行政書士の実務の勉強方法は?実務講座や書籍の使い方・セミナーや研修会の内容も紹介

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行政書士

宮城彩奈

「行政書士の実務はどこで習得できるの?」

「実務講座や研修・勉強会には参加したほうが良いの?」

行政書士試験で勉強したことは実務に直接結びつくわけではないので、試験に合格したものの、実務経験がないまま開業することに不安を抱える人は多いかと思います。

そんな方のために実務講座、セミナー、研修会など、独立開業している行政書士が実務を学べる場があったり、実務を勉強する方法があります。

ここでは行政書士の実務をどう習得するかについて、実務講座やセミナー・研修会の長所・短所を踏まえて徹底解説します!

この記事を読み終わる頃には、行政書士の実務をどうやって身につけたら良いかがイメージできるはずです!

行政書士の実務の習得についてざっくり説明すると

  • 独立開業している行政書士向けに、実務経験がなくても実務を習得できる機会がある。
  • 実務講座、研修、セミナー、勉強会、本などから実務を学ぶことができる。
  • 実務だけでなく仕事の取り方を学ぶ必要がある。

行政書士の実務はどうやって習得するの?

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行政書士の試験は、実務とかけはなれた知識を問われる試験であるために、試験に受かっていざ開業してみると「仕事のやり方が分からない…」と悩んでしまう行政書士は多いです。

具体的には以下のような事柄について学ばなければなりません。

  • 書類作成の手順
  • 書類作成の際に気をつけること
  • 個別の事例に関連する判例や条文

実務不足で失敗してしまわないように、行政書士実務について勉強する機会がさまざまなところで設けられています。 行政書士の実務が学べる場について詳しくみていきたいと思います。

資格学校の実務講座

大手の資格予備校は行政書士に受かるだけではなく、受かった後の実務のやり方までフォローしてくれるような講座を用意してくれていることが多いです。

講座の内容としては、一般的に行政書士が業務として担当することが多い建設業務などの許認可業務や遺言相続業務などの進め方を初め幅広い業務に関して教えてくれるというものです。

また大手予備校では、事務所経営のやり方など開業独立を見据えた実践的な業務を教えてくれることもあります。

予備校が主催しているために、開業後につまづきがちなことについてわかりやすく解説してくれます。

また、この講座でできる人脈が開業後の頼りになります。

任意団体のセミナー

資格予備校だけでなく、ほかの団体でも行政書士向けにセミナーや研修会などを開いている場合があり、実務を学べるチャンスがあります。 お金に余裕があればこちらを訪れてみるのも一つの方法です。

行政書士以外の団体が開催している研修会であっても、業務に関連する内容を勉強できることもあるので、関心のある分野があれば足を運んでみるのも良いでしょう。

行政書士研修会

各都道府県の行政書士会が主催している研修会や勉強会に参加することで、無料~2、3000円程度で実務経験豊富な行政書士から通常の基礎的な実務業務について丁寧に教えてもらうことができます。

さらに、研修会の後の懇親会に参加すれば会場に来ている先輩行政書士との人脈を築くことができるため、研修会で習っていないようなイレギュラーな依頼がきた時も相談に乗ってもらいやすくなります。

幅広い業務に携わっている方との交流が生まれるのも行政書士会主催の研修会に参加することのメリットと言えます。

ここで注意したいことがあります。こういった行政書士会主催のイベントに参加するには、行政書士会に登録したり事務所を構えたりする必要があるため各都道府県のルールを確認しておくことが必須です。

開業前に先輩行政書士の事務所でバイト

一番実務についてしっかり勉強ができる方法として 「行政書士事務所への正社員またはアルバイト勤務」 があげられます。

事務所に勤務する期間でさまざまな実務ノウハウや経営手法を教えてもらうことができるため、手っ取り早く成長できるという利点があります。

とはいえ、事務所の求人自体が少なく無給である場合も多いため、なかなか見つかりにくいという現状があります。

また、勤務する事務所によってはその事務所が専門で請け負っている分野の仕事しか経験できず、その経験がそのまま活かせるかどうかわからない場合もあります。

また、その事務所で一定期間働くことで開業までに時間がかかってしまうことが考えられます。

人脈がない場合はどうする?

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実際に出かけて行きたくても、交通的に不便な土地で行政書士として開業していたり開業したてで忙しく、研修会や講習会に参加している暇がないという人もいるでしょう。

まとまった時間を確保するのが難しい人でも、自宅で実務経験を身につける方法がありますので、いくつかご紹介します。

本で学ぶ

行政書士の実務について行政書士が執筆した本がいくつも出版されていて、Amazonや楽天ブックスなどですぐに購入することができます。

ネット上にあがっている手引きや申請書類の様式と併せて使えば、セミナーへの参加や講習会の受講ができない行政書士でも、支障なく実務が行えるレベルの知識を身につけることができます。

ただし、出版されてから時間が経過しているものだと本の内容が参考にならない可能性もあります。

また、書籍に書かれている内容で不明点があった場合でも一人では会計つすることができません。

管轄の役所へ相談

特定の業務に関しての許認可を受け付ける管轄の役所があるならば、そこに相談してしまうのも一つの手段です。

職員によって対応がさまざまだったり、体系に知識を学べないという欠点はあるものの、役所であるため職員が法律にのっとった申請書の書き方を無料で丁寧に教えてくれるという利点があります。

質問するときは何が知りたいかが伝わるように、要点をおさえて具体的に聞くようにしましょう。

【一人で出来る】実務の勉強方法

ここでは自分一人でできる実務力の磨き方をご紹介します。

まずは専門分野を決める

まず、一口に「実務」といっても、行政書士が可能な業務は極めて多岐にわたるので、まずそもそも「自分の専門分野を何にするか」を決めることが肝要です。

「なんでもやれる行政書士」といえば聞こえは良いですが、依頼する側からすると「専門性がなくて中途半端」と捉えられてしまう恐れがあります。

実際、一つの分野を極めるだけでも膨大な時間と労力が必要ですから、そもそも「なんでもできる」行政書士は無理があります。とりあえず受注してみて、万一職務が遂行できないことになってしまえば、評判が大きく落ち込んでしまうのは避けられません。

もちろんあまりにニッチな領域に絞ってしまうと顧客獲得に苦労することになってしまうので絞り方の塩梅も重要ですが、基本的にはある程度専門分野は絞ることをおすすめします。

専門分野の書籍を読む

専門分野を決めたら、その分野の実務を実務を解説している書籍を購入し、基本的な知識から仕事の流れまで押さえておきましょう。

ここでケチをしてネット検索だけで情報収集をするのは本当におすすめしません

ネットの情報は各ページで情報提供者がバラバラなので体系だった知識を得られませんし、書籍と比べると情報の質が落ちるケースが多いです。

また、書籍なら実際の実務の際にも読みながら業務ができますが、ネットの場合は逐一再検索しなければなりません。

Amazonで「行政書士 建築業法 実務」のように検索すれば、実務を紹介している書籍は多く見つかりますから、専門分野の書籍は最低でも1冊は持っておきましょう。

実務講座の方が向いている人

以下のような方々であれば、正直自分だけで勉強するよりも資格予備校・通信講座が提供している実務講座の受講がおすすめと言えます。

  • 何を専門にすれば良いかが分からない
  • どれくらい専門分野を持っておけば良いか分からない
  • 顧客との接し方など基本的なビジネススキルに不安がある
  • 成功している実務家のリアルな声が聞きたい
  • 開業のノウハウを具体的に知りたい

総じて、「試験に合格したものの、今後どうすれば良いのか分からず不安」という方は、実務家講座を利用することで行政書士の資格をしっかりと活かすことができるでしょう。

特に資格学校のアガルートの提供する「行政書士 実務・開業講座」は料金が50,000円前後と非常にリーズナブルな上に、士業実務家を50人以上抱える優(ゆう)オフィスグループ代表の東先生による実践的なノウハウを手に入れることができるので、実務講座選びにお迷いの方はぜひ検討してみてください。

アガルートの公式サイトはこちら

実務経験が無いゆえに逮捕されることも

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仕事が忙しくても実務を学び続けることが大切だということを忘れないでください。実務を学ばないことで最悪な事態を招いてしまうケースもあります。

行政書士のなかには、開業してから実務についての知識をインプットするのを辞めてしまう人が一定数います。

こういった人たちは、せっかく仕事が回ってきても実務経験がなく自分でこなすことができないため、長期間業務に手をつけずに顧客に迷惑をかけてしまったあげく、懲戒処分が下る事例が散見されました

このようなことが起こらないためにも、仕事が忙しくなっても行政書士の業務について学び続けることは重要です。

実務よりも仕事を取ることを優先して

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行政書士が実務を学ぶことは大事ですが、仕事の取り方を身につけることも重要です。 顧客を獲得して実際の仕事を通じて実務を学び、経験を積んでいくことが大切です。

行政書士はただ実務ができれば仕事が舞い込んでくるというわけではなく、集客の方法を主体的に勉強して新規の顧客を開拓していくことが重要です。

チラシを作成するにしてもネットで集客を行うにしても、コストも手間もかかります。どこに資金を使ってどこで売り上げを伸ばすか、経営面についても勉強する必要があります。

仕事を獲るのが一番難しい

行政書士資格の取得後は「実務経験がないのに大丈夫か」「専門知識がないのに自分はやっていけるだろうか」と考える行政書士は多いです。

実務も大事ですが、それ以上に大変なのは仕事を獲ることです。

独立開業するならば実務経験の有無よりも顧客を獲得できるかどうかが問題になります。

仕事をしながら学んでいくことも重要

顧客を獲るのがいかに難しいかを考えたうえで、行政書士の実務は実際に仕事を引き受けて試行錯誤して学んでいくことが非常に重要です。

初めての顧客相手に手探りで自分で調べながら申請書類を書く経験や、役所との折衝した経験は、のちのち行政書士として一人前になるための大きな糧になります。

行政書士の実務の習得まとめ

行政書士の実務の習得まとめ

  • 行政書士会の研修会や懇親会に参加すると、人脈ができたりメリットは大きい。
  • 行政書士事務所で働くことで実務経験を積むことができるが、求人は少ない。
  • 実務を学び続けながら、顧客を獲得できるように努力することが大切である。

ここまで、行政書士の実務をどう習得するかについて、さまざまな角度から詳しく解説してきましたので、ぜひ参考にしてください。

行政書士として仕事をするには、実務を習得するだけでなく、自分から人脈を築いたり仕事の取り方を勉強したり、積極的に学んでいくような姿勢が大切です。

行政書士として前向きにステップアップしてみませんか。

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