行政書士会の年会費はいくら?登録料や入会費用など資格の維持費を徹底解説!
この記事は専門家に監修されています
行政書士
宮城彩奈
行政書士として活動する際には、行政書士会に入会することが不可欠となりますが、入会すると当然会費がかかります。
ただでさえ開業後でお金のやりくりが大変なのに、行政書士会にも高いお金を払わなければいけないなんて大変…とお考えの方もいらっしゃることと思います。
行政書士として活動するためには、登録手続きや行政書士会等の毎月の会費で何かとお金がかかるということを頭に入れておくべきです。
この記事では、行政書士会の会費や入会金など、行政書士として登録したらどのような費用がかかるのかについてご紹介します。
行政書士の年会費についてざっくり説明すると
- 行政書士は行政書士会に入会することが必須で、年会費が発生する
- 行政書士会に入会しなければ、行政書士として仕事を行うことができない
- 行政書士登録の際にも行政書士会の会費とは別にお金がかかる
行政書士の年会費はどれくらい?
行政書士試験に合格することができても、合格後すぐに行政書士として活動を始められるというわけではなく、日本行政書士会連合会(以下、日行連)が所有する名簿に名前を登録する必要があります。
その際に様々な手続きが必要になりますが、まず大切なのは行政書士会に加入することです。
行政書士会に加入したら、会費を支払わなければなりません。
月5000円~6000円が平均ゾーン
行政書士会は都道府県ごとに設置されており、開業後は自分の事務所の所在地である都道府県行政書士会に加入する必要があります。
いずれの行政書士会でも毎月会費がかかります。各都道府県で差はありますが、年に60,000~80,000円程度です。
東京都行政書士会の会費を例に挙げると月6,000円で、3か月分をまとめて引き落としという形で支払います。
用途は維持費。セミナーや研修会で取り返そう!
行政書士会の会費は、行政書士会館の維持費や職員の給与、会員向け研修会の運営費用などに使われています。
特に、行政書士会で実施されている実務研修では、相続や会社設立などをテーマにした行政書士実務を格安で教えてもらうことができます。
行政書士になったばかりの人であれば、こういった機会は非常に貴重になりますので、これらの研修会を大いに活用してせっかく払った会費の元を取れるよう積極的に参加していくのがおすすめです。
独立・開業にかかる登録料って?
ここまで行政書士会の会費について説明しましたが、実は毎月の会費以外にもお金がかかります。
行政書士として独立・開業する際には、行政書士会の会費だけではなく、行政書士会登録料などといった多くの諸費用がかかることに注意しておかなければなりません。
登録料と年会費
行政書士会に入会するためには、会費とは別にまず入会金を支払う必要があります。
この入会金として100,000~250,000円ほどかかるほか、20,000~30,000円の登録手数料も用意する必要があります。
東京都行政書士会の例を挙げると、入会金として200,000円、登録手数料として25,000円の費用がかかります。
つまり、東京都行政書士会に入会するためには、前述した3か月分の会費18,000円も含めて合計243,000円という費用がかかるのです。
そのほかにも出費はたくさん
上記のように年会費・入会金・登録手数料がかかるほか、さらに多くの出費があることも頭に入れておかなければなりません。
具体的には、登録免許税として30,000円、バッジを買う場合は3,000円、政治連盟に入会する場合はその会費として3,000円がそれぞれ徴収されます。
これらの経費と入会時の費用をすべて合わせると、300,000円ほどのお金がかかるのです。
さらに、都道府県行政書士会だけでなく、後述する支部会にも入会しなければなりませんので、そちらにもお金を払う必要があります。
これらの費用は、これから独立しようとしている人にとっては決して安い値段ではありませんので、大きな負担になってしまうと感じる方もいらっしゃるかもしれません。
日本行政書士会連合会に加入するのに必要なこと
行政書士として名簿に名前を登録し、活動を始めるためには、日行連に加入する必要があります。
日行連へは各都道府県の行政書士会を経由して登録する形になります。具体的には、行政書士会への入会申請をする際に、行政書士登録申請書類を同封して提出します。
その詳しい手順について確認していきましょう。
登録は最短1か月
行政書士として日行連の名簿に登録されるまで、かなりの時間がかかるという点で注意が必要です。具体的には、書類提出から1~2か月の日数を要します。
そもそも登録の際には、「書類提出」、「現地(事務所)調査」、「日行連の審査」と手順を踏んでようやく登録が完了するのであり、これらには時間も手間もかかります。
さらに書類提出自体が予約制となっており、1日に数人しか受け付けていません。しかも行政書士試験合格後は登録手続きをする人が多いので、混み合うこともあらかじめ想定しておく必要があります。
早く開業したいという人は早目に書類作成を済ませておき、スムーズに手続きを行えるようにしておくことが大切です。
提出が必要な書類
行政書士の登録申請の際には、申請書など多くの書類に記入する必要がありますが、その他にも多くの書類を同封しなければなりません。
具体的には、以下の7種類の書類提出が必要です。
-
合格証書原本
-
戸籍抄本
-
住民票
-
登記されていないことの証明書(法務局で取得)
-
身分証明書
-
事務所の使用権限を証する書面(賃貸借契約書など。自宅を使う場合は別)
-
事務所の写真
戸籍抄本や住民票などは、役所に足を運んで取得しなければなりませんが、窓口ですぐに発行してもらえないということもあります。
そのため、開業することが決定したらスムーズに手続きを進められるよう、これらの書類はすぐに取得しておくことが望ましいです。
また、書類に不備があったり、間違いがあったりすると、書類審査で長引いて次の段階に進めないということが起こり得ますので、書類作成の際には細心の注意を払って行いましょう。
まずは説明会に
行政書士会では、試験合格後の登録方法や費用についての説明会を毎年3月ごろに開催するところが多いです。
申請の仕方が分からない方や、開業するかどうか迷っているという方は、一度説明会に足を運んでみましょう。
なお、合格後すぐの書類審査は混み合うので、待たされる可能性が高いです。
そのため特に開業を急いでいないという人であれば、説明会に行ったり先輩行政書士の話をじっくり聞いてみたりして、少し時間を空けてから登録手続きを行えば、スムーズに手続きを進めることができるでしょう。
会費は払わなきゃだめ?
ここまで行政書士会への登録料・会費などの諸費用についてご紹介しました。
「一度に30万円以上もかかってしまう行政書士の登録諸費用に加えて毎年徴収される5~7万円の会費と、出費ばかりの行政書士会は正直負担…」と悩む方も多いのではないでしょうか?
しかし、行政書士として活動するためには行政書士会に入会することが必須ですので、会費を出し惜しんで入会拒否するなどということは不可能です。
入会しないはNG
法律により、行政書士になるためには行政書士会によって定められた登録手続きを行うことと決められていますので、行政書士会に入会していない(登録手続きをしていない)人は行政書士の資格が得られず、仕事をすることが許されません。
もちろん行政書士会への登録のタイミングは任意であるので、行政書士試験に合格してすぐに登録する必要はありませんが、登録していない期間は行政書士としての活動ができませんので、営業も行うことは当然できません。
法律に触れることになりますので、遅かれ早かれ入会をすることになります。
会費を滞納すると?
行政書士の会費を滞納してしまうと、「会員資格の停止」が行われ、行政書士会の提供する研修会等への参加権利が剥奪されてしまいます。
会員資格の停止後さらに一定期間会費の納入がなければ、「廃業の勧告」が行われます。
実は資格の停止や廃業勧告を行われてしまったとしても、行政書士としての登録は有効なので、行政書士の業務の運営自体は続けることができるのですが、信用を失うので避けるべきです。会費はしっかり払いましょう。
なお、場合によっては取り立てを行う支部もあるため、注意が必要になります。
支部に入らなければならない
行政書士会には、都道府県単位よりもさらに小さな単位での「支部」が存在します。
つまり、各都道府県単位で構成されている行政書士会と、市区町村といったより小さな単位で構成される「支部」があります。
支部には強制加入
行政書士は、自分の事務所の所在地の支部に入会することが原則となっています。そのため入会を断ったり他の支部に入会するといったことはできません。
さらに、都道府県行政書士会とはまた別に支部にも会費を支払う必要があるため、この点は注意が必要です。
支部会費は1万円程度
支部にも会費が存在し、各支部で異なりますが年会費として5,000~10,000円ほどのお金がかかるのです。
人数の多い支部や、福利厚生が充実している支部は支部会費が高額となっています。
また、支部会費を滞納すると、行政書士会と同様研修会に参加できなくなったり支部の仕事をあっせんしてもらえなくなるなど、ペナルティを受けてしまいますので、支部会費も忘れずに支払いましょう。
行政書士の年会費まとめ
行政書士の年会費まとめ
-
行政書士は日行連への登録のほかに、各都道府県行政書士会・市区町村支部への入会がそれぞれ必須となり、それぞれの会費としてお金を支払わなければならない
-
行政書士会の会費は行政書士会館の維持費や職員の給与に使われるだけでなく、様々な研修会の実施の費用として充てられている
-
行政書士会への入会金は30万円ほど必要で、さらに年会費も払う必要がある
-
行政書士会への入会は一見高いように見えるが、無料または格安で研修会に参加できるなどメリットもあるので活用するべき
ここまで、行政書士会の会費についてまとめました。
行政書士会に入会したら結構な額の会費を支払うことにはなりますが、行政書士として働くには必須です。
さらに、研修会に参加したり、仕事を斡旋してもらえるなどのメリットもありますので、しっかり会費を払っていけるよう、お金をやりくりすることも大切であることを頭に入れておきましょう。