電験三種の年収は高い?独立・転職の事情や給料アップの方法についても解説

「電験三種の給料や年収って高いの?」

「電験三種を生かして独立は可能?」

このような疑問をお持ちの方、いらっしゃいませんか?

電験三種は電気主任技術者資格の中で最もレベルが低い資格ですが、難易度はかなり高いです。

専門性が高い資格であるため高い年収や給料が期待でき、上位資格である電験二種や一種を取得することでより収入アップを狙うことも可能です。

こちらの記事では、電験三種の年収や給料などの事情や収入アップの方法などについて解説していきます!

電験三種の年収についてざっくり説明すると

  • 平均年収は日本全体の年収を少しだけ上回る
  • 電気工事士よりも平均年収は高い
  • 電験二種、電験一種にステップアップすれば年収アップが狙える
  • 独立するのは得策とは言えない

電験三種とはどんな資格?

大きな疑問

電気のスペシャリストである国家資格

電験とは、そもそも正式名称を「電気主任技術者」と呼び、第三種から第一種までの分類が存在する電気系の国家資格です。

第三種はその中でも入門的な役割を持つ資格であり、受験者も多く高い需要と人気があります。

電気設備の保守点検や管理のプロフェッショナルとして活躍できるため、多くの現場で活躍できるでしょう。

電験三種所有者の主な仕事内容

電気主任技術者には「電気設備の保安監督」という法律上で定められた独占業務があり、仕事の需要は非常に安定しています。

第一種から第三種まで資格で幅広い業務内容が存在しますが、その中でも電験三種所有者は以下のような業務を主に任されています。

太陽光発電の建設や監督業務

電験三種所有者は、太陽光発電に関する施工管理や設計業務、現場調査、見積作成、工事などの幅広い業務において専門知識を生かして活躍できます。

また、現場作業のみならず現場の管理なども任されることが多いため、監督としての役割も期待されています。

太陽光発電の建設は広大な土地を必要とするため地方で行われることが多いことから、全国各地に飛び回って現場監督業務をこなす機会も非常に多くあります。

設備の管理やマネジメント

電験三種保有者は設備のメンテナンスや改造、電気制御システムの管理、設備メーカーとの交渉、工事管理なども任されることが多いです。

ただし、これらのマネジメント業務は現場での経験が必須な業務となっており、ある程度の実務経験を積んだ電気主任技術者が行っています。

マネジメント業務は責任が重く果たす役割も重要であることから、単価の高い仕事となっています。

電験三種試験の難易度

電験三種試験は合格率が毎年10%未満と非常に低くなっており、他の国家資格試験と比べてもかなり難易度の高い資格です。

数学や物理の知識が無いと解くことができないような問題が出題されるため、電気に関する非常に専門性の高い内容の学習が必要となります。

また、試験範囲も非常に広く過去問と似た問題の出題も少ないことから、試験対策が難しいという特徴があります。

電験三種取得者の平均年収

お金の画像

電気主任技術者の仕事は個人の能力次第で評価が変わりやすく、それに応じて給料の幅も広いです。

電験三種の平均年収は450万円

前述したような仕事を主に任される電験三種取得者ですが、年収を平均すると450万円程度であると言われています。

日本の平均年収は440万円程度であり電験三種の給料は比較的高めと言えますが、資格取得の難易度の高さを考慮すると物足りない数字と言えます。

とはいえ、電験三種取得後にキャリアアップすることで、徐々に年収をあげることが可能です。

電験三種のボーナス・昇給事情

電験三種の給料を年齢別に比較すると、50〜59歳までの年収が最も高くなっており、取得してからの実務経験を積むほど昇給しやすい傾向にあります。

また、ボーナスや資格手当については同じような年齢層で年間160万円ほどになっており、他の電気関連資格よりも高い水準の資格手当を得ることができます。

電験三種は非常に高い専門性を身に着けているため、多くの企業において貴重な存在として評価されているのです。

電気工事士と年収を比較すると

電気主任技術者と同じように人気と需要が高く、よく給与面を比較される資格に電気工事士という資格があります。

電気工事士の平均年収は400万円程度と言われており、電気主任技術者の方が高い年収を稼いでいることになります。

前述したように、電気主任技術者の資格手当は電気関連資格の中でもトップであるため、その面で電気工事士と大きな差が出ていると考えられます。

電験三種の就職・転職や独立

かわいい犬

電験三種の資格は取得難易度が高く、電気に関して非常に高い専門性を身に着けていることをアピールできます。

幅広い業務をカバーできるため、資格を所有しているだけで就職・転職が行いやすいというメリットがあります。

つまり、電験三種を取得していることで安定して仕事を得ることができ、将来性も非常に高いのです。

転職によって年収がアップすることも

求人情報サイトで電験三種などのフレーズで検索をしてみると、電気主任技術者を必要としている企業は多くあることが分かります。

つまり、需要は常にあるため転職がしやすい職種なのです。

基本的に電験資格保有者の年収は日本の平均年収を超えていることから、資格を取得して転職することによって、転職前よりも給料がアップする確率も高いのです。

電気主任技術者の独立は難しい

電験三種をはじめとした電気主任技術者の資格を取得して独立している人は多くいますが、実際のところ独立して稼いでいくのはかなり難しいです。

独立は不可能ではありませんが、慎重に決断をするべきと言えるでしょう。

独立に必要な実務経験

そもそも、電験の資格を所有しているだけで独立をすることは不可能です。

独立するためには取得後に実務経験を満たす必要あり、具体的には「第三種電気主任技術者は5年以上の実務経験」「第二種は4年以上」「第一種は3年以上」と決められています。

また、以上の実務要件をクリアした後に経済産業大臣の認可を受ける必要があるため、かなり手間がと時間がかかるのです。

独立しても給料が上がるとは限らない

諸条件をクリアして独立したとしても、独立することによって給料が大幅に上がるとは限りません。

高い技能やスキルがあるだけでなく、地道な営業活動をしなければならないため現実は厳しいのです。

取引先のコネがない限りは安定した収入は望めず、また初期費用も多額であることから独立後に苦労している方も多くいます。

電験三種の独立・転職がおすすめな人

電験三種の転職や独立にはメリット・デメリットともに多く存在しますが、具体的にどのような人であれば、転職・独立で成功できるのかを解説していきます。

仕事が大変と感じる人は転職すべき

電気主任技術者の仕事は多岐に渡るため、勤務先の仕事内容によっては給料面でコストパフォーマンスが悪くなってしまうことも有り得ます。

そのため、自分の得意としている分野は何なのか、どれくらいの年収を希望しているのかをハッキリさせましょう。

電験三種の資格を所有していれば年齢に関係なく就職しやすくなるため、自分の条件に合った仕事が見つかる可能性は高いです。

営業力や人脈があるなら独立でもOK

取引先を多く見つけられる営業力がある場合や、勤務している頃からの取引先やコネクションなどが豊富にある方であれば、独立後もスムーズに仕事ができる可能性が高いです。

幅広い人脈があれば仕事を受注しやすく、独立後間もないころから安定した収入を得られる可能性が高いため、リスクが小さいと考えられます。

このように、営業力に自信がある方や人脈が広い方であれば独立のチャンスは大きいです。

電験三種は独学で合格できる?

楽しそうな人たち

電気主任技術者の資格試験の中では最も簡単な電験三種ですが、他の資格試験と比較しても合格率は非常に低く難易度も高いです。

独学での合格が難しい国家資格の一つとして知られていますが、こちらのトピックでは具体的にどの程度難関であるのか解説していきます。

電験三種の合格率は非常に低い

それでは、令和元年度〜平成27年度の5年間における試験の受験者数、合格率、科目合格率を紹介します。

直近5年間の試験データは以下の表のようになっています。

年度 受験者数 合格率 科目合格率
令和元年度 41,543人 9.3% 32.1%
平成30年度 42,976人 9.1% 28.7%
平成29年度 45,720人 8.1% 26…6%
平成28年度 46,552人 8.5% 28.9%
平成27年度 45,311人 7.7% 29.5%

このように、電験三種の合格率は8〜9%で推移しており、難関国家資格と比較しても遜色がないことが分かります。

科目合格制度を利用しよう

電験三種には「科目別合格制度」が設けられているため、一度の受験で全科目に合格する必要はありません。

電験三種は「理論」「電力」「機械」「法規」の4科目で構成されていて、各科目において合格点をクリアした場合、翌年と翌々年の試験で当該科目の免除を受けることができるルールになっています。

全体での合格率は低いですが科目別の合格率は取得が現実的な数字であるため、一度に全科目合格を目指すのではなく3年程度の時間をかけて科目合格を積み重ね、資格取得を目指すのが一般的です。

電験三種の科目合格の難易度

令和元年度〜平成27年度の各科目の試験科目、受験者数、合格者数、合格率などのデータは以下の表のようになります。

年度 試験科目 受験者数 合格者数 合格率
令和元年度 理論 33,939人 6,239人 18.4%
令和元年度 電力 30,920人 5,646人 18.3%
令和元年度 機械 29,975人 7,989人 26.7%
令和元年度 法規 33,079人 5,858人 17.7%
平成30年度 理論 33,749人 4,998人 14.8%
平成30年度 電力 35,351人 8,876人 25.1%
平成30年度 機械 30,656人 5,991人 19.5%
平成30年度 法規 33,594人 4,495人 13.4%
平成29年度 理論 36,608人 7,085人 19.4%
平成29年度 電力 36,721人 4,986人 13.6%
平成29年度 機械 32,850人 5,354人 16.3%
平成29年度 法規 35,825人 5,798人 16.2%
平成28年度 理論 37,622人 6,956人 18.5%
平成28年度 電力 35,352人 4,381人 12.4%
平成28年度 機械 36,612人 8,898人 24.3%
平成28年度 法規 35,198人 4,985人 14.2%
平成27年度 理論 37,007人 6,707人 18.1%
平成27年度 電力 35,260人 6,873人 19.5%
平成27年度 機械 34,126人 3,653人 10.7%
平成27年度 法規 35,047人 7,006人 20.0%

このように、科目ごとの合格率では20%を超えることもあるため、毎年地道に各科目を丁寧に勉強すれば確実に資格取得を目指せます。

独学合格には長い勉強時間が必須

電験三種に独学で合格するためには、長い勉強時間が必要になります。

数年かけて科目合格を積み重ねて資格取得を目指す場合であれば、トータルの勉強時間は1000時間ほど必要と言われています。

1000時間の勉強をこなすためには、毎日必ず3時間勉強したとしても1年ほどかかる計算になります。

社会人などの忙しい方が毎日3時間も勉強するのは非常に難しいため、取得を目指す際には余裕のある勉強スケジュールを立てて効率の良い勉強方法の確立が求められるのです。

電験三種取得後に給料アップを狙うには

お金の画像

電験三種取得者の給料は幅が広く、自身の能力次第で大きく給料アップを狙うことができます。

電気主任技術者として実務経験を積む

数年に渡って実務経験を積むことで、年収アップにつなげることができます。

経験を積んだ電気主任技術者であれば様々な企業で重宝され、昇給や昇進しやすくなるため年収もかなり高くなる傾向にあるのです。

また、同じ理由から転職も成功しやすいため、取得後はとにかく自分のスキルを高めるために実務経験を積むことを目標とすると良いでしょう。

電験一種・電験二種の上位資格を狙う

電験三種の取得後に、上位資格である電験二種や電験一種を取得することも非常に有意義です。

電験二種や電験一種にステップアップすることで大規模な設備も扱えるようになり、それだけ給料も上がりやすい傾向にあります。

特に、電験一種にもなると全ての電気設備を扱うことができるようになるため、現場での信頼も得られて年収も非常に高額になりやすいです。

このように電験二種と電験一種の取得メリットは測り知れませんが、どちらの資格も電験三種よりも圧倒的に難易度が上がります。

そのため、取得を目指す場合にも相当な覚悟が必要となります。

電験三種取得にはメリットが豊富

青空と親指

前述した内容以外にも、電験三種の資格を取得することで多くのメリットを受けることができます。

安定した需要ある

電験三種取得の最も大きなメリットとして、仕事に安定した需要があるため安心して働くことができる点が挙げられます。

法律によって電験三種には電気設備についての独占業務が与えられているため、多くの現場で活躍することができます。

また、近年は電気設備の数も増加傾向にあるため、活躍できるフィールドも非常に広いのです。

選任による設置義務のある施設も多くあるため、有資格者には常に一定の仕事の需要があり、仕事に困ることはありません。

AIに代替されにくく将来性も高い

近年はAIなどの科学技術の発達が目覚ましく、数年後には多くの仕事がAIに代替されるのではないかと懸念がされています。

しかし、電気主任技術者の仕事は非常に高い専門性が求められているため、簡単にAI技術に仕事を奪われることはありません。

電気主任技術者の仕事には、電気設備に関する技術や知識だけでなくコミュニケーション能力も必須です。

このように、AIでは進出できないスキルが現場では求められており、人間に付加価値がつきやすい仕事であると言えるのです。

電気主任技術者に向く人

無人島と疑問

こちらのトピックでは、電気主任技術者に向く人の特徴を紹介していきます。

自分に適性があるかどうかをチェックすることも、収入アップやキャリアアップを目指す上で大切です。

責任感のある人

電気主任技術者は電気設備の保守点検を紹介を主に行うことになりますが、その中には大規模な施設の保守点検を行うことあります。

この仕事はちょっとしたミスや見落とし、手抜きが許されません。

ちょっとしたミスが原因で電気設備が故障したり不具合を起こすこともあるため、強い責任感を持ちながら仕事を進めていかなければなりません。

また、自分が手を抜くことなく仕事に励むのはもちろんのこと、チームや部下もしっかりと見落としなどをしていないかチェックしなければなりません。

電験三種や二種などのランクに関わらず、責任感を持って日々の仕事に従事できる方が電気主任技術者に向いています。

根気と体力がある人

会社によっては多くのテナントの電気の保守点検を請け負っていることも多く、体力が求められる場面も多くあります。

また、もし保守点検の過程で不備や問題が見つかった場合は速やかに報告しなければならず、どのような問題が発生したのかを丁寧に説明しなければなりません。

このように、電気主任技術者として実際に働いてみると根気と体力が求められる場面が多いため、体力に自信のある方は適性があるでしょう。

出張が苦にならない人

前述したように、電気主任技術者として働いていると全国に出張する機会が多くあります。

電気設備の専門家はゴロゴロいるわけではないため、場合によっては1週間近く出張が続くこともあり得ます。

そのため、出張があまり好きではなくルーティーンワークが好きな方は、残念ながら電気主任技術者には向きません。

逆に、様々な場所に移動するのが苦ではなく、逆に出張することが好きな方であればストレスを感じることなく働くことができるでしょう。

電験三種の年収まとめ

電験三種の年収まとめ

  • 仕事の需要は安定しているため、年収も安定している
  • 営業スキルや人脈の広さに自信がある方は独立も可能
  • 関連資格を取得したり、実務経験を積むと年収アップにつながる
  • 将来性も高く、安心して働くことができる

電験三種の難易度は非常に高いため、専門性を活かして様々なフィールドで活躍できるでしょう。

年収は安定している上に転職活動の武器になり、仕事の需要が常にある点も魅力の一つと言えます。

電験三種を取得した後に電験二種や電験一種を狙うことでステップアップにつながり、より高い年収を稼ぐこともできます。

なお、独学で合格を目指すのは困難なので、本気で合格を狙うなら通信講座などを利用しましょう。

需要と将来性が高い魅力的な資格なので、ぜひ電験三種の資格取得を目指してみてください!

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