司法書士試験の民法の難易度は?科目の特徴や勉強法・暗記のコツまで徹底解説!
「司法書士試験の民法ってどんな科目?」
「民法の勉強法が知りたい!」「暗記のコツや難易度はどうなっているの?」
司法書士試験を目指す人にとって、民法は非常に重要な科目です。しかし1000条以上もある民法の勉強はなかなか大変で、多くの人が頭を悩ませています。
この記事では民法の勉強法について紹介しています。暗記の方法や目標点、さらには民法改正についても触れています。読み終わるころには民法の勉強法がわかっていることでしょう!
司法書士試験の民法をざっくり説明すると
- 全体の20%、午前試験の60%を占める主要科目。
- 目標点は90%以上。
- 条文や判例が中心で、難易度が高い。
- 2020年には法改正が実施
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司法書士試験の民法の概要
司法書士は登記などの法的手続きのスペシャリストです。一般人にもよく知られている、大変知名度の高い士業です。
司法書士になるには国家試験に合格しなけらばなりませんが、難易度は国家試験全体でもトップクラスです。筆記試験の科目は11科目もあり、選択問題だけでなく記述試験や口述試験もあります。
実は司法書士試験の選択問題は11科目すべてがバランスよく出題されるわけではなく、80%以上の問題が4科目から出題されています。
この配点の高い4科目は主要4科目とも呼ばれていて、司法書士試験対策の中心です。残りの7科目はマイナー科目とされており、捨て科目にする受験生も多くいます。
この記事で紹介する民法は主要科目の一つです。司法書士試験に合格する上で欠かせない超重要科目です。
民法で学ぶ内容
皆さんは民法とはどのような法律かご存じでしょうか?民法とは国民の生活関係を一般的に規律する法律と説明されます。一般人の生活に関する基本的なルールですね。
民法では国民の生活を大きく2つに分けています。財産と家族関係です。
財産に関して定めている分野は財産法と呼ばれています。財産法はさらに「物権」と「債権」に細かく分けられます。
家族関係に関する分野は家族法や身分法と呼ばれます。こちらも「親族」と「相続」に分けることができます。
民法には他に「総則」というものがあります。総則は財産と家族関係のどちらにも共通する一般的なルールです。
ここまでに出てきた「物権」「債権」「親族」「相続」「総則」の5つが一般的な民法の分類です。
民法を学ぶ際にはこの5つの分類の違いや関係性を理解することが重要です。司法書士試験の民法対策はこの分類について学ぶところから始まります。
民法の科目の特徴
司法書士試験の民法は条文と判例からの出題が中心です。学説からの出題は多くありません。近年ではほぼ見られないので、意識して対策する必要はないといえます。
民法のおすすめの勉強法は具体的な例に当てはめることです。民法は法律関係を定めている実体法なので、この条文に該当するのはどういう状況なのかイメージしながら学ぶと覚えやすいです。
民法を学ぶ際には一つだけ大きな注意点があります。それは、法改正がよく行われることです。
昔と今では内容が異なる条文もいくつかあります。古い参考書や問題集を使用する時には今の法律と照らし合わせて妥当なのか確認しましょう。
過去問演習でも同じです。当時の法文なら正しいけれど、今の法律で考えると間違いというケースもあります。間違った内容を暗記しないように気を付けてください。
また、2020年度には大幅な民法改正が実施され、試験内容に大きな影響を与えています。
具体的には債権法が120年ぶり、相続法が40年ぶりの大幅改定がなされたことから、対策の際にはこの最新情報を押さえることが必須となっているのです。
出題形式と配点
司法書士試験は多肢択一式試験、記述式試験、口述式試験からなります。このうち、多肢択一式試験は午前と午後の2つに分かれています。
民法は多肢択一式試験の午前試験で出題されます。午前試験は35問ありますが、そのうちの20問が民法の問題です。午前試験の60%近くが民法の問題ということです。
司法書士試験全体で見ても、民法は配点の21%を占めています。これは11科目の中でも2番目に高い配点となっています。
分野ごとの配点を確認しましょう。下の表を見てわかるように、物権が多く出題されており、残りの分野はバランスよく出題されています。つまり、物権分野を優先的に対策することが望ましいと言えます。
分類(編) | 出題数 |
---|---|
総則 | 3~4問 |
物権 | 9~11問 |
債権 | 3~4問 |
親族・相続 | 3~4問 |
司法書士試験における民法の難易度
司法書士試験において民法は最も難易度の高い科目です。民法自体は宅建や行政書士など司法書士よりも難易度の低い科目でも出題されています。
しかし、司法書士の民法は他の試験とは比べ物にならないくらいに難しい科目です。ここではその理由を説明します。
司法書士試験の民法が難しい理由
試験範囲が膨大
民法の条文は1000を超えています。宅建や行政書士で問われるのはこの中のほんの一部ですが、司法書士試験では1000の条文ほぼすべてが試験範囲です。そもそもの試験範囲が圧倒的に広いのです。
また、試験では条文だけでなく判例も出題されます。そのため、当然こちらも対策する必要があります。
勉強するべき内容が多いので、勉強しても勉強してもまだ足りないということになりがちです。いつまでも先が見えないので、つらく感じるのです。
重要事項からの出題は非常に細かい
民法は試験範囲が多いだけではありません。正確な知識と理解も求められます。
司法書士試験では非常に細かい内容まで問われます。特に重要事項については枝葉末節に至るまで正確に覚えるよう心掛けてください。
民法改正で更に難化する?
2020年には民法が大改正され、この影響で司法書士試験の民法も難化すると言われています。
2020年の民法改正は民法全体の改正ではなく、債権の分野が中心の改正です。債権法はこれまで100年以上も改正されていなかったので、今回の改正が非常に大きな改正と言えるのです。
この民法改正に伴い、司法書士試験でも債権分野の出題が難化しています。過去問も通用しないため、特に独学で対策している人にとってはかなり厳しい状況になってきています。
民法の合格ライン・目標点数
民法の目標点数は90%以上です。たとえ民法が苦手であったとしても80%以上は正解できなければ司法書士試験の合格は難しいでしょう。
司法書士試験には基準点という制度があります。午前試験、午後試験、記述試験のそれぞれに基準点が設定されており、それぞれの分野の点数が基準点以下だと即座に不合格になってしまうのです。
午前試験の基準点は105点中75~90点程度です。そして、民法は60点分出題されます。そのため、民法で得点できなければ足切りに引っかかってしまう可能性が非常に高いといえるのです。
また、司法書士試験は基準点以外にも合格点という概念もあります。わかりやすく言えば上位数%の人だけが合格できる相対評価ということです。
たとえそれぞれの試験で基準点以上の点数を取っていたとしても、他の受験生がより高得点を取っていれば合格は難しくなります。民法は多くの受験生が対策してくるところなので、絶対に遅れをとるわけにはいきません。
司法書士試験の民法のおすすめ勉強法
勉強時間の目安
民法の勉強時間の目安は700時間です。司法書士全体の勉強時間が2000から3000時間程度と言われているので、おおよそ3分の1から4分の1くらいは民法に割く計算ですね。
司法書士試験を受験する人の場合、純粋に試験勉強だけに時間を使える人はそう多くはいないでしょう。おそらく多くても1日3時間くらいではないでしょうか。
もし1日3時間の勉強を続けた場合、おおよそ7か月から8か月くらいかかります。休日により多く勉強したり、1日の勉強時間を増やせばもっと短期間で済むでしょう。
なお、これはあくまでも勉強時間の目安でしかありません。重要なのは本番で80~90%ほどの問題を正解できるくらいに学習することです。正答率が高くなるまでは気を抜かずに根気強く学習を続けましょう。
用語の意味をまずは覚える
民法の勉強では最初に用語の意味を覚えましょう。これが何よりも優先です。
もちろん、司法書士の試験では用語の意味を問うような問題は出題されません。しかし、初学者が用語の意味を最初に覚えることには大きなメリットがあるのです。
法律用語というのは初学者や素人にはなじみがなく、まったくわからないものです。ところが、問題文や法文では当たり前のように使われます。
つまり、用語の意味が解らなければ問題の意味さえ分からないのです。そして、これから学んでいく法文の意味内容も理解できないでしょう。
そのため、法律用語を全てきちんと理解することが勉強の第一歩となり、この部分が今後の実力の伸びを決める大きな土台となるのです。
用語の意味は一度に全部覚える必要はありません。知らない用語が出てくるたびに随時覚えていくことがおすすめです。
早めに試験範囲を一周する
勉強法のポイントは早めに試験範囲を一周することです。前述の通り、民法は1000条もあります。じっくりと勉強していると試験までに全部は終わりません。
そのため、複数回に分けて学習していきます。最初は概要を、次からは細かいところと異なるスタンスで学んでいきます。
一周目ではまず先に進み、全体像を抑えることを優先します。わからないことや理解できていないところがあってもとにかく先に進みましょう。
一周目は最重要論点だけ頭に入ればそれで十分です。細かなところは後回しでOKです。二周目は後回しにした細部を重視して学んでいきます。一周目で概要はつかんでいるので、詳細に進んでいきます。
問題演習が暗記に繋がる
民法の学習では暗記が重要です。条文や判例の知識がなければ解けない問題がいくつもあります。
ところで、皆さんは暗記というとどんな作業を連想しますか?おそらくほとんどの方はテキストを何度も読むような方法をイメージするのではないでしょうか。
暗記のコツはアウトプットです。テキストで基本的な内容をインプットしたら、問題演習に進みましょう。何度もテキストを読み込むよりも実際に知識を使う方が効果的ですよ。
予備校や通信講座の講義でも同じです。ポイントを押さえた後は、すぐに問題を解きましょう。知識は使ってこそ記憶に深く定着していくのです。
インプットは隙間時間に繰り返し
上述のように暗記にはアウトプットが重要ですが、もちろんインプットの質を高めるというのも同じく重要です。
質の高いインプットをするためには予備校などで講師の解説を聞くというのが最もおすすめですが、忙しくて予備校に通う時間がないという方はスタディングのオンライン講座を受講するのがおすすめです。
スマホで講義視聴ができるスタディングであれば、移動時間などに耳から知識を取り入れることができますし、同じところを何度も繰り返すことで知識の定着も期待できます。
アウトプットに最大限時間を割くためにも、スタディングを利用して効率的にインプットを行うのが良いでしょう。
本番直前まで反復を続ける
試験対策の勉強は本番直前まで行いましょう。これは司法書士試験や民法に限った話ではありませんね。
暗記のポイントは繰り返すことです。忘れてしまっても良いので、何度も何度も繰り返し覚えなおしましょう。
民法は特に範囲が広いので、試験直前までこまめに復習することが大切です。忘れない努力、覚えなおす努力を続けていきましょう。
暗記を日課にするのも有効です。たとえば寝る前は民法の復習時間として、毎日勉強してみるのもいいかもしれませんね。また、上述のようにスタディングを使って、通勤時間を講義視聴に当てるというのも良いでしょう。
他にも間隔を空けて勉強するという手もあります。最初は数時間おきに勉強して覚えていきます。
次は一日おき、その次は三日おきと忘れてしまうタイミングごとに知識を繰り返し詰めなおすことで知識を定着させることができるのです。
民法改正について
2020年には債権に関する法律が大きく改正されました。これから試験を受験する人にとっては何よりも重要ですね。改正される内容をいくつか紹介します。
まず、時効です。これまで細かく分かれていましたが、原則として知った時から5年に統一されます。
次に法定利率の引き下げです。これまでの5%から3%に引き下げられます。さらに、市場に応じて変動するような制度も新設されます。
また、融資の際に保証人へ確認が行われたり無効な定型約款について明記されたりします。ルールが明文化されるということですね。
改正法は2020年4月から施行されています。よって、これからの司法書士試験受験者は改正論点は重点的にチェックするようにしましょう。
司法書士試験の民法まとめ
司法書士試験の民法まとめ
- 民法は重要科目で、条文と判例が中心。
- 最初は用語の意味を理解する。
- 全体像をつかんでから、細部を覚える。
- アウトプットを意識する。
民法は司法書士試験の合格を左右する重要科目です。目標点数も高く、非常に長い勉強時間が必要です。
この記事では民法の勉強法について紹介してきました。1000条もある民法を暗記するのは大変ですが、暗記にはコツがあります。効率よく勉強して試験に備えましょう!