医療秘書の年収は低いってホント?平均年収や求人の給与状況まで詳しく解説!
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医師
安藤広真
「医療秘書って年収はどのくらい?」
「医療秘書で高収入は狙えるの?」
医療秘書の仕事に興味がある方は、このような疑問を持っていることが多いのではないでしょうか。
しかし、医療現場での実務経験がない方は、医療秘書の年収についてなかなかイメージすることは難しいでしょう。
この記事では、医療秘書の年収や高収入を狙うための方法、医療秘書の魅力などについて解説しています。
医療秘書について詳しく知り、ぜひ医療秘書の資格を取得を目指しましょう。
医療秘書の年収についてざっくり説明すると
- 医療秘書の平均年収は400万円ほど
- 派遣社員や契約社員として働く人もいるため、平均年収は高くはない
- 平均年収は低めでも、福利厚生は充実しているため魅力的な仕事だと言える
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医療秘書の平均年収は400万円?
医療秘書になるための検定である医療秘書技能実技検定には、3級、2級、準1級、1級があり、それぞれの合格率は次のようになっています。
級 | 合格率 |
---|---|
3級 | 約70% |
2級 | 約60% |
準1級 | 約30% |
1級 | 約30% |
級が上がるにつれて試験の難易度は高くなり、合格率は下がっていくということになります。
医療秘書技能実技検定は歴史が長い資格であり、世間的な認知度も高い資格であると言えます。医療秘書は難しい仕事だというイメージから、試験も難易度が高く、なかなか合格できるものではないという先入観を持っている方もいるかもしれません。
しかし、実際には3級が70%、2級は60%と、初級の方であれば合格率は意外と高めになっており、合格はしやすい資格だと言えます。
「医療秘書になりたいけど、試験が難しそうだから受験しようか迷ってしまう…」
といったお悩みをお持ちの方は、まずは合格しやすい3級を受験し、医療秘書として働きながらより高度な知識を付けて上位の級を受験するということも可能ですから、悩む必要はありません。
また、実際に受験しやすい資格だと知ったことで、このような資格を取得して医療秘書になった場合には、年収はどのくらいになるのか興味が出たという方もいるでしょう。
そこで、次に医療秘書の年収について詳しくご紹介します。
勤務型の医療秘書の年収が400万円
正式な統計ではありませんが、一般的に医療秘書の平均年収は400万円ほどだと言われています。
医療秘書といっても、勤務している医療機関によって年収のばらつきがあり、年収の幅としては280万円~400万円ほどになると考えられます。
年収の下限である280万円は低いと思う方もいるかもしれませんが、この数字は大卒の初任給を超える額です。医療秘書の方は高卒の方もいる中で、このような年収は学歴によっては高めであると言うこともできます。
医療系の事務スタッフは給料が低いと思われがちですが、医療秘書自体は特に給料が低い職業だというわけではないということになるのです。
医療事務や看護師の年収は?
医療秘書と似ている資格として、医療事務や看護師があります。
医療事務や看護師の年収についても正式な統計はありませんが、医療秘書試験と難易度が近い医療事務の場合、平均年収は250万円ほどだと言われています。医療事務は、医療秘書より年収は若干低めになるということです。
一方、看護師の平均年収は470万円ほどと言われています。一般的に、看護師の年収は医療秘書よりも高くなる傾向があると言えます。
看護師になるためには、看護師学校など看護師養成課程を卒業しなければならないため、最短でも5年は必要です。看護師は、医療秘書のように数か月勉強してなれる職業ではありません。
看護師はそのように長い時間をかけなければ就くことができない職業であることや、患者さんの命にかかわる仕事であるため年収が高めであると言えます。
医療秘書の年収が低いのはなぜ
医療秘書の平均年収は400万円前後だと言われていますが、この数字は年収としては少し低いと感じる方もいるのではないでしょうか。
年収が低めになってしまう原因について解説します。
働き方が多様
医療秘書の資格を活かして就職や転職をしようとすると、大きな病院や小規模な診療所が主な就職先・転職先になります。
このような職場では、医療秘書は全員が正職員として働いているわけではありません。中には派遣社員や契約社員といった非正規雇用の形態で働いている方も多くいます。
非正規雇用で働いている医療秘書の方の給料は低くなりがちであるため、非正規雇用、正規雇用の方の年収をまとめて平均値を出したデータでは、医療秘書の年収の平均値は低くなってしまうのです。従って、正職員として働いている医療秘書の方の給料はもう少し高めであると考えられます。
福利厚生は手厚い
医療秘書は福利厚生が充実している職業だと言えます。平均年収が低めであることから医療秘書についてあまり魅力を感じないという方も、福利厚生についても考えてみると、医療秘書という職業を魅力的に感じられるのではないでしょうか。
例えば、総合病院の場合は患者数が多いため、経営は安定しています。また、規模が大きくない個人経営の診療所のようなところは、その街に住む人々にとってなくてはならない存在)です。
一般の中小企業と違って、厳しい市場競争をしなければならないとか、その結果倒産してしまうといったことはありません。そのように安定した職場に勤められ、福利厚生がしていることは大きな魅力です。
福利厚生が充実していると、例えば住宅手当が支給されたり、保養所が使えたり、勤務先と提携している施設の優待サービスが使えたりするといったことがあります。
職場を選ぶ際に、福利厚生が充実しているかどうかは重要なポイントです。就職・転職で医療秘書になりたい方は、就職・転職を希望する医療機関の福利厚生をあらかじめしっかりチェックしておきましょう。
医療秘書で高年収を狙うには
ここからは、医療秘書の仕事で高年収を狙う方法について解説していきます。
職場でのキャリアアップで年収アップへ
医療秘書の仕事はキャリアアップを狙うこともできます。例えば、病院で勤務するようになると、医療事務や病院の運営に関われるポストへ昇格できるチャンスもあります。
このようなチャンスが巡ってきたら積極的に挑戦して昇格を果たし、医療秘書や医療事務メンバーのリーダーになることができれば、年収は500万円~800万円ほどになることも可能です。
ネットの求人サイトを見ると、医療現場の運営スタッフの求人が多数あります。そのような求人を常にチェックして積極的に応募するようにすれば、高収入かつやりがいがある仕事に就職・転職するチャンスが生まれます。
小規模な診療所では重要なポジションになれる
大きな病院では下の立場で地道に仕事を頑張りながら出世を目指すことになりますが、診療所の場合には一緒に働く職員の数も少ないことから、早い段階で医師と信頼関係が出来るという特徴があります。
そのため、大きな病院と比べると重要なポジションに就ける機会も多くなると言えます。
特に、小さい診療所の場合には医療秘書の資格の中でも上級のものを持っている人はあまりいません。そのため、上級の医療秘書の資格を持っている方は採用されやすい傾向があります。
このような小さい診療所では、自身の資格を活かして重要な業務を担当することにより、やりがいや高収入を狙うことができるのです。
医療秘書の仕事内容は?
医療秘書の仕事とは、一言で言えば医療の現場を裏方から支えるというものです。
医師や看護師がスムーズに診察・検査をできるようにするという役割があり、社会的使命のある仕事だと言えます。
医療秘書はスケジュール管理、文書の管理、患者や来客の対応などをこなします。また、行政機関へ文書を提出したり、カルテの管理を行うなど多岐にわたる業務を担当しています。
多忙である医師や看護師はこのような仕事までカバーすることができません。
もし医療秘書がいなかったらこのような事務的な仕事までを医師や看護師が行わなければならなくなりますので、医療現場は混乱してしまうでしょう。
医師や看護師に代わり、このような重要な仕事を担う医療秘書は医療現場にとって大きな存在であると言えます。
医療秘書の仕事内容は以下の記事も併せてご覧ください。
医療秘書の将来性
医療秘書の仕事は、今後どのようになっていくのでしょうか。ここからは、医療秘書の将来性について解説していきます。
今後さらに伸びしろが大きい医療秘書
日本は現在、これまでにない高齢化社会の時代を迎えており、高齢化社会は今後もさらに進んでいくと見られています。
医療機関を利用する頻度が高い後期高齢者は現在増加しており、今後もさらに増加するでしょう。
それに伴い、医療現場での事務的な仕事はこれまでよりもさらに増えると考えられますので、医療秘書の需要は高まっていくということが言えます。
特に、高齢化社会に伴い現役で働ける世代が減少していきますので、医療秘書の資格を持っている人はさらに希少価値が高くなっていくでしょう。医療秘書の仕事は将来性が非常に高い仕事であると言えます。
AI時代も残り続ける医療秘書
AI(人工知能)の発展に伴い、今後何割かの仕事は人間ではなくAIに奪われてしまうとされています。医療の現場でも一部の仕事はAIによる代替が進んでいくでしょう。
しかし、AIは単純作業については代替できますが、人と人とのコミュニケーションで成り立つ業務については代替できません。
医療秘書の場合は、患者さんや来客の対応があります。このような業務はコミュニケーション能力が求められ、細やかで温かい姿勢も必要です。
そのため、医療秘書の仕事はAIに取って代わられるようなことはないと考えられます。そのような意味でも、医療秘書は将来性が非常に高い仕事なのです。
副業で収入をあげることは可能?
現在多くの企業で副業が解禁になるなど、副業ブームが起こっており、多くの人が副業によって収入を得ています。
医療秘書として働く中でも、副業に繋げることが可能です。例えば、医療秘書の仕事は複雑なカルテの内容を確認したり、それをもとに明細書や請求書を作成します。
日々細かいデータを確認してパソコンに打ち込む作業があるため、そのようなパソコンに数値を入力することが得意になります。
そのため、データ入力などスキルを活かせる副業を空いている時間に行えば、さらなる高収入が期待できるのです。
データ入力のような仕事は求人が多く時給は1,500円以上であることが一般的であるため、副業としては大変魅力的です。医療秘書とのダブルワークで収入アップを目指すことは十分可能だと言えます。
医療秘書になるのは難しい?
医療秘書技能検定には3級、2級、準1級、1級がありますが、その中でも3級の場合には集中して勉強することができれば、一ヶ月以内の勉強時間でも合格できると言われており、また独学での合格も可能です。
また、医療秘書技能検定は6月と11月の年2回実施されていますので、3級であればしっかり勉強すれば合格を目指すことは特に難しいことではありません。
準1級や1級といった高度な級は取得することでより専門的な業務を行えるようになることもあり、試験の難易度は高くなります。そのため、合格率は30%程度と一気に低くなり、油断はできません。
医療秘書技能検定は全体的に難易度は高めではありますが、取得する価値は非常に高い魅力的な資格です。
医療秘書の年収まとめ
医療秘書の年収
- 医療秘書の年収は280万円~400万円ほどだが、280万円は大卒の初任給よりも上なので年収が低すぎるということはない
- 医療秘書や医療事務のリーダー格に昇格できれば、500万円~800万円も可能
- 高齢化社会では需要が多い仕事であり、AIに代替されることもない仕事なので将来性が高い仕事
医療秘書の年収や仕事の内容、仕事の魅力などについてご紹介しました。
医療秘書は裏方の仕事なので、普段医療機関を利用している患者側から見れば華々しい仕事だと感じることはないかもしれません。
しかし、医療機関を支える大切な仕事でやりがいもあります。 3級であれば合格しやすいと言えますので、興味がある方はぜひ取得を考えてみてはいかがでしょうか。