情報処理安全確保支援士登録の流れは?申し込み費用から講習の方法まで解説!
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「情報処理安全確保支援士にはどうやって登録するの?」
「登録するのにどのくらい費用がかかる?」
情報処理安全確保支援士は、IT系国家資格の最高峰である高度情報技術者試験でありながら、登録制士業でもあります。
そのため資格を取得するには登録名簿への登録・更新が必要です。
今回は情報処理安全確保支援士の登録について、申し込み費用から講習の方法までを徹底解説します。
これを読めば、情報処理安全確保支援士の登録及び更新の方法がよく分かるはずです。
情報処理安全確保支援士の登録についてざっくり説明すると
- 受験から登録までの費用は2万6000円程度
- 更新にはオンライン講習と集合講習の受講が必要
- 講習の受講料は3年間で14万円
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情報処理安全確保支援士は登録しなければいけない?
情報処理安全確保支援士、通称登録セキスペは、サイバーセキュリティ対策の専門家です。
昨今のサイバー攻撃の増加・巧妙化や東京オリンピックなどを理由に、今注目されている情報セキュリティ系の資格になります。
情報処理安全確保支援士は高度情報技術者試験の一つです。また情報資格では初の登録制士業でもあります。
そのため資格取得には登録手続きが必要です。名簿へ登録しないと情報処理安全確保支援士を名乗った活動はできません。
登録した者だけが名刺に資格名を記載することが認められます。
主催団体であるIPAによると、登録セキスペは以下3つのしくみによってサイバーセキュリティ人材の育成・確保が図られています。
人材の質の担保
情報処理安全確保支援士試験は、IT系資格の中でも有数の難関試験です。
この試験の実施によって、情報セキュリティに関する一定の知識を保有する人材のみを厳選します。
また試験後も講習を行い、最新知識のアップデートを促します。
同時に登録セキスペの有資格者同士で知識の交流を行い、切磋琢磨することで人材の質を高い水準で維持することが可能です。
そうした交流の場としては、最新知識を話題にしたシンポジウムやセミナーなどが開催されています。
人材の見える化
情報処理安全確保支援士は士業の一つであり、またいわゆる名称独占資格でもあります。
そのため登録を行った資格保有者のみが「情報処理安全確保支援士」と名乗ることを許されます。
登録を行えば名刺やホームページなどに資格を明記することが可能です。
反対に資格を保有していないものが「情報処理安全確保支援士」を名乗ることは許されません。
もし名乗ってしまった場合は法律違反として処罰の対象とされます。
資格保有者のみが使えるロゴマークなどもあり、一目で有資格者が判別できるように工夫されています。
名称を独占していることによって、資格の信頼性や権威性が増すため、取得のメリットは大きいと言えるでしょう。
また資格保有者は登録簿に自分の登録情報(登録番号、登録年月、合格日、講習修了日)が公開されます。
人材活用の安心感
情報処理安全確保支援士には、人物として問題ない人材のみを厳選する規定があります。
そのため登録セキスペに登録していることによって、顧客に安心感を与えることが可能です。
具体的には以下のような項目を満たす者のみが登録できます。
-
厳格な秘密保持が可能
-
信用失墜行為を行わない
-
禁固以上の刑又はサイバー犯罪関連の刑に処せられていない
登録セキスぺの資格登録の流れ
登録セキスペの登録日は、4月1日と10月1日の年2回です。
受付期限は4月の場合は2月15日、10月の場合は8月15日になります。
登録条件は複数存在
以下のいずれかを満たせば、登録セキスペに登録する資格があります。
-
情報処理安全確保支援士の合格者
-
情報処理安全確保支援士の前身となる「情報セキュリティスペシャリスト試験」か「テクニカルエンジニア試験」に合格し、情報セキスぺの制度開始から2年間の経過措置期間以内に登録をしたもの
-
国の指定ポストで、そのポストでの勤務年数が一定期間を超えることから資格保持者と同等以上の能力を保有しているもの
3番目の国の指定ポストとは、警察、自衛隊、内閣官房、情報処理安全確保支援士試験委員会の中で所定の要件を満たす役職を指します。
上記の中では、情報処理安全確保支援士に合格することが一般的です。
登録には欠落要件も存在
以下のいずれかに該当する場合は、上記の資格があったとしても登録が行えません。
-
成年被後見人又は被保佐人
-
禁固以上の刑が執行終了となってから2年以上が経過しない者
-
支援制度主旨に関する不正アクセス罪及びサイバー犯罪の刑が執行終了となってから2年以上が経過しない者
-
過去に登録取り消しとなった日から2年以上が経過しない者
このような場合は登録できませんが、一般的には気にする必要のない項目です。
申し込みに必要な書類と費用
申し込みに必要な書類は以下の8つになります。
-
登録申請書(パソコンでの入力か手書きか選べる)
-
誓約書(必要事項を記入して押印)
-
登記されていないことの証明書(3ヶ月以内に法務局で取得した原本を1通)
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身分証明証(3ヶ月以内に本籍地の市区町村役場で取得した原本を1通)
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情報処理安全確保支援士試験合格証書又は情報処理技術者試験合格者のコピー(手元の合格証をコピー)
-
戸籍の謄本若しくは妙本又は住民票の写し(3ヶ月以内に市区町村役場で取得したもの1通)
-
登録事項等公開届け出書(1枚目の公開事項にチェック及び記名・押印、2枚目のアンケートに回答)
-
登録申請チェックリスト(必要事項を記入して押印)
また登録までに支払う費用は以下の通りです。
費用 | 金額 |
---|---|
受験料 | 5,700円 |
免許税 | 9,000円 |
登録手数料 | 10,700円 |
登記されていないことの証明書 | 300円 |
身分証明書(貢献登記の通知を受けていない証明) | 300円 |
戸籍の謄本もしくは抄本 | 450円 |
住民票の写し | 300円 |
尚、「戸籍の謄本もしくは抄本」と「住民票の写し」に関してはどちらか一方だけを支払います。
このように必要書類及びは費用はかなりの種類があるため、漏れのないようによく確認して申請する必要があります。
申し込み後の流れ
書類申請や費用の支払いを終えれば即登録完了というわけではありません。
その後はIPAの書類受理及び審査を待つ必要があります。
無事審査に通れば登録日当日に登録証が交付されるので、この交付によって初めて正式登録となります。
先述したように登録セキスペの登録日は年2回です。そのため登録申請を早く行ったとしても、4月1日・10月1日にならないと登録は行われないため注意しましょう。
とはいえ合格証書を紛失していたなどの原因で書類作成に時間がかかることもあるため、申請作業は余裕を持って行うべきです。
資格維持には講習を受ける必要がある
登録セキスペの資格を更新するには、IPAが実施するサイバーセキュリティに関する講習を定期的に受講しなければなりません。
ちなみに講習の受講料は自腹になります。
こうした講習が行われる理由としては、近年情報技術が急速に発展していることが挙げられます。
登録セキスペとしての能力を維持するには、最新の情報をアップデートしておかなければなりません。
講習にはオンライン講習と集合講習があります。以下ではそれぞれの詳細を解説します。
オンライン講習
オンライン講習は、自宅や職場のPCで受講することが可能です。年に1回、6時間の講座を受ける必要があります。
講習の内容は最新の知識や倫理に関するものです。
動画や音声の講習ではなく、テキストや静止画ベースのコンテンツを使用して学習します。
また、オンライン講習の種類は以下の3つです。
講習 | 内容 |
---|---|
オンライン講習A | 最新知識のインプット |
オンライン講習B | 技能強化 |
オンライン講習C | 基礎確認と集合講習に向けた学習 |
どの講習を受けるかは年によって異なります。
受講料は一回2万円です。
集合講習
集合講習は会場に対象者を集めて行います。1回の6時間の講習を、3年に一回受講しなければなりません。
内容はオンライン講習の復習や講義、ケーススタディ形式のグループ討議などです。
開催場所は登録状況に応じて適当な場所が選定されます。
集合講習の科目及び時間配分は以下の通りです。
科目 | 時間 |
---|---|
サイバーセキュリティに関する知識 | 2時間 |
サイバーセキュリティに関する技能 | 3時間 |
情報処理安全確保支援士として遵守すべき倫理 | 1時間 |
受講料は1回8万円であり、かなり高額な講習となります。
講習の受講スケジュール
試験合格から3年以内の登録日に登録を行った人は、以下のスケジュールで受講を進めます。
年 | 講習内容 |
---|---|
1年目 | オンライン講習A |
2年目 | オンライン講習B |
3年目 | オンライン講習C、集合講習 |
4年目 | オンライン講習A |
5年目 | オンライン講習B |
6年目 | オンライン講習C、集合講習 |
上記のように3年を1周期として受講していき、7年目以降も同様のサイクルを繰り返します。
3年間で14万円の受講費用がかかるため、資格を維持するのには相当なコストが必要です。
また試験合格から4年目以降に登録を行った場合は、以下のスケジュールで受講を進めることになります。
年 | 講習内容 |
---|---|
1年目 | オンライン講習C、集合講習 |
2年目 | オンライン講習A |
3年目 | オンライン講習B |
4年目 | オンライン講習C、集合講習 |
5年目 | オンライン講習A |
6年目 | オンライン講習B |
7年目 | オンライン講習C、集合講習 |
初年度は集合講習を受けないといけません。
また、オンライン講習に関しては集合講習に合わせて受講内容が決まるため、1年目はオンライン講習Cを受講します。
情報処理安全確保支援士試験について
登録セキスペの登録を行うには、まず情報処理安全確保支援士試験に合格しなければなりません。
受験資格や出題形式
情報処理安全確保支援士試験に受験資格はありません。学歴や実務経験を問わず、誰でも受験することが可能です。
試験は午前Ⅰ、午前Ⅱ、午後Ⅰ、午後Ⅱに分けて実施されます。
各試験の試験時間及び出題形式、出題数・解答数は以下の通りです。
試験 | 試験時間 | 出題形式 | 出題数・解答数 |
---|---|---|---|
午前Ⅰ | 9:30〜10:20(50分) | 多肢選択式 | 30問 |
午前Ⅱ | 10:50〜11:30(40分) | 多肢選択式 | 25問 |
午後Ⅰ | 12:30〜14:00(90分) | 記述式 | 出題数:3問 解答数:2問 |
午後Ⅱ | 14:30〜16:30(120分) | 記述式 | 出題数:2問 解答数:1問 |
午後Ⅰと午後Ⅱに関しては選択問題になります。
合格基準・合格率
情報処理安全確保支援士の各試験はそれぞれ100点満点で実施されます。
合格基準は全て100点満点中60点以上の得点で、資格を取得するには全ての試験に合格しなければなりません。
尚、ある試験で不合格となった場合は、それ以降の試験は採点されません。
つまり午前Ⅰ試験で60点未満なら、それ以降3つの試験では採点が行われないということになります。
IPAの公式サイトによると、情報処理安全確保支援士の合格率は19.1%です。
情報処理安全確保支援士試験は、IT系国家資格の最高峰である高度情報技術者試験の一つですが、同試験の中では簡単な部類に入ります。
それでも一般の試験と比べると、比較的難しいと言えるでしょう。
情報処理安全確保支援士の登録まとめ
情報処理安全確保支援士の登録まとめ
- 登録制度を設けることで資格の信頼性を担保している
- 登録の際には必要書類と費用をしっかりチェック
- 講習は3年一周期で毎年受講する必要がある
情報処理安全確保支援士の登録について解説しました。
登録には受験料を含めて26,000円程度の費用が必要です。
また資格を更新するにはオンライン講習と集合講習を受講しなければなりません。資格の維持にはかなりのコストがかかります。
しかし名称独占資格のため、取得のメリットは大きい資格です。
登録の際は書類や費用の種類が多いため、漏れがないよう確認することをおすすめします。