中小企業診断士に合格するには何年かかる?平均受験回数を徹底調査!
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中小企業診断士
平井東
「中小企業診断士の資格を目指そうかと考えているけど、どれくらい勉強しなきゃいけないのかな・・・」
「周りは何年目で合格しているのか知りたい!」
中小企業診断士を目指されている方であれば、誰しもこのような疑問をお持ちになるのではないでしょうか。
中小企業診断士は、ビジネス関連の資格の中でTOEICに並ぶ人気の資格です。そのため毎年多くの方が受験されますが、その難易度はかなり高く簡単に受かるような試験ではありません。
そこでここでは中小企業診断士試験に合格された方の平均受験回数について具体的に解説します!
これを読めば、中小企業診断士試験の難易度や不合格になってしまった場合の考え方まで、正しく理解することができるはずです。
中小企業診断士の合格には何年かかるのか
- 中小企業診断士の合格までには平均して3年かかる
- 試験難易度は高く、約1000時間ほどの勉強時間が必要
- 合格者数の割合は全受験者の4%ほど
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中小企業診断士に合格するのは平均で3年かかる
一般的に、合格までの平均受験回数は3回と言われています。
しかし、これは3年目の受験での合格者数が一番多いというわけではありません。下の表は、大手資格学校のLECが公表している中小企業診断士に合格するまでの学習年数の調査結果です。
合格者の学習年数 | 割合 |
---|---|
1年以内 | 27% |
2年以内 | 21% |
3年以内 | 21% |
4年以内 | 13% |
4年以上 | 15% |
表を見てわかるように、合格者数が一番多いのは学習を始めてから1年以内です。しかし一方で、長い人であれば10年以上かかる人も。 これらを平均すると3年になります。
ここで注意しておきたいのは、途中であきらめる人もいるため、5回以上受験すれば必ず受かるというわけではないということです。 平均受験回数の認識に注意しましょう。
ストレート合格は難易度が高い
中小企業診断士を検討している方はストレートでの合格を目指しているでしょう。しかし表を見てわかるように、合格者の中ではストレートでの合格者数の割合が一番高いものの、全体の4分の1しかいません。
このように、ストレートで合格する難易度は非常に高いことが伺えます。
合格者の割合は3年目まで含めて半分以上の割合になります。また、途中であきらめる人はデータに含まれていないため、不合格のまま資格を断念してしまう受験者数はかなりの数になります。
中小企業診断士の試験には、科目別合格制度があります。1次試験の科目で6割以上の点数を取れた科目を2年間免除できる制度です。
科目別合格制度を活用して、2~3年かけて合格することも視野にいれてみましょう。
地雷科目のせいで何度も不合格になることも
中小企業診断士の試験は、1次試験と2次試験にわかれます。1次試験は7科目受験しますが、この1次試験には地雷科目という厄介なものがあります。
1次試験は全科目の総得点が6割以上で合格で、40点未満の科目が1つでもあると不合格です。そのため、1つでも難しい科目があり、40点未満を取ってしまうと不合格 になってしまいます。
そして1次試験では毎年、極端に難しい地雷科目が存在します。自分の苦手科目が地雷科目であった場合、そのせいで何年も不合格になってしまうことがあるのです。
中小企業診断士は何年も挑戦する価値があるのか
ここまで中小企業診断士の試験の難易度や平均受験回数についてご説明しました。「難易度の高い中小企業診断士に何年も挑戦する価値があるのか」と思われた方もいるのではないでしょうか。
もちろんここまで多くの人がチャレンジするのには理由があります。
以下では中小企業診断士の資格を取るメリットを簡単に確認していきましょう。
昇給や昇格に繋がる
中小企業診断士の資格は、より経営に近い仕事を任せてもらえるようになります。例えば、プロジェクトマネージャーや新しい制度の企画などです。
中小企業診断士の1次試験が、企業経営に関する内容です。経営について理解があると周りから認められ、経営について重要な役割を与えてもらえることになり、昇給や昇格につながります。
また、会社の福利厚生によっては資格手当があるところもあり、直接的な収入増加になることもあります。
就職・転職に有利になる
中小企業診断士の資格は、コンサルティングの知識を持っていると証明できるものです。中小企業診断士は、コンサルティングの唯一の国家資格だからです。
コンサルティング業界に転職をする場合などでは、前職の実績に加えて、さらに評価してもらえる材料になります。
また、中小企業診断士は、企業経営に関わる幅広い内容の知識を持っている証です。そのため、コンサルティング業界以外にも、あらゆる業界で就職や転職に有利に働くことが多いです。
独立して経営コンサルタントという道も
中小企業診断士の資格を有していることは、顧客からの信頼を獲得することにつながります。そのため、独立してから顧客獲得に困ることはあまりありません。
コンサルティングは独占業務ではないため、誰でも行うことができます。しかし、中小企業診断士の資格を持っていることで他社との差別化を図ることができます。
取得が難しいからこそ価値がある
中小企業診断士の取得の難易度はかなり高く平均受験回数も多いです。しかし、難しいからこそ価値があります。
日本の社会人はあまり勉強しないと言われます。その中で取得のために勉強することで、優れたビジネスマンになることができます。
さらに資格勉強を通じてなかなか身につかない論理的思考力や、ビジネスへの感度も高くなりるので、良いこと尽くしの資格だと言えるでしょう。
中小企業診断士の資格を取得するメリットについては、以下の記事で詳しく解説しています。
中小企業診断士試験の合格率と合格点
中小企業診断士試験の合格基準点
中小企業診断士試験は1次試験と2次試験に分かれます。1次試験は全部で7科目あり、700点満点のうち6割以上とれば合格です。しかし、1科目でも40点を下回ると不合格となります。
一方で2次試験は、4科目からなる筆記試験と口述試験が行われます。2次試験も1次試験と同じように総得点の6割以上とれば合格で、1科目でも40点を下回ると不合格です。
1次、2次試験ともに4割未満の科目が無いように満遍なく勉強する必要があります。毎年地雷科目があるので、苦手科目を作らないようにしっかりと準備をして臨むことが求められます。
中小企業診断士試験の合格率
1次試験は例年13,000~14,000人が受験し、合格率は例年およそ20%前後です。なお、直近数年は合格率の上昇が目立ち、2020年には42.5%と例年の2倍ほどとなっています。
2次試験は1次試験に合格した4,000~5,000人が毎年受験します。合格率は20%ほどで、1,000人ほど合格します。
1次試験と2次試験の合格率に相関性はなく、1次試験の合格率が高いから2次試験の合格率は低い、といったことはありません。
また、2次試験の合格率は毎年安定していますが、1次試験は2次試験と比べると合格率の変動幅が大きいのが特徴です。
1次と2次を合格する人は全体の4%ほどになります。合格者を年代別に見てみると、30代と40代が多く、合わせて50%以上になります。
このことから、働きながら取得を目指している方でも十分合格を目指せる資格だということが分かります。
中小企業診断士の合格率が低いのはなぜ?
中小企業診断士の合格率が低すぎると思った方も多いのではないでしょうか。
この項目では、なぜ中小企業診断士の合格率が低いのかをご説明します。合格率を少しでも高められるように、勉強や計画の際に参考にしてみてください。
1次試験と2次試験の両方を突破しなければならない
中小企業診断士の資格取得には、1次と2次試験合わせて800~1,200時間の勉強時間が必要だと言われています。
もちろんいままでの経験や知識によって勉強時間は多少前後しますが、それでも約1,000時間必要です。1日2~3時間勉強するとしても約1年間かかる勉強量です。
1年間コンスタントに勉強しなければ知識が定着せず、1次試験を突破することも困難です。また、7科目満遍なく勉強することも大変で、勉強時間を確保できず、挫折する方もいらっしゃいます。
1次試験の7科目を合格すると、2次試験が2ヶ月後に待っています。
非常に難しい2次試験の対策をたった2ヶ月することになるので、しっかりとした準備をできる人はあまり多くなく、結果として合格率が低くなっています。
科目合格率の差が大きい
合格率を下げている理由として、1次試験の科目ごとの合格率の差が大きい点もあります。簡単な科目であれば合格率は約40%ほどまで高いです。一方で、同じ年の別の難しい科目の合格率は10%に満たないことが多々あります。
このように、科目ごとの難しさが同じ年の中でも大きく異なるのが1次試験の特徴です。
難しい科目は毎年1~2つです。どの科目が難しくなるのかはランダムなので、事前に予測して対策するということができません。そのため、すべての科目を抜かりなく徹底的に準備することが求められるのです。
苦手な科目がちょうど受験した年の難しい科目と被ってしまうと、合格することが難しくなります。そのため、合格率が下がってしまうのです。
2次試験が難しい
2次試験の難しさも、合格率を下げている大きな要因です。
注意しておきたいのは、1次試験と2次試験の合格率の20%の意味が大きくことなることです。2次試験に挑戦している人は1次試験に合格した優秀な人ばかりとなります。分母の優秀な人の数が異なるため、当然受験者のレベルは高いです。
2次試験は、4題の論述試験と口述試験(面接)が行われます。論述は事例を読み込んで、解くものです。組織・人事、マーケティング・流通、生産・技術、財務・会計についての経営分析・課題解決の論述です。
論述の対策をするのは独学では極めて難しく、どういった解答が正解を貰えるのかが自分ではなかなか判断がつきません。
2次試験対策専門の予備校や通信講座もあるくらいなので、独学で2次試験を突破することがいかに難しいかが見て取れます。
中小企業診断士の難易度は他資格と比べても高い
以下では他の人気の資格と難易度を比較しています。相対的に見ても難しい部類の試験であることが分かりますね。
資格 | 勉強時間 |
---|---|
弁護士 | 10,000時間 |
税理士 | 2,500時間 |
中小企業診断士 | 1,000時間 |
社会保険労務士 | 1,000時間 |
行政書士 | 600時間 |
宅地建物取引士 | 300時間 |
簿記2級 | 300時間 |
FP2級 | 150時間(FP3級保有者) |
もちろん税理士や弁護士などの超難関資格ほどは難しくないですが、独学で目指せるギリギリラインの資格だと言えそうです。
何年も不合格になっても大丈夫
中小企業診断士の取得には、何年かかっても問題ありません。むしろほとんどの方が長年かけて取得する資格であるといえます。
資格の取得が第一目標ではありますが、勉強する中で得た知識は、自分の中に蓄積されるため、無駄にはなりません。蓄積されるにつれ、市場価値の高い人材になっていきます。
また、中小企業診断士合格後、資格は様々な面で有利に働きます。 就職や転職の面では、自分のスキルを証明する材料になります。さらに、コンサルタントとしての顧客から信頼される武器にもなります。昇給や昇格につながり、投資した以上に収入が増えることも多々あります。
何年かけても、得られるリターンの方が大きいでしょう。長年かけて取得する人向けに科目合格制度もあります。
諦めずに挑戦し続けることで、社会から求められる優秀なビジネスパーソンになることができると言えます。
合格発表のその時まで、走り抜けましょう。
中小企業診断士に一発合格するための勉強法
中小企業診断士の資格の難易度や合格率についてご説明してきました。しかし、「やっぱり中小企業診断士の試験に一発で合格したい」という方も多いかと思います。
以下では中小企業診断士に一発で合格することを目指す方のために、一発合格のための勉強のコツをお伝えします。
2次試験対策は1次試験対策と並行させる
1次試験合格後から2ヶ月後に2次試験があります。1次試験合格後から勉強を始めては間に合わないため、2次試験対策と1次試験は並行して対策しましょう。
具体的には、1次試験対策では2次試験の内容に関連する科目を重点的に対策をしましょう。
関連する科目は、企業経営理論、運営管理、財務・会計、運営管理、経営情報システムです。特に前者3つは関連度が高いので他の科目よりも理解を深めましょう。
ただし足切りの存在も忘れてはいけません。重点を置く科目を決めながらも、満遍なく勉強し苦手な科目を作らないようにすることも同時に意識しなければならないので注意です。
また、2次試験で活かせるような勉強を行いましょう。1次試験では知識の有無が問われます。一方で、2次試験では知識を活用して、事例の課題解決方法が問われます。
科目間の横断的理解を意識する
2次試験では横断的に知識を理解し活用できるかどうか求められます。そのため、科目ごとに分けて理解するのではなく、知識を全体的に俯瞰して理解するように努めましょう。
また、学習の効率としても科目ごとの知識の関係性を理解することで、知識の定着も早くなります。科目ごとの共通点や、因果関係を明確にすることで、知識を整理できます。
その結果、知識を知識として終わらせるだけでなく、実際の現場でも活用できるようになります。
独学で一発合格は極めて難しい
一発合格を考えている場合、独学で合格を目指すのは正直かなり難しいです。
中小企業診断士の受験科目の多さや、1次・2次試験の対策を並行させる難しさゆえに、自分で計画を立てながら効率よく学習を進めていくのは極めて困難でしょう。
さらに1年で合格を目指すとなると、1日に3時間前後の勉強時間を確保する必要があります。働きながら勉強時間を確保するのはかなり大変です。
予備校や通信講座であれば学習スケジュールの管理はもちろん、隙間時間に効率よく学習できる様々な学習システムも利用することができます。
以下ページでは中小企業診断士向けの予備校や通信講座を紹介していますので、合格までに何年もかけたくないという方は是非ご確認ください。
中小企業診断士の平均受験回数まとめ
中小企業診断士の勉強時間まとめ
- 合格者の平均受験年数は3回
- ストレート合格の難易度は高い
- 独学者は2次試験対策が特に鬼門である
- 必要な学習時間は1,000時間ほどで、合格者数の割合は4%
ここまで中小企業診断士の勉強時間や難易度についてご紹介しました。いかがでしたでしょうか。
中小企業診断士の資格は確かに難易度は高いですが、何年かけても挑戦する価値のある魅力的な資格です。
また、中小企業診断士の合格者は30・40代の方が多いので、働きながらでも挑戦できる資格であることは間違いありません。
是非効率的な勉強法を選択して、無事に合格を手にして下さい!