宅建はやめとけって本当?仕事がブラック・きついと言われる理由や実態を調査!
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宅建士
関口秀人
「宅建はやめとけと言われるけれど、なぜ否定的に言われるのだろう」
「営業職だとブラックできついというのは本当なのかな」
宅建の取得を目指しながらも、ネガティブな話を耳にして資格取得に迷いが生じている人はいませんか。
この記事では、宅建所持者の仕事の実態や、資格の価値・活用の仕方について詳しく解説しています。
周囲の言葉に資格取得を悩んでいる人は、ぜひ参考にしてください!
「宅建がブラック・きついという噂の真相」についてざっくり説明すると
- 不動産業界は顧客の都合を優先させるのが一般的
- 顧客都合に合わせるため休日なども不規則であり、やめとけと言われがちである
- 実力主義の世界なので、営業成績が良ければ収入が大いに増える
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宅建がやめとけと言われる主な理由
宅建がやめとけと言われるのは、次のような理由が挙げられます。
不動産業界の仕事が激務できつい
宅建士の主要な就職先である不動産業界は、労働拘束時間が長く、激務であるというのが通説です。
不動産業界の営業では、お客様の都合の良い時間に合わせて行わなければなりません。そのため、平日ならば夜以降に営業したり、休日返上で働かなければいけなかったりと、労働時間が長くなる傾向があります。
顧客の都合に合わせて営業時間を調整しなければならず、定時勤務がそぐわない職種だと言えるでしょう。結果的に労働時間が長時間になり、激務できついと言われる原因になっています。
離職率が高い
不動産業界の離職率は15.9%となっています。これは宿泊業、サービス業などに次いで4番目に高い数値であり、転職者も多いことが伺える結果です。
特に大手不動産企業よりも、中小や零細企業の離職率が高い傾向にあり、一般的にはきついイメージを持たれがちです。
営業ノルマがつらい
不動産の営業職に従事すると、必ず営業ノルマが課せられます。営業職の宿命とも言えますが、特に不動産は金額が大きいので、契約を獲得するのはなかなか難しいものです。
また、営業と一口に言っても、契約締結に結びつくまでには次のようなプロセスを踏みます。
- アポ取り
- 商談
- 契約締結
1のアポ取りにおいても「1日◯◯件の電話をかけること」などのノルマを課せられることもあり、この段階で心が折れそうになる人も珍しくありません。
また、場合によっては飛び込み営業もありますから、肉体的にも精神的にもタフネスさが求められる仕事です。
さらに、ノルマ未達成の月が連続すると、上司から厳しく叱責されることもあります。結果が全て物をいう、競争が激しい社会だと言えるでしょう。
クレーム対応が大変
不動産の価格は高額であり、その分顧客も些細な点が気になってトラブルになるケースもよくあります。
不動産をめぐるトラブルについて、具体的にはどのようなものがあるでしょうか。
- 「説明がない」「聞いていない」などの水掛け論
- 水漏れ、悪臭など建物の瑕疵をめぐるトラブル
- 賃貸物件における敷金についての解釈の相違
これらのトラブルをめぐっては、感情論にもつれ込み、それがクレームに発展してしまうこともあります。
このような場面では丁寧に対応し、顧客に納得してもらわなければなりません。
ですが、相談を持ちかけられた段階で相手も怒りを溜め込んでいるケースが大半であり、対応する宅建士にとっては精神的にかなりきつく感じることも多いと言われています。
ブラックな不動産会社が多いというイメージ
世間一般的にも、不動産業界=ブラック業界という認識を持つ人は多いのではないでしょうか。
営業ノルマが厳しかったり、休日も不安定だったりとネガティブなイメージが先行しがちですが、業界の全ての企業がそうだとは限りません。
同じ不動産業の中でも、例えばマンション・住宅販売と賃貸仲介営業では、かなり事情が異なります。
前者は
- 販売価格が高い
- 顧客の都合に合わせたフレキシブルな対応が求められる
- 飛び込み営業のある会社も多い
など、一般的に言われる「ブラック企業」の要素も多く含まれています。
ですが賃貸仲介営業では、ポータルサイトなどである程度情報を仕入れてから来店する顧客が多いので、「不審者扱い」「いきなり怒鳴られる」というストレスも少ないのが特徴です。
大手デベロッパーではホワイト企業も
さらに大手デベロッパーになると、法人営業をメインにしている会社も多く、安定した労働環境が望めます。
不動産業界と一律に言っても、企業の規模や営業ジャンル次第では働きやすい環境が整っており、雇用条件や福利厚生がしっかりしている不動産会社も数多くあります。
確かに給料や休日が少ない会社も存在しますが、それはどの業界でも同じであり、多かれ少なかれ企業の当たり外れがあるのは致し方ないことでしょう。
宅建は本当にやめたほうがいい資格なの?
では、宅建は本当に「やめとけ」と言われるような資格なのでしょうか。
実際には、宅建は国家資格として認知されており、さまざまなメリットが挙げられます。以下の項目で、それらのメリットについて解説します。
独占業務がある
宅建には、以下の独占業務があります。
- 契約締結前の重要事項説明
- 重要事項(35条書面)への記名・押印
- 契約書(37条書面)への記名・押印
どれも不動産契約の局面においては必須手続きであり、宅建士なしに不動産契約を結ぶことはあり得ません。
言い換えれば、宅建士がいなければ不動産売買の業務は不可能なので、有資格者であればずっと仕事に従事できる可能性があると言えます。
また、営業職だけに関わらず不動産管理や宅建事務などでも、宅建士の資格が必要とされる場面は多数あるものです。
したがって、不動産業の仕事に関わり続ける限り、仕事に困ることはないでしょう。
就活や転職で武器になる
不動産業界は人の出入りが激しく、中途採用も多い業界です。そのような業界では、たとえ求人の条件に「有資格者」が明記されていなくても、宅建士の有資格者の方が有利なのは明らかでしょう。
また、金融業界や建設業界などでも、宅建士の有資格者は歓迎されます。金融業界では融資額と担保が見合っているかどうかの判断材料として、宅建士の知識が役立ちます。
建設業においても、宅建試験では建築業法などの科目もあるので、試験勉強で学んだ知識も活用できます。
このように、他の業種に就職する際にも試験で学んだ知識が生かせるので、宅建士の資格は、決して「やめとけ」と揶揄されるような資格ではありません。
資格手当がもらえる
会社によっては、宅建の資格を所持していると資格手当が支給される会社もあります。
特に不動産会社では、資格手当を支給することで社員のモチベーションアップにもつながるので、取得を奨励している企業が多いと言われています。
気になる金額ですが、毎月1~3万円の資格手当が相場です。後述するように、不動産営業はインセンティブ制を採用している会社も多いので、毎月資格手当が安定してもらえるというのは、収入面での安定材料にもなるでしょう。
入社したばかりであっても資格手当がもらえることで、たとえ新入社員でもやる気が引き出され、プロフェッショナルとしての自覚が持ちやすくなります。
宅建取得がおすすめな人とは?
「やめとけ」「ブラック」など否定的な風潮で語られがちですが、実際に宅建士に向いているのは、どのような人なのでしょうか。業界の風潮なども考慮しながら、その特徴をまとめてみました。
ストレスに耐えられる人
不動産営業職の主な大変な点として、
- 休日が不安定
- クレーム対応に追われる
- ノルマのプレッシャーと常に向き合わなければならない
があげられます。しかし、これらの悩みを乗り越えて契約を複数成立できると、苦労に見合うだけの報酬も得られる仕事です。
また、業界の特色としていわゆる「体育会系のノリ」が指摘されることも多いです。人によってはそのノリについていくのが辛いというケースも考えられますが、学生時代にそのような空気感に慣れ親しんだ人には向いているでしょう。
総論として、タフネスさを持ち合わせ、根気強く働ける人が向いていると言えます。
年齢に関わらず稼ぎたい人
不動産業界の給料は、基本給にプラスしてインセンティブ制度を設けている企業が多いです。その性質上、自分の努力次第では複数の契約を成立させて、高額な収入を手にすることもできます。
ブラックな業界と言われながらも、やめとけという声をよそに営業センスを発揮して結果を出すのは、年齢や性別、学歴にこだわらず探究心を失わない人でしょう。
もちろん、プロフェッショナルとして日頃から専門知識のスキルアップを怠ること無く、それに加えて営業上のスキルも磨き上げている人であれば、成約に結びつく確率は上がります。
生涯食えるスキルが身に付く
営業はセンスの問題とも思われがちですが、実は必要とされる顧客に響く訴求方法などは経験や学習を通じて、習得できるものです。
こうしたソフトスキルは、AIなどの技術が進んでも機械では代替が難しいスキルの一つであり、学歴などに左右されずキャリアを築く強力な軸となります。
営業職はこうしたスキルを身につけていない人からは「キツそう」と映ることもあります。しかし、現場では、仕事にやり甲斐を感じており、組織内でも高く評価されている営業マンも多数活躍しています。
コミュニケーション能力が高い
不動産業界は顧客とのコミュニケーションが非常に重視されます。先に述べたように、数々のトラブルの中でセンシティブなやり取りも発生するので、その際に信頼関係が築けているかどうかで、契約の成否は大きく変化します。
専門家としての意識を持つのはもちろん大切ですが、それは仕事をする上での最低条件であることを忘れてはならないのです。
クレーム対応なども多い仕事ですから、顧客との対話の中で本音を聞き出し、問題解決能力に長けた人が、契約成立に結び付けられるのです。
難解な用語を使って回りくどく説明するのはなく、顧客の悩みに寄り添いながら、分かりやすくアドバイスできるような宅建士が望ましいと言えるでしょう。
「宅建がブラック・きついという噂の真相」についてまとめ
「宅建がブラック・きついという噂の真相」についてまとめ
- 専門知識も大切だが、それ以上に営業能力が重視される世界である
- 就職先の不動産会社によっては、ネガティブな評価は必ずしも当てはまらない
- ネガティブな噂に振り回されず、顧客と信頼関係を築ける人が収入アップに結び付けられる
宅建は比較的挑戦者が多い国家資格ですが、不動産業界に関わる人が業務命令で取得するケースも多く、仕事の現状への不満から「やめとけ」とネガティブな見方をする人もいます。
しかし、不動産業界で成功するかどうかは資格のネームバリューではなく、その人の営業力や人間的な魅力によるところも大きく、資格そのものの価値とはまた別の話です。
宅建資格は、いわば不動産業界に従事するためのパスポートです。不動産業界でキャリアを築きたいと考えている人は、「激務」「ブラック」というネガティブワードに振り回されずに、資格取得に励んでください。