弁護士会と日弁連の会費はいくら?登録費用や年会費など資格の維持費を徹底解説!
弁護士として働くには、弁護士会の登録が必要です。登録にはお金がかかりますが、このお金がどれだけ必要か分からない方も多いのではないでしょうか。
そこで資格Timesでは弁護士会の会費について分かりやすく解説します!
どれくらいの金額を準備すべきかといった基本的なことから、支払った会費がどの様に使われるのか、滞納してしまうとどうなるのかといったことまでご紹介します。
弁護士会の会費についてざっくり説明すると
- 弁護士は独立体制を築いており、運営や維持の費用も自分達で用意しなくてはならない
- 弁護士会に入会する時は登録料と月々の入会費が必要
- 支払いが難しい人のための減額措置や免除がある
- 支払わないと弁護士として業務ができない
日本弁護士連合会の年会費はどれくらい?
弁護士の資格は重い懲戒処分を受けるなどしない限りは、一生使える資格です。しかし、弁護士として活動するには、弁護士会に入会しなくてはなりません。この時、お金が必要になります。
まずは弁護士として活動するにはどれだけお金が必要なのかを解説していきます。
弁護士会に登録するには登録料が必要
弁護士会に入会する際には、登録料が必要になります。この登録料の金額は一律で3万円です。会費とは別に用意しておく必要がありますので、注意して下さい。
また、弁護士として働く場合、2つの弁護士会に入会しなくてはなりません。
- 全ての弁護士が所属しなくてはならない日本弁護士連合会(通称日弁連)
- 勤務地となる都市を管轄している弁護士会
この2つの弁護士会へ払う登録料と会費は別々に用意して支払うことになります。どちらも弁護士として働く上で、欠かせない費用です。支払いのお金を準備する時は注意して下さい。
月12,400円が月額の会費?
まず、日弁連の会費について解説します。日弁連の会費は平静27年12月4日より、月12,400円となっています。
この他、特別会費が存在しており、これも支払わなくてはなりません。特別会費の内容と金額はこの様になります。
- 少年・刑事財政基金のための特別会費 月額1,900円
- 法律援助基金のための特別会費 月額900円
この金額に月々かかる会費を合計すると、15,200円となります。これが、日弁連に毎月支払う会費の金額です。
負担軽減措置について
司法試験に合格したばかりの弁護士には、当然仕事はありません。日弁連をはじめとした弁護士会に所属し、弁護士事務所で働いて初めて報酬や給与を受け取れるようになります。
弁護士としての仕事が軌道に乗るまでは、お金の支払いも大変です。そのため、司法修習終了後2年間は、会費の負担軽減措置が設けられています。
負担軽減措置を受けた場合の金額は、この様になります。
- 会費 月6,200円
- 少年・刑事財政基金のための特別会費 月1,900円
- 法律援助基金のための特別会費 月900円
負担軽減措置を受けた場合は、月にかかる会費の合計は9,000円となります。支払う金額が司法修習終了後の経過年数で違うことを覚えておきましょう。
日弁連の会費は免除出来る場合もある
日弁連では、特定の理由がある場合は会費の支払いを免除できます。 会費の免除が受けられる条件はこれらの条件です。
- 弁護士登録の期間が通算して50年以上であるとき
- 77歳に達し、かつ、弁護士の登録期間が通算して20年以上あるとき
- 病気または傷害により弁護士業務を執ることが困難であるとして、所属弁護士会において会費の全部の免除を受けているとき
- 出産をする場合
- 子の育児をする場合
もし、何らかの理由で弁護士として働くのが難しくなった場合は、会費の免除申請を行いましょう。
会費の使用用途は?
この様に集められた会費は、弁護士会の維持や運営、弁護士の活動をサポートするために使用されています。
- 弁護士会で使用する施設の維持費
- 弁護士会を運営する職員の給与
- 弁護士会の会員向けシンポジウムの運営費用
- 時代を担う法律家の養成
弁護士は独立自治の体制を取っている為、これらの費用も自分達で用意しなくてはならないのです。
弁護士会の会費は弁護士の使命にも活用されている
また、弁護士会の費用は弁護士会やそこに所属する弁護士の為だけに使われている訳ではありません。弁護士を利用する一般の方達や、国際的な問題に取り組む際にも利用されています。
こちらが弁護士会の主な活動です。この活動にも、弁護士会の会費は活用されています。
- 人権擁護活動
- 刑事司法の改正
- 民事行政法制の改革と改善
- 司法基盤の整備と拡充
- 弁護士制度の改善
- 利用しやすい司法の実現
- 弁護士の国際活動の支援
これらの活動は弁護士の使命である基本的人権の擁護と社会正義の実現を全うするための活動です。弁護士会の会費を払うことは、弁護士としての使命を果たすことにもつながっています。
都市ごとの弁護士会にかかる登録料って?
弁護士として働く場合、日弁連とは別に勤務地の弁護士会に所属しなくてはなりません。この都市ごとの弁護士会は、日弁連とは違い、登録する都市によって登録料や年会費の金額が違います。
次の項目では、都市ごとの登録料と年会費について解説していきます。
登録料と年会費
弁護士会は弁護士全体を束ねる日弁連とは別に、地域を担当する裁判所ごとの弁護士会があります。弁護士として活動する場合は、この弁護士会にも登録料と年会費を支払わなくてはなりません。
この踏力量と年会費は日弁連の会費とは違い、弁護士会によってかかる費用が違います。これは、弁護士会に所属している弁護士の数が関係しています。
所属している弁護士が少ない場合、少ない人数で維持費を捻出しなくてはならないため、会費の負担が大きくなるのです。
年会費の例
では実際の弁護士会費用を見てみましょう。東京都の弁護士会の会費を見ると、以下の様な構成になっています。
- 弁護士会への登録料 30,000円
- 弁護士会の年会費 18,500円
- 弁護士会の特別会費 10,000
これらの金額を合わせると、合計で58,500円になります。これに加えて日弁連の登録料と年会費、特別会費がかかってくるのです。
この年会費は勤務地を管理する弁護士会によって変わっていきますが、大体年間で100万円程になります。
負担するのは事務所が多い?
かなりの出費となる弁護士会の支払いですが、実際の支払いは弁護士が所属している弁護士事務所や企業が支払っている場合がほとんどです。
個人が弁護士費用を負担するケースはほとんどありません。しかし、弁護士会の登録費用は弁護士をしている以上必ず関わってくる事柄です。自分が支払わないから関係ない、とは思わないようにしましょう。
地域ごとの弁護士会にも負担軽減措置や免除制度がある
日弁連の所で弁護士になりたての方のための措置や、弁護士として仕事を続けるのが難しい方のための免除制度について触れました。この措置や免除制度は、地方ごとの弁護士会にも存在しています。
しかし、登録料や年間費同様、所属する弁護士会によって措置や免除の内容は違います。地域によっては、負担軽減措置が無い地域もあるのです。
これも、地域ごとに弁護士会へ支払う金額に違いが生まれている理由の一つとなります。
弁護士会ごとの免除制度は日弁連の免除制度にも影響を与えている
日弁連の免除の項目の中には、地方弁護士会の免除制度が条件として関係している条件があります。地域ごとの弁護士会の判断によっては、この免除制度が利用できない場合もあるのです。
地域ごとの弁護士会の会費をチェックする時は、金額だけでなく負担軽減措置や免除制度も忘れずにチェックしましょう。
そのほかにも出費がある
弁護士の出費は、弁護士会への支払いだけではありません。弁護士は資格免許を登録する際に、税金がかかります。この登録免除税の金額は6万円となっています。
登録の際は、弁護士会だけでなく国への支払いも用意しなくてはならないのです。
また、弁護士バッジ等、弁護士として活動するのに必要な物を揃えると、全部で大体15万円程のお金が必要になります。
弁護士会に加入するのに必要なこと
弁護士会に加入する場合、初期費用だけでもかなり大きな金額がかかる事が分かりました。金額が大きいとどうしてもそこに目が行きがちですが、入会の準備にも目を向けなくてはなりません。
ここからは、弁護士会に加入するのに必要な事を解説していきます。
登録までには最短1ヶ月
弁護士会の登録は、以下の手順で進んでいきます。
- 登録料などの振り込み
- 弁護士登録のための書類提出
- 審査(面接)
この手順を全てこなして初めて弁護士として活動できるようになります。書類提出は郵送提出が可能ですが、提出してから全ての手続きが完了するまで、大体1~2か月ほどかかります。
当然ですが、書類の不備や振り込み忘れ等があれば、その分手続きが遅れます。手続きの遅れは弁護士としての活動の遅れだけでなく、就職にも影響が出てしまいます。 不備や忘れの無いようにしましょう。
提出書類一覧
最初の手順で送る書類ですが、送る書類は管轄する弁護士会によって違います。ですが、多くの場合、10種類以上の書類を用意し、送る事になります。
その中に一つでも不備や忘れがあれば、当然手続きにも遅れが出てしまいます。 注意しましょう。
以下の表は東京弁護士会に入会する時に必要な提出書類をまとめたものです。この様に、必要書類は弁護士会ごとに公表しているので、情報を確認しておきましょう。
記入が必要な書類 | 記入が必要な書類(任意) | 添付書類 |
---|---|---|
入会申込書 1通 | 弁護士記章改造希望届 2通 | 弁護士となる資格を証明する書面 2通 |
弁護士名簿登録請求書 2通 | 戸籍氏名に外字を使用している場合の氏名表記について 1通 | 戸籍謄本、戸籍抄本または戸籍記載事項証明書 2通 |
誓約書 2通 | 職務上の氏名の届出書・使用許可申請書 2通 | 身分証明書 2通 |
日弁連用履歴書(書式№2履歴書) 1通 | 後見登記等ファイルに登記されていないことの証明書 2通 | |
東京弁護士会用(書式№4履歴書) 1通 | 登録料と入会金の振り込み明細コピー | |
質問事項書 1通 | ||
連絡先回答書 1通 | ||
個人情報の第三者提供に関する同意書 1通 |
添付書類の所にある弁護士となる資格を証明する書面ですが、これは以下の書類のことを指しています。
- 司法修習修了証書の写しまたは最高裁人事局長名による司法修習証明書(登録請求前3か月以内に発行のもの)
- 期前の場合は高等試験司法科試験合格を証明する書面
書類の中には発行に時間がかかる点に注意
色々な書類が大量に出てきましたが、書類によって発行できる日時決まっているものや、発行まで時間がかかる書類があります。
弁護士会が提出書類を受け付けてくれる期間は、弁護士会によって違います。この期間を過ぎてしまうと、次の登録の時まで手続きが出来ません。 弁護士会に書類を送る際は、お金や書類の準備を計画的に行うようにして下さい。
登録手続き後は?
因みに、弁護士会の登録はただ手続きをすれば終了、という訳ではありません。各地の弁護士会では、新規登録弁護士のための研修会が行われます。こちらに参加しなくてはなりません。
また、弁護士会に入会してから一定期間経過した弁護士は、倫理に関する研修会に参加する必要があります。
この研修は全て受講義務があります。そのため、就職の際は研修に参加する旨を就職先に理解してもらわなくてはなりません。あらかじめ就職先に相談しておきましょう。
会費は払わないといけないの?
弁護士会の入会費は、一度に数十万も支払わなくてはならない大きな費用です。当然「どうしても払わなくてはならないの?」と思う方もいるかと思います。
しかし、弁護士として仕事をしていく場合、弁護士会への入会は避けては通れません。なぜ弁護士会への入会が必要なのか、入会後会費を滞納するとどうなるのかについて解説します。
入会義務がある
弁護士は弁護士法で弁護士会に所属しないと仕事をしてはいけないと定められています。つまり、登録手続きをして登録料や入会費を支払わないと、弁護士としての活動はできない のです。
弁護士会への登録は任意となっているため、司法試験に合格したらすぐに登録しなくてはならない、という訳ではありません。しかし、弁護士会への登録をしていない状態で弁護士の仕事をすると、法律違反となります。
会費を滞納すると?
では、登録後会費を支払わないでいるとどうなるでしょうか。これは懲戒処分の対象となります。会費滞納の場合、処分内容の殆どが業務停止命令や退会命令といった重い処分を言い渡されています。
業務停止命令や退会命令は、弁護士としての信用を落とすだけでなく、弁護士生命にも深く関わる重い処分です。
支払いができない理由の中には、病気やケガ、出産や育児といったどうしようもない理由の場合もあります。そういった場合は免除制度が使えないか相談しましょう。
滞納した場合の例
では実際にどれ位滞納したら懲戒処分を受けるのかについて解説していきます。例として、実際に懲戒処分を受けた方の月数と金額、処分内容をまとめました。
弁護士会 | 滞納月数 | 滞納金額(万円) | 懲戒処分 |
---|---|---|---|
福岡 | 15 | 72 | 退会命令 |
札幌 | 21 | 96 | 戒告 |
栃木 | 18 | 136 | 業務停止3か月 |
例を見ると分かるのですが、弁護士会によって滞納月数や金額、処分の内容がバラバラです。 処分が下されるタイミングやその内容に違いがあるのは、弁護士会のシステムが関係しています。
なんでこんなに払うの?
最初の方でも少し触れましたが、弁護士は独立した自治体制を取っています。弁護士はその仕事上、場合によっては国と権利を争う場合もあるため、国から独立した立場を保つ必要があるのです。
そのため、弁護士会の維持や運営も弁護士で行わなくてはなりません。弁護士会費は弁護士という仕事を維持するために使われている費用なのです。
弁護士会の会費まとめ
弁護士会の会費まとめ
- 弁護士会の登録や入会にはお金がかかる
- 弁護士会の入会費には支払いの負担を軽減できる措置や免除がある
- 会費の滞納は重い懲戒処分の対象となる
弁護士会の会費はとても大きな費用です。しかしこれは、弁護士としての使命を果たし、仕事を続けていくために必要な費用でもあります。
せっかく司法試験に合格したのに、その力を活かさないのはもったいないです。まずは弁護士会へ登録、心配なら相談する所から始めてみて下さい。