ボイラー技士試験の難易度は低い?合格率や独学の勉強法まで徹底解説!
「ボイラー技士試験の難易度は高いの?」
「ボイラー技士試験の合格率はどれくらい?」
ボイラー技士資格試験に興味がある方は、このような疑問を持つのではないでしょうか。
この記事では、ボイラー技士資格試験の難易度・独学での勉強法・それぞれの級の違いなど、ボイラー技士試験の基本情報を詳しくお伝えしています。
ボイラー技士試験の中で、一番簡単なのがボイラー技士2級です。この記事を読んで興味が沸いた方は、まずはボイラー技士2級の合格を目指してみましょう。
ボイラー技士の難易度についてざっくり説明すると
- ボイラー技士2級は受験資格がなく、合格率も高いため難易度は低い
- 2級と1級の合格までに必要な勉強時間は初学者で約100時間
- 特級の難易度は高く合格率は2級と1級の約半分
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ボイラー技士試験の難易度
現在、さまざまな施設ではボイラーが使われています。そんなボイラーを安全に使用する際に必要となる、専門的な知識を持つ存在がボイラー技士です。
ボイラー技士は国家資格です。2級、1級、特級の3種類があり、それぞれ難易度が異なります。
2級は受験資格がありませんが、1級と特級は受験資格が必要であり実地研修も求められます。
2級・1級の難易度はやや簡単
3種類あるボイラー技士の中で、2級と1級はそこまで難易度は高くないため、比較的取得しやすい資格になっています。
2級より1級の方が上位の資格ですが、2級と1級では合格率はほとんど変わりません。
ただし、1級を受験するためには受験資格があるため、その意味では1級の方が受験のハードルが高いと言えます。
2級は難易度が低めでかつ受験資格もないため、受験しやすい級です。ボイラー技士としてキャリアを積んでいきたい方は、まず2級の受験をおすすめします。
特級ボイラー技士の難易度は高い
特級ボイラー技士の合格率は25% です。1級、2級と比べると特級の合格率は非常に低くなっており、難易度は高いと言えます。
また、特級の受験資格は1級より厳しいものになっています。特級では筆記と計算問題も出題されます。そのため、特級を受ける場合には試験対策を本格的にしなければなりません。
特級に合格するためには、1級に合格したあと長期間の実地研修を受ける必要があるため、長期的なスパンで合格を目指す必要があります。
ボイラー技士試験の試験範囲
ボイラー技士の試験科目は大きく分けて
- ボイラーの構造に関する知識
- ボイラーの取扱いに関する知識
- 燃料及び燃焼に関する知識
- 関係法令
の4つがあります。どの級でも科目は同じですが、出題数や試験時間などは級によって異なります。
そのため、過去問を解くなどして級ごとの特徴を掴むと良いでしょう。以下に各級の試験範囲を紹介します。
2級ボイラー技士の試験範囲
2級ボイラー技士の試験範囲は以下のとおりです。
- ボイラーの構造に関する知識(10問)
- ボイラーの取扱いに関する知識(10問)
- 燃料及び燃焼に関する知識(10問)
- 関係法令(10問)
上記の内容で計40問が出題されます。問題形式は択一式です。3時間の試験時間で上記の問題を解く試験になっています。
1級ボイラー技士の試験範囲
1級ボイラー技士の試験範囲は以下のとおりです。
- ボイラーの構造に関する知識(10問/1時間)
- ボイラーの取扱いに関する知識(10問/1時間)
- 燃料・燃焼に関する知識(10問/1 時間)
- 関係法令(10問/1時間)
ボイラー技士1級の試験は上記の40問が出題されます。問題形式は択一式です。
ボイラー技士1級の試験では、試験科目それぞれを1時間で解かなればならないという特殊な試験形式になっています。
試験勉強をするときには、過去問を実際に1時間で解いてみるなどの対策をするとよいでしょう。
特級では筆記や計算も出題される
ボイラー技士特級の試験範囲は以下のとおりです。
- ボイラーの構造に関する知識(6問/1時間)
- ボイラーの取扱いに関する知識(6問/1時間)
- 燃料・燃焼に関する知識(6問/1時間)
- 関係法令(6問/1時間)
特級でも、1級と同じように試験科目をそれぞれ1時間で解くという形式になっています。
特級も過去問を1時間で解いてみるなど、実際の試験に対応できるような勉強法を実践するのがよいでしょう。
また、特級では筆記や計算が必要な問題も出題されます。これが特級の難易度を高める要因になっています。
筆記や計算問題の対策もしっかりしてから試験に挑みましょう。
特級・1級には受験資格が存在する
2級の試験は誰でも受験可能です。しかし、1級と特級には受験資格があります。
1級や特級を受けたい方は、自分が受験資格を満たしているか確認をしてから勉強を始めましょう。
ボイラー技士1級の受験資格
ボイラー技士1級の受験資格は次のとおりです。
- 2級ボイラー技士免許を受けた者
- 学校教育法による大学・短期大学、高等専門学校、高等学校、中等教育学校を卒業し、1年以上の実地研修を受けた者
- 大学改革支援・学位授与機構により学士の学位を授与された者で、一年以上の実地研修を経た者
- 省庁大学校を卒業し、一年以上の実地研修を受けた者
- 専修学校の専門課程(2年以上・1700時間以上)の修了者などで、その後大学等で大学改革支援・学位授与機構により学士の学位を授与されるのに必要な所定の単位を修得し、一年以上の実地研修を受けた者
- 指定を受けた専修学校の専門課程(4年以上)を一定日以降に修了した者などで、一年以上の実地研修を受けた者
- エネルギーの使用の合理化に関する法律第9条第1項のエネルギー管理士(熱)免状を有する者で、一年以上の実地研修を受けた者
- 海技士(機関1、2、3級)免許を受けた者
- ボイラー・タービン主任技術者(1種又は2種)免状を有する者で、伝熱面積の合計が25㎡以上のボイラーを取り扱った経験があるもの
10. 保安技術職員国家試験規則による汽かん係員試験に合格した者で、伝熱面積の合計が25㎡以上のボイラーを取り扱った経験があるもの
これらの受験資格に当てはまる人がボイラー技士1級を受験することができます。
特級の受験にはより長い実地修習が必須
特級の受験資格は、1級より長い実地研修が必要になります。特級の受験資格は以下のとおりです。
- 一級ボイラー技士免許を受けた者
- 学校教育法による大学・短期大学、高等専門が校、専門職大学前期課程を修了したした者で、二年以上の実地研修を受けた者
- 省庁大学校を卒業(修了)した者で、二年以上の実地研修を受けた者
- 専修学校の専門課程(2年以上・1700時間以上)の修了者などで、その後大学等で大学改革支援・学位授与機構により学士の学位を授与されるのに必要な所定の単位を修得した者で、二年以上の実地研修を受けた者
- 指定を受けた専修学校の専門課程(4年以上)を一定日以降に修了した者などで、二年以上の実地研修を受けた者
- エネルギーの使用の合理化に関する法律第9条第1項のエネルギー管理士(熱)免状を有する者で、二年以上の実地研修を受けた者
- 海技士(機関1、2級)免許を受けた者
- ボイラー・タービン主任技術者(1種または2種)免状を有する者で、伝熱面積の合計が500㎡以上のボイラーを取り扱った経験があるもの
特級の受験資格は、1級よりも厳しいものになっています。
例えば、実地研修は1級の場合一年ですが、2級の場合は二年です。特級の受験資格を得るためにはある程度長期の期間が必要になります。
ボイラー技士試験の合格率
それでは、以下ではボイラー技士試験の合格率の推移を確認していきましょう。
2級の合格率は55%程度
過去5年間の2級ボイラー技士試験の合格率は、以下のとおりです。
実施年度 | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 |
---|---|---|---|
2021年度 | 24,260人 | 12,953人 | 53.4% |
2020年度 | 16,098人 | 9,400人 | 58.4% |
2019年度 | 25,192人 | 12,803人 | 50.8% |
2018年度 | 25,601人 | 14,297人 | 55.8% |
2017年度 | 27,393人 | 15,609人 | 57% |
過去5年間の合格率の平均は55%程度です。
2級ボイラー技士試験は、国家試験としては簡単な部類に入ります。何か国家資格が欲しいという方にも、2級ボイラー技士の取得はおすすめできます。
1級の合格率は54%程度
過去5年間の1級ボイラー技士試験の合格率は、以下のとおりです。
実施年度 | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 |
---|---|---|---|
2021年度 | 4,325人 | 2,098人 | 48.5% |
2020年度 | 3,100人 | 1,577人 | 50.9% |
2019年度 | 4,932人 | 2,588人 | 52.5% |
2018年度 | 5,071人 | 2,952人 | 58.2% |
2017年度 | 5,714人 | 3,395人 | 59,4% |
過去5年間の合格率は54%程度です。合格率でみると1級ボイラー技士は、2級ボイラー技士とほとんど難易度が変わらない試験だと言えます。
受験資格さえ満たせば、合格を目指しやすいのが1級ボイラー技士です。
特級の合格率は28%と難易度が高い
過去5年間の特級ボイラー技士試験の合格率は、以下のとおりです。
実施年度 | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 |
---|---|---|---|
2021年度 | 466人 | 98人 | 21.0% |
2020年度 | 430人 | 125人 | 29.1% |
2019年度 | 498人 | 151人 | 30.3% |
2018年度 | 474人 | 122人 | 25.7% |
2017年度 | 553人 | 191人 | 34.5% |
特級の合格率の平均は28%程度です。
2級や1級と比べると特級ボイラー技士は難易度が非常に高い試験であると言えます。
正答率60%以上が合格基準
ボイラー技士試験は、試験内容、難易度、合格率が級によってそれぞれ異なりますが、合格基準についてはどの級でも共通です。
合格基準は「総得点が、満点中60%以上の正答率」です。
ただし足切りも存在するため、その点には注意が必要です。足切りの基準は「各科目が、満点中40%以下の得点率」というものです。
つまりボイラー技士試験に合格するためには、「各科目が満点中40%以上の得点率かつ、総得点が満点中60%以上の正答率」であることが必要とされます。
ボイラー技士の難易度ランキング
ボイラー技士試験の難易度を、他の資格試験と比較して解説します。
ボイラー技士試験の偏差値
ボイラー技士試験の中で最も簡単な2級の偏差値は47と言われています。偏差値47の試験はは簡単な部類であるでしょう。
ボイラー技士1級の偏差値は51と考えられています。
ボイラー技士1級の合格率はボイラー技士2級とほとんど一緒ですが、受験資格があることや専門的な出題内容があることなどの影響で、2級よりも少し難易度が上がっています。
ボイラー技士試験の中で最も難易度が高い特級の偏差値は57です。筆記や計算問題があるため、やはり他の級と比べると偏差値が高くなっています。
他の技術系資格と難易度を比較すると
ボイラー技士試験の難易度を他の技術系資格と比較して解説します。
2級の難易度は危険物取扱者乙4と同等
危険物取扱者乙4の偏差値は48です。つまりボイラー技士2級とほぼ同じような難易度であると言えます。
ボイラー技士2級も危険物取扱者乙4も両方とも取得しやすい上に、ボイラー技士は危険物取扱者乙4とのダブルライセンスで多くのメリットがあります。
ボイラー技士の資格と合わせて危険物取扱者乙4の取得を目指すのも良いでしょう。
1級は電気工事士第一種と似た難易度
電気工事士第一種の偏差値は52で、ボイラー技士1級とほぼ同じ偏差値です。
ただし電子工事士試験には、筆記試験以外にも技能試験があります。その点で、難易度が高いと感じる人もいます。
しかし電子工事士試験は技能試験対策をしっかりすれば、特に難しい試験ではないため、十分に合格を狙える試験です。
特級は電験3種と同じほど難しい
電験3種は技術系資格の中でも難易度が高めの資格です。その電験三種とボイラー技士特級は難易度が同じくらいと言われています。
また、技術系資格以外の資格では特級は宅建と近い難易度があるとされています。
やはり特級は難しい試験であるとわかります。
ボイラー技士の資格を取得するメリット
ボイラー技士の資格を取得すると、どのようなメリットがあるのでしょうか。
ボイラー技士の平均年収は410万円
厚生労働省の賃金構造基本統計調査によると、2018年のボイラー技士の平均月収は29万程度で、年間のボーナスは平均61万程度でした。
つまり、ボイラー技士の平均年収は410万円程度ということになります。
日本の全ての職業での平均年収は414万円であるため、ボイラー技士の給与は全国的に見て平均的な水準です。
ボイラー技士は需要が高く転職で有利
ボイラーを使用したさまざまな業務は今後もなくなることがないので、専門的な知識を持つボイラー技士の需要はなくならないと言えます。
最近では資格がなくても扱えるボイラーもありますが、ボイラー技士はより安全にボイラーを扱えるため重宝されます。
そのため、ボイラー技士の資格を持っている人は就職・転職の際に有利に働くでしょう。
活躍の場所も豊富
ボイラー技士は、ボイラーを使った熱源のあるビル、学校、病院、ホテルなどの場所でなくてはならない資格です。そのため、活躍の場は幅広いと言えます。
また特級ボイラー技術者であれば、より大きな規模のボイラーまでも扱えるようになるため、さらに活躍できる場所が増えます。
ボイラー技士としての就職先は、ビルメンテナンスの会社やビル管理会社などです。このような会社に所属し、ボイラーが必要なさまざまな場所で能力を発揮していきます。
より上位のボイラー技士資格を目指す
2級ボイラー技士を取得したあと、より上位の資格である1級、特級を取得すると、より大規模な現場で主任者として活躍できます。
資格の種類 | 主任者となれる伝熱面積 |
---|---|
特級ボイラー技士 | 制限なし |
1級ボイラー技士 | 500㎡未満 |
2級ボイラー技士 | 25㎡未満 |
このように、ボイラー技士の級によって、主任者となれる規模が変わってきます。
ダブルライセンスで輝く資格
ボイラー技士の資格は、ビルメンテナンス業界で有利になる他の資格とのダブルライセンスを狙うことで、より幅広い活躍ができます。
具体的には、以下のような資格とのダブルライセンスがおすすめです。
- 第二種電気工事士
- 第三種冷凍機械責任者
- 危険物取扱者乙種4類
- 消防設備士乙種4類
これらの資格取得をしていることを入社の条件とする企業もあるほどで、この4つの資格はビルメンテナンス業界では有用な資格だと言えます。
ボイラー技士の独学勉強法
2級、1級の難易度はあまり高くはありませんが、合格のための対策は必須です。
独学で勉強する場合には、どのような勉強方法があるのでしょうか。
ボイラー技士の合格に必要な勉強時間
2級、1級に合格するために必要な勉強時間は、初学者で100時間程度必要です。1日に確保できる勉強時間にもよりますが、5週間ほどの勉強期間が必要になります。
また、関連資格の取得者では、必要な勉強時間は50時間程度だと言われています。
特級の場合は、難易度が似ている宅建と同じ程度の勉強時間を参考にして、250時間を目安に勉強すればよいでしょう。
過去問の反復で試験対策
どのような資格試験でも同じですが、過去問をやり込むことが合格に直結します。
過去問は学習の最初に頻出する項目を確認したり、試験直前に最終チェックをしたりとさまざまな使い方ができる便利なものです。過去問集の勉強は最低でも3周はするべきです。
また、過去問をやり込むことによって、自分の苦手分野がわかるようになります。苦手分野はテキストを読み返し、過去問を何度も解き直しましょう。
まずは2級ボイラー技士の取得を目指そう
ボイラー技士の中で取得が最も簡単であり、今後のキャリアアップにも必須となるのが2級ボイラー技士です。
ボイラー技士として働きたい場合、2級ボイラー技士の取得を目指すことが最初のステップです。
また、2級であっても技術系の資格とダブルライセンスをすることによってキャリアアップを狙うことができます。
そのため、まずは2級の取得を目指すと良いでしょう。
通信講座で効率よく2級に合格
2級は通信講座が豊富にあることから、効率よく合格したい場合には講座を受講するのがおすすめです。
特に、大手通信講座のユーキャンのボイラー技士2級講座は、わかりやすいテキストと、サポート体制が充実している点から受講を特におすすめします。
テキストは頻出の内容に的を絞って知識を自然と吸収できるようにしており、着実に実力を身につけられるでしょう。
サポート体制も質問・添削対応など幅広く取り揃えていることから、安心して学習を進められます。
ぜひ、ユーキャンのボイラー技士2級講座を受講してみてはいかがでしょうか?
実技講習や実務経験も必須
ボイラー技士の資格は、試験に合格するだけでは免許を取得することができません。資格取得のためには実務経験や実技講習が必要です。
具体的には2級の場合、試験合格後に「ボイラー実技講習の受講」もしくは「ボイラー取扱技能講習+4ヶ月の実務経験」という要件を満たす必要があります。
1級や特級についても、試験合格後に実務経験を積むことで、免許を取得することができます。
ボイラー技士の難易度まとめ
ボイラー技士の難易度まとめ
- 2級と特級の受験には受験資格を満たす必要がある
- 2級と1級の合格率はどちらも6割弱で、比較的合格しやすい
- 特級では筆記や計算問題があるため難易度が高く、合格率は26%程度
ボイラー技士試験のそれぞれの級について、難易度、合格率、必要な勉強時間などを解説しました。
ボイラー技士は今後も需要が高い資格です。年収も全国的に見て平均的な水準であり、職業としても安定しています。
まずは一番簡単に取得できる2級を取得し、実務経験を積みながら1級、特級とキャリアアップすると良いでしょう。
また他の技術系資格とのダブルライセンスで幅広い活躍ができるので、ボイラー技士は魅力的な資格だと言えます。
興味がある方はぜひ2級から合格を目指してみてください。