社会福祉士試験の合格ラインは?合格率からわかる難易度や基準点を超える勉強法を解説
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「社会福祉士の合格ラインって何点?」
「社会福祉士の合格率って毎年どれくらい?」
こんな疑問を持っている人は多いのではないでしょうか?福祉のエキスパートになるために資格取得を目指している人なら、絶対知りたい情報ですよね。
そこでこの記事では、社会福祉士の合格ラインや合格率について詳しく解説していきます。
また、難易度や合格するために必要な勉強時間、勉強法なども紹介していきますので、取得を目指している人はぜひ読み進めてください。資格取得の近道をお教えします。
社会福祉士の合格ラインについてざっくり説明すると
- 社会福祉士は難易度の高い国家試験
- 合格点は約6割であるが、毎年変化する
- 正しい試験勉強をすれば誰でも合格できる
社会福祉士試験の概要
社会福祉士の試験は福祉系の資格の中で最高峰で、「介護福祉士」と「精神保健福祉士」と並んでトップ3のうちの1つです。
三大福祉国家資格ともいわれているので取得すれば福祉系のエキスパートとして認められます。
試験は毎年の2月上旬に行われ、概要は以下の通りです。
項目 | 説明 |
---|---|
試験形式 | 選択式 |
試験時間 | 午前2時間15分・午後1時間45分 |
試験科目 | 18科目 |
なお、18科目は以下の通りです。
-
人体の構造と機能及び疾病
-
心理学理論と心理的支援
-
社会理論と社会システム
-
現代社会と福祉
-
地域福祉の理論と方法
-
福祉行財政と福祉計画
-
社会保障
-
障害者に対する支援と障害者自立支援制度
-
低所得者に対する支援と生活保護制度
10. 保健医療サービス
11. 権利擁護と成年後見制度
12. 社会調査の基礎
13. 相談援助の基盤と 専門職
14. 相談援助の理論と方法
15. 福祉サービスの組織と経営
16. 高齢者に対する支援 と介護保険制度
17. 児童や家庭に対する支援と児童・家庭福祉制度
18. 就労支援サービス、 更生保護制度
難易度が高い国家試験
社会福祉士は福祉系の最高峰だけあって、かなり難易度が高い試験です。直近7年の合格率と倍率をまとめましたので、参考にしてみてください。
年度 | 合格率 | 受験者数 | 合格者数 |
---|---|---|---|
令和4年度 | 44.2% | 36,974人 | 16,338人 |
令和3年度 | 31.1% | 34,563人 | 10,742人 |
令和2年度 | 29.3% | 35,287人 | 10,333人 |
令和元年度 | 29.3% | 39,629人 | 11,612人 |
平成30年度 | 29.9% | 41,639人 | 12,456人 |
平成29年度 | 30.2% | 43,937人 | 13,288人 |
平成28年度 | 25.8% | 45,849人 | 11,828人 |
平成27年度 | 26.2% | 44,764人 | 11,735人 |
平成26年度 | 27.0% | 45,187人 | 12,181人 |
平成25年度 | 27.5% | 45,578人 | 12,540人 |
上図の通り、合格率は25~30%と決して簡単な試験ではありません。しっかりと試験対策をしないと合格できない難しい試験です。
倍率をみても3.5倍程度で推移しており競争率が高いことがうかがえます。しかし、難易度が高くてもしっかりと勉強をすれば合格できる試験でもあります。
合格者の男女比や年齢層
社会福祉士の合格者は女性の占める割合が高いです。
- 男女別割合
年度 | 男性 | 女性 |
---|---|---|
令和4年度 | 32.7% | 67.3% |
令和3年度 | 30.5% | 69.5% |
上記の通り、例年女性の方が男性と比べて合格者数は2倍程度です。
- 年齢別割合
年齢 | 割合 |
---|---|
30以下 | 43.3% |
31~40 | 17.5% |
41~50 | 21.8% |
51以上 | 17.3% |
令和4年実施の試験では資格を取得している人の大半は30歳以下です。
しかし、30代や40代もそれぞれ20%程度合格しているので、どんな世代の人でも合格できる資格であるといえます。
なお、令和4年度の合格者のうち、福祉系大学等を卒業している人の割合は55.6%、養成施設卒業者は44.4%でした。
つまり、同じくらいの割合ですので、福祉系大学等を卒業していなくても誰でも資格を取得できることがわかります。
社会福祉士試験の配点と合格ライン
「社会福祉士の試験に合格するためには何点必要?」
社会福祉士の試験は合格率が27%程度と難易度が高い国家試験ですので、目標を定めるためにこんな疑問を持つのではないでしょうか。
ここでは具体的に合格ラインや合格基準点の変化について解説していきます。
合格ラインは約6割
社会福祉士の試験の合格ラインは毎年約6割です。1問につき1点で総得点が150点ですので、合格ラインの目安は90点です。
ただし、18科目すべてにおいて最低1問は正解しなければ合格できません。ここは注意が必要です。17科目すべて正答できても、残りの1科目がすべて不正解なら試験は不合格です。
合格基準点は年によって変化
すでに説明した通り、社会福祉士の試験の合格基準点は毎年変化します。ここでは、変化の推移を紹介していきます。
年度 | 合格基準点/総得点 |
---|---|
令和4年度 | 90点/150点 |
令和3年度 | 105点/150点 |
令和2年度 | 93点/150点 |
令和元年度 | 88点/150点 |
平成30年度 | 89点/150点 |
平成29年度 | 99点/150点 |
平成28年度 | 86点/150点 |
平成27年度 | 88点/150点 |
平成26年度 | 88点/150点 |
平成25年度 | 84点/150点 |
合格基準点の目安は60%、つまり90点です。しかし、問題の難易度によって補正されるので毎年合格ラインは定まっていません。年によっては84点でも合格できました。
ただし、あくまで合格基準点は総得点の60%とされているので、90点はしっかりと正答できるように力をつけておくようにしましょう。
社会福祉士の合格率が低い原因
「社会福祉士の試験ってどうしてこんなに難しいの?」
こんな風に感じた人は多いのではないでしょうか。実は合格率が低いのにはそれなりの原因が考えられます。
そこで、ここではその原因を紹介していきます。
出題範囲が非常に広い
合格率が低い原因の1つは出題範囲が非常に広いことです。試験の概要で列挙した通り、試験科目は18科目です。それぞれボリュームもあるので勉強の計画すらも難しいといえます。
しかも、試験に合格するためにはすべての科目で点数を上げなければなりません。得点しやすい分野に絞って勉強ができないので、試験をさらに難しくさせるのです。
そのため、得点しにくい苦手科目の克服に時間がかかるので、得意科目でもカバーしきれずに不合格になってしまう人が多いのです。
勉強時間の確保が簡単ではない
社会福祉士には少なくても300時間程度の勉強時間が必要といわれています。仮に1日1時間の勉強時間を設けるとしても、約半年もかかってしまいます。
かなりの時間ですので、試験までになかなか十分な勉強時間を確保するのは簡単ではないのです。
また、福祉専門の大学や養成施設に通い実務経験も積みながら勉強をしなければならないので、なおさらです。
社会人にしても仕事と家事の両方をこなしながら試験勉強をしなければなりません。このようなことが、合格率を低くしているのです。
やる気の維持が難しい
社会福祉士の試験は長期戦ですので、やる気を維持するのが難しいことも原因としてあります。
例えば、出題範囲が広いので効率よく試験勉強をしなければなりません。しかし、ダラダラと時間だけを浪費してやる気を落としてしまうことは多々あります。
また、試験範囲が広いために勉強したのに忘れてしまって、やる気をなくしてしまう人もいます。
スムーズに勉強が進んでいるときはいいですが、常に高いモチベーションを維持し続けるのは容易ではありません。
そのため、資格を取得した後の自分をイメージするなど工夫をして、やる気を落とさないようにするとよいでしょう。
本番でトラブルやミスが起こる
本番を前にしたトラブルも試験に影響がないとはいえません。例えば、交通機関の遅延などで思っていたように会場に到着できないと慌ててしまいます。
浮き足立ったまま試験に突入してしまうと、受験番号や名前の記入を忘れることがあります。また、問題数が150問と多いので、焦ってしまってマークミスをする人も少なくありません。
さらに、試験は風邪が流行るような冬場に行われます。そのため、体調を崩してミスをしてしまいやすいこともあります。
このようなことで力を発揮できないようにならないように、余裕を持って試験の準備をするようにしましょう。
ボーダーラインを突破する試験勉強法
「社会福祉士になるためには、どんな勉強をすればいいの?」
難易度が高い試験ですので、おすすめの勉強方法があれば知りたいと思う人は多いのえはないでしょうか。
ここでは、合格を目指す人なら誰でもしておきたい勉強法を紹介していきます。
合格基準を超えることを目指す
社会福祉士の試験で必要なことは「合格基準点を超える」を目指すことです。これはつまり、満点を狙わずにいくつかの問題は落としてもいいと割り切ることです。
試験だからと満点を狙って勉強をする人がいますが、試験範囲が膨大になるので満点を狙っていては合格に必要な勉強ができません。
合格の条件は「総得点で約60%」かつ「すべての科目で1点以上取る」です。
つまり、満点を狙うのではなく150問中100点を目指して苦手科目があっても諦めない姿勢が大切なのです。
長期的な勉強計画を立てる
社会福祉士の試験は年に1度しかありません。そのため、試験勉強の計画をしっかりと立てておくことが必要です。
「いついつまでにテキストをすべて読み終える」「残り1ヶ月は過去問を繰り返し行う」「毎日必ず〇時間勉強をする」など。
また、余裕を持って計画を立てることも必要です。長期的な計画になるので、予定通りに進むとは限りません。ギリギリの予定では計画が狂ったときに取り返しがつかなくなります。
ちなみに、合格者の多くの人は隙間時間を利用して、毎日1~2時間の勉強をしている人が多いです。
過去問演習を繰り返す
どのような試験にもいえることですが、社会福祉士の試験でも過去問演習を繰り返すことが合格には必要です。
過去問を繰り返す理由は、実際に出題された問題を解くことで出題傾向や自分の苦手な科目が把握できます。
また、本試験のように240分で150問を測って解いてみることで、全問解いて見直しもできる時間配分がわかってきます。つまり、合格しやすい時間の使い方がわかるのです。
なお、法律が変わっていることがあるので、過去問演習を使うときは最新のものを使うようにしてください。
模擬試験も受験しよう
過去問を実際に解くのと合わせて模擬試験を受験することもおすすめです。いくら本試験を想定しても、緊張感のある環境を整えるのは簡単ではありません。
模擬試験なら試験当日の過ごし方や自分の今の実力までわかるので、可能なら受けておくようにしましょう。
社会福祉士の合格ラインについてのまとめ
社会福祉士の合格ラインについてのまとめ
- 合格率27%・倍率は3.5倍程度の難関試験
- 合格の条件は「総得点の約6割」と「全科目1点以上」
- 合格率を低くしている要因はいくつもある
- 合格するためには正しい勉強法が必要
社会福祉士の試験は合格率が27%と低く、競争倍率も3.5倍程度とかなりの難関の国家試験です。試験は150問あり、そのうち合格するためには約6割の得点をしなければなりません。
ただし、合格をするためにはすべての科目で1点以上得点しないといけません。つまり、苦手科目をそのままにしておくと合格できないのです。
試験範囲が広いうえに合格の条件もシビアに設定されているので、合格率は上がりません。
試験に合格するためには満点を狙わずに網羅的に勉強し、かつ長期的な計画を余裕を持って設定することが必要です。
社会福祉士の試験に合格すれば、福祉のエキスパートです。資格取得後の未来をイメージして勉強を進めていくようにしましょう。
そうすれば、勉強がスムーズに進めやすくなって合格が近づいてきますよ。