税理士試験と簿記の違いと関係性とは?簿記1級のメリットや免除制度についても解説!

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税理士

脇田弥輝

  • 「税理士試験と簿記はどちらが難しい?」
  • 「簿記は就職や転職で役に立つの?」

このように思っている方はいらっしゃいませんか?

この記事では大人気資格の税理士と簿記の難易度の違い、合格率、メリットなどについて詳しく説明していきます!

税理士試験と簿記についてざっくり説明すると

  • 税理士試験では簿記の内容も含まれる
  • 難易度は税理士試験の方が高い
  • 就職や転職で有利になる

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簿記と税理士はどちらも大人気資格

簿記とは、基本的には会計のことを学ぶ資格です。また、簿記1級を取得することで税理士試験を受けれます。

税理士とは、税務に関する専門家のことで、国家資格の一つです。

税理士は将来性も高く、AIが普及してもその必要性は大きく変わりません。

簿記と税理士はどちらも取得することで、就職や転職ではとても有利なる、資格手当が支給されるなどで高収入に繋がる、その他にも様々なメリットがあり、大人気の資格となってます。

しかし、どちらの方が難しいのか、どんな違いがあるのか、どのくらい勉強するのか気になりませんか?

ここからは、その違いや様々なメリット、その他の必要な知識についてご紹介していきます。

税理士試験と簿記の関係性

税理士試験の会計学の勉強には、簿記の知識がある程度必要になります。 税理士試験の受験する方には、すでに日商簿記2級を取得している場合が多いです。

税理士試験には簿記の前提知識が必要

税理士試験の必須科目の簿記論と財務諸表論の学習内容には簿記の前提知識が求められます。

その他にも選択科目では所得税、法人税、事業税、消費税についても簿記の前提知識が求められるため、税理士試験対策には最低限、簿記の前提知識が必要となります。

しかし、簿記の分野は同じであっても、試験の難易度や出題形態は全く異なります。

どの程度の簿記の知識が求められるの?

冒頭でも紹介したように、日商簿記2級に合格してから税理士試験対策の勉強を始めるという方も数多くいます。

そのため、簿記2級程度の前提知識があるとスムーズに勉強を進めていくことが可能です。

しかし、必ずしも簿記に合格してから勉強を始める必要があるというわけではありません。 簿記未経験なら簿記の基礎から勉強していきましょう。

受験資格に関して

税理士試験の受験資格は以下の4つに分類されており、日商簿記検定1級の合格など1つでも満たしていれば受験資格が得られます。

<学識による受験資格>

  • 大学、短大又は高等専門学校を卒業した者で、社会科学に属する科目を1科目以上履修した者
  • 大学3年次以上で、社会科学に属する科目を1科目以上含む62単位以上を取得した者
  • 一定の専修学校の専門課程を修了した者で、社会科学に属する科目を1科目以上履修した者
  • 司法試験合格者
  • 公認会計士試験の短答式試験に合格した者

<資格による受験資格>

  • 日商簿記検定1級合格者
  • 全経簿記検定上級合格者

<職歴による受験資格>

  • 法人又は事業行う個人の会計に関する事務に2年以上従事した者
  • 銀行、信託会社、保険会社等において、資金の貸付け・運用に関する事務に2年以上従事した者
  • 税理士・弁護士・公認会計士等の業務の補助事務に2年以上従事した者

<受験資格の認定>

以下の条件に該当する方は、あらかじめ国税審議会の個別認定を受けることにより、受験資格が認められる場合があります。

  • 海外の大学を社会科学に属する科目を履修した上で卒業した者について、日本の大学等の卒業者と同等であると認められる場合
  • 商工会・青色申告会のおける記帳指導事務に2年以上従事した者

免除制度について

税理士試験には要件が満たせば、受験科目が免除になる制度があります。

  1. 資格による試験免除 弁護士または公認会計士資格を有している場合は、全科目の受験が免除されます。 しかし、公認会計士については一部研修を受ける必要があります。

  2. 学位取得による科目免除 大学院に進学し会計系あるいは税法系の修士論文を執筆し学位を得て、税理士試験のそれぞれの科目に1科目以上合格することで、それぞれの科目につき残りの科目が免除になります。

  3. 国税従事による科目免除 税務署の職員として、10年または15年以上勤務すると税法科目が免除され、23年または28年以上勤務すると会計学科目が免除されます。

税理士試験と簿記1級試験の違い

税理士試験には日商簿記検定1級の合格などの受験資格があります。しかし、簿記1級試験にはないので、一般的には税理士試験の方が難しいと言われています。

また、試験内容については税理士試験と簿記1級試験では出題範囲が約9割重なる と言われています。

ここからは、税理士試験の簿記論と簿記1級の違いについて詳しく説明していきます。

試験内容に関する比較

税理士試験 日商簿記検定1級
出題傾向 新しい出題 過去問と類似
受験資格 必要 不要
合格率 19%前後 10%前後
合格ライン 60点以上で合格(相対評価) 70点以上で合格(相対評価)

試験科目は、「必須科目」「選択必須科目」「選択科目」の合計11科目の中から5科目を選びます。

必須科目(2科目) 会計学に属する科目

  • 簿記論
  • 財務諸表論

選択科目(3科目) 税法に属する科目

  • 所得税法
  • 法人税法
  • 相続税法
  • 消費税法又
  • 酒税法
  • 国税徴収法
  • 住民税又
  • 事業税
  • 固定資産税

(所得税法又は法人税法のいずれか1科目は必ず選択です。)

難易度に関する比較

合格率 税理士試験 日商簿記検定1級
平成30年度 15.3% 11.2%
令和元年度 18.1% 9.2%
令和2年度 20.3% 11.1%
令和3年度 18.8% 10.0%
令和4年度 19.5% 10.3%

合格率では税理士の方が簡単そうに見えますが、税理士試験には受験資格が存在します。 しかし、簿記には受験資格が必要ないので、合格率だけではどちらが難しいか分かりません。

試験の問題量で言うと税理士試験の方が圧倒的に多く、基本的には時間内に解けません。

目安勉強時間では、税理士は3000時間、簿記1級は約1000時間と3倍もの差があります。

そのため、税理士の方が難易度が高いと一般的には考えられています。

効率的な学習をするには

税理士試験と簿記1級試験では出題範囲が約9割重なるということもあり、 簿記を取得してから税理士試験の対策に移行することで、勉強が無駄になることなく効率的な勉強ができます。

自分の中で目標やスケジュールを作り、いつまでに、どのくらい勉強できるのか確認しましょう。通勤時間のすき間時間などのちょっとした時間を使って 効率的に勉強し、何度もインプットとアウトプットを繰り返して身に着けていきましょう。

また、社会人のように忙しい方は税理士試験を1科目ずつ合格していく戦略もおすすめです。

ただ机に向かってる時間が長いだけでは勿体ないです、時間を上手に活用し、効率良く勉強していきましょう。

簿記と税理士の取得メリットについて

キャリアアップしていくために必要な知識と評価を得られます。

また、就職活動や転職活動などでも有利になります。

簿記のメリット

税理士試験の受験が可能

簿記1級に合格すると、税理士の受験資格を得られます。 その他にも税理士試験の受験資格は「学識による受験資格」「職歴による受験資格」があります。

会計士を目指している方でも、税理士の試験に合格することで、働き方の選択肢が広がります。

就職・転職時に有利

簿記1級を保有していると、履歴書の資格欄に、簿記1級と記載できるので、就職や転職に有利です。簿記の資格は、職種や地位に関わらずで評価されています。

また、経理事務職については簿記の知識が不可欠となります。面接ではどのように簿記を生かしたいかなどの話題にも繋がります。

資格手当支給・昇進につながる

簿記1級を保有していると、企業が簿記資格取得者を優先的に雇用しており、長く勤めてもらうためにも簿記資格所有者に資格手当を出している企業が多いとされています。

勤務先から数千円ほどの資格手当が支給される場合があります。

また、簿記1級の知識を有していると、昇進する可能性あります。

ビジネスで役立てられる

資金計画書や損益計算書など、必要な書類を作成できます。また、経営者なら経理状況一目で分かるので、経営強化・改善に生かすことができます。

企画の立案や事業の見直しの際に、事業の状況を分析することができるようになるので、損益や利益といった数字をベースにした説得力のある提案することもできるようになります。

税理士のメリット

税理士は将来性が高く、資格の取得後は安定した仕事があります。

高収入も望め、働き方も選ぶこともできます。

ここからは、取得することで得られる、3つのメリットを見ていきましょう。

働き方の選択肢が増える

税理士資格を得ることで、税理士事務所や会計事務所に入ったり、監査法人に入ったり、一般企業の税務部門などで働いたり、独立開業したり、ライフスタイルに合わせた様々な働き方の選択肢が増えます。

税理士には自分の希望に応じた自由な働き方を選べるのも魅力の1つです。

収入アップの可能性も

税理士資格には独占業務があるため、資格取得によって収入アップしやすいです。 商品やサービスを売買する、企業や個人事業主には、必ず税金が関係してくるため、税理士の仕事はなくなることはありません。

また、今後AIが活用されたとしても、税金に関するアドバイスの必要性はなくなることはないでしょう。

就職・転職で有利になることも

税理士法人では税理士が不足しており、金融機関を中心に、税務の専門家を積極的に雇用しているため、就職に有利な売り手市場です。

税理士にしか行えない独占業務があるため、就職活動や転職する際に税理士資格を持っていることは未経験であっても武器になりやすいです。

税理士試験と簿記の違いと関係性まとめ 

税理士試験と簿記の違いと関係性まとめ

  • 税理士試験の一部分に含まれるのが簿記。
  • 簿記1級で税理士試験の受験資格を得られる。
  • 税理士の方が難しいが、将来性が高く、高収入を狙える。

税理士試験と簿記の違いについて解説しました!

簿記も税理士も簡単な資格ではありますが、就職や転職では、有利になるので、努力が将来に繋がる資格です。

難しいし時間もないと言わずに、是非チャレンジしてはいかがでしょうか。

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