行政書士の名刺はどうする?必須の記載事項から相場、渡す相手まで詳しく解説
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行政書士
宮城彩奈
「行政書士事務所を立ち上げたが、顧客をどうやって探していこう・・・」
「名刺を作ってみようと思うが、効果あるのだろうか?」
この記事を読まれているあなたは、きっと上記のようなお悩みをお持ちの方なのではないでしょうか?
晴れて行政書士事務所を開設したら次の段階として、見込み顧客や人脈を広げていかなければなりません。ただやみくもに挨拶しに回ったとしても相手の記憶には残らないため、名刺を作成することをオススメしています。
この記事では、名刺を渡す相手について、名刺の作成方法から相場について詳しく解説してきます。
行政書士の名刺についてざっくり説明すると
- 名刺配布は自分の存在を見込み顧客や同業者に覚えてもらうため
- 配布対象者の属性によって名刺を使い分ける
- 顔写真を載せると相手の記憶に残りやすい
- 名刺の相場はピンキリ
行政書士として名刺を渡す意義
行政書士として事務所の開業が決まりましたら、最初にやらなければならないことの一つとして、「名刺作り」が挙げられます。
名刺なんてただ名前と事務所名を入れておけばいいだけでしょ?と考えている人も多いと思いますが、行政書士にとってこの「名刺」は想像以上に重要な意味合いを持っています。
行政書士にとっての「名刺」の役割について解説していきます。
基本的に誰も覚えてくれない
行政書士の資格を取得し、晴れて事務所も開設できた!これで自分の将来は安泰だ!などと考えていている人は危険です。
行政書士として事務所を開設したとしても、仕事が勝手に沸いて降ってくるわけではありません。
意外にこの当たり前の厳しい現実を理解していない人が多いです。
仕事は自分で獲ってこなくてはいけず、お客様を求めて営業活動をしていかなければなりません。
見込み顧客との挨拶の際に、ただ平凡な自己紹介を行うだけでは、相手の記憶にあなたは残らず仕事が回ってくる可能性は低いでしょう。
そうならないように、行政書士としての自分の存在を見込み顧客や同業者へ強烈に印象付けて覚えておいてもらうために名刺というものが存在するのです。
名刺の目的は人脈と顧客開拓
行政書士が作成する名刺は以下に大別されます。それぞれの名刺で配布する対象が変わってきます。
①開業準備中の名刺
事務所設立の前段階です。まずはあなたの存在を回りに知ってもらわなければなりません。
あなたが行政書士として事務所を開業することをたくさんの人に知っといてもらえば、顧客として相談にきてもらったり、見込み顧客の紹介を受けるチャンスも増えることでしょう。
家族や友人、前職の人脈や、同業者へどんどん名刺を配って顔を覚えてもらうようにしましょう。
②開業後の基本名刺
①と似ていますが、現在あなたが行政書士として活動していることや、取扱業務の範囲を知ってもらい、人脈を増やしていくためのものです。配布対象は、①と同様です。
③業務特化型の名刺
①②とは違い、属性を絞った顧客に対して仕事を獲りにいくためのものです。
配布する名刺の内容は、業界や顧客によって変えなければなりません。顧客が関心のある事案に対して、ピンポイントに絞った名刺を渡してあげる方が、印象としては残りやすいです。
細やかな気配りを地道に積み上げることで、信頼は徐々に積みあがっていくのです。
行政書士の名刺に書くべきことは?
名刺は個人によってデザインに様々な工夫が施されていますが、記載しなければならない内容は基本的には決まっています。名刺の記載事項、作成のポイントについて解説していきます。
表面は基本事項7つ
名刺の表面に記載すべき内容としては、
- 「事務所名」
- 「氏名」
- 「住所」
- 「電話番号」
- 「携帯番号」
- 「FAX番号」
- 「e-mailアドレス」
- 「事務所HPのURL」
です。抜け漏れがないかあらかじめチェックしておきましょう。
相手に印象付けるため名刺にインパクトを出したい!と考えるのであれば、徽章や顔写真を加えるとベターです。
顔写真の効果
顔写真を載せると相手の記憶に残る可能性はグンと高まります。 たかだか1回名刺交換しただけでは、その方がよほど困っている状況でない限り、あなたがどんな人だったかは数日もしないうちに忘れてしまいます。
名刺に視覚の情報を与えることで、記憶から引き出しやすくなる効果があります。
また顔写真の替わりにイラストを載せる人もいます。インパクトはあるかもしれませんが、肝心の顔を思い出すことに繋がらないため、効果的であるとは必ずしも言えないでしょう。
徽章の効果
徽章は載せなくても別段影響はありませんが、あると名刺としての重厚感を出すことができます。
日本行政書士連合会のHPから簡単にダウンロードできるため、入れといて損することはまずないでしょう。
裏面は名刺によって異なる
名刺の裏面には基本的に取扱業務を記載します。まだ開業準備中などで取扱業務が具体的に定まっていない場合、
「行政書士をはじめたてのため、業務範囲は限定しておりません。
いただいた仕事は、どのようなお仕事でも誠実に取り組まさせていただきます」と記載しておいても構いません。
経験を積んでいく内に、自分の得意分野が定まってきたら、顧客として狙う業界の方々に向けてアピールするため、業務特化型の名刺の裏に「遺言に関する手続きや書面作成」
など自分の専門分野をわかりやすい平易な表現で簡潔に記載しておくといいでしょう。
専門分野をごちゃごちゃ書くのはNG
得意とする分野がいくつもあるからといって、片っ端からずらずらと記載したとしても、名刺をもらった人は全てをいちいち読んでくれるわけではありません。
名刺に記載するのは特定の分野に絞った方が見込み顧客の心にも刺さりやすいため、より効果的な宣伝になります。
欲張りは逆効果になることを覚えておきましょう。
名刺を渡す相手は誰?
行政書士としての名刺ができたら早速配り歩きたいところですが、手あたり次第なりふり構わず配り回ろうとはしてないでしょうか?せっかく配り歩くのであれば、渡す相手の特性を理解しておくことが重要です。
行政書士として名刺を配る場合、相手の特性としては以下に大別されます。
- 先輩の行政書士
- 他の士業の先生方
- 知人
- 見込み顧客
それぞれで渡す名刺が微妙に変わってくるので、違いをしっかり理解しましょう。
先輩行政書士
先輩行政書士へ渡す名刺は、「開業準備中の名刺」「開業後の基本名刺」であり、渡す目的は先輩行政書士と仲良くなるためです。
先輩行政書士と親交を結んでおけば、行政書士での実務についてわからないことが出てきたときにアドバイスをいただくことができます。
また、同業者である行政書士に名刺を配っておくことで、その人が手に負えない時などに仕事を回してもらえるケースもあります。先輩や同期など関係性を気にすることなく、名刺を配り歩くといいでしょう。
他士業の先生
他士業の先生方に配る名刺は、「業務特化型の名刺」であり、渡す目的は行政書士の独占業務以外の仕事を行う必要があり、他士業の先生の力を借りなければいけない時(例えば相続における不動産登記など)に他士業の先生に仕事を依頼することをできるようにするためです。
逆もしかりで、他士業の先生に一定数名刺を配っていれば、許認可に関する書面作成など行政書士の独占業務に関する仕事を依頼してくれる場合もあります。
お互いの立場でしかできない仕事ですので、仲良くなっておくに越したことはありません。
知人
知人に配る名刺は、「開業後の基本名刺」がおすすめであり、渡す目的は知人に名刺を配っておくことで、顧客を紹介してもらいやすくなるためです。
人間は見ず知らずの他人に営業されるよりも、知人に紹介された方がすぐに信頼してもらいやすい生き物です。親族や友人、前職の同僚など、行政書士をやっていることを知ってもらうことが大切です。
見込み顧客
見込み顧客に配る名刺は、「業務特化型の名刺」であり、渡す目的は自分の専門分野を知ってもらうことで、何かトラブルがあったときにすぐに相談してもらえるようにするためです。
もし余裕があれば、「建築業界には建築業界用の名刺」「自動車の登録関係には自動車業界用の名刺」といった見込み顧客の業界に合わせた名刺を用意しておくと相手の心により刺さりやすいです。
人気の名刺デザインと相場
名刺の相場は
名刺作成を業者に依頼した場合の相場はピンキリです。使う紙の種類(厚紙や和紙、光沢紙など多様)や、印刷をカラーにするか白黒にするか片面カラーにするか等で値段が大きく変わってきます。
具体例を挙げると、両面カラーで安いものだと1000円から高いもので10000円以上のものまで幅広くあります。
最終的には予算と相談して決めることになると思いますが、あまりに安すぎるもので作成すると、ペラペラの紙で安っぽい雰囲気の名刺が出来上が ってしまうため、それなりのものを選びたいところです。
ロゴや顔写真入りの名刺も
名刺にロゴや顔写真を入れるとオプションとして別料金を取られることがあることを覚えておきましょう。
顔写真の場合は+500~3000円、ロゴマークの導入は+800~2000円で請け負ってくれるところが多いです。
名刺を効果的に活用して人脈を広げよう!
行政書士の名刺についてまとめ
- 開業準備中の名刺、開業後の基本名刺、業務特化型の名刺を使い分ける
- 名刺の予算はケチらずに、それなりのグレードで準備しよう
- 顔写真を載せると覚えてもらいやすい
行政書士の名刺について解説してまいりました。開業したての時期はあなたの存在を知っている方はほとんどいません。
名刺を効果的に活用することで、あなたのことを記憶の片隅にでも覚えてもらえておけば、いざという時に仕事に繋がる可能性が高くなります。
名刺はあなたの顔代わりになるものですので、予算はケチらずにかっこいい名刺を作って、見込み顧客や同業者へ印象付けさせましょう。