ITストラテジストってどんな資格?気になる年収から難易度まで徹底解説!

ITストラテジストってどんな資格なの?

ITストラテジスト取得のメリットが知りたい!

と疑問や興味をお持ちの方もいるでしょう。

ITストラテジストは、IT関連の資格では最上位にある資格の一つです。専門性が高いため、その実態には不明な点も多いでしょう。

今回は、ITストラテジストについて、仕事内容や年収、試験の難易度などを詳しく解説します。

これを読めば、ITストラテジストという資格の実態がよく分かるはずです。

ITストラテジストについてざっくり説明すると

  • IT戦略のコンサルが主な業務
  • 平均年収は650万円程度
  • 情報処理技術者試験の中では最難関試験

ITストラテジストってどんな資格?

上を見る猫 ITストラテジストとは、一体どんな資格なのでしょうか。

ITストラテジスト試験とは?

ITストラテジスト試験は、2009年に開始された比較的新しい試験です。システムアナリスト試験と上級システムアドミニストレータ試験が、統合することによって誕生しました。

ITストラテジストは、企業の経営指針に合わせてIT面の戦略を作成するポジションです。また、IT技術を高度に駆使した業務改革なども行います。

高いIT技術で、サービスや製品の創出を企画・推進し、競合に打ち勝つことも、ITストラテジストの役割と言えるでしょう。

つまりは、IT関連の様々な業務を遂行し、業務を成功に導く人を指します。

ITストラテジストは、IoTや組込みシステムを利用し、システム企画や開発をまとめ上げます。それによって、かつてない新しい価値を作り出すような戦略を策定・推進するという職種です。

これらが、情報処理推進機構(IPA)の公式サイトが、ITストラテジストに関して言及する内容になります。

ITストラテジスト試験は、ビジネスの成功を主導するCIOやCTO、ITコンサルタントを目指す人には、もってこいの資格です。

この資格は情報処理技術者試験において、高度情報技術者試験に分類される試験となります。レベル区分では最高位のレベル4にあたり、IT系国家資格の最高峰の一つです。

ITストラテジストの主催団体

ITストラテジスト試験は、独立行政法人 情報処理推進機構(IPA)によって実施される、情報処理技術者試験の一つです。

この団体は他にも、ITパスポート試験や情報セキュリティマネジメント試験の主催も行っています。

情報処理推進機構は、経済産業省の所管である政策実施機関です。日本のIT国家戦略を、技術面と人材育成面の両方から支えるために設立されました。

ちなみに、技術面とは情報セキュリティ対策などを指します。人材育成面は、情報処理技術者試験の実施などです。

情報処理推進機構は、ITに関する様々な政策を実現します。具体的には、サイバーセキュリティー強化のための人材育成や、社会を保護するセキュリティ対策・指針の策定、IT活用に向けた基盤構築などです。

ITストラテジストの受験者はやや少ない

ITストラテジスト試験における、2018年の受験者数は4975人です。この数字は、ワンランク下の応用情報技術者試験の受験者と比べると、少ない水準になります。

理由として考えられるのは、試験レベルの違いでしょう。応用情報技術者試験もレベルの高い試験ですが、ある程度経験が積んだエンジニアが、もうワンランク上を目指すための試験になります。

一方で、ITストラテジスト試験は、主にCTOやITコンサルタントなど、より上位の立場で働くことを目指す受験者が対象です。

目指すレベルがそもそも違うため、試験内容も当然高度になります。そのため、必然的に受験者の数も絞られてくるのです。

また、2009年から推移で見ると、当時は5514人だった受験者が年々減少し、今では5000人未満で落ち着いていることが分かります。

そもそもCIO,CTOとは?

CIOは「最高情報責任者」を意味します。「Chief information officer」の略語です。

企業におけるIT戦略のトップになります。企業グループ全体のIT活用を見直し、その機能や役割を最適化することが求められる役職です。

IT化が進む現代においては、ビジネスの成功を主導するポジションの一つです。

一方で、CTOは「Chief Technology Officer」の略で、「最高技術責任者」を意味します。

こちらは企業における技術部門のトップです。

ITストラテジストの仕事内容

ITストラテジストの主な役割は、高度なIT技術を用いて企業戦略に貢献することです。具体的には、経営視点と技術視点の両面から、業務の効率化を促すことになります。

ITストラテジストは、一般の従業員を指揮する上の立場です。課題発見や戦略策定により、ビジネスを牽引します。

課題発見の業務では、企業の現場に自ら訪れて観察したり、社員から聞き込み調査を行うことで、ビジネスにおける総合的な問題点を把握します。

見つかった課題や改善点が活かされるのが、戦略策定の業務です。ITストラテジストは、IT技術者としての知見を用いて、システム導入やIT活用法の検討を行います。

策定された戦略は、経営者へと提案され、業務の改善や確信が実現されるのです。

そのため技術者というよりは、ビジネスに寄り添うコンサルタントのような立場と言えるでしょう。

ITストラテジストとして身につけておきたい能力

ITストラテジストは、エンジニアとして現場で働くわけではないので、技術面の習得はそれほど重要ではありません。業務はむしろ、IT技術のコンサルが中心です。

ITストラテジストには、専門的な知識はもちろん、それを活かすスキルも求められます。

IT知識を元に、会社経営の改善イメージをデザインし、それを戦略化及び提案できる能力が必要です。

また、ITストラテジストはコンサルタントなので、多くの人を惹きつけるようなプレゼンスキルやコミュニケーションスキルは、重要になるでしょう。

プレゼンテーション能力は、経営陣の説得や、社員に戦略の有効性を説明するのに必要です。

コミュニケーション能力は、課題発見のヒアリングなどで役に立つでしょう。戦略を実行する場面においても、もちろん有用です。

ITストラテジストの年収・転職状況

ITストラテジストの平均年収は650万円と言われています。これはシステムエンジニアの平均年収550.8万円よりも高い水準です。

サラリーマンの平均収入454.5万円よりも、もちろん高い年収になります。

さらに、ITストラテジストは転職に有利な難関資格です。企業経営を左右するような重要ポストに起用されることも多い職業となります。

具体的には、コンサルファームやシンクタンクにおいて、ITストラテジストは重宝される資格です。

ひとたび転職サイトに登録すれば、引くて数多な需要のある資格でしょう。キャリアアップには大変有効な資格です。

ITストラテジストの基本情報

教室の風景 ここからは、ITストラテジスト試験における基本情報を紹介します。

ITストラテジストの試験形式・試験範囲

ITストラテジスト試験は、午前Ⅰ、午前Ⅱ、午後Ⅰ、午後Ⅱの4分割で行われます。

各試験の試験時間や出題形式、出題数の詳細は以下の通りです。

試験 試験時間 出題形式
午前Ⅰ 9:30~10:20(50分) 四肢択一式
午前Ⅱ 10:50~11:30(40分) 四肢択一式
午後Ⅰ 12:30~14:00(90分) 記述式
午後Ⅱ 14:30~16:30(120分) 論文式

午後試験Ⅰは4問中2問、午後試験Ⅱは3問中1問を、それぞれ選択して解答します。

全ての試験が100点満点で行われます。

午前Ⅰ

午前Ⅰ試験の出題範囲は以下の通りです。

分野 大分野
テクノロジ系 基礎理論
アルゴリズムとプログラミング
コンピュータ構成要素
システム構成要素
ソフトウェア
ハードウェア
ヒューマンインタフェース
マルチメディア
データベース
ネットワーク
セキュリティ
ソフトウェア開発管理技術
マネジメント系 プロジェクトマネジメント
サービスマネジメント
システム監査
データベース
ネットワーク
セキュリティ
ソフトウェア開発管理技術
ストラテジ系 システム戦略
システム企画
経営戦略マネジメント
技術戦略マネジメント
ビジネスインダストリ
企業法務
法務

午前Ⅰは1問につき、3、4点の配点となります。60点以上の得点が合格の基準となってきます。

テクノロジ系17問、マネジメント系5問、ストラテジ系8問の計30問という出題構成になります。

午前Ⅰの問題は全て、同時期の実施である応用情報技術者試験の午前問題から選定されるようです。選定には、考察問題が多く、文章題が少ないという傾向があります。

テクノロジ系の比重が大きいため、ここでいかに得点できるかが、合格に直結してくると言えるでしょう。

午前Ⅱ

午前Ⅱ試験の出題範囲は以下の通りです。

出題範囲
セキュリティ
システム戦略
システム戦略
経営戦略マネジメント
技術戦略マネジメント
ビジネスインダストリ
企業活動
法務

午前Ⅱ試験は、各4点×25問という配点で行われます。こちらも60点以上の得点が合格に必要となってきます。

出題範囲は午前Ⅰ試験と重なりますが、午前Ⅰ試験よりもビジネスに関する問題が多く出題されます。

新しい傾向の問題が増加してきているため、常に最新の知識の収集を怠らないようにしましょう。経済紙やIT系雑誌を読むなどの対策法がおすすめです。

午後Ⅰ

午後試験に関しては、Ⅰ・Ⅱ共に以下の出題範囲で行われます。

  1. 業種ごとの事業特性を反映し情報技術を活用した事業戦略の策定又は支援に関すること (IT技術によるビジネスモデルの開発提案や事業戦略の策定など)

  2. 業種ごとの事業特性を反映した情報システム戦略と全体システム化計画の策定に関すること(業務モデルや情報システム全体の体系的定義など)

  3. 業種ごとの事業特性を反映した個別システム化構想・計画の策定に関すること(業務システムにおける課題の定義や分析、モデルの作成など)

  4. 事業ごとの前提や制約を考慮した情報システム戦略の実行管理と評価に関すること(事業全般の改革プログラムの進捗管理やリスク管理・対処など)

  5. 組込みシステムの企画、開発、サポート及び保守計画の策定・推進に関すること(IT関連技術の動向分析やリスク分析、調達方針の策定など)

午後試験Ⅰでは、4題の中から2問を解答します。各問50点×2という配点です。午前試験と同じく、合格のためには60点以上の得点が必須となってきます。

長文を読み、その内容について記述していくという形式です。問題文からヒントを探し、設問の答えを導き出しましょう。ヒントは複数箇所に点在する場合もあり、問題文をしっかりと読み込むことが大切です。

午後Ⅱ

午後試験Ⅱは、3問から1つを選んで解答する方式です。短い文章を読み、自分の考えを長文で論述することが求められます。

IPAの公式サイトによると、午後試験Ⅱは以下のような基準で評価されるようです。

  • 設問で要求した項目の充足度

  • 内容の妥当性

  • 論理の一貫性

  • 見識に基づく主張

問題冊子で記載のある「解答にあたっての指示」を破った場合、論述内容を問わず、評価の程度を下げられることがあるため注意が必要です。

試験はA〜Dまでの4ランクで評価され、合格できるのはランクAのみとなります。ランク評価のため、配点は存在しません。

頻出する問題と最新トピックを扱う問題の両方が出題されるという傾向があります。

頻出問題は事前にきちんと対策して得点源にしておきましょう。また、最新トピックを情報系雑誌や新聞などで、常にチェックしておくことも重要です。

合格率は14%前後

過去のITストラテジスト試験における合格率は以下の通りです。

年度 合格率
平成21年度 13.7%
平成22年度 13.9%
平成23年度 14.6%
平成24年度 14.0%
平成25年度 14.1%
平成26年度 15.0%
平成27年度 14.6%
平成28年度 14.0%
平成29年度 14.7%
平成30年度 14.3%
平成31年度 15.4%

上記より、合格率は例年14%程度であることが分かります。これはかなり低い数字であり、難易度の高い試験であると言えるでしょう。

また、他の高度情報技術者試験の合格率も同等程度の数字です。

令和元年度試験における、受験者の平均年齢は41.3歳であり、他の資格よりも高めの年齢層が多く受験しています。受験者の多くがIT系の仕事に従事し、豊富な経験を持っています。

こういった受験者のレベルの高さを考えても、合格率14%はかなりの難易度を表していると言えるでしょう。

難易度は最高峰

ITストラテジストは、情報処理技術者試験のレベル区分で、最高位のレベル4に位置付けられる資格です。そのため、その難易度が最も高い部類になります。

資格の偏差値は71であり、最難関の国家資格と同水準の数字です。例えば、公認会計士試験や司法試験が、近い難易度の試験となります。

難易度が高い理由は、資格の目指す人材像が経営企画や幹部候補など、上の立場で会社を牽引できる者だからです。それに伴い、当然試験の内容も高度になります。

また、午後試験Ⅱにおいて出題される大論述の難易度が高いことも、試験全体の難易度を押し上げている要因と言えます。

しかし難易度が高い分、資格の信頼度や権威性も高く、取得するメリットは十分にあると言えるでしょう。

勉強期間は2年間

IT関連の実務経験があり、働きながらITストラテジストの取得を目指す場合、必要な勉強時間は2年程度と言われています。

仕事をしながら勉強するとなると、多忙で勉強時間が取れない日もあると想定できるます。2年間というのはそういった日があることを考慮した勉強期間の目安です。

毎日安定して勉強時間が取れるなら、もっと短期間での合格も可能でしょう。

ITストラテジスト試験は、応用情報技術者などの有資格者であっても、それなりの勉強時間が必要です。

新しい試験形式が追加されており、その分の勉強をかなりしないといけないことが予想されます。

そのため、特に働きながら合格を目指す場合は、余裕を持った学習スケジュールを立てることをおすすめします。

合格点を突破している割合

平成30年度の試験データを用いて、各試験の合格点突破者の割合について解説します。

まず前提条件ですが、ITストラテジスト試験においては、各試験で合格基準点を突破しないと、次以降の試験の採点がなされません

そのため、午前Ⅰ試験を不合格となった受験者に関しては、午前Ⅱ以降の採点はされないということです。午前Ⅱ試験、午後Ⅰ試験においても同様で、不合格の場合はそこで採点終了となります。

また、午前Ⅰ・Ⅱと午後Ⅰに関しては、それぞれ100点満点中60点が合格基準です。午後Ⅱの評価方法はランク方式で、ランクAのみが合格となります。

午前Ⅰ・Ⅱ試験を突破した受験者の割合

合格点を突破した受験者の割合については、午前Ⅰ試験で60点以上を取ったのは受験者の71%でした。

ちなみに午前Ⅰ試験では、応用情報技術者試験の合格者に対する免除制度があります。これを使って受験した人は、全受験者の63.6%です。

午前Ⅱ試験では、午前Ⅰ試験の合格者のうち、70.5%が60点以上の得点を取ることができています。

ここから午前試験に関しては、多くの受験者が突破していることが分かります。

午後Ⅰ・Ⅱ試験を突破した受験者の割合

午前Ⅱ試験を突破した受験者のうち、57.9%は午後Ⅰ試験にも合格しています。

午後Ⅰ試験に合格し、さらに午後Ⅱ試験でもA評価を獲得した者の割合は、午後Ⅰ試験の合格者の41.6%でした。

よって、試験全体の合格率は14%ですが、各試験別の合格率では、かなりの割合の人が合格基準点を突破していることが分かります。

各試験の対策をコツコツ積んでいけば、ITストラテジスト試験と言えど、合格は十分可能であるということです。

ITストラテジストの勉強法

ノートとペン ITストラテジストの4つの試験に共通して有効な勉強法としては、インプットとアウトプットの徹底が挙げられます。

インプットとは、テキストをしっかりと理解して基礎知識を身に付けること、アウトプットは、問題集や過去問を用いて演習を行うことです。

インプットでは、基本用語をきちんと記憶するとともに、試験内容の全体像を大まかに捉えましょう

午前試験では、漏れなく知識を詰め込めているかが重要になってきます。特に初学者の場合はインプットにじっくり時間をかけるべきです。

アウトプットにおいては、まず演習を積むことで問題の形式に慣れ、適切に回答できるようになることが大事となります。

また、分からない問題はテキストに戻り、復習するようにしましょう。自らの弱点を把握し、その克服に努めることが肝心です。

ITストラテジスト試験では、どれだけ演習を積んだかが得点に直結してきます。そのため、徹底的な演習をおすすめします。

インプットからアウトプット、そして再びインプット(復習)というサイクルが、合格への必勝法です。これを繰り返すことで、試験に使える知識が定着しやすくなります。

各試験ごとの具体的対策法

インプットからアウトプットへという基本的な流れを守りつつ、各試験ごとに適した対策を行うことも重要です。

ITストラテジストには4つの試験がありますが、それぞれに個性があり、対策方法も異なります。

午前Ⅰ

午前Ⅰ試験においては、応用情報技術者試験や基本情報技術者試験からの流用が大半です。これら試験の午前試験の過去問で出題された基本的な問題が、多数出題されます。

そのため、対策にはそれら試験の過去問演習が有効です。何周もして傾向を掴みましょう。

具体的には、直近3〜5年分を解くのがおすすめです。演習を通して知識の不足を補いましょう。演習においては、7から8割以上の正答率を目指すべきです。

特に新しく学ぶ必要のある知識はないため、午前Ⅰ試験の対策では、基礎をしっかりと固めることを心がけましょう。

午前Ⅱ

午前Ⅱ試験は、8つの出題分野で構成されます。特に「システム戦略」・「ビジネスインダストリ」・「経営戦略マネジメント」・「企業活動」が重要です。ビジネス色の強いこれら4分野が、全体の8割を占めます。

過去問からも出題が多いという点は、午前Ⅱ試験でも変わりません。そのため、ここでも過去問をしっかりとやりこむことが有効です。

ただし、同じ問題でも問われ方が変わる場合があるため、注意が必要です。過去問演習を行う際は、各問題の全体像と各選択肢が何を意味しているのかを把握しながら勉強を進めましょう。

また、午前Ⅱ試験ではマネジメント系・ストラテジ系の比重が大きくなります。これらの対策を十分にしておくことが得点アップに直結します。

午後Ⅰ

午後Ⅰ試験では、長文問題が出題されます。午後試験はどちらも記述式の問題です。

長文問題では、記述の要点を問題文から見つけて解答を構成していきます。問題文からヒントを見つける練習を積みましょう。

またこの時に、問題作成者の出題意図を考えることが重要です。解答の構成要素が問題文中に点在している場合もあります。1箇所のヒントでは記述しにくい場合、他の部分も確認してみましょう。

記述を行う際には、問題文のフレーズをなるべくそのまま使用することがおすすめです。理解の齟齬が生まれにくくなります。

また、解答には字数制限があるため、演習を通して要約力を培っておきましょう。要約をする際は、解答の構成要素を出題意図に沿って順位付けしていくことが重要です。

午後Ⅱ

ITストラテジスト一番の難所が午後Ⅱ試験の大論述問題です。高い作文能力が求められます。

対策法としては、論述の際、以下の3つのポイントを押さえることが基本です。

  1. 論理構成を意識

  2. 設問で想定されている立場をきちんと理解する

  3. 定番問題を押さえておく

1つ目は論述問題を解く際の基本となります。因果結果や主述関係など、論理的な文章になっているかを確認しましょう。

自分でチェックするのが不安という場合は、他の人に読んでもらうことも有効です。文章の関係性が適切かどうかを添削してもらいましょう。

次に2つ目ですが、ITストラテジスト試験では、ITストラテジストの立場で論述を行う必要があります。つまり、経営層の立場を盛り込んだ上で解答を作成するということです。

技術面を重視した、エンジニア目線の文章にならないように注意しましょう。そのためには、普段から経営層の視点を養っておく必要があります。

例えば、雑誌で新製品を見る際には、技術面ではなく販売戦略などの経営的観点を意識する、といった練習をすることがおすすめです。

最後に3つ目ですが、午後Ⅱ試験では、最新トピックに関する問題と定番問題の両方が出題されるという傾向があります。

定番問題は、過去問演習による対策が可能です。そのため、事前にしっかり対策を練って得点源としましょう。練習の際は、解答の必須要素に、上手く自分の経験を盛り込むような書き方を心がけることが重要です。

ITストラテジストの独学合格は可能?

ITストラテジスト試験は、独学でも合格が可能な試験です。独学の際は、上記で解説したような勉強法を、自身で徹底できるかが問題となります。

つまり、勉強以外の面が重要なのです。スケジュール管理やモチベーションの維持次第で、合格できるかが決まります。

スケジュール管理の方法

学習スケジュールを立てる際は、仕事などで限られた勉強時間を、有効に使う工夫をしましょう。あらかじめ勉強すべき内容を網羅しておき、それを1週間単位の計画にまとめることがおすすめです。

ノートに書くなどして予定をすぐに見れる状態にしておくことは、常にやるべきことが明確になっている状態を維持できるため、試験勉強の効率化には有効と言えます。

モチベーション維持の方法

合格には継続的な勉強が肝心です。しかし、長期間勉強を続けていると、やる気が低下する場面があることも事実でしょう。

そのため、試験勉強の際には、モチベーション維持の工夫をするべきです。

具体的には、演習時に目標点数や目標正当数を決めるなどの方法があります。その日に勉強するページ数を決めるのも良いでしょう。

日々達成感を味わえるような仕組みを作ることで、勉強が楽しく継続できるようになります。

おすすめテキスト・問題集

ITストラテジスト試験の独学には、「ALL IN ONE パーフェクトマスター ITストラテジスト2019年度」というテキストがおすすめです。

TAC情報処理講座のテキストで、TAC出版より出されています。価格は3,300円です。

このテキストは、ITストラテジスト試験で集中的な対策が必要である午前Ⅱ、午後Ⅰ・Ⅱ試験の対策を目的とした書籍です。様々な攻略テクニックが詰め込まれています。

一番の難関となる午後の記述式問題の解法・解説が充実しているという点が魅力です。三段跳び法やステップ法、ユニット法といったTAC独自の記述や論述のテクニックが学べます。

加えて、このテキストは演習問題も掲載しています、解法のインプットからアウトプットまで、この1冊あれば十分という内容です。

この一冊をしっかりとやりこむことで、午後試験の対策を確実なものにすることができるでしょう。

過去問は有効に活用する

ITストラテジスト試験の過去問は、情報推進開発機構(IPA)の公式サイトや市販の過去問題集などから入手が可能です。

過去問を解くことで、頻出範囲や出題傾向が把握できます。また自分の理解が及んでいない部分の発見・克服を行うことにも有効です。そのため、過去問演習は実力アップに不可欠だと言えます。

特に午前試験Ⅱに関しては、ITストラテジストの過去問からのそのまま出題される場合が多いため、過去問中心の対策がおすすめです。

また午後試験Ⅱでは、頻出問題の練習に過去問の繰り返しが効果を発揮します。

ITストラテジスト試験は、過去問演習の量が合格に直結するといっても過言ではありません。積極的な過去問の活用をおすすめします。

通信講座も存在

独学での勉強が不安な人や、多忙で満足に勉強時間が取れない人には、通信講座の活用がおすすめです。

例えば、ITECでは「2020 ITストラテジスト スタンダードコース」が実施されています。価格は57200円です。

また資格の学校TACでも、「ITストラテジスト 本科生・本科生プラス」が開講されています。受講料は「本科生」が60000円、「本科生プラスが70000円」です。

通信講座では、試験日から逆算してカリキュラムが組まれているため、勉強のペースが掴みやすいというメリットがあります。

また試験対策のプロから、有効な試験対策ノウハウを学べる点も魅力です。

効果的かつ効率の良い勉強ができるだけでなく比較的費用も抑えられることも通信講座の強みです。

もちろん独学よりは費用がかかりますが、予備校などに通学するのと比べるとかなり費用が小さくすむのでおすすめです。

ITストラテジストの勉強をするメリット

本を読む女 難易度の高いITストラテジスト試験ですが、その勉強にはどのようなメリットがあるのでしょうか。

実力をアピールしやすい

ITストラテジストは、IT関連資格の中で最高峰に君臨する資格の一つです。そのため、十分にアピールポイントとして使えます。取得していることで、IT関連の実力者であることを、周囲に証明することになるでしょう。

またITストラテジストは、IT業界でそれなりの経験を積んできた人が取得します。資格を取得することで、その経験に箔がつき、高評価に繋がる場合が多いです。

そのため、初対面の相手でも、ITストラテジストの保有者ということで、信頼を得やすくなります。案件の確保を初めとして、様々な業務で有用でしょう。

市場価値を高められる

ITが普及した現代においては、多くの企業がIT戦略を立案できる人材を求めています

ITストラテジストは、まさにそうした企業の需要にマッチした人物です。そのため、資格の取得は、自身の市場価値を高めることに繋がります。

またIT業界だけでなく、一般企業においてもITの重要性は増しています。それらの企業に対して、知識を生かしたコンサルティング業務を行うのもITストラテジストの仕事です。

このように、ITストラテジストの需要は、幅広い業界で大きいため、資格を取得すれば、間違いなく自身の活躍の幅が広がるような資格と言えます。

中小企業診断士よりも優遇される場合も

ITストラテジストと同じように、企業へのコンサル力をアピールできる試験としては、中小企業診断士が挙げられます。

両者の違いは、中小企業診断士は企業経営のコンサル、ITストラテジストは企業のIT戦略のコンサルを、それぞれ専門にするという点です。

そのため、コンサルの中でも特にIT業界で活躍したい場合は、ITストラテジストの方がおすすめです。ITに関する専門的な知識の量が違うので、IT業界では多くのケースで優遇されます。

特にシステムエンジニアとして働きたいなら、ITストラテジストの方が有利です。

一方で、経営全般のコンサルにおいては、中小企業診断士の方が優遇されます。どのような職種で働きたいかをしっかり考えた上で、取得する資格を決めましょう。

他の国家資格の一部免除も

ITストラテジストを保有していると、他の国家試験で免除を受けられる場合があります。具体例は以下の通りです。

  • 中小企業診断士の1次試験科目の一部免除

  • 弁理士試験の論文式筆記試験選択科目の理工V免除

  • 技術士試験の第一次試験の専門科目「情報工学部門」が免除

  • ITコーディネータ試験の一部が免除される専門スキル特別認定試験を受験可能

上記のように、多くの試験で免除が受けられます。次なる資格を取得する際には、負担を軽減することが可能です。

ITストラテジストは、中小企業診断士とのダブルライセンスで活動する人も多いため、これらの免除制度は役に立つと言えるでしょう。

ITストラテジストの受験までの流れ

砂時計 ITストラテジスト試験は、毎年1回実施されます。実施日は例年10月の第3日曜日です。

実施会場は、全国主要50都市に設けられます。7月中旬ごろから申し込みが始まり、期間は1ヶ月程度です。

申し込みは、インターネット出願もしくは郵送出願のどちらかで行います。

ITストラテジスト試験の受験料は5700円です。これは他の情報処理技術者試験と共通の料金になります。

ITストラテジスト試験の次回の実施日は、令和2年10月18日(日)です。合格発表は、12月下旬ごろに行われます。

ITストラテジスト試験に受験資格はありません。性別や学歴、年齢を問わず、誰でも受験できます。

午前Ⅰ試験は免除あり

午後Ⅰ試験には、免除制度が存在します。下記のいずれか1つを満たす場合は、2年間の免除が受けられます。

  • 応用情報技術者試験合格

  • 高度情報技術者試験に分類される試験に合格

  • 高度情報技術者試験に分類される試験の午前Ⅰ試験で合格基準点をクリアする

平成30年度の試験においては、受験者の63.6%がこの免除制度を利用しています。

ITストラテジスト試験は長期戦です。そのため、午前Ⅰ試験に関しては免除制度を利用し、試験の負担を軽減することをおすすめします。

免除制度の中で最もハードルが低いものは、下位資格である応用情報技術者試験の合格でしょう。

ITストラテジストと合わせて取りたいおすすめ資格

スマホを見る女性 ITストラテジスト試験に挑む前に、応用情報技術者試験を取得することもおすすめです。

また、中小企業診断士とのダブルライセンスも良いでしょう。

応用情報技術者

応用情報技術者試験は、ITストラテジスト試験よりもワンランク下の試験です。同じ情報処理技術者試験の一つで、レベル3に分類されます。

試験内容は、ITストラテジストの午前Ⅰ試験と関連した内容が多いです。テクノロジ系・ストラテジ系・マネジメント系の3つが主な出題範囲となります。

ITストラテジスト試験において知識不足を感じる場合は、まず応用情報技術者試験から始めるのも良いでしょう。この試験で基本的な知識を学び直すことで、ITストラテジストの勉強を進めやすくなります。

基礎学力を固められ、午前Ⅰ試験の免除も受けられるため、応用情報技術者試験はおすすめです。

中小企業診断士

中小企業診断士は、ITストラテジスト同様、コンサルタント業務に関する国家資格です。ITストラテジストがIT戦略のコンサルを専門とするのに対し、中小企業診断士は主に企業経営のコンサルティングを行います。

そのため、中小企業診断士の試験内容は、企業経営や経済学が中心です。

難易度自体は、中小企業診断士の方がやや高めとなります。そのため、ITストラテジスト試験の後に挑戦するのも良いでしょう。

両者のダブルライセンスは一般的とは言えませんが、メリットがあることは間違いありません。両方を取得すればコンサル業務の幅が広がるため、抜きん出た存在になれるでしょう。

簡単な情報処理技術者試験から始める

こちらを見る女性 IT関連の知識や資格に馴染みがないなら、もっと簡単な情報処理技術者試験から始めるのも良いでしょう。

情報処理技術者試験の種類

情報処理技術者試験は、「情報処理の促進に関する法律」に基づき、経済産業省がITに関する一定水準以上の「知識・技能」を持つ者を認定する国家資格です。

情報処理技術者試験には、レベル1〜4までが存在します。ITストラテジスト試験は、レベル4の高度試験の一種です。試験には以下のような種類があります。

試験 レベル
ITパスポート試験 1
情報セキュリティマネジメント試験 2
基本情報技術者試験 2
応用情報技術者試験 3
ITストラテジスト試験 4
システムアーキテクト試験 4
プロジェクトマネージャ試験 4
ネットワークスペシャリスト試験 4
データベーススペシャリスト試験 4
エンベデッドシステムスペシャリスト試験 4
ITサービスマネージャ試験 4
システム監査技術者試験 4
情報処理安全確保支援士試験 4

IT初心者にはITパスポート試験

IT関連の知識を学んでみたいという場合は、ITパスポート試験から始めることをおすすめします。

ITパスポート試験の対象は「全社会人」であり、ITの利活用に関する基本的な知識が身につく資格です。

合格率は例年50%を超えるため、二人に一人は合格できます

試験形式もCBT方式(コンピュータで行う試験)なので、気軽に受験できる資格です。

基本情報技術者試験は新人エンジニアの登竜門

エンジニアとしてIT業界で働きたいという場合は、基本情報技術者試験がおすすめです。

この試験はエンジニアの登竜門と言われ、IT企業では新人社員に受験を義務付ける会社もあります。

この資格は、IT関連の業務に必要な基本的な知識や技能の習得を目的としたものです。

一般企業からの転職においても、この資格があれば、経験の浅さをカバーできるでしょう。

ITストラテジストについてまとめ

ITストラテジストについてまとめ

  • IT戦略のコンサルでビジネスを牽引する仕事
  • 平均年収650万円という高待遇
  • 司法試験や公認会計士の試験に近い偏差値

ITストラテジストの資格について、仕事内容や年収、試験の難易度をまとめました。

ITストラテジスト試験の難易度は高いですが、同じだけ資格の影響力や業務のやりがいも大きい資格です。

苦労して取得する価値のある資格なので、是非チャレンジしてみてはいかがでしょうか。