システム監査技術者とはどんな資格?取得メリットから論文式の勉強法まで解説
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「システム監査技術者ってどんな資格なの?」
と疑問をお持ちの方もいるでしょう。
システム監査技術者は、IT系国家資格の最高峰である高度情報技術者試験の一つです。
しかし、比較的新しい専門的な資格のため、一般の方には馴染みのない部分も多いでしょう。
今回は、システム監査技術者試験について、取得メリットから論述式の勉強方法まで詳しく解説します。
これを読めば、システム監査技術者試験の全容とその対策法がよく分かるはずです。
システム監査技術者試験についてざっくり説明すると
- 今需要が高まっているシステム監査の専門家
- 合格率14%・偏差値70の難関試験
- 論述式の対策には過去問演習が有効
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システム監査技術者ってどんな資格?
まずはシステム監査技術者の概要を、主催団体や仕事内容などと共にお伝えします。
システム監査技術者試験とは?
システム監査技術者は、監査対象から独立した客観的立場から、情報システムや組込みシステムの総合的な評価を行います。
そして、監査報告の利用者にシステムが適切な場合はその保証を、改善が必要な場合は助言を与えるのがシステム監査技術者の役目です。
監査人や情報システム責任者など、利害関係者への説明責任を果たす役職を目指す者には最適と言えるでしょう。
情報処理技術者試験では高度情報技術者試験に分類され、IT系国家資格の最高峰に位置する資格の一つです。
システム監査技術者の主催団体
システム監査技術者試験は、独立行政法人・情報処理開発機構(IPA)によって実施されます。
システム監査技術者は情報処理技術者試験の一つですが、これにはITパスポート試験や情報セキュリティマネジメント試験も含まれます。
情報処理推進機構は、日本のIT国家戦略に関わる政策実施機関です。経済産業省の所管の元、技術面と人材育成面の両面から様々な政策を実施します。
技術面の政策として挙げられるのは、社会を守るための情報セキュリティ対策やその指針の策定です。
またITを有効に利活用するための基盤を構築することもIPAの役割になります。
システム監査技術者を含む情報処理技術者試験は、人材育成面の政策の一環として行われています。
IPAでは、サイバーセキュリティ強化に向けた人材育成などの政策も実施されています。
システム監査技術者の仕事内容
システム監査技術者の仕事は、情報システムや組込みシステムの安全性や企業活動への貢献度を客観的に点検・評価することです。
それには、それらシステムの開発や運用、保守などに関する幅広い知識が必要になります。
適切な点検・調査を行い、依頼者であるステークホルダーに説明責任を果たさねばならないからです。
また監査の中で課題が発見されれば、それを企業に報告して情報システムの改善に寄与することも、システム監査技術者に求められる役割になります。
監査においては企業との関係性を良好に保っておくことが重要であり、依頼者に対する誠実な対応が大切です。
IT監査とシステム監査は異なる
IT監査とシステム監査は混同されがちですが、似て非なるものです。
IT監査とは、法的義務の元で行われる財務報告の正当性を確認する会計監査の一種になります。
一方で、システム監査は法的に義務付けられたものではありません。そのため、企業は監査人や監査時期を自由に選定することが可能です。
つまり法的義務のあるものがIT監査で、法的義務を持たないものがシステム監査ということになります。
システム監査を行うにあたり必要な観点
システム監査技術者として監査活動を行う際には、信頼性・安全性・効率性という3つの観点が必要になります。
信頼性とは、情報システムが十分な品質を有しているかという観点です。
また、エラーが起きた場合の被害が最小限になるような設計がなされているかについても見抜かなければなりません。
安全性は、有事におけるシステムの安全性およびセキュリティの万全性についての観点です。
さらに効率性とは、企業活動において十分な収益を確保するだけのシステムの有効活用がなされているかという観点になります。
上記3つの観点が備わっていれば、十分なシステム監査と言えるでしょう。
システム監査技術者の基本情報
ここからはシステム監査技術者の試験に関する情報をお伝えします。
システム監査技術者の試験形式・試験範囲
システム監査技術者試験は、午前Ⅰ、午前Ⅱ、午後Ⅰ、午後Ⅱの4つに分けて実施されます。
各試験の試験時間および出題形式、出題数は以下の通りです。
試験 | 試験時間 | 出題形式 | 出題数 |
---|---|---|---|
午前Ⅰ | 9:30〜10:20(50分) | 四肢択一式 | 30問 |
午前Ⅱ | 10:50〜11:30(40分) | 四肢択一式 | 25問 |
午後Ⅰ | 12:30〜14:00(90分) | 記述式 | 3問 |
午後Ⅱ | 14:30〜16:30(120分) | 論述式 | 2問 |
午後Ⅰに関しては3問中2問を、午後Ⅱでは2問中1問を、それぞれ選んで解答します。
午前Ⅰ〜午後Ⅰは100点満点での実施です。午後Ⅱに関しては成績のランクによって合否が判定されます。
午前Ⅰ
午前Ⅰ試験は、テクノロジ系・マネジメント系・ストラテジ系という応用情報技術者試験と同じ3分野から出題されます。
1問3〜4点という配点で、合格点は60点以上です。問題は全部で30問になります。
マネジメント系が5問、ストラテジ系が8問という出題構成なのに対し、テクノロジ系は17問も出題されます。
そのため、テクノロジ系をいかに攻略するかで、午前Ⅰ試験の合否が決まると言えるでしょう。
午前Ⅰ試験の問題は、全て同時期に実施される応用情報技術者試験から選ばれます。
考察問題が多数選定され、文書題はあまり選ばれないとう傾向があるため、考察問題に慣れておくことが必要です。
午前Ⅱ
午前Ⅱ試験では、午前Ⅰと同様の範囲から以下の9分野が出題されます。
-
データベース
-
ネットワーク
-
セキュリティ
-
システム開発技術
-
サービスマネジメント
-
システム監査
-
経営戦略マネジメント
-
企業活動
-
法務
午前Ⅱ試験の配点は各4点×25問で、こちらも合格点は60点以上です。
システム監査関連の問題が10問、法務関連が3問、セキュリティ関連が3問、その他9問という出題構成が近年の定番になります。
システム監査に必要となる分野の問題がバランスよく出題されるのが特徴です。
午後Ⅰ
午後Ⅰ・Ⅱに関しては、どちらも以下の範囲から出題されます。
-
情報システム・組込みシステム・通信ネットワークに関すること
-
システム監査の実践に関すること
-
システム監査人の行為規範に関すること
-
システム監査関連法規に関すること
午後Ⅰ試験では、3問中2問を選んで解答します。
配点は各問50点で、60点以上得点すれば合格です。
長文を読んで、その内容に関する問題が記述式で出題されます。
解答要素を文中から見つけ出して記述するという形式です。
そのため、長文内容を正確に理解できるだけの読解力および知識量が必要となります。
問題を解く前提として、システム監査やセキュリティに関する基本的な考え方を定着させておきましょう。
午後Ⅱ
午後Ⅱ試験では、2問から1問を選んで解答します。短い文章に対する自分の考えを、大論述形式で解答するという形式です。
午後Ⅱに関しては、独自の評価基準に基づいて成績のランク分けがなされます。
IPAの公式サイトによると、評価基準とは以下のようなものです。
-
設問で要求した項目の充足度
-
内容の妥当性
-
論理の一貫性
-
見識に基づく主張
ランクA〜Dまでの4つで、ランクAのみが合格となります。
ランクによる評価のため、配点や合格点の設定はありません。
午後Ⅱ試験の定番問題は、リスク・コントロール・監査手続きの3つです。よって、これらの分野に関しては重点的な対策が必要となります。
記述の内容を理解するための知識量に加え、設問の意図を適切に把握する読解力が必要です。
合格率は14%前後
以下は、システム監査技術者試験の各年度における合格率をまとめたものです。
年度 | 合格率 |
---|---|
平成21年度 | 13.9% |
平成22年度 | 14.3% |
平成23年度 | 14.5% |
平成24年度 | 14.6% |
平成25年度 | 14.1% |
平成26年度 | 13.2% |
平成27年度 | 14.2% |
平成28年度 | 14.3% |
平成29年度 | 15.1% |
平成30年度 | 14.4% |
平成31年度 | 14.6% |
上記より、合格率は例年14%前後で推移していることが分かります。これはかなり低い水準と言えるでしょう。
ちなみに他の高度情報技術者試験に関しても、上記と同程度の合格率です。
システム監査技術者試験では、IT業界での経験が豊富な者が多く受験します。
受験者のレベルが高い中で上記の合格率のため、難易度はかなり高いと考えられます。
難易度はかなり高い
システム監査技術者試験は、情報処理技術者試験のレベル区分で最上位のレベル4に分類されます。その難易度は情報系資格の中でも最高峰と言えるでしょう。
また、偏差値も70という高い水準です。これは高度情報技術者試験の中で比較しても高い部類に入ります。
難易度が高い理由の一つが、出題範囲の広さです。
システム監査技術者試験では、システム監査に関する知識に加え、それにまつわる法律や技術一般の知識も要求されます。
さらに、問われる内容はどれも高度に専門的です。
午後試験で記述式・論述式の問題が出題されることも、難易度を押し上げる一因でしょう。
システム監査技術者の勉強法
システム監査技術者試験の勉強方法としては、インプットからアウトプットという流れで勉強することがおすすめです。
これは4つの試験全てに共通して有効な勉強方法となります。
ちなみにインプットとはテキストの読み込みを通して、基本知識の定着を図ることです。
インプットを行う際は基本用語を暗記するだけでなく、試験の全体像を大まかに捉えることを意識しましょう。
特に午前試験では知識の量が合否を左右すると言っても過言ではありません。
そのためインプット作業で知識の穴を埋めることが有効です。
基本的な事柄の段階ですでに知識不足を覚える人は、インプットにより多くの時間を使うようにしましょう。
アウトプットとは問題集や過去問などで演習を行うことです。
アウトプット作業では、まずは問題の形式になることが第一になります。
さらに自分の弱点を発見したら、その部分を確実に克服することも重要です。
このようにインプットからアウトプットという流れを徹底することによって、知識が頭に入りやすくなるでしょう。
各試験ごとの具体的対策法
システム監査技術者試験では、4つの試験それぞれで対策を考えることも必要です。
各試験それぞれに個性があり、有効な対策法も異なります。
午前Ⅰ
午前Ⅰ問題の大半は、応用情報技術者試験や基本情報技術者試験の午前試験と同様の基本的な問題です。
よって午前Ⅰの対策には、それら過去問を繰り返し解くことが有効になります。
直近3〜5年分の過去問演習を行い、出題傾向や頻出範囲を把握することが重要です。
それと同時に知識の穴を埋めることも心がけましょう。わからない箇所があればすぐにテキストで確認することが大切です。
演習の時に7、8割以上を安定して得点できていれば、本番での合格はまず間違い無いでしょう。
午前Ⅰ試験は、目新しい知識が問われる試験ではありません。そのためこのパートでは、基本的な知識を完璧にすることを心がけましょう。その知識がこの後の試験を解く際に重要となる土台になるはずです。
午前Ⅱ
午前Ⅱ試験の対策法には、システム監査技術者試験の過去問演習が有効です。
特にシステム監査の問題は出題数が多いため、徹底的に演習を行いましょう。
システム管理基準とシステム監査基準が直近の頻出分野です。
この分野の知識は午後Ⅰ試験に応用できるため、この勉強を通して基礎固めをしておくのは重要です。
また午前Ⅱ試験の対策には、他の高度情報技術者試験の過去問も役に立ちます。
セキュリティ分野に関しては情報処理安全確保支援士試験の過去問を、マネジメントや企業活動の分野はITストラテジストの過去問をそれぞれ用いると良いでしょう。
午後Ⅰ
午後Ⅰ試験は長文問題で、記述式での解答を多く求められます。
午後Ⅰ試験の対策は過去問演習が中心となりますが、午前試験対策のインプット作業で基本知識を盤石にしてから演習に進みましょう。
過去問を2〜3回繰り返し解き、記述におけるコツを掴むことが重要です。
記述の際には、問題文から見つけた解答要素と自分の考えを織り交ぜた文章を書くことが求められます。
これは高度情報技術者試験の中でもシステム監査技術者に特有の傾向です。よって入念な練習が必要となります。
また、解答はあくまでシステム監査技術者としての立場から行わなければなりません。システム監査技術者としての役割を意識した上で、自分の考えを述べましょう。
さらに試験時間は限られているため、素早く長文を読解して解答を行わなければなりません。
演習の際は、長文を読む時間と解答する時間をそれぞれ決めておき、時間を測りながら行うと良いでしょう。
論文対策は最も重要
午後Ⅱ試験の問題は大論述形式で、作文能力が求められます。
そのため、論文を書けるようにならなくてはいけません。論理的な整合性の取れた長い文章を書かなくてはならないため、論理的思考力および文章能力が必要です。
それらの能力は演習を繰り返すことで身に付けることができます。文章を書く際は、主語述語や原因結果などの論理関係を意識しましょう。
また、試験本番で即座に内容を考えるのは難しいので、論述のネタを用意しておくことも重要です。
システム監査技術者試験では、リスク面に関するネタがあると良いでしょう。具体的には、情報システム業務におけるリスクが潜む場面に関する知識が必要です。
さらに、設問の要求に合った解答を書くという論述の基本も忘れてはいけません。
これらを意識しながら過去問演習で繰り返し練習を積めば、鬼門の大論述形式を突破することができるでしょう。
システム監査技術者の独学合格は可能?
結論から言うと、システム監査技術者試験は独学でも合格が可能な試験です。
ただし難易度は相当高いため、先述した勉強法を自分なりに徹底しなければなりません。
独学の際には、勉強面よりもむしろそれ以外の部分が課題となります。具体的にはスケジュール管理やモチベーション維持などです。
よってそれらの工夫を凝らすことが、独学での合格には必要となります。
多忙な中で満足には確保できない勉強時間を効率よく使うためには、スケジュール管理が大切です。
スケジュールは勉強すべき内容を1週間単位の計画にまとめましょう。
計画はノートやスマホを使っていつでも見られるようにしておけば、やるべきことが常に明確化されるのでおすすめです。
また長い勉強時間で、どうしてもやる気が低下してしまいがちなので、自分を奮い立たせるような工夫が必要になります。
やる気をアップさせるのにおすすめの方法は、短期のノルマを立てることです。
目標点数や目標正解数などを設定しておけば、毎日達成感を得ながら勉強できるので、やる気が長く維持されます。
独学の際におすすめの参考書
システム監査技術者の独学には、「うかる システム監査技術者 2019~2020年版」がおすすめです。
価格は4268円で、翔泳社から出版されています。
この参考書の特徴は、山場となる午後試験の解答テクニックが充実していることです。
午後Ⅰ試験に関しては文章の読み方を、午後Ⅱ試験については論文の構成方法や書き方のコツなどが詳しく解説されています。
また基本的な知識のまとめも収録されているため、午前試験対策のインプット作業にも有用です。
そのため、これ一冊で午前試験・午後試験の両方の対策を行えるため、システム監査技術者試験の受験者は是非とも持っておきたい参考書と言えるでしょう。
過去問が合格へのカギ
システム監査技術者試験の過去問は、IPAの公式サイトや市販の過去問題集を通じて入手して下さい。
過去問演習は、頻出範囲や出題傾向が把握できるという点で実力アップに効果的な方法です。
また自分の苦手を発見できるので、弱点克服に繋がり、ひいては得点アップをもたらすでしょう。
特に午後試験の記述式・論述式では、練習を積んで読解力や文章力を培わなければなりません。それには過去問を何度も繰り返し解くことが重要です。
システム監査技術者試験は、過去問演習の量が合格を左右する試験だと言っても過言ではありません。試験対策には、過去問の積極的な利用をおすすめします。
通信講座も有効活用しよう
独学での勉強に不安を覚える方や、多忙で勉強時間が満足に取れないという方は、通信講座の利用がおすすめです。
iTECやTACが以下のような講座を開講しています。
会社 | 講座名 | 受講料 |
---|---|---|
iTEC | 2020 システム監査技術者 スタンダードコース | 57750円 |
TAC | システム監査技術者 本科生 | 60000円 |
TAC | システム監査技術者 本科生プラス | 70000円 |
通信講座では、予備校に通う場合と比較すると、安い受講料で講義が受けられるというメリットがあります。
また試験日に合わせてカリキュラムが設定されているため、その都度目標を持って勉強が進められるという点も魅力的です。
試験対策のプロから、合格に必要なエッセンスだけを学べるので、独学で一から悪戦苦闘するよりもはるかに効率的な勉強法と言えるでしょう。
通信講座を利用すれば、独学より短い勉強時間で合格を目指すことができます。
システム監査技術者の勉強をするメリット
資格を取得するメリットを知ることは大切です。それは試験勉強における大きなモチベーションになります。
高年収を期待できる
システム監査技術者の平均年収は640万円程度と言われています。これは情報処理技術者試験の中で2番目の高年収です。
ちなみにエンジニアの平均年収は550.8万円、サラリーマンの平均年収が454.5万円になります。
一般的に見ても、同業の中で比較しても高い年収が期待できる資格です。
企業によっては資格手当が支給される場合もあるので、お金周りのメリットは大きい資格と言えるでしょう。
1000万円以上の年収も狙える?
システム監査技術者の求人には、年収1000万円以上のものも存在します。
実力や経験次第では、そうした高待遇の職場で活躍することも可能です。
ただしそうした企業の内定条件は厳しいため、それに見合うだけの努力が必要となるでしょう。
将来性が高い
システム監査に法的義務はありませんが、昨今は力を入れる企業も増えてきています。
その背景には、情報システムは普及するにつれて、その不具合によって引き起こされるリスクや損害が以前よりも大きくなってきていることが挙げられるでしょう。
特に大手企業を中心にシステム監査の需要は高まっているため、待遇の良い求人に出会えるチャンスも多いです。
そうした需要は今後も増加すると予想されるため、システム監査技術者の将来性は十分と言えるでしょう。
他の国家資格の一部免除も
システム監査技術者試験に合格すれば、他の試験で免除制度の対象となる場合があります。
具体的には以下のような免除を受けることが可能です。
-
中小企業診断士の1次試験科目の一部免除
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弁理士試験の論文式筆記試験選択科目の理工V免除
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技術士試験の第一次試験の専門科目「情報工学部門」が免除
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技術陸曹・海曹・空曹及び予備自衛官補の任用資格
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日本システム監査人協会の公認システム監査人補の申請資格
このようにかなり多くの免除を受けることができます。特に上記3つの資格試験は難易度の高いものばかりなので、少しでも負担を軽減できることは大きなメリットです。
システム監査技術者の受験までの流れ
システム監査技術者試験は年に1回実施されます。試験日は毎年4月の第3日曜日です。
実施会場は全国主要都市に設けられます。
申し込み期間は試験日の3ヶ月前から2ヶ月前までで、申し込み方法はインターネット出願と郵送出願の2種類です。
システム監査技術者を含む情報処理技術者試験の受験料は、一律5,700円になります。
システム監査技術者試験に受験資格はありません。性別や学歴、年齢などを問わず、誰でも受験が可能です。
難関試験の中では、受験ハードルの低い試験だと言えるでしょう。
次回のシステム監査技術者試験は、令和3年4月18日(日)に実施予定です。
午前Ⅰ試験の免除は積極的に使おう
午前Ⅰ試験に関しては免除制度が存在します。以下のいずれかを満たすことで2年間の免除を受けることが可能です。
-
応用情報技術者試験合格
-
高度情報技術者試験に分類される試験に合格
-
高度情報技術者試験に分類される試験の午前Ⅰ試験で合格基準点をクリアする
平成31年度の試験では、受験者の66.9%がこの制度を利用しています。
つまり受験者の半数以上は、午前Ⅰ試験を免除されているということです。
特にシステム監査技術者試験は長丁場なので、少しでも負担を軽減しておく方が良いでしょう。
該当者には積極的な利用をおすすめします。
システム監査技術者と合わせて取りたいおすすめ資格
システム監査技術者の取得前後には、他の資格に挑戦するのも良いでしょう。
応用情報技術者
応用情報技術者試験は、高度なIT人材が身に付けておくべき、IT業務における発展的な知識や技能が問われる試験です。
情報処理技術者試験ではレベル3に分類され、システム監査技術者試験よりワンランク下の資格になります。
出題範囲は、システム監査技術者の午前Ⅰ試験と同じく、テクノロジ系・マネジメント系・ストラテジ系の3分野です。
基本的な知識に自信がない場合は、先に応用情報技術者試験の受験をおすすめします。
基礎内容をおさらいできるため、スムーズにシステム監査技術者試験の勉強に移行することが可能です。
取得すれば午前Ⅰ試験の免除も受けられるため、合理的な選択と言えるでしょう。
公認情報システム監査人
公認情報システム監査人は、情報システム監査の専門性を測る試験です。
情報システム監査のプロを会員に抱える情報システムコントロール協会によって実施されています。
試験内容は、情報システム監査のプロセス・運用・マネジメント等です。
資格を取得するには筆記試験合格以降に5年間の実務経験が必要で、取得条件の厳しい資格と言えます。
ビジネスの成功を主導するCIOなどのポジションに必要な業務知識を習得できるため、転職にも有利です。情報セキュリティ系の上位資格だと言えるでしょう。
公認情報システム監査人の年収は1000万円を超えることも多く、システム監督技術者以上に高収入が見込める資格です。
公認システム監査人
公認システム監査人認定制度とは、日本システム監査人協会が運営する制度です。
当協会はシステム監査技術者の有資格者を中心に構成されています。
所定の実務経験を示した認定申請・面接により、認定を受けることが可能です。
システム監査技術者以外にも、特定資格を所有していれば認定が受けられる場合もあります。これには高度情報技術者試験の取得者も該当します。
その場合は特別認定講習を受けることで、認定を受けることが可能です。
公認システム監査人となることは、自らのブランディングに好影響を与えるため、システム監査技術者試験に合格した方は取得をおすすめします。
システム監査技術者試験は文系でも合格可能か
「自分は文系出身だけどシステム監査技術者に興味がある。」
という人もいるでしょう。
以下では文系からシステム監査技術者試験の合格を目指すことについて解説します。
文系でもシステム監査技術者に合格できる理由
結論から言うと、文系でもシステム監査技術者に合格することは可能です。
そもそもシステム監査技術者試験に受験資格はありません。そのため、文系・理系を問わず全ての人にチャンスは与えられているのです。
また、システム監査技術者試験は筆記試験のみで合否が判定されます。よってエンジニアとしての技能を見せつける必要はなく、ペーパーテストで合格基準さえ満たせば良いのです。
これらの理由から、きちんとした試験対策で得点能力を身につければ、文系でも問題なく合格が可能です。
下のレベルの試験から挑戦しよう
システム監査技術者試験は高度情報技術者試験の一つですが、この「情報技術者試験」には3つのレベルがあります。
一番簡単なものから順に、基本情報技術者試験、応用情報技術者試験、そして高度情報技術者試験です。
文系から「情報技術者試験」に挑戦する場合は、基本情報技術者試験から順番に上っていくのが良いでしょう。
まずは新人エンジニアの登竜門と言われる基本情報技術者試験を受けるのがおすすめです。
システム監査技術者試験についてまとめ
システム監査技術者試験についてまとめ
- システム監査技術者の将来性は十分
- 高度情報技術者試験の中でも難しいレベル
- 過去問演習を繰り返すことが合格に直結
システム監査技術者試験について解説しました。
システム監査の需要は、大企業を中心に高まりつつあり、取得するメリットは十分と言えます。
難易度の高い試験ですが、過去問演習を中心に学習すれば独学でも合格することは可能です。
また多忙な社会人には、通信講座で効率よく学ぶことをおすすめします。