【1次・2次】中小企業診断士試験の科目免除の仕組みや申請方法・免除のリスクまで解説
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中小企業診断士
平井東
「中小企業診断士の試験の科目免除制度って何?」
「どんな場合に申請することが出来るの?」
こんな疑問を持っている人はいませんか?
ここでは中小企業診断士試験の科目免除制度について詳しく解説しています。この記事を読めば、科目免除の条件やメリットとデメリット、申請の手続き方法まで全てが分かります!
科目免除制度についてざっくり説明すると
- 科目免除制度には、科目合格制による免除と一定の条件を満たすことによる免除の2つがある
- 科目免除制度は1次試験のみ
- 科目免除はリスクもあるため慎重な判断が必要
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中小企業診断士試験の科目免除制度とは
中小企業診断士の試験では、科目免除制度というものがあります。この制度は1次試験のみに適用され、2次試験には適用されません。
中小企業診断士の1次試験の試験科目は合計7科目ですが、科目免除制度を利用することで、受験する科目数を減らすことが出来ます。
科目免除には「特定の資格の保有などある条件を満たすことによる科目免除」と「昨年または一昨年の1次試験で科目合格したことによる科目免除」の2種類があります。
特に後者の科目合格による免除制度は誰でも利用できるチャンスがあるので、この機会にぜひ知っておきましょう。
科目別免除申請の条件
一定の条件を満たすことによって申請することが出来る科目免除では、持っている資格等で免除になる科目が決められています。
以下、各科目における科目免除の申請条件を紹介します。なお、いずれも免除期限は設けられておらず、条件を満たしていればいつでも免除可能です。
科目 | 条件 |
---|---|
経済学・経済政策 | 経済学博士/大学等の経済学教授/准・旧教授(通算3年以上) |
公認会計士・旧公認開始第2次試験で経済学を合格した者 | |
不動産鑑定士/不動産鑑定士試験合格者/不動産鑑定士補 | |
財務・会計 | 公認会計士/公認会計士試験合格者/会計士補/会計士補となる有資格者 |
税理士/税理士試験合格者/税理士試験免除者 | |
経営法務 | 弁護士/司法試験合格者/旧司法試験第2次試験合格者 |
経営情報システム | 技術士/情報工学部門に係る技術士となる資格を有する者 |
情報処理技術者試験合格者 | |
システムアナリスト・アプリケーションエンジニア・システム監査・プロジェクトマネージャー・ソフトウェア開発・第一種・情報処理システム監査・特殊) |
経済学・経済政策
この科目では、大学で経済学を教えている教授や経済学を専攻し大学院を卒業した人のほか、公認会計士、不動産鑑定士は申請により試験を免除することが出来ます。
申請書類
科目免除に必要な書類は以下の通りです。
科目免除対象者 | 証明書類 |
---|---|
大学等の経済学教授/准教授・旧教授(通算3年以上) | 在職証明(期間記載) |
経済学博士 | 経済学博士の証明書 |
公認会計士/旧公認会計士第2次試験で経済学を受験し合格した者 | (経済学の合格が分かる)合格証明書 |
不動産鑑定士/不動産鑑定士試験合格者/不動産鑑定士補/旧不動産鑑定士試験第2次試験合格者 | 登録証明書・登録通知書・不動産鑑定士試験合格証明書 |
財務・会計
この科目では、会計に関する国家資格を保有している人が試験の免除の申請が出来ます。
申請書類
科目免除者 | 証明書類 |
---|---|
公認会計士/旧公認会計士試験合格者/会計士補/会計士補となる有資格者 | 登録証明書・公認会計士合格証明書・旧公認会計士試験第2次試験合格証明書 |
税理士/税理士試験合格者/税理士試験免除者 | 登録証明書・税理士証票・税理士試験合格証明書・試験免除決定通知書等 |
経営法務
この科目は、法律をテーマとしているため弁護士や司法書士など法律に関する国家資格保有者は免除の申請を行うことが出来ます。
申請書類
科目免除者 | 証明書類 |
---|---|
弁護士/司法試験合格者/旧司法試験第2次試験合格者 | 弁護士名簿登録通知・所属弁護士会発行の身分証明書(有効期間内)・司法試験合格証書 |
経営情報システム
この科目は、ITに関わる部分になるので、IT関係の資格を持っている人は免除の申請を行うことが出来ます。
申請書類
科目免除者 | 証明書類 |
---|---|
技術士/情報工学部門に係る技術士となる資格を有する者 | 技術士登録証・技術士試験合格証書 |
情報処理技術者試験合格者(詳しくは表参照) | 情報処理技術者試験合格証明書または証書 |
科目合格による科目免除について
中小企業診断士の1次試験では、科目ごとの点数が100点満点中60点以上であれば「科目合格」として認められます。
1次試験の合格基準を満たせず、不合格となった場合でも、60点以上の科目があればその科目は「科目合格」として翌年から2年間は試験を免除することができます。
科目合格の基準
-
科目合格の有効期限は受験の翌2年間(合格年度を含めると3年間)
-
免除申請を行うと第1次試験で当該科目の受験が免除される
-
第1次試験に合格すると科目合格の免除申請資格はなくなる
科目免除すると合格基準はどう変わるのか
科目免除をすると、受験する科目数が変わります。そのため試験の総得点が変わることになり、それに伴い合格基準点も動きます。
7科目全て受験する場合には、総得点700満点の60%なので420点が合格基準となります。
一方で、仮に2科目の免除申請を行うと、残り5科目を受験することになりますが、その場合は500点満点の60%の300点が合格基準点となります。
このように、科目免除の有無により合格基準点が変動するので、受験する際は注意しましょう。
科目免除しない方が良い場合
科目免除のメリットは、受験科目を減らすことが出来るためその分苦手科目に勉強時間を割くことが出来る点です。しかし、その一方でデメリットもあります。
科目免除をすると、その科目の点数は全く考慮されません。
そのため、該当科目が得意科目である場合や、その年に平均点が高い易しい科目であった場合には得点源として総合点を底上げすることが出来ない場合も出てきてしまいます。
中小企業診断士の試験では、年度によって科目ごとの難易度にかなりバラつきがあります。受験する科目数が少なく、さらのその科目の難易度が高かった場合は不利になってしまいます。
このため、科目免除するかどうかは試験の傾向や、残りの科目数、得意不得意などを考慮して慎重に判断する必要があります。
2次試験に関わる科目は科目免除しなくて良い
科目免除については、基本的には2次試験に関わるか否かで判断することをおすすめします。
具体的には、2次試験に向けて高い水準で仕上げる必要のある「財務・会計」については、1次試験でも自然と高得点を狙うことになるので、科目免除はおすすめしません。
対して1次試験にしか登場しない経済学・経済政策や経営情報システムなどについては、免除することで他の2次試験に必要な科目の学習に注力することができるので、免除制度を利用するのが良いでしょう。
2次試験も免除することが出来る
2次試験には、科目免除制度はありませんが、「中小企業診断士養成課程」を受けることで2次試験の筆記試験および口述試験を免除することが出来ます。
この養成課程は、経済産業省が認めた登録機関が実施するカリキュラムを全て受講することで認定されます。
時間も費用もかかりますが、1次試験に合格した人は誰でも受講する資格があります。
養成課程による2次試験の免除ついてより詳しく知りたい方は、以下の記事を参考にしてください。
中小企業診断士の科目免除制度まとめ
科目免除制度まとめ
- 資格や学位を持っていると科目免除申請が行える場合がある
- 科目合格の条件は科目ごとの点数が60点以上であること
- 科目合格の有効期限は合格した年を含めた3年間
- 科目免除せずに高得点を狙った方が良い場合もある
- 2次試験を免除するためには養成課程を受講する
科目免除制度は、賢く使えば1次試験の合格へぐんと近づくことが出来る制度です。
しかし、一方で総得点が低くなりやすいというデメリットもあります。
メリットとデメリットの両方を理解したうえで、自分にとって最善の方法で中小企業診断士の合格を目指しましょう!