電気主任技術者の仕事は楽なの?就職先や給料・電験3種と2種の難易度差まで解説!
「電気主任技術者の仕事って楽なの?」
「電気主任技術者の具体的な仕事内容が知りたい」
こんな疑問をお持ちの方もいるのではないでしょうか。
電気主任技術者と言っても具体的にどんな仕事をしているのかわからないという人が一定数存在します。仕事のきつさなども理解しにくいため、疑問に思っている人は多いのです。
結論から申し上げますと、電気主任技術者は現場の仕事ですから、デスクワークに比べるときついと感じることが多いというのが現状です。ただ、これだけでは具体的なきつさなどはピンときません。
そこで、電気主任技術者の具体的な仕事内容はもちろん、電験のメリットや取得方法などについても解説します。
電気主任技術者の仕事についてざっくり説明すると
- 電気主任技術者は持っている資格によって仕事の内容が異なる
- 電験を持っていると楽になることが多数ある
- 電気技術者になると現場ならではの大変さがある
電気主任技術者の仕事は楽なの?
「電気主任技術者の仕事は楽」という意見がある一方で、「電気主任技術者の仕事は相対的に見てきつい」という人もいます。この意見はまったく正反対なので、どちらが本当なのか疑問に感じている人もいるでしょう。
本当に電気主任技術者の仕事は楽なのでしょうか?それともきついのでしょうか?具体的な仕事内容なども取り上げながら、その実態に迫ります。
そもそも電験保持者の仕事内容とは
電験保持者の仕事内容は持っている資格によって変わります。一口に電験保持者と言っても、すべての人たちがまったく同じ仕事をしているとは限らないのです。
例えば、第3種電気主任技術者の資格を持っている人なら、ビルやホテル、工事現場や発電所などのようなさまざまな場所で仕事をすることができます。第3種を持っているかいないかだけでも、職場の幅は大きく異なるのです。
電気を扱う仕事に従事するためには、電気主任技術者の資格が必須条件です。言い換えるなら、電気主任技術者の資格を持っていなければ、電気を扱う仕事に従事することはできません。
わかりやすく言えば、電気を扱う仕事はすべて電気主任技術者の「独占業務」だということです。
電気主任者ができること
電気主任技術者の資格は、電気関連の資格の中でも最難関と言われています。最大の強みは、高圧電気も扱えるという点です。
大変難しい資格ですが、取得すれば仕事の幅が広がり、その分収入が増えるなどのメリットもあります。
第三種
電気主任技術者の資格の足掛かりとも言えるのが第3種です。第3種に合格すると、電圧が5万ボルト未満の事業用電気工作物を扱うことができます。ただし、 出力が5,000キロワット以上の発電所は除きます。
小・中規模程度の工場は電圧が5満ボルト未満です。また、電圧が5満ボルト未満の電気設備や受変電設備を使用しているビルもあります。第3種を取得していればこれらの場所で仕事をすることができます。
第二種
第2種では、電圧が17万ボルト未満の事業用電気工作物まで扱うことができます。主な対象場所として挙げられるのは、水力・火力・原子力発電所以外のほとんどです。
巨大な発電所以外の場所なら、勤務可能になります。就職や転職の幅も第3種に比べて一気に広がるということです。
第一種
第1種になると、制限はありません。すべての事業用電気工作物を扱うことが可能になります。当然、就職や転職する先の制限もなくなります。水力・火力・原子力発電所も就職や転職の対象になるのです。
電験1種の試験には毎年2000人程度が申し込みます。ですが、合格するのはわずか400人程度です。合格者は大変少ないため、貴重な存在として重宝されるでしょう。
電気工事士との仕事内容の違い
電験合格者と混同されがちなのが、電気工事士です。同じ電気を取り扱う仕事に従事する人ですから、混同されるのも無理はありません。ですが、この二つには大きな違いがあります。
電験合格者は、電気工作物の保安監督者としての仕事に従事します。簡単に言い換えるなら、現場監督者ということです。
一方の電気工事士は、電気工作物の工事などの作業がメインの仕事です。わかりやすく言い換えるなら、電気工事をする人のことです。
電験を持っていると楽になること
電験を持っていると楽になることがあります。具体的にどのような点で楽になるのかについて解説します。
就職・転職の選択肢が増える
電験を持っていると就職先や転職先の選択肢が増えます。 電気工事士資格までしか持っていない人は、作業員としてしか働くことができないという制限があります。
電気主任技術者は作業員としてだけではなく、現場監督としても仕事をすることができます。業務範囲が一気に増えるため、就職や転職の際の選択肢も必然的に増えるのです。
また、電験2種を取得すれば、更に給料の高い仕事も選択肢として浮上します。就職や転職先が広がるだけではなく、収入の面での選択肢も増えるという点は大きなメリットと言えるでしょう。
電験3種以上の取得で給与面でも優遇される
電気主任技術者の年収は、一般的なサラリーマンに比べるとやや高いという傾向があります。具体的な金額は勤務先によって異なりますが、電験3種を取得した場合の年収は400~500万円が相場です。
電気主任技術者に選任されれば、現場監督としての特別手当が会社から支給されます。相場である年収400~500万円に上乗せされますから、もう少し高くなるでしょう。
なお、電験2種を取得した場合は、年収800万円に近い仕事も存在します。レベルの高い資格を取得すれば、それだけ年収にも大きく影響するということです。
給料と仕事の需要が安定していて安心
電気主任技術者の数は決して多いとは言えません。その一方で、ビルやショッピングモールなどは年々増加傾向にあります。これらはすべて電気を使用する施設であるため、仕事がなくなるということはありません。
人数が少ない一方で、必要とされる職場は増加傾向にあります。どこに行っても必要とされる人材ですから、就職先においても給料面においても安定した仕事と言えます。
更に、電気主任技術者は定年後も働くことができます。老後においても安定させたい方にはおすすめの資格です。
強い立場で仕事ができる
電気主任技術者は、資格保持者にしかできない業務が法律で定められています。ですが、試験の難しさから保持している人が少ないため、大変重宝されます。
また、仕事内容においても現場監督という立場柄、長々勤務することはあまり良いとは言えません。点検などの仕事が終わればすぐに帰ることもできるというのも、大きなメリットと言えるでしょう。
電気主任技術者の仕事で大変なこと
電気主任技術者のメリットについて解説してきましたが、あるのはメリットばかりではありません。どんなことでもそうですが、メリットがあればデメリットもあります。
そこで、電気主任技術者のデメリットについても解説します。
現場での仕事ならではのきつさ
電気主任技術者は、高圧電気を扱ういわばプロフェッショナルです。実際の現場で危険な目に遭うことはめったにありません。ですが、高い電圧の電気を扱うことはあります。
特高や高圧な電気を扱うには、いつも以上の注意と緊張感が必要です。現場で何かあった場合には、電気主任技術者として責任問題に問われることもあります。
電気工事士として勤める場合には、このような責任者としての重圧を背負う必要はありません。重い責任を負わなければならないという点はデメリットと言えるでしょう。
電気関連の業務以外も行うことも
電気主任技術者は、電気関連の資格の中でも最も難しく、保持者は大変少ないという特徴があります。これは言い換えるなら、エリートの部類に属するということです。
エリートの部類に属すると、仕事内容は現場だけに留まりません。電気関連以外の雑用的な業務を行なわなければならないこともあります。
現場で電気関連の仕事だけに従事したいと思っている人にとって、それ以外の雑務に時間と労力を割かれるのはデメリットと言えるでしょう。
責任者であるがゆえの忙しさがある
電気主任技術者は、高圧な電気も取り扱うプロフェッショナルです。「主任」という言葉が入っているように、電気業務の責任者として従事することが多くなります。
責任者としての大きな仕事として、トラブルなどへの対応が挙げられます。トラブル対応に従事すると、当然仕事の時間は変則的になります。トラブルが解決するまで帰ることができないからです。
強い立場で仕事に従事することができる一方、トラブルなどが生じた場合には最後まで対応しなければならないというデメリットが生じます。
人手不足でブラックすぎる職場には注意
電気工事士業界は、慢性的な人手不足にあります。需要に対して供給が追い付いていないのです。人手不足を解消するために、電気主任技術者が充てられるケースが多々あります。
深刻な人手不足に陥っている職場では、大幅なオーバーワークを強いられることもあるでしょう。ブラックすぎる職場にあたってしまうと体調を崩してしまうなどのデメリットが生じます。
電気主任技術者は人数が少ないこともあり、就職先や転職先に困ることはあまりありません。ですがその一方でブラックな企業も蔓延しています。就職や転職をする場合には、職場の状況などに注意しましょう。
転勤もある
電気主任技術者の仕事は、都市部ばかりに集中しているわけではありません。会社の規模などにもよりますが、遠方へ転勤して仕事をするということもあります。
転勤するとなると引越しや家族の状況など、大変な面も多々あります。ですがその反面、地方での大きなプロジェクトに携わることもできます。都市部では経験できないプロジェクト参加は、キャリアアップにつながるでしょう。
電気主任技術者のキャリアパス
電気主任技術者になった場合の一日の流れなどについて気になっている人もいるでしょう。働く場所や時期によって、仕事内容は異なりますから、一概に「これが仕事内容です」とは言えません。
ですが、参考程度に知っておくことは今後のプラスになるでしょう。これからご紹介するのは、あくまで一例です。そのつもりで参考程度にご覧ください。
一日のスケジュールの一例
時間 | 業務内容 |
---|---|
9:00 | 出社:今日の予定を確認後、現場へ移動 |
10:00 | 現場での仕事開始:点検業務やヒューズなどの取り付け業務 |
12:00~ | 昼休憩 |
13:00 | 作業再開:午前中の残務作業や機械導入の準備など |
15:00 | 帰社:打ち合わせや会議 |
17:00 | 報告書や計画書作成などの残務処理 |
18:00 | 退社 |
上記は、電気主任技術者の一日スケジュールの一例です。あくまで一例ですから、すべての電気主任技術者がこのスケジュール通りに一日を過ごしているわけではありません。
電気主任技術者は現場とデスクワークの両方をこなします。午前中から昼過ぎまでは現場で作業し、夕方頃には帰社してデスクワークに励みます。
最初は現場とデスクワークを両立させるのは難しいかもしれません。ですが、慣れてくれば自分のリズムを掴むことができ、バランスの取れた仕事のスタイルを維持することができるようになります。
様々な業務をこなす中でキャリアアップできる
電気主任技術者を取得すると、責任者としての仕事を任されることも多くなります。プロフェッショナルとしての位置づけされていますから、当然と言えるでしょう。
責任者としての仕事では、品質管理や作業効率などのマネジメントスキルが必要になります。これらは責任者としての仕事をこなしていく上で、自然と身についていきます。キャリアアップもできるということです。
求人はどこで探す?
電気主任技術者関連の求人では、資格の保有が求められ、=場合によっては実務経験が求められる場合もあります。
求人を探すなら、Indeedなど大手求人サイトで案件を探すのがおすすめです。
豊富な案件を抱えていることから、求職者の条件にマッチした最適な案件を探しやすいです。
必ず、複数の案件を比較したうえで自分に最適な案件を探し出せるようにしましょう。
電験試験の難易度は高いの?
電験試験の難易度は、電気関連の資格の中では大変高いとされています。毎年2,000人が受験しますが、合格者はわずか400人ですから、その難易度の高さがわかるでしょう。
具体的にどのくらい難しいのか、3種と2種に焦点を当てて解説します。
電験3種・2種の難易度
電験3種の場合、全体の合格率は8%程度です。電験の中では足掛かりにもなる3種ですが、それでも合格率はたった8%しかありません。
しかし、科目ごとの合格率は25~30%あります。難易度は確かに高いですが、何度か受験して科目ごとの合格を目指せば、3種合格も夢ではありません。ちなみに、第3種合格に必要な勉強時間は1000時間と言われています。
電験2種の場合、一次試験の合格率は約25%、二次試験の合格率は10~20%程度です。二次試験は一次試験合格者のみ受験可能ですから、全体で見ると合格率は大変低いことがわかります。
電験2種合格に必要な勉強時間は、1500~2000時間と言われています。これは二次試験合格までに必要な時間です。ですが、実際には仕事をしながらの人もいるため、もっと多くの勉強時間が必要なケースも多々あります。
電験3種と2種の難易度についてそれぞれ説明してきました。実務経験を積めば認定されるという方法もあります。実務経験については大変細かく指定されていますが、クリアすれば試験を受けずに認定されます。
働きながらでも資格取得は目指せる
電験は実務経験の条件をクリアすることで、認定される方法もあります。電気関連の仕事をしながら電験3種から2種へステップアップすることも可能なのです。
電験の勉強は実務にも直結しています。仕事に従事しながら並行して学習を進めることで、試験と現場の両方で役立つ知識やスキルを身につけることができます。
もし、働きながら資格取得を目指すのなら、通信講座を利用しましょう。通学する必要がないため、自分のペースでスキマ時間に学習を進めることが可能です。
ユーキャンなら隙間時間で学べる
ユーキャンは電験三種講座を開講しており、スマホでも手軽に学べる1番のおすすめ講座です。
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こちらの機能は特に仕事で忙しい方などにおすすめの機能です。
他にもテキストのクオリティも非常に高く、特に重要となる数学が苦手な人でも実力を身につけられる構成となっているので、電験三種取得を検討している人はぜひユーキャンの講座の受講を検討してみてください。
電気主任技術者の仕事についてまとめ
電気主任技術者の仕事についてまとめ
- 電気主任技術者になるための試験は難易度が高い
- 電気主任技術者になると仕事や給料面が安定する
- 電気主任技術者は仕事をしながら目指すことが可能
電気主任技術者の仕事について解説してきました。「主任」という文字が入っている通り、責任者としての業務にも携わることになります。ですがその分、仕事の範囲や収入が増えるというメリットがあります。
電気主任技術者になるための電験は仕事をしながら合格を目指すことも可能です。スキルアップやキャリアアップにも大変有効ですから、ぜひ目指してください。