電気主任技術者の選任とは?要件や必要となる場所・兼任の条件まで徹底解説!

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「電気主任技術者の選任ってよくわからない」

「電気主任技術者を選任する方法や要件ってどんなもの?」

こんな疑問をお持ちの方もいるのではないでしょうか?

電気主任技術者の選任については、詳しい要件があるために、なかなか理解しにくい面があります。

この記事では、電気主任技術者の選任とは何か、選任が必要となる基準、「専任」「兼任」「兼務」の違い、選任の具体的な方法など、電気主任技術者の選任について詳しく解説しています。

電気主任技術者の選任に必要な要件についてしっかり理解しましょう。

電気主任技術者の選任についてざっくり説明すると

  • 自家用電気工作物を設置する際には、電気工作物の工事・維持を監督する電気主任技術者の選任が法律で定められている
  • 選任には「専任・兼任・兼務」の3種類がある
  • 施設の電圧ごとに第3種、第2種、第1種と別れるため、選任される有資格者の要件も変わってくる

電気主任技術者の選任とは?

クエスチョンマーク

各事業場や設備では、自家用電気工作物を設置する際に電気工作物の工事・維持を監督する電気主任技術者を選任することが法律で定められています。

選任にはさまざまな要件があり、事業場や設備の特徴、電気主任技術者の特性などにより、異なる条件が設定されています。

以下では、選任されるための要件や異なる条件などについて詳しく解説します。

電気主任技術者選任が必須となる基準

電気主任技術者の選任が必須となる基準があります。

一般家庭以外の店舗、施設、工場などで高い電圧の電気を用いる場合、原則として電気主任技術者の選任が必要です。

このような施設では、電気管理の専門家が常駐していないと、万が一のときに大きな事故につながる場合があるため、法律によって電気主任技術者の設置義務が規定されているのです。

仮に電気主任技術者を選任する必要があるにもかかわらず選任しなかった場合、法律違反となり、300万円以下の罰金が科せられることになります。

電気主任技術者の選任要件

電気主任技術者は第3種、第2種、第1種で扱える電圧が異なります。

具体的には、第3種は5万V未満の電気工作物、第2種は17万V未満の電気工作物の取扱いのみが行えます。第1種になると、全ての電気工作物の保安・維持管理が行えるようになります。

このような違いがあるため、施設で用いられる電圧によって選任される有資格者の基準も異なるのです。ですから、例えば第3種の資格のみを持っている人が、5万V以上の電気工作物の取扱いをすることはできず、選任もされることができません。

専任・兼任・兼務が存在する

電気主任技術者の選任における形態をより細かく分けると「専任」「兼任」「兼務」の3つの基準に分けられます。

それぞれを簡単に説明すると以下のようになります。

  • 専任:選任された事業場に常時勤務し、主任技術者としての職務を行う
  • 兼任:すでに選任されている事業場に加えて、別の事業場の主任技術者の職務も行う
  • 兼務:すでに選任されている事業場はないが、常時勤務する事業場とは別の事業場の主任技術者として選任される場合

このように、電気主任技術者は必ず一つの事業場に常時勤務していなければならないというわけではなく、複数の事業場の主任技術者として選任されることができます。

また、勤務している事業場とは別の事業場の主任技術者として選任されることも可能なのです。

ただし、特に兼任に関しては、のちほどご紹介しますが細かい要件があり、それをクリアできれば兼任できるということになります。どこの事業場でも、また何か所でも兼任できるというわけではありません。

選任に関する法的規定

電気設備の保安については「自己責任原則」「自主保安体制」の二つの原則によって成立しています。

具体的には、電気事業法42条と電気事業法43条で、以下の内容が定められています。

  • 電気事業法42条:保安規定の作成・届け出・遵守の義務
  • 電気事業法43条:事業用工作物の保安監督義務、適切な職務を行う誠実義務

これらの法的規定に基づいて、電気主任技術者は選任されることになっています。

選任の方法は多岐にわたる

黒板と本

電気主任技術者の選任方法、選任の条件はさまざまで、非常に複雑なものになっています。

ここからは、それぞれのパターンにおいて選任する電気主任技術者の内容や条件について解説します。

基本的な有資格者の選任届出

選任されるには、電気主任技術者として免状の交付がされており、自家用電気工作物の工事、維持、監督を行う地位にある者を選任する必要があります。

また、選任する事業場に勤務していない者、もしくは系列会社の者から選任する場合、必要な添付書類が変わるため、確認が必要です。

選任手続きを円滑に進めるためには、適切な書類の提出と関係各所との密な連絡が欠かせません。

主任技術者の兼任承認

すでに選任されている事業場に加えて、別の事業場でも主任技術者として選任されることも可能です。この場合兼任ということになります。

兼任が承認される条件

以下のような条件を満たしている場合、兼任承認がされます。

  1. 兼任させようとする事業場の最大電力が2,000KW未満かつ受電電圧が7,000V以下。
  2. 兼任できる事業場数は、選任されている事業場を含めて6カ所以内。
  3. 同一又は同系列の会社若しくは同一敷地内にある事業場であって、料設置者間で別途、「主任技術者制度の解釈及び運用(内規)」の要件を満たす契約を締結していること。
  4. 第1種、第2種、第3種電気主任技術者免状の交付を受けていること。
  5. 常勤場所又は自宅から2時間以内に到達できること。
  6. 電気事業法施行規則第53条第2項第5号の頻度に準じて点検を行うこと。
  7. 電気主任技術者に連絡する責任者が選任されていること。 出典:中国四国産業保安監督部

このように、兼任が可能になる要件には非常に細かいものがあります。

有資格者以外の選任許可

選任しようとしている事業場に電気主任技術者の交付をされた者がいない場合もあります。

その場合は、その事業場に常時勤務する人が、条件が合えば電気主任技術者の資格がなくとも選任許可されることがあります。

ただ、事業場の扱う出力、電圧、最大電力などによって選任許可の降りる要件が異なってくるため、有資格者以外を選任したい場合は確認が必要です。

例えば、有資格者以外の選任許可の要件としては、施設の電圧などの規模によって、

(イ)高等学校等において、電気関係の認定科目を修めて卒業した者

(ロ)第一種電気工事士

(ハ)第一種電気工事士資格に合格した者

(ニ)旧電気工事技術者検定規則による高圧電気工事技術者の検定に合格した者 出典:中国四国産業保安監督部

というように、電気主任技術者以外の、例えば電気工事士などの資格を持っている人でも、選任許可がされることがあります。

また、別の「最大電力100KW未満の需要設備」などの要件を満たした設備、事業場では、

(イ)第二種電気工事士

(ロ)短期大学若しくは工業高等専門学校等の電気工学科以外の工学に関する学科において、一般電気工学(実験を含む。)に関する科目を修めて卒業した者 出典:中国四国産業保安監督部

といったように、第二種電気工事士、工学に関する学科で一般電気工学の科目を修めて卒業した者も選任許可が降りることがあります。

このように、有資格者以外でも要件が合えば選任されることがあるのです。

従業員以外の選任委託

ビル管理会社などと業務委託をすることで、外部企業の従業員(ただし、常務勤務のみ)を電気主任技術者として選任委託することが可能です。

選任委託の諸条件

以下のような条件を満たす場合、委託契約が可能です。

  1. 設置者との間で「電気設備の保守管理」に関する委託契約を直接していること
  2. 電気主任技術者となる者が当該事業場に常時勤務(選任の場合)すること。 出典:中国四国産業保安監督部

また、以下の条件が委託契約において全て確約されていることも必要です。

イ.設置者は、自家用電気工作物の工事、維持及び運用の保安を確保するにあたり、主任技術者として選任する者の意見を尊重すること。

ロ.自家用電気工作物の工事、維持及び運用に従事する者は、主任技術者として選任する者がその保安のためにする指示に従うこと。

ハ.主任技術者として選任する者は、自家用電気工作物の工事、維持及び運用に関する保安の監督の職務を誠実に行うこと。 出典:中国四国産業保安監督部

このように、選任の委託契約をするためには細かい要件に従う必要があります。

電気主任技術者以外の外部委託承認

電気保安法人と保安管理業務の外部委託を直接締結することで、常勤でない者でも保安管理が可能となることがあります。

【外部委託可能な事業場の特徴】

  1. 出力2,000KW未満の発電所(水力、火力、太陽電池及び風力発電所に限る)であって電圧7,000V以下で連系等をするもの
  2. 出力1,000KW未満の発電所(前述の発電設備を除く)であって、電圧7,000V以下で連係等をするもの
  3. 電圧7,000V以下で受電する需要設備
  4. 電圧600V以下の配電線路を管理する事業場 出典:中国四国産業保安監督部

こちらは主任技術者を選任せず、保安管理を外部委託する方法です。ただし、事業場の条件としては、電圧などが小さい事業場に限られています。

電気主任技術者選任の例外規定

ノートとペン

上記の選任方法以外にも例外規定があるため、抑えておく必要があります。

兼任も例外規定に属する

先に述べた兼任による選任も、やむを得ない場合の例外規定に属しています。

基本的には受電単位で、電気主任技術者は1事業場につき1人が原則です。しかし、先に述べたような要件を満たした場合には兼任が可能になります。

なお、常時勤務の場合も含めて、兼任できる場所は6カ所が上限です。

免状交付者以外の選任

以下のような条件を満たす場合、電気主任技術者の交付を受けていなくとも、経済産業局長や経済産業大臣の許可を得られれば、許可主任技術者として業務が可能になります。

  • 最大電力500KW未満の需要設備
  • 出力500KW未満の発電所
  • 1万V未満の変電所
  • 1万V未満の送配電線路の管理事業所

選任が免除となる施設・設備

下記のような事業所で、関東電気保安協会や公益法人に所属する電気管理事業所との間において、電気保安に関する業務契約をすれば、選任が不要となります。

  • 最大電力1000KW未満の発電所
  • 出力500KW未満の発電所
  • 低圧配電線路の管理事業所

電気主任技術者を選任する際の注意点

クエスチョンマークとエクスクラメーション・マーク

電気主任技術者を選任する場合には、注意しなければならない点がいくつかあります。

ベテランの電気主任技術者を選ぶ

選任する際には、ベテランの電気主任技術者を選ぶことが大切です。

実務経験が少ない電気主任技術者の場合、知識不足や経験不足が否めず、とっさの場合に対応が難しい場合もあります。その結果、火事などの大事故につながる恐れもあります。

そうならないためにも、ベテランの電気主任技術者を選んでおくことが無難です。

特に、電気機器が故障する頻度が高いような職場では、ベテランの電気主任技術者を選任しておく方がよいでしょう。

ベテランの電気主任技術者は長年の実務経験から得た洞察力や問題解決能力を活かし、効果的な解決策を提供してくれる可能性が高いです。

届出内容と届出時期に注意する

電気主任技術者選任の届出を行う場合には、保安規定関連書類と主任自術者関連書類を速やかに届出する必要があります。

主任技術者関連書類については、届出書なのか申請書なのかによって届出するべき時期が大きく変わります。

特に注意すべきなのは、専任者の変更の際です。事業用工作物の使用開始前までに届出をすればよいのですが、変更後の届出になってしまった場合は、速やかに届出する必要があります。

選任者は本来、事業用工作物の使用開始前までに届出をしておくべきものですので、専任者が変更される際には、なるべく早く届出をしておきましょう。

電気主任技術者の選任についてまとめ

電気主任技術者の選任についてまとめ

  • 兼任が承認されるには、「兼任させようとする事業場の最大電力が2,000KW未満かつ受電電圧が7,000V以下」「兼任できる事業場数は6カ所以内」などの細かい条件がある
  • 条件に合えば、第一種電気工事士、第二種電気工事士、短期大学や工業高等専門学校等で一般電気工学に関する科目を修めた者など、有資格者以外でも選任許可がされることがある
  • 電気保安協会や公益法人に所属する電気管理事務所との間で電気保安に関する業務契約をすれば、選任が免除となる場合もある

電気主任技術者の選任について解説しました。

一般家庭以外の店舗、工場など高い電圧を使用する施設では電気主任技術者の選任が必要です。

しかし、選任には「専任・兼任・兼務」があり、必ずしも一つの事業場で電気主任技術者が常勤勤務しなければならないわけではありません。

複数の事業場で主任技術者を兼任することも可能です。ただし、兼任するためには細かい要件がありますので、要件にあてはまるかをしっかり確認する必要があります。

このように、一見複雑な電気主任技術者の選任ですが、安全のためには必要なことですので、要件をしっかり読んで、正しい選任の仕方を理解しましょう。

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