社労士を武器に女性が働きやすい社会の実現へ邁進|桐生由紀さんに直接取材しました!

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人事や労務管理のスペシャリストである社労士。

雇用に付きまとう諸手続きや社内制度の設計など、会社にとって大変だけど重要な業務をこなす上で社労士はとても頼りになる存在です。

実際に会社員として働くうちに、社労士資格に興味を持ち始める方も多いのではないでしょうか?

今回は子育て・仕事・試験勉強の三つを両立しながら社労士資格を取得し、現在はベンチャー企業支援やコンサル業などでご活躍中の、Authense社会保険労務士法人代表の桐生由紀さんにお話を伺いました。

「社労士に興味があるけど、仕事との両立が心配」「管理部や人事部での経験を社労士資格で活かしたい」そんな方に貴重な記事です。

ぜひ、最後までご一読ください!

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社労士資格を目指すまで 波瀾万丈な半生

喋る女性

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清水

本日はお忙しい中、インタビューに応じてくださり、ありがとうございます。

「資格Times」を運営しております、株式会社ベンドの清水です。

よろしくお願いします!

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桐生さん

Authense社会保険労務士法人代表の桐生由紀です。

よろしくお願いします!

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清水

よろしくお願いします。 早速ですが、桐生さんが社労士を目指すまでの簡単なご経歴をお聞きしたいです。

あらゆる困難を乗り越えて積み重ねたキャリア

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桐生さん

まず大学卒業後、一般企業に就職し管理部門の仕事をしていました。当時はまだ育休があまり浸透しておらず、結婚・出産を機に一度退職します。

退職後は専業主婦として二人の子宝にも恵まれたのですが30歳の時、夫と突然の死別を経験しました。

一旦子供と共に実家に戻ったのですが、「経済的に自立している状態を目指そう」と思い33歳の時にAuthense法律事務所に再就職します。

ここでも管理部門で創業して間もない法律事務所の様々な業務をこなし、社労士法人の代表となった現在も同法律事務所や弁護士ドットコムのHR部門を統括するマネージングディレクターを兼任しています。

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清水

大切な人との別れや退職後の長いブランクなど、様々な困難を一つずつ乗り越えてここまでキャリアを積み重ねてこられたのですね。

そのような慌ただしく濃密なキャリアの中で、社労士を目指されたきっかけは何だったのでしょうか?

やりたい仕事をするために、資格取得を決意

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桐生さん

管理部門での仕事を続けていくなか、再婚を経て3人目の子供も出産しました。しかしその直後の時期から、業務量はどんどん膨大に、そしてハードになっていきました。

そんな時、一度冷静に自分と向き合った結果、自分のやりたいことより専門的な業務にフォーカスする必要があるなと気付きます。この時、社労士資格に興味が湧きました。

ただ業務は忙しかったですし、家事や育児も大変だったため、なかなか時間は取れそうになく「仕事が落ち着いたら」「育児が落ち着いたら」勉強を始めようと先延ばしにしていました。しかし、状況が「落ち着く」時を待っていたらいつまで経っても資格は取れないなと思い、忙しくなるのを承知で資格取得を決意しました。

合格の鍵は「基礎の徹底」と「スキマ時間」

微笑む女性

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清水

社会人で受験を考える人にとって、仕事や家事と試験勉強の両立は重要な課題ですよね。

桐生さんが受験生時代に意識していたこと・具体的な勉強法などを教えて頂きたいです!

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桐生さん

主に意識していたのは、基礎の徹底スキマ時間の有効活用です。

自分は他の受験生と比べると勉強に割ける時間が多くはなかったので、合格に直結しない学習はなるべく避け、取り寄せたテキストと過去問を使って、基本的な事項を徹底して攫う事を意識しました。なので、受験期間中に模試などは受けていません。

やはり苦労したのは学習時間の確保ですね。一般的に社労士資格取得には1000時間の学習が必要とされており、1日1-3時間の勉強を1年間続けることを意識しました。

平日に取れるまとまった勉強時間は寝る前の1時間ほどだったので、電車通勤での30〜40分、お昼ご飯の後の時間などといったスキマ時間を1ミリも無駄にしないことを、心がけました。

土日も家事があるため、一日中勉強することはできません。基本的には家事が一通り終わった夕方からの空き時間を使ってていましたが、家族でお出かけする時にテキストを持っていって、空き時間に勉強することもありました。 ただ1秒も無駄にしない生活は精神的に辛いため、「土日の夜は好きなことをして過ごすと決める」などマイルールを設けた適度な息抜きも大切にしていましたね。

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清水

家事と仕事の両立だけでも本当に大変なのに、勉強時間を確保していた当時の生活がいかにハードかは想像に難くありません。

しかし、1度目の受験では不合格になってしまいまったとお聞きしました。2年目に向けて改善した点や、モチベーションを保つために取っていた方法などはございますか?

信じた自分の勉強法 受かった後の自分を妄想

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桐生さん

1年目は本当に惜しいところで不合格になってしまったので、悔しさはかなりありました。ただ、不合格が分かった2日後にはもう再チャレンジを決めましたね。

勉強方法が間違っているというよりは、単純な勉強量やたくさんある暗記事項の整理が不足していた実感があったので、方針は変えませんでした。なので2年目は、1年目に比べてかなり余裕をもったスケジュールで勉強できましたね。

モチベーション管理については合格後の自分を思い描くのがいいと思います。「将来こういう事をしてみたいな」という自分の目標が、実現に近づいていくのが実感できると思います。

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清水

こうした絶え間ない努力が身を結び、見事2年目で合格を果たされます。

実際に社労士になってみて、合格前の想像と違っていた点はありますか?

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桐生さん

そこまで大きなギャップは無かったですね。ただ、試験で問われるポイントと実務で必要な点は少し違っているなという印象を受けました。実務では、人事部門での業務が役立つ場面もあったりしました。

社労士として コンサル業務で重要なこと

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清水

現在社労士としてはどのような業務を行なわれているのでしょうか?また、業務のうえで特に心がけている点は何なのでしょうか?

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桐生さん

給与計算や手続きなど、社労士が行える業務は一通り引き受けていますが、自分の得意分野かつメインの業務はコンサルやアドバイザリーです。

業務ではスピード感を非常に重視しています。 クライアントは人事労務については、早く返答を欲しがっているケースが多いですし、仕事をするうえで一番ストレスを感じるのは、質問への返事が遅い時であると考えているため、可能な限り即レスには注意を払っています。

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清水

制度の運用に課題を抱える企業は多いと思います。人事労務制度の実装・実行を円滑にするための心がけについて教えていただきたいです!

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桐生さん

クライアントにあった最適解を提供すること制度の実際の運用まで見守ることを心がけています。

極端な話、「法律の知識」や「他の会社での事例」を説明するだけのアドバイスなら、インターネットで調べれば終わってしまいますからね。一社ずつ綿密にコミュニケーションを取って、その会社が置かれている状況や抱えている課題を丁寧に洗い出して、オーダーメードの制度設計をお手伝いさせて頂いています。

またシステムを作るだけ作って、「あとはご自由にお使いください」と放任するようでは上手くいかないケースが多いです。ベンチャー企業の場合はその傾向がより顕著なので、システムが実際にその会社の中でどのような使い方をされるか、もし上手くいかないようであればどこを改善すればいいか、を確認します。新たに作られたシステムがちゃんと企業のひとつの歯車として機能するかのアフターケアもコンサルタントの大切な役割だと思います。

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清水

資格取得時に得た知識だけでなく、クライアントとの綿密なコミュニケーショがあってはじめて、良質なコンサルティングが成立するのですね!

もう一つ、桐生様は3児の母としての経験を活かし、女性活躍推進・男女共同参画関連のコンサルに臨まれることも多いと聞きました。具体的なサポート内容が知りたいです!

女性活躍の秘訣 実は「休暇」と同じくらい大切な「復帰後」

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桐生さん

最近は昔に比べるとかなり育児休暇などの制度は整備されていますし、男女問わず取得率も改善されている印象があります。しかし、育休の後に復職して継続していくのが難しいというケースが多いんです。

そのため私は、復帰後の業務継続を支援することに取り組んでおり、復職からの1年を如何に乗り越えてもらうかを重要視しています。「継続」の課題を乗り越えてはじめて、復職した社員を活躍させていくフェーズに入ります。そのサポートについても会社の状況を見ながらコンサルを進めています。

復職後の業務継続を支援する選択肢の一つとしては時短勤務がありますね。その中で組織がうまく回らないことがあるため、時短勤務をする人がいても周りでカバーできるような制度を作るためのコンサルを行います。時短勤務を受け入れる雰囲気を急に作るのは難しいので、仕組みづくりによって少しづつ働き方を認めてもらうという形になりますね。

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清水

産休や育休の重要性やその取得率についてはメディアで報じられることも多いですが、実は復職後に大きな課題が潜んでいることは僕もはじめて知りました。

ここでも「アフターケア」の重要性が垣間見えますね!

桐生さんの考える社労士の今後

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清水

ここまで社労士になるまで・そしてなった後の業務について大変興味深いお話を語って頂きました。

今後社労士業務を行うに際して、ニーズの高い領域・業務などあれば教えていただきたいです!

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桐生さん

コンサルティングは需要が伸びていると感じますね。最近は中小企業でも労務をクリーンにすることで人材を集めたいという風潮が強くなっているため、そうした環境整備のためのアドバイザーが必要とされています。私も企業には早い時期から顧問をつけることをおすすめしていますね。

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清水

桐生様自身が今後成し遂げたい事もお聞きしたいです。

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桐生さん

今は代表を務めている社労士法人の専門領域を広げている段階ですので、それの拡充と深堀が当面の目標です。特に自分がベンチャー出身なので、その経験を活かし、ベンチャー企業を元気にしていきたいです!

また、今後も女性の社会的地位の向上や経済的自立に関しても社労士として手助けしていければ幸いです。

受験者へのメッセージ

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清水

最後に、これから主に社会人から社労士資格を目指す方に向けてアドバイスをお願いします!

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桐生さん

時間があってもそれをフルで勉強に使えることは少ないですし、時間がないこと実は大きなデメリットにはならないと考えています。大切なのは短期間でどれだけ集中力を高められるかということです。

あなたの挑戦を応援しています!

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清水

本日は貴重なお話、ありがとうございました!

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