宅建士と管理業務主任者のダブルライセンスは可能?勉強法や求人数も紹介!

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宅建士

関口秀人

「宅建と管理業務主任者のダブルライセンスの難易度はどれくらい?」

「ダブルライセンスのメリットが知りたい!」

このような疑問をお持ちの方も多いかと思います。

宅建と管理業務主任者の資格の組み合わせは非常に相性が良く、試験勉強のしやすさや取得後の活躍がしやすいことなど多くのメリットがあります

ここでは宅建と管理業務主任者のそれぞれの特徴からダブルライセンスのメリットまで分かりやすく解説します!

管理業務主任者と宅建士の相性についてざっくり説明すると

  • 管理業務主任者試験は宅建よりも難易度が低い
  • 宅建と管理業務主任者の試験範囲は共通点が多い
  • 2つ同時に取得するには勉強法のコツを押さえる
  • ダブルライセンスのメリットは非常に大きい

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管理業務主任者試験について

今年はステップアップ

「管理業務主任者」とは、マンション管理業者が管理組合等に対して管理委託契約に関する重要事項の説明や、管理事務報告を行う際に必要な国家資格者のことです。

「管理業務主任者」となるには、管理業務主任者試験に合格し、管理業務主任者として登録し、管理業務主任者証(以下「主任者証」という)の交付を受けることが必要です。

試験合格から管理業務主任者になるまでの主な手続きの流れは以下のようになっています。

  1. 管理主任技術者試験
  2. 管理主任技術者試験合格
  3. 登録実務講習(実務経験2年以上は不用
  4. 管理主任技術者登録
  5. 登録通知書の受領(はがき)
  6. 試験合格日又は管理主任技術者移行講習会(終了日から1年以内は不用
  7. 管理業務主任者証交付申請
  8. 管理主任技術者証交付
  9. 管理主任技術者登録交付に係る講習

管理業務主任者試験について

管理業務主任者の勉強・講習会

マンション管理士同様に、不動産に関した国家資格である「管理業務主任者」は、マンション管理の専門的な知識を持ったマンション管理の専門家です。

管理業務主任者は、宅建士と同様に「独占業務」を有しています。

現在日本に存在しているマンションの多くは、老朽化が進み、高齢化社会とともに大きな社会問題になっています。

このような背景から、今後 「管理主任技術者」はマンション管理のエキスパートとして社会に求められる人材として期待されています。

宅建士と管理業務主任者の試験内容

宅建士と管理業務主任者の試験は都市計画表を除いては法令などはほぼ同じで科目が出題されています。

以下の表の出題数を観れば、どの法令に力を入れて学習していくかの目安になるはずです。

大きなポイントは、民法がほぼ同数の出題数。一方、宅建士では宅建業法が多数出題されていますが、管理業務主任者では1∼2問程度になっています。

試験科目 宅建士 管理業務主任者
民法 10問 8∼12問
宅建業務法 20問 1~2問
区分所有法 1問 2∼9問
不動産登記法 1問 0~1問
建築基準法 2問 3∼4問
都市計画補 3問
土地・建物 各1問 1~2問

宅建業者の中にはマンションの販売と管理を兼務する業者もあり、管理部門を構えて求人している会社も少なくありません。

このように、管理業務主任者と宅建士とのダブルライセンス取得者を求める企業は年々増えています。 管理業務主任者の資格を取得した人、または宅建士の資格の資格を持っているという人は、是非ダブルライセンスを取得することをおススメします。

マンション管理士と管理業務主任者ならどっち?

管理主任者ってどんな試験

不動産関連の資格の「宅建士」「マンション管理士」「管理業務主任者」の3つの資格のうち、取得の優先順位を付けるとしたら、どれから所得すべきでしょうか。

宅建業者として働くのなら「宅建士」から取得するべきです。

次に、業務に役立たせるためのダブルライセンスとして管理業務主任者やマンション管理士を取得するという順番がいいでしょう。

しかし「マンション管理士」と「管理業務主任者」は、一見似たよう資格ですからどちらを先に取得するか迷ってしまいます。

では、二つの業務内容を整理してみましょう。

マンション管理士の主な業務

  1. マンション管理規約及び仕様細則の作成
  2. 大規模修繕計画の策定
  3. 区分所有者間のトラブル解決の助言・提案
  4. 管理に関する住民相談の受付

このように、マンション管理士は住民にとって快適な住環境を作ることが目的です。

一方で管理業務主任者の業務をざっくりまとめると次のようになります。

管理業務主任者の主な業務

  1. 管理組合などに対して行う管理事務の報告
  2. 管理委託業務に関する重要事項の説明
  3. マンションの設備や組合運営に関するマネージメント

管理組合に対して行う重要事項の説明や管理事務の報告などが独占業務であり、管理組合に対して行う立場からマンション管理のマネージメンを幅広い専門知識でサポートする業務です。

マンション管理士とは

マンション管理士は、多くの住民が区分所有するマンションで、 トラブルが起きないように管理規約や仕様細則を作成し、住民の相談窓口になる資格者です。

一方、宅建士は販売が主の資格ですから、マンションの管理、例えば規約などの約束事を決め、住民が過ごしやすい環境を作り上げる知識は十分であるとは言えません。

宅建士に不足している、コンサルティング業務に長けたマンション管理士の資格を持つことで、販売とその後のコンサルティングまで幅広く業務を行うことができるのです。

どちらも専門職として求人の多い資格ですが、管理業務主任者の方が、独占業務を持っていることもあり、求人数は若干多くなっています。

ダブルライセンスなら断然管理業務主任者

宅建士とマンション管理士のダブルライセンスをもつためには、双方の試験の難易度を把握しておく必要があります。

宅建とマンション管理士の試験難易度を比較すると次のようになります。

合格率 宅建士 マンション管理士
平成28年度 15.4% 8.0%
平成29年度 15.6% 9.0%
平成30年度 15.6% 7.9%
令和元年度 17.0% 8.2%
令和2年度 16.8% 8.6%
令和3年度 17.7% 9.9%
令和4年度 17.0% 11.5%

また、マンション管理士試験の試験状況は下表のようになっています。

年度 受験者数 合格者数 合格率 合格点
平成28年度 13,737人 1,101人 8.0% 35点
平成29年度 13,037人 1,101人 9.0% 36点
平成30年度 12,389人 975人 7.9% 38点
令和元年度 12,021人 991人 8.2% 37点
令和2年度 12,198人 1,045人 8.6% 36点
令和3年度 12,520人 1,238人 9.9% 38点
令和4年度 12,209人 1,402人 11.5% 40点

宅建士の学習時間は約300時間と言われています。対して、マンション管理士の学習時間はその倍の600時間が必要と言われています。

令和4年度の試験を比べるとマンション管理士の合格率は「11.5%」であり、宅建士の「17.0%」と比較しても、かなり低いことが分かります。

一方、管理業務主任者の合格率は20%程度と。マンション管理士の試験に比べると合格率は高めになっています。

このようにまず難易度の観点で、管理業務主任者の方が狙いやすいことが分かるでしょう。

さらに独占業務で比較しても、マンション管理士には独占業務が存在しないのに対して、管理業務主任者には独占業務が存在します。

これらを総合的に判断すれば、難易度が低くて独占業務も存在する管理業務主任者の方の資格を目指すべきです

合格のための勉強のコツ

どっちの資格がいいかな

宅建士の試験と管理業務主任者の試験では、出題範囲に共通点が多く、効率よく勉強すれば合格する可能性も高くなります

例えば、宅建士試験の難関の一つである「民法」も、同じ様に出題されるため分かりやすいと言えまし、「借地借家法」も、同じ法律を勉強するので、問題に対応しやすいと言えます。

宅建士と管理業務主任者の試験は約1か月半と試験後の間隔が近いため、勉強時間が少ないと思いがちです。

しかし実際は宅建試験と共通の知識が多いので、管理業務主任者の試験でのみ問われる分野を学習す十分対応できます。

出来れば試験を年越ししないよう、記憶が温まっているうちに受験する方がいいでしょう。

W受験で一気に取得

宅建試験は毎年度だいたい「10月の第3日曜日」、管理業務主任者の試験は毎年度「12月の第1日曜日」になっています。

繰り返しになりますが、宅建士の試験科目と管理業務主任者の試験科目が共通範囲が多くあります。

ですので、勉強して知識が十分に残っている同年度に「W受験」をした方が、合格する可能性は高くなると言えます。

宅建士の試験と管理業務主任者の試験の間隔は、わずか1か月半しかありません。

ただ、共通する出題範囲・科目を省略し、管理業務主任者の試験範囲だけ効率的に学習するという方法もあります。

勉強のポイント

「W受験」を受けたいと思う人は、宅建士試験が先に始まることを考えて学習を始めましょう。

宅建士の試験は毎年度10月の中旬ですから、遅くても8月当初から始めないといけません。

まずは、管理業務主任者の試験のことは忘れて、宅建士の試験に集中します。

令和元年度の出題傾向は以下の表のとおりです。

科目 出題数 目標点
宅建業法 20問 16~17点
権利関係 14問 8∼10点
法令上の制限 8問 5点
税・その他 8問 5点

宅建業と権利関係の大部分を占める民法に注力すれば、グッと合格に近づくことが出来そうです。

また、勉強時間も宅建は300時間管理業務主任者は200時間∼300時間が必要と言われています。

民法の出題数は宅建士の試験も管理業務主任者の試験でも同じくらしの問題数です。やはり、民法はしっかり押さえておいた方がいいでしょう。

また、管理業務主任者の試験では、区分所有法の出題数が多くなっています。逆に宅建士の試験では、それほど多くありません。

このあたりのバランスを考えて学習するといいでしょう。

過去問丸暗記に走らず、着実に

専門学校や通信教育の場合は、必ずテキストをもらいます。まず、どんな内容なのかを一通り目を通しましょう。

テキストを読む前に、目次を飛ばしてしまう人も多いのですが、目次にはそのテキストに書かれている内容の要約が書かれています。

読み始める前に、目次も必ず目を通しておきましょう。テキストの中身がアタマの中で整理できるはずです。

次に、テキストを丸暗記しようとせず、重要なポイントは何かを考えながら学習を進めていきましょう。

それには、過去問題集が役に立ちます。過去の試験で、どんな問題が出たかが分かれば対策も立てやすくなるからです。

ただし、こちらも同じ問題集を続けていると丸暗記になってしまいますので、そんな時は最新版の過去問題集を購入することをおススメします。

「W受験」では、共通した範囲の出題が多いと言いました。

しかし、宅建士の試験と管理業務主任者の試験では、それぞれの仕事の特色から見た問題の作りになっていることに注意して下さい。

宅建と管理業務主任者まとめ

宅建と管理業務主任者まとめ

  • 管理業務主任者試験の合格率は20%前後であり、200~300時間の勉強で合格できる
  • 宅建と管理業務主任者のダブルライセンスは需要が高く、主に不動産業界への転職で有利になる
  • マンション管理士よりも管理業務主任者の方がおすすめ
  • W受験の際は宅建の試験日の方が先であることに注意する

今回は、宅建士と管理業務主任者のダブルライセンスにするメリットや、難易度と勉強方法について紹介しました。

どちらの資格も難易度の高い資格ですが、やはり宅建業を営むには、宅建士の資格は欠かせないものです。

まずは宅建士を取得して、それからステージアップのために管理業務主任者の資格を目指すのがいいのでしょう。

宅建士は物件を販売することが仕事ですが、住んでくれた人が快適で気持ちよく生活できるような環境整備のお手伝いをするのが管理業務主任者です。

宅建士と管理業務主任者のダブルライセンスで、販売と管理を任せられる宅建業のエキスパートになることも夢ではありません。

決して平たんではありませんが、挑戦する価値は十分にあります。

是非、ダブルライセンスを目指して頑張ってください!

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