看護師が公認心理師になるには?資格の取得方法や取得後のメリットを徹底解説!

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この記事は専門家に監修されています

医師

安藤広真

「看護師が公認心理師になることはできるの?」

「資格の取り方がわからないので知りたい!」

こんな疑問をお持ちの方もいるのではないでしょうか?

看護師として多くの患者さんと触れ合う中で、公認心理師としてステップアップしたいと考える方は多いことでしょう

そこでこの記事では看護師が公認心理師になる方法について徹底解説していきます。

資格の取り方だけでなく資格を取った後の活かし方やメリットについてもご紹介しますので、ぜひ参考にしてください。

看護師が公認心理師になる方法についてざっくり説明すると

  • 公認心理師は看護師が取得するのに向いている資格
  • 大学や大学院を出ていなくても、実務経験があれば受験資格が得られる
  • 看護師としてのスキルアップにもおすすめ
  • 資格取得後は独立開業も可能

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看護師が公認心理師になるには?

勉強している人の机

看護師が公認心理師になるためには、公認心理師試験の受験資格を得てから、試験を受けて合格する必要があります

公認心理師試験の受験資格を得るには色々な方法がありますが、一般的には実務経験で補う方が多いです。特に精神科で働く看護師は受験資格を満たしている可能性が高いです。

他にも色々な手段で公認心理師試験の受験資格を得ることができます。詳しく解説していきますね。

心理学に関する大学・大学院で受験資格を取得

公認心理師試験の受験資格を得る方法のひとつが、心理学に関する大学や大学院を卒業することです。

心理学系の大学院を卒業すれば、その時点で公認心理師試験の受験資格が得られます

しかし大学院に進まず、大学卒業となっている方は、そのままでは受験資格を得ることができません卒業後、特定の施設で2年以上の実務経験を積む必要があります

海外の大学や専門学校卒の場合は?

日本ではなく、海外の大学で心理学を学んだという方の場合、日本の大学で心理学を学んだ場合と同等以上の知識を有していると認められれば、実務経験を積むことで公認心理師試験の受験資格を得ることができます。

専門学校卒の場合も同様です。

公認心理師試験の受験資格は、書類上の学歴より、どちらかというと知識量や実務経験が重視されると言えるでしょう。

受験資格の特例措置に関して

公認心理師の試験は比較的新しい試験のため、看護師の方がこれから大学卒業などの受験資格を満たそうと思っても、難しい場合が多いことでしょう。

そのため、現時点で受験資格を満たしていない場合でも受験できるよう、特例措置がいくつか用意されています

看護師が公認心理師を目指す場合の特例とは

現時点では、看護師が公認心理師試験の受験資格を得ようと思うと、大学もしくは大学院で特定の科目を履修し、特定機関での実務経験を定められた期間行った上で、公認心理師講習を受講しなくてはなりません。

(「特定機関」とは、学校、裁判所、保健センター、児童福祉施設、児童相談所、病院、診療所、精神保健福祉センター等を指します。)

しかし、看護師として働きながら大学や大学院に通うのは困難な場合も多いことでしょう

そのため特例として、大学や大学院を卒業していなくても、一定期間の実務経験と講習会の受講により、公認心理師試験の受験資格を得られる場合があります

「得られる場合がある」と書いたのは、上記の特例措置を受けるのには以下のような条件が必要だからです。

  • 平成29年9月15日の時点で実務経験が5年以上あること
  • 平成29年9月15日の時点で実務経験が5年以上ない場合は、平成34年9月14日までの期間に合計5年以上となる実務経験を積めば受験可能
  • 平成29年9月15日時点で業務を休止した場合、休止以前に5年以上の実務経験があり、かつ業務を休止した日から起算して平成29年9月15日時点で休止期間が5年を経過していなければ受験可能

なお、どの場合も「現任者講習会」という講習を受講する必要があります。

現任者講習会とは、公認心理師の制度や心理社会的な問題や支援、医学などの知識を4日間(合計30時間)にわたって学ぶ講習会です。公認心理師として働く上では欠かせない内容なので、しっかり学びましょう。

看護師が公認心理師資格を取得するメリット

話し合う男女

看護師が公認心理師の資格を取ると、看護師としての経験を活かせるため、色々なメリットがあると言われています。

どのような利点があるのかをご紹介しますね。

受験資格を満たしている可能性あり

公認心理師試験の受験資格を得るには、先ほども触れたように大学院卒業もしくはそれなりの実務経験が必要ですので、一般の方には少しハードルが高いと言えます。

しかし看護師なら、それまで働いてきた経歴がそのまま受験資格となる場合が多いです。公認心理師試験へのハードルは低いと言えるでしょう。

他の国家資格で考えても、通常の国家資格は受験資格が厳しく、試験を受けたくても受験資格が得られないケースも多いとされています。

看護師であれば、実務経験や知識ともに、医療や福祉系の資格取得に対する土台が整っている場合が多いため、有利と言えます

スキルアップにつながる

看護師が公認心理師の資格を取ると、患者さんの心理状態を理解できる可能性が格段に上がります

そのまま看護師として働き続ける上でも、これまで以上に自信を持って患者さんと接することができるでしょう

もちろん、公認心理師の資格は国家資格ですから、試験を受けるためにはかなりの量の勉強をこなさなくてはなりません。

しかし最新の心理学を学ぶことは必ず役に立ちます。仮に試験に落ちてしまった場合でも、勉強したことは全く無駄になりません。心理学を学ぶ良い機会となるでしょう

医療機関以外の場所、例えば産業カウンセラーや保健所などへの転職を考える方にとっても非常に役立ちます。

カウンセラーとの二刀流

公認心理師の資格を取った方は、主にカウンセラーとして働くことになります。

カウンセラーを必要としている人の多くは、心に痛みを抱えている方です。看護師として患者を看護してきた方なら、人の心の動きに敏感になっていることでしょう

こうした経験がカウンセラーの仕事場で活かされることは間違いありません。

そのまま看護師として働く場合も、公認心理師の資格があれば患者の心のケアを専門的な視点から行うことができます。こうした看護師がいる医療現場は貴重です。

質の高い医療現場を提供するためにも、公認心理師の資格は役立つことでしょう。

給与アップにつながる可能性も

どのような業界でも、仕事内容に関する資格を取るとある程度給料に反映されます。

看護師も例外ではなく、公認心理師をはじめとした国家資格を取得すると、給与や賞与に反映され、年収が上がる可能性が高いでしょう

職場の規定によって給与にどのくらいの影響があるかは異なりますので、給与アップを目的として公認心理師の資格取得を目指している方は、本当に給与が上がるのかどうかを事前にしっかり確認しておいてください

ただ、給与アップするにしてもそこまで大きく給与が上がるわけではないです。あくまでも資格手当のような形になることが多いですので、給与アップだけを目的として資格の勉強をするのはあまりおすすめしません。

給与アップはあくまで追加要素として考えてください。

公認心理師の主な就職先

診察をする手

公認心理師の資格を取ると、どのような場所で働く機会が得られるのでしょうか。詳しく見ていきましょう。

医療・福祉の現場

公認心理師の働く現場として最もオーソドックスなのが、医療や福祉の現場です。こうした機関でカウンセラーとして働きたい方には、公認心理師の資格は非常におすすめできます。

精神系の病院やクリニック、児童相談所、保育所、幼稚園、老人介護施設など、公認心理師を必要としている機関は非常に多くあります。

特に子供に関する機関では、子供の精神状態をケアするだけでなく、保護者の相談相手になることもあるでしょう。

障害のある子供を支援する際には、公認心理師の存在が保護者にとって大きな安心感につながることは間違いありません

自らクリニックを開く

公認心理師の資格を取った方の中には、医療現場での経験を積んだ後、個人でクリニックを開業するという方もいます

開業すれば全ての運営方針を自分自身の意志で決定することができますので、年収アップも期待できます。

ただ、公認心理師のクリニックは心の問題を扱うことになるため、責任重大です。プレッシャーはかなり大きいですが、その分やりがいも多く感じられるでしょう。

本や雑誌を書く

独立開業とは違う路線ですが、公認心理師の資格を取った後に本を出版したり、雑誌のコラムを執筆する方もいます

心理系の情報の発信や提供は、カウンセリングと並んで、公認心理師の役割のひとつだと言われています。自身の経験やノウハウを世の中の方のために役立てることができるので、独立開業と同じくらいやりがいがあるでしょう。

ただ、本の出版やコラム執筆だけでは、生活できるほどの収入にはなりません。他の業務と掛け持ちをして行っている方がほとんどです。あくまで副業としてとらえてください。

公認心理師に向いている人の特徴とは

診察する人 公認心理師は人間の心の問題を解決するため、人間が抱えるさまざまな感情を深く理解し、繊細な気配りが必要とされます。

ここでは、公認心理師に向いている人の特徴を5つ紹介していきます。

1.想像力がある人

公認心理師にとって大事なことは、人の心の内面を深く理解し、心がより健康的な状態になるためにどうしたらよいか想像することです。

カウンセリングには正解がないため、自分で考えて行動するための想像力が必要になります。

2.冷静な判断ができる人

カウンセリング中に、患者は泣いたり怒ったり、感情的になることもあります。しかし、患者と同様に感情的になってしまっては、より患者を傷つけてしまいます。

公認心理師を頼る患者の多くが、心の問題を抱えて冷静さを失った状態でいるので、相手に流されることなく理解し、受け止めることができるように、感情をコントロールできる人が向いています。

3.人の心に関心がある人

公認心理師は、喜び、悲しみ、憎しみ、嫉妬などの様々な感情があるなか、患者が抱える心の問題を解決しなければなりません。

人間の様々な感情を深く理解しなければ務まらないので、人間の心理に興味がある人でなければ向いているとは言えません。

4.患者に寄り添える人

人の心の問題は複雑なため、患者が抱えている悩みを簡単に解決できないこと場合が多く存在します。

重い悩みを抱える患者に寄り添い、誠実に向き合い、専門知識や技法を活用して少しずつ解決していきます。

そのため、感受性が高く繊細な気配りができる人が向いていると言えます。

5.客観的に判断できる人

患者の悩みを解決するうえでは、物事を柔軟考えれるよう、一歩引いて客観的に捉えるような力も求められます。

自分の考え方が本当に最適なものであるのかどうか、多くの文献や資料を読んで勉強をし、答えを導き出すことも必要になります。

また、主観だけで結論を出さず、状況に応じて先輩や上司に相談しながら冷静に考える力が求められます。

臨床心理士との違いは?

ハテナを持つ人

カウンセリング系の資格としては「臨床心理士」も有名です。公認心理師の資格とはどう違うのでしょうか。

業務内容は基本的に同じ

臨床心理士も、公認心理師と同じくカウンセラーとして活動するための資格です。その意味では、業務内容は基本的に同じと言えるでしょう

カウンセリング以外の役割で考えると、以下のような違いがあります。

  • 公認心理師:心理関係の問題とその解決策の発信や提供をする
  • 臨床心理士:心理関係の問題点に対する研究をする

つまり、心理関係の内容をより深めていくのが臨床心理士、情報発信をするのはどちらかというと公認心理師の役割であると言えます。

看護師も臨床心理士になれる

臨床心理士も、公認心理師と同じく看護師が目指すことができる資格です

看護師が臨床心理士になるには、臨床心理士養成のための指定大学院、もしくは専門職大学院を修了し、日本臨床心理士資格認定協会が実施する資格試験に合格すれば資格取得できます。

公認心理師と違うところは、実務経験のみでは受験資格が得られない点です。必ず専門機関で学ぶ必要がありますので、この点はご注意ください。

看護師が公認心理師になる方法まとめ

看護師が公認心理師になる方法まとめ

  • 公認心理師の資格は、看護師としての実務経験があれば大学などに通わなくても受験可能
  • 患者の心理状態をより理解するためにも公認心理師の勉強内容が役立つ
  • 独立開業や、本の出版、雑誌のコラムなど多くの場面で活躍できる

心理学系の資格には色々なものがありますが、公認心理師は大学院での勉強や実務経験が必要なため、信頼性の高い資格です

医療機関で患者さんの役に立ちたいと思う方は、ぜひ公認心理師の資格取得を目指してみてください。これまで以上に多くの人の役に立てるよう、ステップアップしていきましょう。

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