中小企業診断士の養成課程とは?内容や期間・費用などの実態を調査!
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中小企業診断士
平井東
中小企業診断士を目指している方であれば、「養成課程」という言葉を聞いたことがある人は多いでしょう。
近年、従来の資格認定試験ではなく、養成課程を修了して登録資格を得て中小企業診断士となる人が増加傾向にあります。
この記事では、中小企業診断士の養成課程とはどのようなものなのか、わかりやすく説明しています。
中小企業診断士の養成課程をざっくり説明すると
- 1次試験合格後、養成課程を経ることで2次試験を受けずに中小企業診断士になれる
- 養成課程で学ぶ内容は「演習」と「実習」
- 養成課程の費用は200万円前後
- 養成課程は働きながらでも通うことができる
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中小企業診断士の養成課程とは
中小企業診断士は、中小企業支援法に基づく国家資格です。
中小企業診断士になるためには、1次試験(筆記試験)・2次試験(筆記試験・口述試験)からなる資格認定試験と、その後の実務講習をクリアする必要があります。
この3段階を経て、ようやく「中小企業診断士」としての登録が出来るようになります。
しかし、これ以外にもう一つ中小企業診断士になれる方法があるのです。それが「中小企業診断士の養成課程」による方法です。
2次試験を受けずに中小企業診断士になれる!
本来、中小企業診断士になるためには、前に述べた3段階(1次試験・2次試験・実務補習)の全てをクリアしなければなりません。
ですが、1次試験に合格した後に、各種機関が実施している中小企業診断士の「養成課程」を受講・修了すると、難関とされる2次試験と、15日間の実務補習が免除されます。
養成課程を受講するための試験はありますが、当然ながら中小企業診断士の試験と比べれば格段に難易度は低いです。学費はかかりますが、入ったら基本的には卒業出来るため、ほぼ確実に中小企業診断士になることができます。
「養成課程」と一言で言っていますが、厳密には、中小企業大学校東京校が実施しているものを「養成課程」と言い、その他の機関が実施しているものを「登録養成課程」と言います。
この記事では総称して「養成課程」としています。
養成課程に入るための試験は必要
中小企業診断士養成課程は、実施している機関毎に募集定員が決まっています。そのため、養成課程は「希望すれば入れる」といったものではなく、入るためには試験(審査)を受けなければなりません。
しかし、合格率の公表はされていないものの、高い確率で合格できるとされています。
養成課程に入るための試験は、基本的には「書類審査」と「面接審査」です。
審査内容は各機関の自主性にある程度任されており、択一式の試験を課すところや、小論文の提出が必要なところもあります。グループディスカッションを行うところもあります。
「書類審査」と「面接審査」の内容
「書類審査」は、受講申込書、履歴書、身分証明書などを提出します。金融・支援機関などから養成課程に派遣される方などであれば、派遣元の推薦状も提出することになります。
「面接審査」は、主に面接官3名(養成課程実施機関から1名、外部専門家2名)による個別面接で、養成課程を受講するための適性について審査されます。
評価項目は養成課程を実施するそれぞれの機関によって多少違いがありますが、概ね以下の様になっています。
- 養成課程受講の動機
- 協調性及びコミュニケーション能力
- 態度・表現力・積極性
- 資金面
- スケジュール面
中小企業診断士を目指すにあたって「人格的な側面」と「途中で諦めないかどうか」を主に見ていると考えられます。
中小企業診断士の養成課程の内容
中小企業診断士養成課程の内容は、各実施機関毎に独自のカリキュラムが組まれていますが、基本的には「演習」と「実習」の二つで構成されています。
「演習」では、「コンサルティングスキル」「経営戦略」「創業・ベンチャー支援」「企業再生」「経営革新」などの、中小企業診断士として必要な知識を身に付けることを始めとして、論理的な思考法について学び、客観的な分析についての基礎を修得できるようにします。
「実習」では、実際の中小企業を対象に「現場調査」「経営者へのヒアリング」を行い、問題点の把握から課題の抽出、解決策の立案・提示、報告書の作成まで、プロの中小企業診断士と同じように行いながら、分析力や思考力、問題形成力、プレゼンスキル等を磨いていきます。
養成課程にかかる費用と期間
中小企業診断士の養成課程にかかる費用と期間について、簡単にまとめました。
年度によって養成課程の費用・その他条件・内容等は変わりますので、各機関の公式サイトで最新の情報を確認してください。
費用 | 期間 | |
---|---|---|
中小企業大学校 | 230万円 | 6ヶ月(平日) |
法政大学(大学院) | 259万円 | 1年(平日) |
中京大学(大学院) | 190万円 | 2年 |
日本生産性本部 | 252万円 | 6ヶ月(平日) |
日本マンパワー | 250万円 | 1年(夜間) |
名古屋商科大学(大学院) | 346万円 | 2年(週末) |
中部産業連盟 | 220万円 | 1年(夜間) |
東海学園大学 | 150万円 | 2年(夜間) |
東洋大学(大学院) | 257万円 | 2年(夜間) |
千葉商科大学(大学院) | 248万円 | 2年(週末) |
兵庫県立大学 | 184万円 | 2年(選択) |
城西国際大学 | 178万円 | 2年 |
福岡県中小企業診断士協会 | 220万円 | 2年(夜間+週末) |
日本工業大学 | 200万円 | 1年(夜間+週末) |
費用は安くないですが、養成課程を修了すれば確実に中小企業診断士の資格を取得できることや、各分野で活躍している受講仲間との横の繋がりが増えることで得られるものを考えると、養成課程には費用を十分にカバー出来るメリットがあります。
養成課程を経て中小企業診断士の資格を取るメリット
2次試験を受けずに済む
養成課程を受けて中小企業診断士になることの、一番に挙げられるメリットは、難関である2次試験を受けずに済むことでしょう。
また、決まった期間で修了できるため、「次の試験で受かるとも限らず、時間を無限に勉強に費やさなければならない」というリスクを避けることができます。
試験による方法で中小企業診断士を目指す人の中には、なかなか2次試験をクリアできず、勉強を始めたときから数えるともう数年経っているが得られたのは「1次試験合格」だけ・・・、という状態が続く人もいます。
そうすると、停滞感からモチベーションも低下し、家族からも「いつまでやるの?」と責められるかもしれず、目指していた中小企業診断士への道を諦めざるを得なくなってしまう可能性だってあります。
働きながら通うことも出来て、一定期間で結果が出せる、というのは養成課程の非常に大きなメリットの一つでしょう。
通学して学ぶことが出来る
一人、自室に籠もってひたすらテキスト片手に勉強に打ち込む、というのではなく、同じ目標を持ってそれぞれに何かを志して受講している意識の高い仲間達と、お互いに刺激し合いながら時間を過ごせるということも、養成課程の魅力と言えます。
自分と異なる考えを持つ人と話したり、ディスカッションしたりすることを通じて、論理や思考が深まっていくということは絶対にあります。
また、中小企業診断士として必ず必要になってくる、「相談者である経営者に同調しながらも、課題を見つけて共有し、共に問題解決を目指していくためのコミュニケーション能力」を養うことも、養成課程の中で出来ます。
平日の夜に行われるものが多い
中小企業診断士の養成課程は、平日の夜間や週末を利用して行われるものも多く、仕事と両立して勉強をすることが可能です。
勉強に専念するために、資格取得まで一旦休職する、ということが出来る方は良いですが、多くの人は生活のために仕事をしながら資格取得を目指すことになるかと思います。
仕事と両立しながら中小企業診断士を目指すには、夜間開講の養成課程はもってこいの環境です。
診断士同士の横の繋がりが作れる
中小企業診断士は、他の診断士の人たちと一緒に仕事をする機会が多いのが特徴です。そのため、中小企業診断士にとって「横の繋がり」というのは非常に重要です。
養成課程は、同じように資格取得を目指す「未来の中小企業診断士」の集まりですから、彼らと関係性を築き、コネクションを作っていくことが出来るのは、養成課程の非常に大きなメリットであると言えます。
MBA取得のチャンスも
中小企業診断士養成課程を実施している一部の大学院では、卒業(修了)することでMBA(経営学修士)を取得することもできます。
中小企業診断士とMBAの両方を持っていれば、非常に多くの企業から引く手数多の人材となることでしょう。
中小企業診断士の養成課程まとめ
中小企業診断士の養成課程まとめ
- 養成課程を受けることで2次試験が免除される
- 養成課程受講のための審査はあるが高い確率で合格できる
- 仕事との両立が可能
- 費用はそれなりにかかるがメリットも大きい
中小企業診断士の養成課程は、一定の定められた期間で資格取得に辿り着くことができるため、「2次試験に合格するまで勉強し続けなければならない」といった状況を回避することができます。
一時的な費用はそれなりにかかりますが、仕事と両立もできますし、2次試験が免除され、養成課程を修了すれば中小企業診断士としての登録ができます。
中小企業診断士となってから必要となるスキルや能力も既に身に付いていますし、養成課程の「同期」という頼もしい横の繋がりもあります。養成課程にかかる費用分は、数年で元が取れることを実感できるでしょう。
これから中小企業診断士を目指す方は、養成課程も視野に入れてみてはいかがでしょうか。