電験三種の理論とは?科目合格に向けた勉強方法や参考書・必須知識についても解説

「電験三種の理論の難易度ってどれくらい?」

「電験三種の理論は独学で合格できる?」

こんな疑問を抱いている方もいらっしゃるのではないでしょうか?

電験三種の理論を受験しようと思っている人の中には、「難し過ぎたらどうしよう」と不安を抱えている人もいます。不安を抱えたまま勉強するのはとても辛いことですし、モチベーションも高まりません。

結論から申し上げますと、電験三種の理論は独学でも合格可能です。ただし、その道のりは決して楽なものではありません

そこで、電験三種の理論の合格に向けた勉強方法や参考書などを紹介します。絶対に必要になる知識についても解説しますので、参考にしてください。

電験三種の理論についてざっくり説明すると

  • 電験三種の理論は難関資格と同レベルの合格率
  • 独学での合格は可能だがその道のりは険しい
  • 重要な基礎知識をしっかり押さえることが大切

電験三種「理論」の科目概要

3つのリンゴと黒いノート 電験三種の試験は「理論」「電気」「機械」「法規」の4科目あります。この4科目それぞれで合格点を超えないと、電験三種の合格にはなりません。4科目すべての難易度は大変高いので、充分すぎるくらいの試験対策が必要です。

その中でも「理論」は、電験三種の基礎とも言える科目です。他の3科目にも関係する知識が含まれているため、しっかり押さえておく必要があります。試験対策では特に重要な科目であるということです。

理論の出題範囲・学習内容

出題分野 出題数 配点
静電気 2問 10点
電磁気 3問 20点
直流回路 3問 15点
交流回路・三相交流回路 5問 35点
電子工学・電子回路 4問 25点
電気計測・電子計測 1問 5点

上記は、理論の出題分野と出題数と配点を示した一覧表です。理論の試験は、主に7つの分野から出題されます。

出題数や配点は、試験が実施される年度によって多少変動があります。ですが、大きな変動はあまり見られず、おおむね毎年似たような出題数と配点で出題されています。

特に三相交流の理解は必須

上記の一覧表を見ると、交流回路と三相交流回路については、他の6つの分野よりも多く出題されています。電験三種の理論において、この2つの分野はそれだけ重要視されているということです。

出題数も配点も高いということは、交流回路と三相交流回路についての試験対策をしっかり行なえば、「理論」を攻略できる可能性が高まると言えます。

また、交流回路と三相交流回路の理解を深めるには、直流回路の知識が必要不可欠です。交流回路と三相交流回路で使う法則や定理は、直流回路が基礎になっているからです。

交流回路や三相交流回路の知識は特に大切ですが、それに付随した直流回路についてもしっかり試験対策を行ないましょう。

理論の出題は計算問題が多い

電験三種の試験は全部で4つの科目から出題されます。その中でも理論は他の3科目と比べて計算問題が多く出題されます。全問題の8割が計算問題を占めているのです。

理論ではもちろん基礎的な知識の習得は必要不可欠です。ですが、それ以上に応用力が重要です。応用力をしっかり身につけることで、計算問題に対応することができるようになります。

理論の勉強方法として、基礎的な知識だけをしっかりマスターして満足するのではなく、その先の応用力をしっかり磨くように努力しましょう。

電験三種の理論の合格ライン

電験三種の合格率は大変低いため、受験の際に二の足を踏む人が一定数います。ですが、合格率は気にする必要がありません。電験三種の試験は相対評価ではなく、絶対評価だからです。

相対評価とは、高校入試や大学入試で行なわれている試験です。明確な合格ラインが決まっていても、上位〇人までしか合格にならないという評価基準を相対評価と言います。

例えば、試験で80点を取ったとします。その学校の合格ラインは「正答率70%」だった場合、点数だけで見るなら合格です。ですが、ここに上位5人までという条件が加わります。90点以上が5人以上いたなら、結果は不合格になります。

一方の絶対評価は、あらかじめ合格ラインが決まっており、それを超える点数を取ればすべての人たちが合格になるという評価基準です。合格ラインが「正答70%」なら、満点の試験で70点以上取った人は全員合格です。

電験三種の試験は絶対評価です。理論だけではなく、4科目すべての合格基準はそれぞれ「正答率が全体の60%以上」と決まっています。理論の試験は100点ですから、60点取れば必ず合格するという計算になります。

ちなみに、電験三種の理論の試験の合格基準は「正答率が全体の60%以上」と決まっていますが、難易度によっては正答率が下がることがあります。

電験三種「理論」の難易度

黒板に書かれたテストの文字 電験三種には4科目ありますが、そのすべての難易度はかなり高いという特徴があります。その中でも理論は基礎中の基礎ということもあり、更に難易度が高めになっています。

理論の合格率は難関資格と同等

年度 受験者数 合格者数 合格率
令和4年度下期 理論 20,712人 20,712人
令和4年度上期 理論 28,427人 6,554人
令和3年度 理論 29,263人 3,030人
令和2年度 理論 31,936人 7,867 人
令和元年 41,543人 3,879人 9.3%
平成30年度 42,976人 3,918人 9.1%

出典:令和 4 年度第三種電気主任技術者下期試験の結果について

令和 4 年度第三種電気主任技術者上期試験の結果について

令和 3 年度第三種電気主任技術者試験の結果について

令和 2 年度第三種電気主任技術者試験の結果について

令和元年度第三種電気主任技術者試験の結果について

平成30年度第三種電気主任技術者試験の結果について

上記は、令和4年を含めた過去5年間の受験者数、合格者数、合格率を一覧表にまとめたものです。

ご覧頂くとわかるように、多くの年で合格率は10%前後となっています。超難関と言われている公認会計士でも、ここ5年は10%を若干上回る合格率です。そんな超難関試験の合格率を下回っているのですから、どれだけ難しいのかがわかります。

理論の科目合格に必要な勉強時間

電験三種全体の合格に必要な勉強時間は、最低でも1000時間と言われています。あくまで目安ですし、1000時間をはるかに超えて勉強している人も一定数存在します。

そんな電験三種の中でも理論は最低でも350時間は必要とされています。それは、理論が電験三種の中での基礎になっているからです。

電験三種の試験には「理論」以外に「電気」「機械」「法規」の3つがあります。これら3科目の試験の中には、「理論」で学んだことが基盤になっているものも出題されます。「理論」の知識は他の3科目の試験でも重要なのです。

理論は電験三種の土台とも言える科目ですから、他の3科目よりも多くの勉強時間を確保する必要があります。そのため、最低でも350時間は必要だと言われているのです。

理論は独学で科目合格できる?

本のピラミッドの上で読書をする少女 ここまで「理論」の科目の難易度や合格レベルについて解説してきました。電験三種は全体的に難易度が高く、その中でも「理論」については更に難易度が高く設定されています。

それでは、独学で「理論」の合格を狙うのは難しいかと言うとそうではないと言えます。合格するための勉強方法を画一し、重要な部分をしっかり押さえれば独学でも合格は可能です。

しかし、独学で合格を狙う場合には、デメリットも多いという一面もあります。そのデメリットをいかに自分なりに克服するかが大きな鍵と言えるでしょう。

理論は独学で挑むのが危険な科目

電験三種の中でも「理論」は、他の3科目すべての土台となる科目です。そのため、独学で学習を進めた場合に学習漏れがあると、他の3科目にも大きく影響してしまいます。

極端な話、理論で理解不足だった一つの項目が他の3科目にも影響してしまい、電験三種の合格を逃してしまった、なんてことも起こるということです。理論は電験三種の土台ですから、このようなことが起こらないとは言えません。

独学で理論の合格を目指すのは、決して不可能なことではありません。ですが、たった一つの理解不足が電験三種の不合格につながる可能性は高いため、あまりおすすめできないのです。

可能だがかなりの勉強時間が必要

理論の難易度が高いと言われているのは、試験の範囲が大変広いからです。覚えることも膨大な量になるため、必然的に難易度が上がってしまいます。

実際の試験では、理論の範囲すべての問題が出題されるわけではありません。毎年出題される分野もあれば、年によっては出題されない分野もあります。ある程度厳選して勉強することで、合格点を引き上げることが可能です。

しかし、独学ではどの部分から多く出題されるのかがわかりません。重要な部分だけをピンポイントで勉強するということが難しくなるため、結局全体をくまなく学習することになります。勉強効率も下がり、時間も多く必要です。

自己評価や弱点分析を的確に行い、効果的な学習計画を立てることが重要です。

理論で特に重要な基礎知識

ノートパソコンを使う女性 電験三種の「理論」の学習を進めていくと、疑問が浮かびやすい部分が出てきます。このような部分は、多くの人たちがつまずく箇所でもあります。

また、絶対に覚えておかなければならない内容というものもあります。この部分を押さえて学習を進めれば、合格点を引き上げることができるでしょう。

そんな疑問が浮かびやすい部分や重要な内容について、いくつかピップアップして解説します。

直列回路の過渡現象・時定数

絶対に押さえておくべき内容の一つが、直列回路の過渡現象と時定数です。過渡現象や時定数に関する問題は、毎年必ず出題されるくらい出題頻度が高いので、必ず押さえておきましょう。

過渡現象とは、ある定常状態から別の定常状態へ移行または変化する過程で起こる現象のことです。また、時定数とは簡単に言えば、ある状態にあるものが別の状態に変化するまでの速度を表す数字のことです。

直列回路の過渡現象は、どのような現象で起こるのかを、時定数と共に押さえておくと良いでしょう。大変重要な部分ですが、この2点さえ押さえておけば簡単に解くことができます。

比誘電率とその定義

比誘電率とその定義も、押さえておいた方が良い部分です。コンデンサの絶縁体に関する問題で多く出題されます。

比誘電率とは、媒質と真空中のそれぞれの誘電率の比のことです。ただ、比誘電率はこれだけにとどまらず、電気力線の通しにくさを表す数値の場合もあります。

試験対策としては、比誘電率とその定義だけでは不十分です。静電容量の公式と共に押さえておくと応用力がつき、試験でも戸惑うことが少なくなるでしょう。

クーロンの法則と電荷

クーロンの法則と電荷は、覚えておいた方が良いというよりは、注意が必要な部分になります。何故なら、クーロンの法則で代入する場合の電荷の値は「負の電荷であってもマイナスをつけてはいけない」という決まりがあるからです。

負の電荷の場合は、ついうっかりマイナスをつけてしまいがちです。ですが、マイナスをつけてはいけないという決まりがあるため、仮に答えが正しくても不正解になってしまいます。

クーロンの公式は力の大きさの絶対値を求める、という点をしっかり押さえておくと良いでしょう。

自己誘導起電力とその公式

受験者がつまづきやすい部分は他にもあります。それは、自己誘導起電力の分野です。公式の使い方が難しいため、多くの受験者がこの分野で苦労します。

電流の変化量と電流の値は、それぞれ解き方が異なります。この部分を理解した上で公式を当てはめると、計算問題が解きやすくなるでしょう。

それと並行して、レンツ法則についての理解も深めておきましょう。そうすると公式の内容がより深く理解できて、更に問題が解きやすくなります。

絶対誤差と百分誤差率

電圧や電流の値は、計器が示す値と本当の値とで誤差が生じます。この誤差には絶対誤差と相対誤差の2種類が存在します。

絶対誤差は、測定値と理論値の差の絶対値で求めます。ですが、相対誤差は理論値に対する絶対誤差の割合であるため百分誤差率で表します。百分率をすることを忘れる人が多いため、気をつけましょう。

電験三種「理論」の勉強方法

開いたノート 電験三種の中でも特に「理論」は大変難しいと言われています。ですが、効率の良い勉強方法で学習を進めれば、独学でも合格を目指すことは可能です。

そこで、独学でも合格が目指せるような効率の良い勉強方法を紹介します。

まずは参考書・テキストでインプット

まずは参考書やテキストを使用して、基本的な知識を一通り頭の中にインプットします。全体像も掴むことができるので、おすすめの勉強方法です。

参考書やテキストは1冊を最低でも3周読み込んでください。1冊を繰り返し読み込むことで、基礎となる知識を定着させることができます。

理論の試験で重要なことは、応用力を身につけることです。ですが、その応用力を身につけるためには、基礎知識が定着していなければいけません。そのためにも最低3周は読み込みましょう。

過去問題集で演習をする

テキストや参考書のインプットだけでは不充分です。理論の試験で合格するために必要なのは応用力です。その応用力を身につけるためには、過去問題集を用いた演習という勉強方法が最適です。

参考書やテキストの知識をある程度学習できたら、早めに過去問の問題演習に取り組んでください。参考書やテキストと、過去問題集を並行して進めるという勉強方法を取り入れましょう。

過去問を解くことで、試験で出題される傾向が把握できます。すると、どこを重点的に勉強すれば良いのかわかるので、勉強効率も上がります。

解説の熟読で解答の理由を知る

電験三種の試験は、過去に出題した問題はもちろん、似た問題も出題されにくいという特徴があります。そのため、問題が解けたからと言って安心してはいけません。解答を見て理由を知ることが必要不可欠です。

問題演習では、解説をしっかり読んで解答の理由を知りましょう。注目すべき点は、答えがあっているかどうかではなく、解答までのプロセスがあっているかどうかです。

解答までのプロセスを知るためには、丁寧な解説がされている問題集を購入すると良いでしょう。数多くの解答のプロセスを知っておくことで、試験でその知識が大いに役立ちます。

動画なども用いて試験対策

電験三種「理論」の学習は、テキストや参考書だけでは知識が定着しにくいという難点があります。文字を読むだけでは、理解しにくい点が多々あるからです。そこで、動画講義などを視聴することをおすすめします。

動画講義の場合は、文字の羅列を目で追うだけではなく、耳からの情報も得ることができます。目と耳の両方で情報を得ることで、知識がより深く確実に定着します。

また、Webコンテンツなどを活用すると、スマホでも学習できるようになります。スキマ時間を有効も活用して学習を進めることができるので大変便利です。

電気の専門雑誌で理解度アップ

電験三種「理論」に関する試験の情報は、「新電気」などの専門誌にも掲載されます。試験対策方法や専門知識も得ることができるので、大変便利です。

また、試験対策特集と題して具体的な勉強方法などを解説している回もあります。独学で勉強を進める場合には大変便利で力強い味方になってくれますので、随時チェックしてください。

これにより、試験範囲の理解を深めるだけでなく、実際の問題傾向もつかみやすくなります。

理論のおすすめ参考書・過去問集

本棚に並んだ無数の本 独学で合格するには、自分に合った参考書やテキスト、過去問題集を選ぶことが重要です。

そこで、特におすすめの参考書や過去問題集を紹介します。テキスト選びの参考にしてください。

参考書はみんなが欲しかったシリーズ

参考書でのおすすめは、TAC出版から出ている「みんなが欲しかったシリーズ」です。

みんなが欲しかった! 電験三種 理論の教科書&問題集 第2版 (みんなが欲しかった! シリーズ)
3300円
みんなが欲しかった! 電験三種 理論の教科書&問題集 第2版 (みんなが欲しかった! シリーズ)
3300円

1冊の中に参考書と問題集が入っています。大変分厚い本ですが、真ん中で参考書と問題集に分けることができます。

テキストはフルカラーでイラストや図表が多く用いられています。文字の羅列だけでは理解しにくい部分も、イラストなどを使用してわかりやすく解説されています。

また、問題集の方はブラインドシートがついています。このシートを使うことで、解答や解説を隠しながら問題演習に取り組むことができるようになっています。

このシリーズは「理論」以外に「電気」「機械」「法規」も出版されています。同じシリーズの参考書を購入することで、効率良く学習を進めることができるでしょう。

過去問題集は10年分以上

おすすめの過去問題集は、「みんなが欲しかった! 電験三種の10年過去問題集」です。参考書で紹介した「みんなが欲しかったシリーズ」の過去問題集版です。

みんなが欲しかった! 電験三種の10年過去問題集 2023年度
2970円
みんなが欲しかった! 電験三種の10年過去問題集 2023年度
2970円

理論の試験では、過去に一度出題された問題が再び出てくることは少ないという特徴があります。ですが、過去問に触れておくと試験形式になれることができ、合格により近づけることが可能です。

この過去問題集のすごいところは、過去10年分の問題が掲載されている点です。これだけ問題があれば、出題傾向の分析も十分可能です。

解答解説編では、解答にたどり着くまでのプロセスを丁寧に解説しています。図版を用いて解答方法が記されているので、初学者の人でもわかりやすいでしょう。

通信講座の利用もおすすめ

電験三種対策をするなら、テキストを利用して独学で勉強する以外にも、通信講座を利用しての勉強もおすすめです。

特にユーキャンでは、効率よく知識を身につけられるテキストと、手厚いサポートのもと学習を効果的に進められることから、特に受講をおすすめします。

テキストは、過去問の傾向を徹底分析して作られたものとなっていることから、試験に必要な知識をピンポイントで身につけることができます。

また、サポート面では業界最多の10回の添削機会を提供してくれることから、適切なフィードバックを受けながら実力を飛躍的に伸ばしていくことが可能です。

非常に充実した講座内容となっていることから、ぜひ受講を検討してみてください!

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電験三種の理論についてまとめ

電験三種の理論についてまとめ

  • 理論の合格に必要な勉強時間は最低でも350時間
  • 理論の試験では、過去に出題されたものは出題されない
  • 解答のプロセスをしっかり理解することが重要

電験三種の「理論」について解説してきました。電験三種は大変難しい試験ですが、その中でも「理論」は基礎中の基礎でもあるため、難易度がさらに高くなっています。

ですが、独学で勉強して合格を目指すことは決して不可能ではありません。参考書や過去問題集、更には動画講義などを取り入れた勉強方法で合格は可能なので、安心してください。

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