税理士はやめとけと言う理由は?資格の魅力・激務なブラック事務所の見分け方も解説

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税理士

脇田弥輝

「税理士はやめとけと言われている理由を知りたい!」

「税理士事務所や会計事務所はブラックって聞くけど本当?」

このような疑問をお持ちの方、いらっしゃいませんか?

税理士は非常に難易度の高い国家資格として知られていますが、「目指すのはやめとけ」「ブラックな職場が多い」などのネガティブな評判があります。

しかし、税理士の長所や特徴を理解することでメリットを最大限享受できるので、これらの噂に流されるのはよくありません。

そこで、こちらの記事では「税理士はやめとけ」と言われてしまう理由や資格の魅力について、詳しく解説していきます!

税理士の価値・魅力についてざっくり説明すると

  • ブラックな就労環境の税理士事務所が多いのは事実
  • 安定した収入が見込めるなど、魅力は多い
  • 責任感が強く、コツコツと作業を続けられる方に向いている

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税理士がやめとけといわれる主な理由

クエスチョンマーク

ブラックな税理士法人が多い

近年劣悪な労働環境で労働させるブラック企業が社会問題となっていますが、税理士は特にブラック企業が多いと言われています。

以下で、税理士の仕事でブラック企業が多いと言われている理由について解説していきます。

労働時間が長く激務

税理士の仕事柄、確定申告を行うシーズンである必要がある2~5月が繁忙期となります。

閑散期と繁忙期で業務量に大きな差がある点が特徴で、繁忙期である2~5月は労働時間が自然と長くなり仕事量も膨大になってしまいます。

繁忙期の残業時間は一ヶ月あたり30~40時間を超えるのは当たり前、中には残業時間が80時間を超える事務所もあり、多くの税理事務所や会計事務所の書き入れ時とも言えます。

また、表面上は「残業が少ない」と言っておきながらも、実際に働いてみると閑散期しか定時で帰れなかった、という職場もあるため税理士は基本的に労働時間が長い職業なのです。

しかも、税理士の仕事は基本的に同じ作業の繰り返しになるため、やりがいを感じにくいという人もいます。

事務所によっては給料が安い

税理士の仕事は細々とした計算を正確にミスなく行わなければならず、地道で大変というイメージを持つ方もいるでしょう。

大変な仕事でありながらも決して給料が高いというわけではなく、また税理士の給料は経験値の大小で大きく変わってきます。

厚生労働省による令和4年度賃金構造基本統計調査では、公認会計士・税理士の平均年収が746.4万円と発表されています。

令和3年度に発表された日本人の平均年収は443万円であるため、上記の平均年収は公認会計士も含まれているとはいえ、平均よりも高水準であると言えます。

ただし、実際の求人を見ると大手税理士事務所であるBIG4でも年収450万円で募集をかけており、BIG4の方が小規模の事務所より一般的に年収が高いことを考えると、年収が日本人の平均年収を下回る可能性があることがわかります。

そのため、税理士になりたてで経験がほとんど無い場合は、残念ながら税理士の資格を取得する手間に比べると給料が安いという点には留意しておきましょう。

なお、基本的な給料に加えて、科目合格の結果によって給料が上乗せされることもありますが、5科目に合格して合格していなければ高い給料は望めません。

とはいえ、未経験者でも「年収600万円~」という条件を提示している事務所もあり、また昇進すれば給料が上がるため、すべての事務所が低収入であるわけではありません。

人間関係が難しい

税理士は社内、社外ともに人間関係で悩みを抱えやすい職業です。

小規模な事務所の場合、所長がワンマンであり所長との関係が築けないと仕事がしづらい、ということがあります。

また、税理士は高齢化しています。日本税理士会連合会の2014年の調査によると、全体の54%以上の税理士が60歳以上だそうです。

そのため、同じ職場の税理士が昭和的な価値観やパワハラをする人だったり、新人の税理士があまりいないために研修制度が整っていなかったり、悩みを抱えていても相談できる同年代の人がいなかったりと事務所によっては仕事しづらい環境になっています。

さらに、税理士はクライアントに直接関わって仕事をします。そのため、クライアントから嫌な態度を取られるなどクライアントとの関係を築けず悩む場合や、「先生」として頼られるプレッシャーに耐えられない場合などがあります。

辞めたい人が多い業界

厚生労働省の調査によると、一般的な企業の平均離職率は15.6%となっている一方で、税理士事務所の平均辞職率は一般的な数値よりも高いものと考えられています。

このことからも、税理士が厳しく辛い職業であることが分かるでしょう。

しかし、単に転職したり、経験値を積んで自ら独立開業するなどの形でキャリアチェンジする方が多い点も離職率を高めている要因となっています。

そのため、離職した全員が「税理士は激務だから」という理由で辞めているわけではありません。

税理士資格合格は非常に難しい

税理士資格は税務に関する高いスキルと知見を備えていることを認定する国家資格で、非常に難易度が高いです。

なお、試験科目は全部で11科目あり、その内5科目に合格することで税理士となることができます。

合格した科目は生涯有効なので、税理士を取得するまでにどれだけ時間をかけても問題ありませんが、計5科目に合格するためには膨大な勉強量をこなさなければなりません。

科目によって難易度や合格率に差はありますが、各科目10%~15%程度となっているため、1科目に合格するのも簡単ではありません。

つまり、トータルで見ると「合格率15%の試験に5つ合格しなければならない」ため、非常に険しい道であることを覚悟しましょう。

長い勉強時間が必要

税理士資格を取得するために必要な勉強時間は約3000時間ほどと言われており、勉強期間に換算すると少なくとも2~3年は必要とされています。

選択した科目や自分の事前知識の有無などによって勉強時間は前後しますが、各科目を確実に合格していかなければ再度受験しなければならず、合格までのタイムロスが生じてしまいます。

「1年で1科目合格し、5年で税理士を目指す」という方もいるため、非常に長い勉強時間が求められる点は留意しておきましょう。

お金が掛かる

税理士資格は難易度の高い国家資格であるため、独学で勉強をするのは現実的ではありません。

市販の税理士対策のテキストも乏しいため、途中で挫折してしまう可能性が高いのです。

そこでおすすめなのが、資格の大原などの通信講座を活用して着実に勉強を進めていく方法です。

予備校や通信講座を利用した場合、通年で10~30万円ほどの費用が掛かってしまうのが一般的なので、5科目を合格するまでに膨大な費用負担が発生してしまう点は否めません。

200~300万といった金額を簡単に出せる方は多くないため、一度勉強を始めたら最後までやり抜く忍耐力も必要となるでしょう。

ブラック会計事務所でなければ魅力も多い

道の分かれ目

税理士は労働時間が長く激務な職場が多く、ブラックな世界だと言われています。

しかし、それは劣悪な環境であるブラック会計事務所に限った話であり、しっかりと職場環境が整備されている会計事務所を見つけることができれば、税理士として働くのは非常に魅力的です。

安定した年収

税理士には税理士にしか行うことのできない独占業務があるため、有資格者は非常に重宝されます。

国や市町村の運営は税金が投入されて行われている以上、税理士の仕事が無くなることはあり得ないため、常に需要があり安定して収入を得ることができる仕事と言えます。

また、税理士資格を持っていることで自身の社会的信頼度が上がり、ステータスを高めることができます。

その結果として仕事に困ることが無くなり、さらに開業税理士などになることで年収1000万円以上も当たり前のように狙えるので、収入面が安定している点は大きな魅力と言えるでしょう。

一生働き続けられる

前述したように、税理士の仕事が無くなることはありません。

税理士は自分が働ける限りは働き続けることができる士業なので、自身のライフプランなどに応じて働くペースを調整できる点も魅力です。

独立開業すれば定年退職という概念が無くなるため、65歳を過ぎても働き続けることができ、まさしく生涯現役を実現できるでしょう。

近年ではAIやIT技術の発達によって「税理士の仕事が奪われるのではないか」という話がありますが、税理士の仕事は有資格者でなければ行うことができない大きな責任を伴う仕事です。

そのため、事務的な作業はAIに代替されたとしても、税理士としての価値が失われることは有り得ません。

いろいろな働き方ができる

税理士になると他の職業よりも多様な働き方を選択できるようになり、自分の好みやスタイルに合わせて就労できます。

税理事務所に所属しながら雇用されて働くスタイルはもちろん、独立開業して顧問として働くスタイルもあります。

有資格者であれば定年などで引退した後でも、もう一度仕事を見つけることができる強みがあるため、自分のプライベートな時間を優先できる点も大きな魅力と言えるでしょう。

税理士資格は転職や就職をする上で大きなアピールポイントとなる上に独立開業することも可能なので、どんな状況下でも働くことができる強力な武器となるのです。

ブラックな税理士事務所の特徴と見分け方

事実を見極めるルーペ

誰でも、ブラックな税理士事務所で働きたいとは思いません。

そこで、こちらのトピックではブラックな職場を選ばないためにはどうすれば良いのかについて解説していきます。

労働時間が長すぎる

ブラックな税理士事務所の大きな特徴が、労働時間の長さです。

2~5月は繁忙期にあたるので残業時間が伸びてしまうのは仕方がないとはいえ、残業時間が月に40時間を超えるような事務所は要注意です。

これは多くの仕事を受注しているためなのか、単に生産性が悪いだけなのか見極めが難しいので、労働時間だけでブラックな事務所かどうかを見極めることは難しいです。

しかし、しっかりと就労環境を整えている事務所では勤務時間をずらすなどの対策が行っているところも多いため、求人内容に載っている残業時間が繁忙期なのか閑散期なのかを見極めることが重要と言えるでしょう。

また、税理士の仕事は毎期同じような仕事内容で労働時間を予測しやすく、過重労働になった場合はその原因を見直して来期はある程度過重労働にならないようにする、ということができます。

さらに、担当しているクライアントが事務所の規模に比べて多い場合も要注意です。

他の事務所に比べて1人当たりの負担が大きくなり、労働時間が長くなりやすいです。

以上より、いくら繁忙期だとしても毎年月40時間を超える労働をしている事務所は労働時間を減らそうとしていないと考えられます。

給料が低すぎる

多くの方にとって、職場を選ぶ際に収入は大きなポイントの一つとなるはずです。

ブラックな事務所の特徴としては、年収の表記が他社と比べて明らかに低かったり、また「250~700万」のような形で幅が広すぎる求人を出している点が挙げられます。

このような事務所は250万のように最低ラインを必ずチェックしておき、その年収で働くことになるケースを想定しておかなければなりまけん。

また、任される仕事内容や業務量と収入が釣り合わないケースもあるため、仕事量と収入のバランスを必ずチェックしましょう。

税理士は専門性が高く高年収が狙える仕事なので、妥協して自分を安売りすることなく、気持ちよく働くことができるクリーンな事務所を探してください。

みなし残業が多い

上の見出しで給料が低い事務所はブラックな可能性が高いと紹介しましたが、提示された給料が高い場合でも注意が必要です。

給料の中にみなし残業代が含まれていることがあります。

ある程度のみなし残業は仕方がありませんが、中にはみなし残業代を出しておけば従業員を長時間働かせてもいい、という考えのもと、みなし残業時間を長めに設定して従業員に残業させている事務所があります

みなし残業時間が業界の標準値よりも高い月40時間を超える場合はブラックな可能性があります

年齢や男女比が偏りすぎている

税理士は取得までに時間がかかる難関資格なだけあって、税理士業界は高齢化が進んでいます。

また、ブラック体質な会計事務所では職員の年齢層が偏っているケースが多く、50代以上の高年齢の職員の下が20代の若い職員しかいない、という事務所もザラにあります。

このような現象が起きている理由は30~40代の社員が辞めてしまっているためであり、年齢層のバランスを見るためにもその事務所の平均年齢などの情報は集めておきましょう。

男女比が偏っている場合にも注意が必要です。

税理士の男女比率は男性の方が圧倒的に多いですが、会計事務所にパートで勤務するのは女性が多いため、多くの会計事務所では男女比が5:5程度であることが多いです。

そのため、男女比が偏っている場合、どちらかの性別にとって働きづらいブラックな事務所である可能性が高いです。

なお、税理士の離職理由には様々な事情があるため、単に年齢層や性別だけでなく個々人の事情についても考慮する必要があると言えるでしょう。

詳しい情報を得るためには転職エージェントを利用し、情報を集めることをおすすめします。

職員の教育がされていない

税理士の収入は経験の有無によって大きく変わってくるため、事務所からしっかりと教育やレクチャーを受けることができるかどうかは非常に重要なポイントです。

社員の教育が不十分だったり、未経験の社員に対して簡単な雑務をやらせている事務所は、成長することが見込めないため避けるべきでしょう。

税理士として実務経験を積んで成長するためにも職場環境は非常に重要なので、職場選び慎重に行うべきです。

あらかじめ口コミや評判などをチェックし、十分な社員教育を受けられるかどうかの情報を集めましょう。

口コミ・評判が悪い

ブラックな事務所かどうかを見分ける上で最も手っ取り早く正確な手段は、口コミや評判を見ることです。

口コミや評判を確認し、劣悪な労働環境であった旨の書き込みが目立つ場合はその事務所への就職は控えた方が無難です。

特に、職場の雰囲気が悪くないか、のような定性的な職場の情報を知るのに口コミや評判は役立ちます。

例えば、所長がワンマンであり意見が通りづらい、部下に仕事を教えようという意識が低いなどの口コミが書かれていればブラックな可能性が高いでしょう。

このように、評判や口コミをチェックすることでその事務所の具体的なイメージを持つことができるため、積極的に情報収集は行ってください。

なお、インターネット上の口コミが全て信憑性が高いわけでは無いため、その点には留意しておきましょう。

税理士をおすすめできる人・できない人

面談する人

それでは、税理士に向いている方と向いていない方の特徴について見てみましょう。

おすすめできない人

税理士は正確さと速さが求められる大変な職業なので、自分に向いているかどうかの確認は欠かせません。

まず、税理士に向いていない方の特徴についてお伝えします。

細かい作業が続けられない人

税理士の業務は記帳代行や経費などを含めた税金の計算など非常に細かい作業が多いため、このような細かい作業が苦手な方には向きません。

また、顧客のお金に関する事務を扱うためミスが許されず、大きな責任を伴う仕事でもあります。

そのため、集中して業務を続けることができない方も税理士は向かないでしょう。

就職のために資格が欲しいだけの大学生

多くの大学生は、就職活動の時期が近付いてくると自分の価値を高めるために資格取得を目指します。

しかし、大学生が在学中に税理士資格を取得するのは現実的ではないため、あまりおすすめしません。

大学生はまとまった勉強時間が取れるとはいえ最低でも2~3年の勉強が必要となるため、確実に取得できる保証はありません。

さらに、取得にあたって200~300万という金額を出せる大学生は多くないため、就活を意識している大学生は他の取得しやすい資格取得を目指すと良いでしょう。

おすすめできる人

続いて、税理士が向いている方の特徴を紹介していきます。

こつこつと仕事をこなせる人

前述した通り、税理士の仕事は細かい作業が多く、早く正確に淡々と仕事をこなせる方が向いています。

集中してコツコツと地道に仕事を続けることができる方にとって、税理士は天職とも言えるでしょう。

特に、繁忙期はバタバタとした中で細かい業務を確実にこなさなければならないため、肉体的にも精神的にもタフであることが求められます。

なお、税理士の仕事が全て単純作業なわけではなく、営業スキルやコミュニケーション能力も必要となる点にも留意しておきましょう。

責任感のある人

税理士は顧客から頼まれた決算や税金額の計算を行うため、大雑把な仕事は許されません。

そのため、責任感が強く任された仕事をやり切れる方は税理士に向いていると言えます。

繁忙期で激務であっても仕事に対する責任感を持ち丁寧に業務を行わなければならないため、精神的にタフで責任感の強い方は税理士を目指す価値があります。

税理士の価値・魅力まとめ

税理士の価値・魅力まとめ

  • 激務でブラックな職場が多いことから「やめとけ」という意見がある
  • やりがいが大きく、常に需要がある魅力的な仕事である
  • 働き方の選択肢が増え、活用方法も豊富

税理士は激務でブラックな職場が多いのは事実ですが、その反面やりがいが大きく魅力たっぷりの仕事です。

需要と将来的も高いため、興味がある方は積極的に取得を目指すと良いでしょう。

多様な働き方が可能になり自分のオプションを増やすこともできるため、税理士資格を取得して職業人生を豊かにしてみてはいかがでしょうか?

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