を絞ることが出来るため、合格可能性が高まるかのようにみえますが、実際にはそうでない場合もあります。
これは免除された科目へ充当される点数が満点扱いではないことが大きな要因です。
基本的に、科目免除を受けることが出来る科目については実務経験を通して得た知識が十分にあると見込めるため、免除せず受験した方が高得点を狙え、かつ得点源に出来る可能性が高いでしょう。
免除指定講習についても同じことがいえます。
科目免除を考えている人は、この点についても十分に考慮したうえで、どちらの方が自分にとって得策となるのか慎重に判断するようにしてくださいね!