行政書士の印鑑は何がいいの?作成時期の目安や書体、相場などを徹底解説!
この記事は専門家に監修されています
行政書士
宮城彩奈
「職印が必要って聞いたけど、どうやって作ればいいの?」
そんな疑問をお持ちの方はいませんか?
行政書士は原則、作成書類に職印を押さなければいけないと法律で定められていますが、どんな印鑑でも良いわけではありません。
この記事ではそもそも職印とはなにか、いつ作れば良いか、職印のサイズや書体はどうすれば良いかなど、行政書士の職印について丁寧に徹底解説していきます。
この記事を読めば行政書士の職印のことが分かるはずです。
また、職印と一緒に揃えた方が良いものも併せて紹介します。
行政書士の印鑑についてざっくり説明すると
- 行政書士は原則作成書類に職印を押すことが定められている
- 行政書士の職印には規定がある
- 職印の他にも用意したほうが良いものがある
行政書士の職印とは?
そもそも「職印」とは士業に関わる人が職務で使用する印鑑のことで、資格印・先生印・肩書印とも呼ばれます。弁護士や税理士なども使用しますが、使用方法や規定は業種により異なります。
行政書士は業務上で作成した書類や領収書に「職印」を押さなければいけないと法律で決まっています。どのような場面でどんな「職印」を使うのか具体的に説明していきます。
職印を押すのは法で定められた義務
上記でも触れたように、行政書士は業務を遂行する中でたくさんの書類や領収書を作成しますが、それらの成果物に対して「職印」を押さなければいけないことが法律で義務付けられています。
行政書士は書類を作成することが多いので、「職印」を使用する頻度も必然的に多くなるのです。
「職印」は印鑑ならなんでも良いというわけではなく、自分が所属する行政書士会によって決められた様式に則り作成したもので、行政書士会に登録しなければ使用することはできません。
職印を用意しないと受注できない
作成書類に押印しなければいけないということは、もし「職印」の準備をしないで開業をしてしまうと書類の作成や領収書の発行ができません。
つまり「せっかく仕事を受注しても完成して納品することができない」という事態に陥ってしまうのです。
行政書の仕事は基本的に前払いのため、契約が成立しているのに書類を発行できなかったら相手にも多大なる迷惑が掛かり、信用問題にも発展しかねません。
登録完了通知をもらったら作成
このような事態を防ぐためにも資格取得後にすぐ開業する予定がある人は行政書士会から入会手続き案内が届いたらすぐに「職印」を発注することをおすすめします。
「職印」は開業までに作成できればいつ発注しても構わないのですが、自分の名前を彫らなければいけないため完成して手元に届くまである程度の日にちが掛かるのです。
行政書士は入会式の日から仕事を受注することが可能になるため、その日までに「職印」を手に入れておけば入会式の日にすぐ仕事受注ができる準備を整えることができます。
職印に関するきまり
上記でも少し触れたように行政書士の職印には規定があり、どんな印鑑でも良いわけではありません。
さらにサイズは単位会ごとに定められているため確認が必要です。
「せっかく作った職印が使用不可だった」なんてことにならないようにしっかり確認しましょう。
職印は角印で
行政書士の職印については行政書士法第81条によって下記のように定められています。
- 角印
- 縦書き
- 「行政書士〇〇(名前)之印」と表記する
特に「角印」と定められていることを忘れて「丸印」で作ってしまう新米行政書士が多いので必ず「角印」で作成するようにしてください。
すでに活躍されている先生方は文字数が多くて2行でおさまらない・バランスが悪くなるといった理由で文字列が3列のものを使用している人が大半となっています。
サイズは単位会ごとに定められている
職印のサイズは行政書士法ではなく、単位会ごとに定められているため職印を作る前にホームページや電話で必ず確認しましょう。
もし単位会に指定がなかった場合やサイズに幅が設けられている場合は、15mm×15mm程度の小さいものを選びましょう。
大きい職印を選んでしまうと領収書や作成書類の押印欄におさまりきらないことがあり困るので注意が必要です。
東京都行政書士会の場合
職印の大きさは一辺が15mm以上 ~ 24mm以下の正方形・角印とする。 様式は、縦書き『 行政書士○○○○(氏名)之印 』とする。
埼玉県行政書士会の場合
職印の規格は18mm 角、ゴム以外のものとする。
と定められています。
書体や品質はどうする?
職印の形や大きさは分かったと思いますが、職印に彫る「行政書士○○(名前)之印」の文字の書体や職印自体の品質はどうでしょうか?
実は書体や品質について特に規定はありません。
では他の行政書士がどんな職印を使っているのか、気になりますよね?そこでここからは、よく使われる書体や職印の相場について説明していきます。
書体は篆書体が多い
先にも触れたように書体については特に規定はなく、「篆書体」「古印体」「印相体」など様々な書体の中から選ぶことができます。
しかし毎年 「篆書体」を選ぶ行政書士が多いです。「篆書体」は歴史が古く日本紙幣にも使用されている書体で、高級感がある上に読みにくいため偽造されにくいことが選ばれる理由です。
ちなみに読みやすい「古印体」は認印に、八方広がりで縁起が良い上に偽造されにくい「印相体」は銀行印として使われることが多いです。
材質の種類は
行政書士の職印の材質についての規定は特にはありません。
しかし、長年使用し続けるものである以上、丈夫な材質で欠けたりすることがないものを選びましょう。 素材に関しては以下に挙げるようにさまざまあります。
- ブラストチタン
- 黒水牛芯持(くろすいぎゅうしんもち)
- 彩華(さいか)
- 黒彩華(くろさいか)
- 柘(つげ)
- 薩摩本柘(さつまほんつげ)
素材はチタン、水牛角と木材に大別されます。
耐久性は木材の方が高いですが、捺印性に関しては水牛角の方が高いとされています。
自分が日々業務で使うものですので、一度手に取って自分に合ったものを探しましょう。
相場は1万円程度
職印はネットなどを活用すれば3000円程度で購入することができますが、実際に行政書士が作成するのは1万円~1万2千円程度の本柘植・黒水牛・チタン製の高品質で耐久性に優れるものが多いです。
なぜなら行政書士は書類が多い職業であり、職印はその作成した書類に押印するため、職印はまさに行政書士としての自分を象徴するものだという意識があるからです。
また職印は行政書士の仕事に必要不可欠な上、もし変更するときは行政書士会に届け出なければいけません。そのため初めに優れたものを買うことで不要な買い替えを避けるという理由もあります。
職印のオプション
職印のサイズや書体についてはお分かりいただけたと思いますが、せっかくなら職印に付けた方が良いオプションや、一緒に揃えておきたいものがあります。確認しておきましょう。
「アタリ」の有無
職印を注文するときには 「アタリ」が入ったものを選びましょう。「アタリ」とは職印の上下を間違えないための突起のことを指します。
アタリがあればいちいち上下を確認しなくてもすぐに押印できるため押印がスムーズになり、重要書類に職印を押し間違えるということも防げます。
10年保証がある
職印が万が一欠けたりしたら再度購入する手間と費用が掛かるだけでなく、再度登録をし直さなければいけません。
そんな事態を防ぐためにも職印を買う際に 10年保証があるものを選ぶことをおすすめします。
ネットなどではとても安い職印も取り扱っています。高いから良い・安いからダメというわけではありませんが、品質がしっかりしたものを選ぶことが大切です。
印鑑の他に注文すべきもの
職印と一緒に揃えておきたいものは大きく分けて4つあります。
- 印鑑ケース・朱肉・印鑑マット
- 銀行印
- ゴム印
- 「〇〇在中」などの印鑑
ひとつずつ詳しく見ていきましょう。
印鑑ケース・朱肉・印鑑マット
印鑑ケースは職印を注文するときにセットのものを選ぶこともできます。別に注文するときは必ず職印とケースのサイズを確認して購入しましょう。1本用のケースなら1000円程度で購入できます。
朱肉や印鑑マットは少し高価なものを購入することをおすすめします。何度も述べるように行政書士は書類作成と押印が多いです。乾きが早い・かすれにくい・しっかり印影が付くものを選ぶようにしましょう。
朱肉は4000円程度、印鑑マットは1000円程度のものが多いです。
押印は訪問先でおこなうこともあるため朱肉や印鑑マットは複数用意して使い分けることをおすすめします。
銀行印
銀行印は金融機関に口座を開設する際に必要になります。個人用口座と事業用口座をしっかり分けるためにも必ず用意しましょう。
実印などと併用することも可能ですが、紛失などのリスクを考えると 「銀行印」として用意するのがおすすめです。職印を注文するときに職印・銀行印・実印(認印)の3本セットを購入する人もいます。
どれが何の印鑑なのか分からなくならないように、それぞれの印鑑のサイズや書体を変えることがおすすめです。
ゴム印
「買ってよかった」「絶対に用意するべきだ」という声が多いのがゴム印です。 行政書士の職務で作成する文書や領収書には
-
行政書士の氏名
-
事務所の名称
-
事務所所在地(住所)
が記載されてなければいけません。
ゴム印を用意すれば、これらを毎回手書きで記入する必要がなくなり、手間が省けます。
-
事務所の電話番号
-
事務所のサイトURL
-
メールアドレス
などについても 段を組み替えて使用できるものを購入すれば書類ごとに組み替えて使えるのでとても便利です。組み換えができるものでも4000円程度で購入できます。
4段のものを使っている人が多く、明朝体または楷書体などの読みやすい書体を選ぶのが一般的です。書類は横書きのことが多いので横書きのものを選びましょう。
「〇〇在中」のなど印鑑
ゴム印ほどではありませんが、買って良かったというものに「〇〇在中」のハンコがあります。「見積書在中」「請求書在中」など書類を郵送する際に封筒に押すためのものです。
官公庁への書類は直接提出に行くことが多いですが、請求書などは郵送することが多いです。たかが数文字とはいえ、毎回記載するのは非常に手間なので必要に応じて購入しておくことがおすすめです。
スタンプ台のいらない浸透印タイプとゴム印タイプがあり、どちらも1000円程度で購入できます。
行政書士の印鑑まとめ
行政書士の印鑑まとめ
- 職印を用意しないと仕事を受注できない
- 職印は入会手続き案内が届いたらすぐに発注する
- サイズは単位会ごとに異なるので必ず確認する
行政書士の職印について詳しく解説してきました。
行政書士にとって職印はとても大切なものです。作る前にしっかり確認して長く使えるものを選びましょう。