社会福祉士の役割とは?仕事内容や資格の取得方法・ソーシャルワーカーの専門性も解説

更新日時 2020/07/29

「社会福祉士の資格はどのように取得すればいいの?」

「社会福祉士はどのような役割を果たしているの?」

このような疑問をお持ちの方、いらっしゃいませんか?

社会福祉士は福祉系の国家資格であり、ハンデを抱えている方の生活のサポートなどを行っています。

専門性を生かして活躍できるフィールドは幅広く、学校や保育園、福祉施設など多岐にわたります。

こちらの記事では、社会福祉士資格の役割や取得方法、ソーシャルワーカーの専門性などについて解説していきます!

社会福祉士の仕事内容についてざっくり説明すると

  • 合格者の人数は増えており、今後ますます高い需要が期待される
  • 生活に困っている方やハンデを抱えている方のサポートをしている
  • ソーシャルワーカー以外にも様々な活躍シーンがある
  • 公務員としての働き方もある

社会福祉士の役割

解説する女性

社会福祉士の定義

社会福祉士とは「社会福祉士及び介護福祉士法(昭和62年法律第30号)」で定義されている、名称独占の国家資格です。

合格者の人数と登録者の人数も増えつつあり、需要も多くあります。

主な仕事内容としては、心や体に障がいがある方や日常生活を営むのに支障がある方の相談業務やサービス提供者との連絡調整などの援助です。

ハンデを抱えている方にとって社会福祉士の存在は非常にありがたい存在で、社会的に大きな役割を果たしています。

社会福祉士は福祉の相談援助に関する高度な専門知識・技術を身に着けており、福祉や医療の相談援助の場で活躍しています。

社会福祉国家資格は業務独占ではない

社会福祉士の資格はあくまでも「名称独占」であり、業務独占はありません。

つまり、資格保有者だけが「社会福祉士」と名乗ることができますが、業務に関しては資格を持っていない人も行うことが可能というわけです。

一方で、医師や看護師などの資格は「業務独占」であるため、社会福祉士の性質とは違いがあります。

高い専門性を求められる役割

社会福祉士の仕事の範囲や対象は多岐に渡り、専門性を生かして活躍できるフィールドも広いです。

高齢者や身体・知的障害者、ひとり親家庭などの相談に乗りながら各状況に応じたサポートを行っていきます。

また、自分でサポートをするだけでなく行政や医療機関など各関連施設とも連携して利用者の生活を支援する役割も担っています。

社会福祉士はあらゆる分野に精通した福祉のエキスパートとして、介護・障がい・貧困・児童虐待・DVなど、世間に蔓延するさまざまな問題を抱える方に寄り添う職業であると言えるでしょう。

病院なら「医療ソーシャルワーカー」、老人福祉施設なら「生活相談員」、児童相談所なら「児童福祉司」と呼ばれることが多く、働く場所でその業務内容や呼称も異なります。

そのため、実務上はそれぞれの職種に合わせた専門的なスキルや知識が求められます。

医療や行政など業界の垣根を超えたネットワークを構築して、誰もが安心して暮らせる「地域共生社会」を実現させることが、現代の社会福祉士に課せられた大事な役割なのです。

高齢化によって需要が高まっている

社会福祉士は1987年の「社会福祉士及び介護福祉士法」制定と同時に誕生した資格です。

少子高齢社会が深刻化しさまざまな福祉の問題が表面化している現代において、社会福祉士への期待はますます高まってきています。

日本はこれから団塊の世代の高齢化が進んでいき、人口全体に占める高齢者の割合が高まるでしょう。

2036年には、人口の3人に1人が65歳以上の高齢者となる見通しであり、老老介護などによる介護破綻などが多発する可能性があります。

このような背景もあり、社会福祉士の存在感は高まっていくと予想できます。

ソーシャルワーカーだけじゃない仕事内容

働く女性

ソーシャルワーカーとも呼ばれる社会福祉士ですが、仕事内容は多岐に渡ります。

具体的には、様々な不安を抱えている方に対する相談業務が中心ですが、これ以外にも利用者の生活上の相談や自立した生活を送るための支援方法についての援助計画や評価、見直しなども行います。

また、利用者に関わる施設や行政機関と連携しつつ、公的手続きの代行や公的支援を利用者に伝えることも重要な仕事です。

サービス利用者がどのような方なのかによって仕事内容が変わってくるため、以下で詳しく解説していきます。

高齢者の場合はその家族も対象

高齢者やその家族を対象にする場合、以下のような仕事が挙げられます。

働き方 内容
対象 施設で暮らす高齢者、施設や機関を利用する高齢者、およびその家族など
職場 特別養護老人ホーム、介護老人保健施設、デイサービスセンター、地域包括支援センターなど
職種 ソーシャルワーカー、生活相談員(指導員)など

高齢者は自立した生活が難しく、介護の悩みを抱えている方も多いです。

社会福祉士は、高齢化が進むにつれて今後ますます重要な仕事を任されるでしょう。

子どもの場合は職場の種類が多様

子どものが対象の場合の仕事内容は以下の通りです。

働き方 内容
対象 精神的・肉体的ハンディキャップのある子ども、虐待や生活上の理由などで保護者の養育を受けられない子ども、非行・不良行為に関わる子ども、およびその家族など
職場 児童相談所、児童養護施設、障害児入所施設、母子生活支援施設、母子福祉センター、児童自立支援施設など
職種 児童福祉司、児童指導員、母子相談員、少年指導員、児童自立支援専門員など

病気や障害を抱えている子どもだけでなく、様々な事情を持っているケースがあります。

将来に渡って社会生活を安定して営めるようにするためにも、社会福祉士が果たす役割は大きいです。

ハンディキャップのある人の場合は指導員に

障害などのハンディキャップのある方を対象にする場合の仕事内容は、以下の通りです。

働き方 内容
対象 身体障害者、知的障害者、およびその家族など
職場 障害者支援施設など
職種 生活相談員(指導員)、作業指導員など

近年は障害者の方でも安心して働ける制度が整備されており、障害者の方の採用に積極的な企業も増えています。

関係各所を通して様々やサポートをする社会福祉士は、非常に貴重な存在でしょう。

生活に困っている人の場合は対象者が細分化

様々な事情があって生活に困っている方は多く、具体的には以下のような例が挙げられます。

働き方 内容
対象 母子家庭、障害者、高齢者、失業者、貧困者、身体・知的障害者など
職場 都道府県の福祉事務所など
職種 現業員(ケースワーカー)、査察指導員(スーパーバイザー)、専門職員など

新しい例だと、新型コロナウイルスの拡大に伴って失業してしまったり収入が大きく減ってしまった方が生活保護を受給するケースが増えています。

このようなケースでも社会福祉士は活躍しており、仕事の幅は非常に広いことがわかります。

地域に住む人たちの場合は職種が多岐

地域に住む方々を対象にする場合、以下のような働き方が挙げられます。

働き方 内容
対象 地域社会における個人、家族、各種の住民団体や住民組織など
職場 社会福祉協議会(社協)など
職種 コミュニティワーカー、コーディネーターなど

地域によっては、困っている方をサポート体制が整備されているところもあります。

そこで、コミュニティワーカーとして活躍している社会福祉士もいるため、参考にしてみると良いでしょう。

社会福祉士の資格を取得するには

大きな疑問

社会福祉士国家試験に合格しよう

社会福祉士の資格を得るためには「社会福祉士国家試験」に合格しなければなりません。

なお、試験は筆記試験のみで5つの選択肢から正しいものを選ぶ択一式問題となっています。

難解な記述式問題や多肢選択式問題は無いため、比較的対策はしやすい試験であると言えます。

とはいえ、難易度はそれなりに低くしっかりと勉強していないと合格できないため、油断は禁物です。

国家試験の日程

社会福祉士試験は年1回しか実施されず、通常は1月下旬から2月初頭にかけて行われています。

令和2年度は新型コロナウイルスの影響を受ける可能性があるため、ホームページなどで頻繁にチェックしておくことが大事です。

試験日程が発表されたら、早めに出願手続きは済ませておきましょう。

受験資格を満たす必要がある

社会福祉士試験には受験資格が定められており、受験するには受験資格をクリアしなければなりません。

具体的には、

  • 福祉系大学・短大等卒業者(指定科目履修+必要に応じて相談援助実務が求められる)

  • 社会福祉士指定養成施設卒業者(入学要件あり)

以上のいずれかの要件をクリアしなければなりません。

なお、社会福祉士指定養成施設卒業者のひとつに「社会福祉主事の養成課程を修了し、指定施設において2年以上相談業務に従事した後、社会福祉士短期養成施設等において6ヶ月以上の養成課程を修得した者」があります。

全国社会福祉協議会(中央福祉学院)では、平成2年度からこの短期養成課程を開講しているため、興味がある方は調べてみると良いでしょう。

試験範囲の科目は19科目

社会福祉士の試験科目は非常に多く、次の19科目(18科目群)から出題されます。

ちなみに、合格基準では「就労支援サービス」と「更生保護制度」を合わせて1科目群として扱います。

出題科目は、以下の通りです。

  • 人体の構造と機能及び疾病

  • 心理学理論と心理的支援

  • 社会理論と社会システム

  • 現代社会と福祉

  • 地域福祉の理論と方法

  • 福祉行財政と福祉計画

  • 社会保障

  • 障害者に対する支援と障害者自立支援制度

  • 低所得者に対する支援と生活保護制度

  • 保健医療サービス

  • 権利擁護と成年後見制度

  • 社会調査の基礎

  • 相談援助の基盤と専門職

  • 相談援助の理論と方法

  • 福祉サービスの組織と経営

  • 高齢者に対する支援と介護保険制度

  • 児童や家庭に対する支援と児童・家庭福祉制度

  • 就労支援サービス

  • 更生保護制度

合格した人数と合格率

社会福祉士の合格率は例年18〜28%程度となっています。

直近の試験5回分の合格者数と合格率は以下の表のようになっています。

試験回 合格者数 合格率
第29回 11,828人 25.8%
第28回 11,735 26.2
第27回 12,181人 27.0%
第26回 12,540 27.5%
第25回 8,058人 18.8%

このように、かなり難易度は高く4~5人に1人程度しか合格できない試験であることが分かります。

独学だとなかなか出題範囲をカバーしきれないため、予備校や通信講座を活用して合格を目指すのが一般的です。

今後も社会福祉士として活躍するには

良い職場の風景

求められてくる知識・技術

社会福祉士として活躍するためには、専門性の高い知識やスキルが求められます。

まず、福祉的な課題を抱えた方からの相談対応や、相談を踏まえた上でサービスを受けることの必要性を理解してもらう必要があります。

その際に、様々なサービスに係る専門的知識が必要となります。

また、抱えている問題は多岐に渡るため、虐待防止、就労支援、権利擁護、コミュニティへの参加など、社会福祉士として関連しているサービスの基礎的知識を身に着けておかなければなりません。

相談者とコミュニケーションを取る中で、利用者の自立支援の観点から地域において適切なサービスの選択を支援する技術や、経験も求められるでしょう。

その上で、地域の福祉ニーズを把握して、不足するサービスの創出を行政に対して働きかけるコミュニケーションスキルも多くの場面で役立ちます。

以上のようなスキルを高めていき、福祉に関するプロフェッショナルとして利用者本位の立場で活動していくことで、多くの場面で頼られる社会福祉士となることができるでしょう。

認定社会福祉士の資格をとる

認定社会福祉士とは、社会福祉士の資格を取得していて組織の中でリーダー的な立場で仕事を行う方を指します。

日本社会福祉士会によると「所属組織を中心にした分野における福祉課題に対し、倫理綱領に基づき高度な専門知識と熟練した技術を用いて個別支援、他職種連携及び地域福祉の増進を行うことができる能力を有することを認められた者」と定義されています。

社会福祉士の能力開発とキャリアアップを支援するための仕組みとして、平成24年度に創設されました。

期待する活動内容

認定社会福祉士は、所属組織における相談援助部門のリーダー的な立ち位置であるため、一般的な社会福祉士よりもスキルが高いことを意味します。

高齢者福祉や医療などの各分野の専門的な支援方法や制度に精通し、高いレベルで相談業務を行うことが期待されています。

また、他職種と連携して複雑な生活課題のある利用者に対しても的確な相談援助を実践できるスキルが求められます。

期待する役割

認定社会福祉士として働いていく上で求められる点として、複数の課題を抱えるケースへの対応ができることが挙げられます。

また、管理職としての活躍が期待されているため職場内でリーダーシップを発揮し、実習指導がしっかりできることも求められます。

経験が浅い社会福祉士に対して的確なフォローを行うことも求められるでしょう。

地域や外部機関との窓口、緊急対応、苦情対応などハードな仕事が降ってきても冷静にきちんと応対できる経験値も必要となります。

何より、利用者が安心して暮らすためのサポートとして、他職種連携・職場内コーディネート等がしっかりこなせるレベルが求められます。

要件は5つ

認定社会福祉士になるためには、5つの要件をクリアしなければなりません。

  • 社会福祉士資格をゆう保有し、ソーシャルワーカーの職能団体の正会員であること

  • 相談援助実務経験が5年以上あること

  • 定められた経験目標(経験すべき実務)の実績があること

  • 認証された研修を受講していること

  • 20単位以上の認証された研修を修了し、10単位以上のスーパービジョンを受けること

要件をクリアできたら「認定社会福祉士認証・認定機構」が審査し、その後の合格者の登録は登録機関(日本社会福祉士会)が行っています。

ただし、認定社会福祉士資格は更新制で5年の有効期限があるため、認定社会福祉士として長く働くためには更新手続きを忘れないように気を付ける必要があります。

公務員社会福祉士とは

新聞を読む人

社会福祉士の中には、公務員の身分を有している方もいます。

このような方は市役所や県庁の中の福祉に関わる部署に配属され、専門性を生かして生活に困っている方々をサポートしています。

将来が不透明で不安な要素が多い中で、安定した雇用が約束されている公務員は非常に人気の職業です。

こちらのトピックでは、公務員社会福祉士として働くときの注意点やメリットについて見ていきましょう。

雇用が安定しており、将来の見通しが立てやすい

公務員のメリットは、やはり身分保障が手厚く雇用が安定している点です。

民間企業と違って倒産することは無く、大きな問題を起こさない限り解雇(懲戒免職)されることはありません。

また、年功序列の風土が根強く残っており地道に長く勤めることで給与も年々上がっていきます。

このように、将来設計が立てやすく安心して働くことができる点は大きなメリットと言えます。

福利厚生が手厚い

公務員の給与は決して高いわけではないため、民間企業よりも給与が低いということも十分にありえます。

しかし、基本給は低くてもその他の諸手当は非常に充実しており、総支給額はそこそこの金額になるのです。

具体的な手当を挙げると、住居手当・扶養手当・超過勤務手当などです。

また、この手当以外にも人間ドックの助成や宿泊施設の割引チケットなど、プライベートでも生活をサポートしてくれる制度が多くあるので、フル活用すれば生活の大きな助けとなるでしょう。

公務員になるためのハードルは高い

公務員は定員人数が決まっており、民間企業と違って募集が年に1~2回程度しかありません。

自治体によっては募集が無い年度もあり得るため、非常に狭き門と言えます。

また、定員があったとしても採用人数の枠が少なく倍率が非常に高くなる傾向にあるため、かなりの努力が求められます。

公務員になった時のメリットは絶大ですが、たどり着くまでのハードルが非常に高い点には注意が必要です。

社会福祉士の仕事内容まとめ

社会福祉士の仕事内容まとめ

  • 活躍できるフィールドは多岐にわたり、様々な場面で求められる存在である
  • 社会福祉士の人数も増えており、今後も高い需要がある
  • 高い専門性が求められるため、向上心を持つと良い
  • 認定社会福祉士としてキャリアアップを狙うこともできる

社会福祉士が社会的に果たしている役割は非常に大きく、障害を抱えている方や社会的にハンデを抱えている方にとってはありがたい存在です。

今後は高齢化がますます進んでいくと考えられるため、より多くの場面で求められるでしょう。

将来性も非常に高くやりがいも大きい魅力的な仕事なので、興味がある方はぜひ社会福祉士の資格取得を目指してみてください!

人気記事
この記事に関連するタグ