社労士と衛生管理者のダブルライセンスはお得?受験資格や難易度の違いまで解説!

「社労士と衛生管理者の違いや特徴を知りたい!」

「社労士と衛生管理者のダブルライセンスのメリットはある?」

このような疑問をお持ちの方も多いのではないでしょうか

社労士と衛生管理者は「労働環境を整備するための専門家」としての共通項がありますが、多くの違いがあります。

簡単ではありませんが、社労士と衛生管理者のダブルライセンスを実現することで多くのメリットを享受できるでしょう。

こちらの記事で、社労士と衛生管理者のダブルライセンス実現するメリットや試験の違いなどを解説していきます。

社労士と衛生管理者資格に興味がある方に役立つ内容となっているので、ぜひ最後までご覧ください。

社労士と衛生管理者についてざっくり説明すると

  • 社労士の方が衛生管理者よりも難易度が高い
  • 試験の出題内容はそれぞれ異なる
  • 社労士と衛生管理者のダブルライセンスを実現するメリットは大きい

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社労士の方が衛生管理者よりも難易度が高い

社労士試験と衛生管理者試験を比較すると、社労士の方が難易度は高いです。

合格率 試験範囲 試験日程 合格基準
社労士 5〜8%程度 労働基準法及び労働安全衛生法
労働者災害補償保険法
雇用保険法
労務管理その他の労働に関する一般常識
社会保険に関する一般常識
健康保険法
厚生年金保険法
国民年金法
年に一回(8月) 選択式試験の総得点40点中25点以上、かつ各科目5点中3点以上択一式試験の総得点70点中45点以上、かつ各科目10点中4点以上
衛生管理者 40〜50%程度 労働衛生・有害業務に関して
労働衛生・有害業務以外
関係法令・有害業務に関して
関係法令・有害業務以外
労働生理
ほぼ毎月 科目ごとの正答率が40%以上、かつ全体の正答率が60%以上

社労士の方が試験範囲が広い上に、試験も年に一回しか行われません。

合格率も大きく差があることが分かります。

社労士と衛生管理者の合格率を比較

上記のグラフように、2018〜2022年度の各試験の合格率を見ると、やはり社労士の合格率が低い(難易度が高い)ことが分かります。

特に、2022年度の合格率は5.3%となっており、受験生の「約20人に1人」しか合格できていません。

一方で、衛生管理者の合格率は40〜50%で推移していることから、受験生の「約2人に1人」が合格しています。

社労士は1000時間の勉強時間が必要

個人差はあるものの、社労士試験に合格するためには800~1000時間程度の勉強時間が必要となります。

一方で、第二種衛生管理者試験に合格するための勉強時間は約60時間、第一種衛生管理者は100時間程度の勉強時間が必要と言われています。

必要な勉強時間からも、それぞれの試験の難易度の高さをうかがい知ることができるでしょう。

社労士と衛生管理者の試験形態を比較

社労士と衛生管理者士は「職場環境の整備」という共通項はありますが、仕事の分野が大きく異なります。

自身の経験や興味のある分野を把握した上で、イメージに近い資格取得を目指すと良いでしょう。

両資格とも受験資格があり

社労士と衛生管理者の受験資格は、下記のようにそれぞれ異なります。

社労士 衛生管理者
学歴による受験資格
3年以上の実務経験による受験資格
試験合格による受験資格(行政書士など)
学歴要件
実務経験の要件

出典:

社労士試験に合格していても、衛生管理者の受験資格はクリアできない点に注意しましょう。

しかし、社労士として企業の労働衛生業務を3年以上行っている場合、受験資格をクリアできます。

衛生管理者は試験の免除要件があり

第一種衛生管理者には、試験を受けることなく資格を得られる「免除要件」があります。

  • 大学又は高専において、医学に関する課程を修めて卒業した者
  • 大学において、保健衛生に関する学科を専攻して卒業した者で労働衛生に関する講座又は学科目を修めた者
  • 保健師助産師看護師法第七条の規定(試験合格)により保健師免許を受けた者
  • 薬剤師法第二条の規定により薬剤師の免許を受けた者

上記に該当する場合は、試験自体が免除されます。

試験内容の違い

続いて、社労士試験と衛生管理者試験の内容を比較していきます。

社労士の試験科目は幅広い

社労士試験の試験科目は、下記のように幅広い点が特徴です。

試験科目 選択式 択一式
労働基準法及び労働安全衛生法 1問5点 10問10点
労働者災害補償保険法 1問5点 10問10点
雇用保険法 1問5点 10問10点
労務管理その他の労働に関する一般常識 1問5点 社会保険に関する一般常識と合わせて10問10点
社会保険に関する一般常識 1問5点 労務管理その他の労働に関する一般常識と合わせて10問10点
健康保険法 1問5点 10問10点
厚生年金保険法 1問5点 10問10点
国民年金法 1問5点 10問10点

選択式問題は、虫食い状態となっている問題文に適切な語句を20個ある語群の中から選択する問題です。

択一式問題は、5択一の中から正しい選択肢(あるいは誤っている選択肢)を選ぶ問題で、いずれもマークシート式の試験となっています。

なお、試験時間は

  • 選択式:10:30〜11:50(80分)
  • 択一式:13:20〜16:50(210分)

となっています。

労働関係法令だけでなく、健康保険や年金制度などに関する専門的な知識が求められることから、対策に時間がかかる点は押さえておきましょう。

衛生管理者は労働基準法がメインに問われる

続いて、衛生管理者試験の試験科目や出題数を解説します。

試験科目 出題数 配点
労働衛生(有害業務に係るもの) 10 80
労働衛生(有害業務に係るもの以外のもの 7 70
関係法令(有害業務に係るもの) 10 80
関係法令(有害業務に係るもの以外のもの) 7 70
労働生理 10 100

衛生管理者試験では、主に労働基準法がメインに問われます。

試験形式は五肢択一のマークシート方式となっており、試験時間は3時間です。

社労士試験よりは出題範囲は狭いものの、しっかりと労働基準法の内容を理解しないと合格は難しいです。

勉強方法の違いを解説

突破すべき基準が多いのでムラなく学習する

社労士試験の合格基準は、下記の通りです。

  • 選択式試験の総得点40点中25点以上、かつ各科目5点中3点以上
  • 択一式試験の総得点70点中45点以上、かつ各科目10点中4点以上

衛生管理者の合格基準は、下記の通りです。

  • 科目ごとの正答率が40%以上、かつ全体の正答率が60%以上

いずれも科目ごとに足切りが設定されているため、得意教科で苦手科目を補填する考えは危険です。

1科目でも基準をクリアできなければ不合格になるため、全ての科目に満遍なく勉強することが大切です。

特に、社労士試験の問題は難易度も高いことから、各科目で基準をクリアできるように心掛けましょう。

関係法令→労働衛生・労働生理の順で学習を進める

衛生管理者試験は、まず関係法令の勉強に着手してから労働衛生・労働生理の勉強を行うことをおすすめします。

関係法令では労働基準に関する基本的なルールを学びますが、全体を俯瞰してから労働衛生や労働生理の勉強を行うことで、スムーズに専門的な知識を習得できるでしょう。

また、勉強の過程においては下記のポイントも意識しましょう。

  • 勉強スケジュールを立てる
  • 過去問・テキストの解説を熟読する
  • わからない用語が出てきたら意味を調べる
  • インプットがある程度進んだらアウトプットを重点的に行う

不明点があっても放置することなく、丁寧に対策することが大切です。

社労士と衛生管理者の仕事内容の違い

続いて、社労士と衛生管理者の仕事内容の違いについて解説していきます。

両者の仕事内容の違いを理解し、自身が向いていそうな資格取得を目指しましょう。

社労士は独占業務がある点が大きな魅力

社労士は、従業員が安心して働ける職場環境作りを企業に提案する他、企業の代わりに労働法令や社会保険法令に基づいて書類を提出する業務を行います。

社労士しか行うことができない「独占業務」として、下記の2つが挙げられます。

  • 1号業務:(必要書類の作成、提出手続きの代行)
  • 2号業務:(就業規則・労働者名簿・賃金台帳などの帳簿書類の作成)

社労士と衛生管理者の業務内容を比較すると、独占業務と業務の幅は社労士の方が広いです。

つまり、希少価値は社労士の方が高いと言えます。

衛生管理者士は社員の労働環境保全が主な業務

衛生管理者の業務は、労働条件・衛生状態・危険管理などを確認することです。

労災事故を未然に防止する上で重要な役割を果たしており、従業員のケガや病気にならないような職場環境を作ることが主な役割です。

なお、労働安全衛生法により、常時50人以上の社員がいる会社には必ず衛生管理者を選任する必要があります。

具体的な業務内容としては下記のような業務が挙げられます。

  • 健康に異常がある者の発見及び処置
  • 作業条件、施設等の衛生上の改善
  • 衛生教育、健康相談その他の労働者の健康保持に関する必要な事項
  • 労働者の負傷及び疾病、それによる死亡、欠勤及び移動に関する統計の作成
  • 衛生日誌の記載等職務上の記録の整備等
  • 週1回以上の事業場の巡視

社労士と衛生管理者の将来性を比較

近年はAIの発達が目覚ましく、「社労士の仕事はなくなってしまうのではないか」と危惧する人も少なくありません。

しかし、結論からお伝えするとAIに一部の仕事が失われる可能性は高いものの、需要は非常に高いと予測できます。

社労士の仕事は、法令に基づいた書類作成などの手続き業務や、労働問題に関する相談に乗るコンサルティング業務が挙げられます。

AIは、書類の提出や人の心情を慮ることはできないため、社労士の仕事がなくなってしまうことは考えられません。

また、衛生管理者も同様に高い需要があると考えられます。

業種を問わず、50人以上規模の事業場で必ず衛生管理者を選任する必要があり、法律が改正されない限りは需要がなくなることがありません。

衛生管理者は従業員の安全を守るという重要な役割を担っていることから、法令が改正される可能性も低いでしょう。

社労士と衛生管理者士のダブルライセンスのメリット

最後に、社労士と衛生管理者のダブルライセンスを実現するメリットについて解説していきます。

衛生管理者から先に取得するケースと、社労士から先に取得するケースで見ていきましょう。

衛生管理者→社労士を受験するメリット

衛生管理者から先に取得することで、労働安全衛生法の予習ができます。

労働安全衛生分野は暗記するべき箇所が多く、対策が難しい特徴があります。

しかし、前もって衛生管理者の勉強をすることで、多くの受験生が苦労する分野の知識を補強できるでしょう。

また、実際に職場環境を改善する際に役立つ知識を学べるため、現場の事情と法律の観点から有意義なアドバイスができるようになります。

社労士→衛生管理者を受験するメリット

衛生管理者よりも社労士の方が難易度が高いため、先に社労士を取得すると勉強が非常に楽です。

社労士試験に合格できる人であれば、遅かれ早かれ衛生管理者の試験にも合格できるでしょう。

また、衛生管理者は常に一定の需要があるため、社労士事務所で法令手続きなどの実務を積みながら、労働環境コンサルタントへキャリアチェンジする選択肢も生まれます。

社労士と衛生管理者まとめ

社労士と衛生管理者まとめ

  • 社労士と衛生管理者は試験の出題内容の重複が多く、ダブルライセンスを実現しやすい
  • ダブルライセンスを実現できればキャリアの可能性が広がる
  • いずれの試験の計画的に勉強することが大切

社労士と衛生管理者は、親和性が高い資格です。

ダブルライセンスを実現することは十分に可能で、実現することで自身がこなせる業務の幅も広がるでしょう。

また、労働法令や労働環境整備の戦艦化として活躍できるようになるため、自身の市場価値が大きく高まるメリットも期待できます。

社労士と衛生管理者に興味がある方は、ぜひダブルライセンスを目指してみてください。

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