ITストラテジストの論文式の対策法は?ネタの集め方・おすすめ参考書まで解説

「ITストラテジストの論文試験ってどんな試験なの?」

「論文試験は独学ではどのように対策すればいいかわからない!」

ITストラテジスト試験に独学で臨む人ならこのようなことでお悩みのことでしょう。論文式試験とはITストラテジストの4つある試験の一つで、最も対策が難しい試験です。

ここではITストラテジストの論文式試験の対策法について紹介します。

論文式試験は独学では対策が難しい試験ですが、不可能ではありません。コツを押さえて、少しでも合格に近づけましょう!

ITストラテジストの論文試験の対策法についてざっくり説明すると

  • 論文式試験が行われるのは午後2試験のみ。
  • 120分で3000文字ほど記述することになる。
  • あらかじめ書く内容を決めておくとよい。

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ITストラテジストの試験は4種類

ITストラテジスト試験に挑戦する人

ITストラテジストの試験は午前1、午前2、午後1、午後2の4つに分かれています。それぞれの試験の試験時間と出題形式は以下の表の通りです。

試験 試験時間 出題形式
午前1 9:30〜10:20(50分) 四肢択一式
午前2 10:50~11:30(40分) 四肢択一式
午後1 12:30~14:00(90分) 記述式
午後2 14:30~16:30(120分) 論文式

午後1試験では出題される4問の中から2問を、午後2試験では出題される3問から1問を選んで解答する選択形式が採用されています。

午前1、午前2、午後1試験は100点満点で行われ、合格基準は60点です。午後2試験はAからDの四段階で評価され、A評価で合格です。

各試験の特徴

午前試験

午前試験1・2では応用情報技術者試験の午前試験と同じように、ストラテジ系・マネジメント系・テクノロジ系の3つの範囲から出題されます。

午前1試験の配点は問題によって異なり、1問につき3点または4点です。問題数は全部で30問あり、内訳はテクノロジ系が17問、マネジメント系が5問、ストラテジ系が8問です。

午前1試験の出題範囲は応用情報技術者試験と同じです。科目・出題レベルのどちらも同じで設定されています。

午前2試験はすべての問題が4点で25問出題されます。試験範囲はストラテジ系の問題が多く、技術よりもビジネスを重視していると言えます。

午前2試験の特徴はストラテジ系からの問題が非常に多く、ほかの分野からの出題がほぼないことです。2問だけセキュリティの問題が出題されますが、残りはすべてストラテジ系の問題です。

具体的な出題範囲は以下のようになっています。なお、法務のみ応用情報技術者試験や午前Ⅰ試験と同程度の難易度ですが、ほかの科目は応用情報技術者試験よりも高度な内容が出題されます。

  • セキュリティ
  • システム戦略
  • システム企画
  • 経営戦略マネジメント
  • 技術戦略マネジメント
  • ビジネスインダストリ
  • 企業活動
  • 法務

午後Ⅰは文章題

午後1試験は午後2試験と出題範囲が同じです。試験範囲は以下のようになっています。

  1. 業種ごとの事業特性を反映し情報技術を活用した事業戦略の策定又は支援に関すること(IT技術によるビジネスモデルの開発提案や事業戦略の策定など)

  2. 業種ごとの事業特性を反映した情報システム戦略と全体システム化計画の策定に関すること(中長期情報システム化計画の策定や事業継続計画(BCP)の策定・実施、システムリスクの分析など)

  3. 業種ごとの事業特性を反映した個別システム化構想・計画の策定に関すること(システム化構想の策定やシステム調達の提案依頼書(RFP)の準備など)

  4. 事業ごとの前提や制約を考慮した情報システム戦略の実行管理と評価に関すること(情報システムの改革プログラム全体の進捗管理や改革プログラムのの達成度評価など)

  5. 組込みシステム・IoT を利用したシステムの企画,開発,サポート及び保守計画の策定・推進に関すること(製品市場動向・社内技術評価などを踏まえた製品戦略策定やリスク分析など)

午後1試験では全部で4問が出題され、そのうちの2問を選択して解答する形式になります。

配点は各問につき50点となっているため、満点が100点の試験です。

この試験では主に長文をしっかりと理解し、その内容について答えを記述していく力が必要になります。

答えとなる部分を探し出したり、出題者の意図を把握しなければならないため午前試験よりも難易度は大きく上昇します。

論文は午後Ⅱ試験で出題

午後2試験では出題される3つの問題から1つを選んで解答します。短い問題文に従って、自分の考えを長文で論述することが求められます。

出題される問題の傾向には、定番問題から最新トピックに関するものまでバリエーションがあります。中には1000文字以上を記述する必要があるなど分量の多い問題もあります。

基本的にはどの問題でも自分の経験を踏まえて課題に対する自分の考えを論述する必要があります。そのため、豊富な経験やケーススタディなどがあると有利です。

ただし、未経験者が絶対に合格できない試験ということはありません。また、実務経験が必須というわけでもありません。

ITストラテジストは他の試験同様、受験資格に何の制限もないのです。あくまでも経験があるという立場や仮定で書けばよいということです。

その場で長文を書き上げなければならないので、特に難易度の高い試験です。論理関係が正しいか、設問への適切な解答であるかなど注意するべき個所も多数あり、重点的な対策が必要です。

論文対策はどうする?

論文試験に取り組む人

ITストラテジスト試験で最も難易度の高い試験は午後試験、特に論文式の午後2試験です。ここではなぜ論文試験が難しいのか、さらにはその対策法までまとめて紹介します。

論文式試験が難しい要因

ITストラテジストの午後2試験が難しい理由はいくつかあります。知識も必要ですが、論理的に文章を書く力も必要です。それぞれ取り上げていきましょう。

まず、ITストラテジストがITと企業経営の両方を兼ね備えた融合的な試験であることです。論文を書く際にもITと経営という異なる二つの観点から書く必要があり、技術のみでは足りないのです。

次に、論文試験でお題が決められていることが挙げられます。自由筆記でもなく、かつ事前に公表されているわけでもありません。そのため、お題に沿って解答できるネタをあらかじめ用意する必要が出てきます。

また、最新のトピックについての出題もよく見られます。定番ネタだけ押さえておけばよいとも言えません。幅広く話題を集めておきましょう。webでの情報収集の他、雑誌なども有効です。

さらに、分量の多さもあります。1000文字も書くので、お題に沿った論理展開・ストーリー展開をする必要があります。

論文式の対策法

上記のように論文式試験は厄介な試験です。しかし、きちんと対策しておけば合格点に到達することは可能です。以下のような内容を意識して対策しましょう。

採点基準を理解する

試験合格のためには採点方法を理解しておくことが非常に重要です。特に論文式試験は他の試験と評価方法が異なるので要チェックです。

午後2試験には配点が決まっておらず、論文の内容によって決まるランクにより評価されます。ランクはAからDの4つあり、合格できるのは最も高いAランクだけです。

実際には細かな評価基準があり、それらの項目をどれだけ満たしているかによって最終的なランクが決定されます。

具体的な評価基準には、設問で要求した項目の充足度・内容の妥当性・論理の一貫性・見識に基づく主張などがあります。論文を作成する際にはこれらの項目を意識して書くことが合格への近道です。

問題形式は3種類に分類できる

ITストラテジストの試験では3つの大問が出題され、そのうちの1つを選んで解答します。いずれの大問にもア・イ・ウという3つの小問が用意されています。小問の内容に変動はあまりなく、それぞれ次のような内容が出題されています。

  • 設問アでは事業特性や背景について
  • 設問イでは事業の検討や内容について
  • 設問ウでは実施の提案や実施後の評価・改善点の検討について

上記のように事業が始まる前の背景から事業の実施後まで一連のPDCAサイクルについて問われています。そのため、あらかじめお決まりの流れやストーリーを考えておくとよいでしょう。

例えば設問アの場合、どのような事業であるのか、具体的な数値を用いて概要や課題を説明し、最後には現状を打開するプロジェクトを描くことが考えられます。

このように、設問の要素を分解しておくと、あとはそれに応じた内容や分量を当てはめるだけなので解答が容易になります。

あらかじめネタを集めておく

良い論文を書くためには、頻出ネタについてのストックをためておくのも大切です。試験中に考えたりアイデアを練る時間はあまりないと思ってよいでしょう。

例えば製造業のトレンドや事業規模、売り上げや従業員数などのPKIになりえる数字は目安を知っておくと有利です。

また、ITストラテジストは戦略提案を行う仕事です。経営戦略における4P分析やSWOT分析などを活用できると得た情報を事業につなぎやすくなります。

もし自分がIT事業や経営に携わっている場合は、自分の業務内容から改善提案に使えそうなものを用意しておくこともおすすめです。

書く際はメリハリを意識して

論文を実際に記述する際にはメリハリのある文章を意識して書きましょう。各内容によって書くべき文章量は異なります。

簡潔にまとめるべき部分は短く要点を絞って書きましょう。ダラダラと書いても点数にはつながりません。

長く書くべき部分とは設問の根本に関わる箇所です。小問への解答に直結する内容や事業の内容など文章全体に関係するところは掘り下げて丁寧に説明するべきです。

ストーリーのどの部分を重点的に記述するかが想像できていると、文章の長短を押さえることができます。文章の長短は文章量、すなわち文のメリハリにもつながります。

自分の論文を見直す

論文を一通り書き終わったら、時間に余裕のある限り見直しをしましょう。一度書いただけで完璧な論文が仕上がることはほぼありません。何度も修正や推敲を重ねてやっと仕上がります。

本番はともかく、練習段階では客観的な評価が重要です。自分で一通りストーリーを描き終わった後は誰かに添削してもらいましょう。参考書の問題なら模範解答の内容と自分の答案を比較するのもよい勉強になります。

第三者の評価や客観的な評価により自分の癖や苦手箇所が理解できるでしょう。合格できるくらいの論文が完成するまで、何度も書いては修正していくことが大切です。

本番でも見直しは重要です。論理関係が適切であるか、誤字脱字がないかなどのチェックは時間の許す限り行いましょう。

論文対策におすすめの参考書

通信講座や予備校を利用している人は添削サービスを利用しましょう。しかし、独学で対策を進めている人はなかなか論文試験の対策が上手にできないということで悩みがちです。

そんな独学者におすすめの参考書が「ITストラテジスト 合格論文の書き方・事例集」です。価格は3300円で、著者は岡山昌二、出版社はアイテックです。

この本は午後試験と同じ制限時間内に論文を合格レベルに仕上げるためにはどうすればいいか、という観点で作成されています。

また過去問を1問ずつ確認していくという形式であるため、合格レベルの答案を作成する技術を身に着けることができます。

書き方の指南だけでなく、実際の記述例なども豊富に記載されています。この参考書の内容を頭に入れておけば、どのような解答がより良いのか自分でも理解できるようになります。

論文の設計段階から取り上げているので初めて論文を書くような初心者であっても無理なく論文を書けるようになるでしょう。

午後Ⅱ試験の本番の解き方

ノート

午後2試験の本番の解き方にもコツがあります。中でも重要なものを紹介しましょう。

設問の内容・要求を押さえる

一つ目のコツは設問の内容や要求を押さえることです。多くの人は本文を読んでから設問を読み、論文を書き始めることでしょう。しかし、先に設問を読んで何が問われているのか理解してから解くことをおすすめします。

上述のように、午後2試験では設問のパターンがほぼ決まっています。過去問であらかじめ慣れておきましょう。

設問が短いのですぐに押さえられるでしょう。しかし、論文試験という性質上、出題内容や出題意図を誤解してしまうと書くべき内容を書き落としたり、後から気が付いても時間がなくて修正できなかったりします。

こうなると合格の可能性が非常に低くなってしまうので、設問内容はしっかり抑える必要があります。論文で記述する内容をまとめるためにも、一度頭の中で整理しておくことをおすすめします。

所要時間を決める

論文試験の本番では、設問ごとにかける所要時間を決めて書きましょう。論文試験の制限時間は120分で、記述する文字数は3000文字程度です。記述するペースにもよりますが時間が足りなくなることも十分考えられます。

それぞれの小問ごとにどれだけの文字数、ひいては時間をかけるのかを書き始める前に決めておきましょう。特に小問イと小問ウは文章量が多いのでこの二つに時間をかけ、その分小問アにかける時間は削りましょう。

設問ごとに費やす時間は、ストーリーを決める時に書くネタをスムーズに思いつく場合ある程度短くてもよいでしょう。本質がしっかりしていれば細部の変更は容易ですし、本番でもネタをすぐに思いつける可能性が高いです。

一方、ストーリー構成が上手くいかない部分や、ネタが思い浮かばなかった箇所は時間を長めに見積もっておく方が無難です。本番でも同じように難航することが予想されます。

細かな所要時間は問題によって変わりますが、大まかな時間は変わりません。各設問に費やす時間を事前に決めておき、本番である程度変更できるのがベストです。

ITストラテジスト論文試験対策まとめ

ITストラテジストの論文試験の対策法まとめ

  • 出題される小問は決まっているので、あらかじめ答案を考えておく。
  • 本番で書くネタやストーリーは過去問や経験から集める。
  • 見直しを繰り返して合格できる答案を作成する。

ここではITストラテジストの午後試験で出題される論文式試験の対策法を紹介してきました。

論文式試験は独学では対策が難しく、簡単に合格できる試験ではありません。

試験時間が短いうえに記述する文章量が多いので、時間内に書き終えるためにはあらかじめ書く内容を決めておく必要があるのです。

また、採点基準が厳しく、一回で合格レベルの答案が作成できることはまずありません。何度も添削や修正を繰り返して論文を仕上げていきましょう。

ITストラテジストは情報処理技術者試験の中でも特に難易度が高く、国家試験全体でも上位の試験です。万全の準備をしたうえで全力で取り組みましょう!

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