宅建士と不動産鑑定士の違いは?ダブルライセンスの相性やメリットも解説!

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宅建士

関口秀人

「宅建士と不動産鑑定士、どちらの資格を取ったら良いのかな?」「試験科目は似ているの?」

こんな疑問をお持ちの方も多いのではないでしょうか?

この記事では、宅建士と不動産鑑定士の違いをそれぞれの試験科目、ダブルライセンスの相性やメリットとともに解説します

読み終わった頃には宅建士と不動産鑑定士がどのように違うのかが分かるはずです!

宅建士と不動産鑑定士の違いをざっくり説明すると

  • 宅建士と不動産鑑定士は難易度や勉強時間、業務、年収などに違いがある。
  • 試験科目は被っているのでダブルライセンスにもメリットがある。
  • 宅建士は独学で十分合格可能だが、不動産鑑定士はスクールに通う場合が多い。

宅建士と不動産鑑定士の違い

人のシルエットと矢印の写真

宅建士土地や建物などの不動産の取引を仲介する人を指します。主な仕事は、物件の紹介や契約書の作成、重要事項の説明を行うことです。

不動産鑑定士国や地方自治体などの公的組織や個人の依頼に基づいて、依頼された土地の価格を評価する人を指します。主な仕事は、不動産価格の評価やコンサルティング、トラブルの未然防止などを行うことです。

不動産鑑定士の試験はヘビー

不動産鑑定士試験は、短答式(鑑定理論と行政法規について問う、合格ラインは約7割)と論述式(鑑定理論、民法、会計学、経済学について問う、合格ライン6割)の2つの試験を突破しなければなりません。

特に論文試験は3日間にわたり12時間にもなる長い試験を受けなければならないのです。

その一方で、宅建試験は択一式(宅建業法、法令上の制限、税その他、民法について問う、合格ライン約7~8割)の試験が1回のみです。不動産鑑定士と比べると非常に負担の少ない試験であるといえます。

不動産鑑定士は合格後もハード

不動産鑑定士は試験に合格した後も、1年または2年にわたり講義や演習を通して鑑定法を学ぶ「実務補修」を受講する義務があります。

研修後には「修了考査」という試験に合格しなければならないため、実際に不動産鑑定士の資格を取得するまでに4~5年かかることもあります。

これに対して、宅建資格の登録実務講習は2日間で済んでしまいますが、2年間の実務経験により講習自体免除されます。実際に宅建士の資格を取るのは早い人だと3~6ヶ月で達成できます。

難易度は不動産鑑定士が段トツ高い

不動産鑑定士試験と宅建士試験の過去5年分の合格率を比較した表が次の通りとなります。

年度 不動産鑑定士 宅建士
2022 5.95% 17.0%
2021 6.06% 10月試験:17.9%
12月試験:15.6%
2020 5.89% 10月試験:17.6%
12月試験:13.1%
2019 4.83% 17.0%
2018 4.94% 15.6%

※不動産鑑定士試験合格率は当該年度の短答式試験合格率と論文式試験合格率の積で算出

不動産鑑定士合格率出典:国土交通省 不動産鑑定士試験

宅建士合格率出典:不動産適正取引推進機構

不動産鑑定士の毎年の最終合格率は4~6%程度です。最近は上昇傾向が見られて5%程度となっているものの相変わらず難関資格であるといえます。

それゆえに、不動産鑑定士は弁護士や公認会計士と並ぶ文系3大試験と呼ばれています。

また、宅建試験の合格率は例年15% と、不動産鑑定士と比べると比較的易しい試験といえるでしょう。

勉強時間の違いも大きい

合格までに必要な勉強時間は、宅建士が200~400時間といわれているのに対して、不動産鑑定士は2000~5000時間といわれています。

ここから、難易度差以上に勉強時間の差は大きく開けていることがわかるでしょう。

必要勉強時間の大小を反映してなのか、宅建士の資格は独学で取得する人が多い一方で、不動産鑑定士の資格は独学せずにスクールに通って取得する人が多いです。

宅建と不動産鑑定士の年収差

紙類、ペンと硬貨の写真

宅建士と不動産鑑定士の年収には差があります。

宅建士より不動産鑑定士のほうが試験の難易度は高く勉強時間も多いですが、年収も不動産鑑定士の方が平均的には高いです。

不動産鑑定士は難易度が高い分重宝される

不動産鑑定士も宅建士も年収はピンキリであることが現状です。

不動産鑑定士は下積み期間は年収300万などの人もいるものの、平均的に見れば年収600~700万円が相場で、外資系なら1000万円を超える人も居ます。独立して競売評価員や地方の公的評価に関わるようになると3000万円も夢ではありません。

一方で宅建士の平均年収は400~600万円にとどまってしまいますが、これも結局は個人の営業力によるので都心では1000万円以上稼ぐ宅建士もいます。

宅建士に向いている人、鑑定士に向いている人

年収だけで見れば不動産鑑定士のほうが高いものの、試験の難易度もそれ相応のものだといえるでしょう。

鑑定士として一生生きていく覚悟がある人や、長い受験勉強を耐え抜くだけの経済力がある人は、不動産鑑定士に向いています。

そして、現状の収入にプラスアルファが欲しい人や将来的には別のキャリアも考えている人は、宅建士に向いています。

宅建士と不動産鑑定士のダブルライセンス

人形とソファの写真

宅建士と不動産鑑定士、両方の資格を持っていると、試験勉強や仕事などで相互の資格を役立てることができます。

鑑定士と宅建士は試験範囲が被る!

不動産鑑定士の短答式試験では37個の法律を学習する必要がありますが、そのうち13個は宅建で学習したことのある法律(民法・借地借家法・区分所有法・不動産登記法・宅建業法など)です。

2019年の短答試験では40問中25問が宅建士試験の範囲からの出題があり、不動産鑑定士の資格を目指すときに宅建士の資格を持っていることは大きなアドバンテージになります。

ただし、どれだけ試験範囲が被っているとはいえ、双方の試験では、宅建士や不動産鑑定士の資格を持っていることによる試験科目の免除などは受けられません。

ダブルライセンスのメリット

不動産鑑定士と宅建士の資格を両方持っていると、宅建士として培った営業力を活かして顧客のニーズに沿ったいい仕事ができます。

そして、肌感覚で土地の相場動向や市場の動向を知っているため、綿密な価格算定ができるというメリットがあります。

巨額の不動産取引を受け持てることも

宅建業界では、ファンド絡みの取引や数十億円の大きな取引には価格の信ぴょう性を担保するために、不動産鑑定士とタッグを組んで仕事をすることがよくあります。

このときに、不動産鑑定士とのダブルライセンスを持っている宅建士は非常に活躍することができます。

宅建士と不動産鑑定士どちらを取るか迷ったとき

女性とクエスチョンマークの写真

宅建士と不動産鑑定士の資格、どちらを取ろうか迷ったときは、今の自分の環境、それぞれの資格の特徴や勉強したことが仕事に生かせるかなど、十分に検討されることをおすすめします。

資格を取得する目的

まず、業務未経験の人は新たに不動産業界で働きたいか、不動産業界にいる人は今後も不動産業界でキャリアを重ねていきたいかを考えることが大切です。

そして、不動産取引の現場に関わっていきたいのか、不動産の鑑定評価に携わりたいのか、自分に向いていること、これからやりたい仕事をよく考えてみるのが良いです。

たとえば宅建を取得して不動産業界である程度の経験を積んでから、不動産鑑定士にチャレンジして仕事の幅を広げていくことも一つの選択肢です。

資格を取得する方法

宅建士と不動産鑑定士は、難易度、勉強時間、勉強法もかなり異なってきます。

宅建士は独学で合格が十分狙える資格なので、勉強時間も少なく費用も安く抑えることができます。

しかし不動産鑑定士は難易度も高く膨大な勉強時間が必要なので、スクールに通う場合の費用、勉強時間の確保なども熟考する必要があります。

宅建士と不動産鑑定士のどちらを取得したいかをよく考えた上で、目指す方向性が定まれば、前向きに勉強に取り組んでいきましょう。

宅建士と不動産鑑定士の違いまとめ

宅建士と不動産鑑定士の違いまとめ

  • 不動産鑑定士は宅建士より難易度が高く勉強時間も多い
  • 宅建士と不動産鑑定士は仕事内容に違いがあり、年収は不動産鑑定士のほうが高い。
  • どちらも試験範囲が重複していて、両方の資格を持っていると試験勉強やそれぞれの仕事にも良い影響がある。

宅建士と不動産鑑定士の違いについて、あらゆる角度から徹底的にみてきました。

宅建士も不動産鑑定士も不動産業界で活躍できる資格です。

資格取得に興味があれば、ぜひ目指してみてください!

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