公認心理師と臨床心理士はどう違う?難易度差やダブルライセンスのメリットを解説!
この記事は専門家に監修されています
医師
安藤広真
「公認心理師と臨床心理士はどう違っているの?」
「両方の資格の難易度差やダブルライセンスのメリットは?」
このような疑問を感じている方もいるでしょう。
この記事では公認心理師と臨床心理士の違いについて、詳しく解説してきます。
また、資格の難易度やダブルライセンスのメリットも知っていきましょう。
公認心理師と臨床心理士の違いについてざっくり説明すると
- 公認心理師は2017年に誕生した国家資格
- 公認心理師と臨床心理士の仕事に大きな違いはない
- 臨床心理士は様々な職場で活躍できる
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公認心理師と臨床心理士の違い
公認心理師は心理職で初の国家資格で、2017年の9月に誕生しました。
これまで民間資格の「臨床心理士」が高い信頼を得ていましたが、今後はどうなっていくのでしょうか。
ここでは「公認心理師」と「臨床心理士」の違いについて説明していきます。
まだ、新しい資格である「公認心理師」がどのような資格なのか見ていきましょう。
公認心理師と臨床心理士の仕事内容の違い
実は「公認心理師」と「臨床心理士」の仕事内容には、大きな違いがありません。両方とも心理職の資格になっているため、似ている部分が多くなっています。
「公認心理師」と「臨床心理士」は心理学の知識・技術を活かして、相手の病状をしっかりと把握していきます。そして、相手の状況に合った治療方法を行っていくのです。
ただし、資格取得の過程や専門性の焦点に若干の違いがあるため、具体的な業務内容や専門分野に差異が生まれることもあります
公認心理師の主な職場
ここでは「公認心理師」と「臨床心理士」の職場について、紹介していきます。公認心理師は資格が出てきてから、あまり月日が経っていません。そのため、就職先についての実例が多くないのです。
しかし、「公認心理師」と「臨床心理士」は仕事内容に大きな違いがないため、職場も共通していると考えられます。
主な就職先としては、以下のようです。
- 教育系では「スクールカウンセラー」
- 医療系では「心理カウンセラー」
- 民間系では「産業カウンセラー」
上記のような仕事が挙げられるでしょう。両方の資格とも多くの職場の活躍できます。特に公認心理師は国家資格のため、活躍の場が増える可能性があるでしょう。
臨床心理士の主な職場
次に臨床心理士の職場については「公認心理師」の職場と共通します。さらに、臨床心理士は「心理相談所」・「大学」・「研究機関」も職場としてあり得るのです。
主な就職先としては、以下のような場所が挙げられます。
- 医療・保健系では「病院」・「保健所」・「老人保健施設」など
- 教育系では「教育委員会」・「小中高等学校」・「予備校」など
- 福祉系では「児童相談所」・「発達障害支援施設」・「母子生活支援施設」など
- 司法系では「家庭裁判所」・「少年鑑別所」・「刑務所」など
- 産業系では「企業内健康管理センター」・「公共職業安定所」・「障害者センター」など
このように臨床心理士として活躍できる職場は多く存在しているのです。
医療・教育など5領域が仕事
「公認心理師」と「臨床心理士」は、5領域である「医療」・「教育」・「産業」・「福祉」・「司法」の知識が必要となります。ただ、両方の資格とも独占業務はありません。
そのため、どの領域でも仕事に携わることができるようになっています。どちらかの資格を持っていないとできない領域はないのです。
しかし、今後は公認心理師の資格を持っていないとできない仕事が出現してくる可能性があるでしょう。
このような変化は、社会のニーズや専門性の求められ方によって変わることから、定期的な研修や資格の更新が推奨されています。
法律上定義には違いがある
「公認心理師」と「臨床心理士」の仕事内容には大きな違いはありませんが、法律上での違いは存在します。ここでは法律上の違いについて見ていきましょう。
以下が法律上の公認心理師の仕事となっています。
- 心理査定(アセスメント)
- 心理面接(カウンセリング)
- 関係者への面接
- 心の健康に関する教育
- 情報提供活動
続いて、法律上の臨床心理士の仕事です。
- 心理査定(アセスメント)
- 心理面接(カウンセリング)
- 地域援助
- 研究(臨床心理学)
このように具体的に法律上では違っているので、覚えておきましょう。
国家資格か否か
公認心理師は「国家資格」、臨床心理士は「民間資格」となっています。国家資格である「公認心理師」の方が難しいと思う方もいるはずです。しかし、民間資格の「臨床心理士」の方がよりも高い専門性を必要となります。
国家資格の「公認心理師」は2017年に誕生した資格のため、具体的な難易度などが分かりません。今後、「公認心理師」の資格試験が行われていけば様々な情報が集まってくるでしょう。
公認心理師・臨床心理士になるには?
ここでは「公認心理師」と「臨床心理士」になるにはどうすれば良いのか、説明していきます。
公認心理師になるルートは3つ
公認心理師となるには3つの方法があります。
- 大学・大学院で指定された科目を履修して卒業する
- 大学で指定された科目を履修して卒業と2年以上の実務経験(特定の施設)
- 上記2つと同等以上の知識・技能があると認定
このように公認心理士になるには、高めの条件があるのです。
ちなみに特定の施設とは以下のようなところが挙げられます。
- 介護療養型医療施設
- 地域包括支援センター
- 保健所
- 精神保健福祉センター
- 障害者支援施設
- 児童相談所
- 認定こども園
- 老人福祉施設
- 発達障害者支援センター
- 社会福祉協議会
- 国立児童自立支援施設
- 刑務所
- 更生保護施設
- 広域障害者職業センター
など
このように幅広い場所で職務経験を積むことが可能になっています。
臨床心理士になるには大学院卒業が必要
以下が臨床心理士になるための、必要な条件です。
- 指定大学院(1種・2種)を修了して、所定の条件を満たしている方
- 臨床心理士養成の専門職の大学院を修了した方
- 外国での指定大学院と同等以上の教育歴があり、修了後の日本国内で心理臨床の経験2年以上ある方
- 医師免許の取得後、心理臨床の経験を2年以上ある方
臨床心理士には、臨床心理学部がある大学と大学院に進学する方法があります。ただ、大学院に進学するためには倍率が約10倍となっています。難易度が高くなっていることを把握しておきましょう。
公認心理師と臨床心理士の難易度差
次に「公認心理師」と「臨床心理士」の難易度を比較してみましょう。両方の資格にはどれくらいの難易度の差があるのか、気になるでしょう。
合格率を比較
以下が「公認心理師」と「臨床心理士」の4年分の合格率になります。
2018年度 | 2019年度 | 2020年度 | 2021年度 | |
---|---|---|---|---|
公認心理師 | 79.1% | 46.4% | 53.4% | 58.6% |
臨床心理士 | 63.6% | 62.7% | 64.2% | 65.4% |
公認心理師の2018年度の合格率は約8割と高くなっており、臨床心理士の方が合格率が低いです。ちなみに公認心理師は2018年度が1回目の資格試験となっています。
しかし、2019年度には公認心理師の合格率が約46%と前年より30%以上下がっています。一方、臨床心理士は約1%の差と前年と比べて、落差が少なくなっているのです。
公認心理師は資格が誕生してから月日が経っていなく、データが少なくなっています。そのため、このデータだけでは両方の資格を比較することは、難しいでしょう。今後、試験結果のデータが集まれば、両方の資格を比較できます。
国家試験である公認心理師の合格者人数
現在、国家試験の公認心理師の試験は5回行われており、約7万人が合格しています。特に第1回の試験は合格率が79.1%と、多くの人数が合格しているのです。国家試験としては、合格率が高くなっています。
合格した人数は第2回以降の試験に比べて、第1回の試験の方が人数が多くなっています。
以下が国家試験の公認心理師の「受験者数」・「合格者数」・「合格率」になっています。
2018年度(第1回) | |
---|---|
受験者数(人) | 36103 |
合格者数(人) | 28574 |
合格者数(%) | 79.1% |
しかし、第2回の合格率が約46%まで下がっていることから、今後も第1回の合格率を下回るでしょう。
公認心理師と臨床心理士のダブルライセンス
ここでは「公認心理師」と「臨床心理士」のダブルライセンスについて紹介していきます。両方の資格を取りやすいのか、ダブルライセンスのメリットを知っていきましょう。
試験範囲の共通点
「公認心理師」と「臨床心理士」は心理学の資格で、共通点が多くなっています。
受験資格には臨床心理士は2年間のカリキュラムを受ける必要があります。
一方、公認心理師は心理学のカリキュラムと実務経験などが必要です。また、公認心理師のカリキュラムでは臨床心理学に偏らず、心理学や医学を学ぶようになっています。
そのため、両方の資格とも心理学について専門的な知識を学ぶようになっており、試験範囲は必然的に共通しているのです。
ダブルライセンスのメリット
心理職の初の国家資格である「公認心理師」が誕生してから月日が経っていないため、将来的な期待の方が大きくなっています。現在は「公認心理師」だけではなく、「臨床心理士」と両方の資格を習得した方が良いでしょう。
民間資格の「臨床心理士」は「公認心理師」よりも前から存在する資格であり、信頼度が高くなっています。そのため、両方の資格を取得する方が信頼度が高く、就職・転職に有利です。
就職先としては「保健」・「医療」・「福祉」・「教育」・「司法」など、幅広い職場で活躍することが可能になっています。自らが目指す職場で働けるように勉強をしていきましょう。
公認心理師と関連性のあるその他の資格
ここでは公認心理師と関連性のある資格について、紹介していきます。臨床心理士の資格以外にどのような資格が公認心理師と関連しているのか、見ていきましょう。
産業カウンセラー
民間の資格である産業カウンセラーは、日本産業カウンセラー協会が認定しています。産業カウンセラーは労働者にカウンセリングして、悩みや問題を解決に導く役割があります。
この資格を習得すると、「会社の人事部」・「医療機関」・「職業安定所」などで働くことが可能です。
しかし、産業カウンセラーの需要は高くありません。そのため、「公認心理師」と「産業カウンセラー」を取得すると専門的な知識を活かして、就職や転職に役に立つでしょう。
また、仕事場でもダブルライセンスであることで重要な仕事を任せられるはずです。
メンタルケア心理士
メンタルケア心理士は、民間の資格でメンタルケア学術学会が認定しています。
この資格を習得するために「カウンセリング技法」・「精神医科学」・「薬理学」などの視点から心理学を学んでおり、「医療」・「福祉」の職場で働くことができます。
この資格は認知度が高く、様々な視点から心理学を学んでいるため、公認心理師と一緒に取得すると視野が広がるでしょう。心理学を様々な視点から学んでおり、仕事で柔軟な対応ができるはずです。
資格を習得するために大事なこと
「公認心理師」や「臨床心理士」の資格習得を目指すためには、大学や大学院で勉強をする必要があります。ただ、資格を習得する明確な目標がないと勉強は続かないでしょう。
資格を習得するためには明確な目標を持って、勉強をしていきましょう。また、勉強が進まなかった場合でも目標と高いモチベーションを持っていれば、諦めることはありません。
現在は国家試験の「公認心理師」も誕生して、今後への期待も高まっている資格です。さらに、この資格しかできない専門分野が出来る可能性もあるため、積極的に資格習得を目指してみましょう。
公認心理師と臨床心理士の違いについてまとめ
公認心理師と臨床心理士の違いについてまとめ
- 公認心理師と臨床心理士の難易度は比較できない
- 公認心理師の2019年度の合格率は46.4%
- 公認心理師と臨床心理士のダブルライセンスは信頼度が高まる
この記事では公認心理師と臨床心理士は違いや難易度差、ダブルライセンスのメリットについて解説してきました。
2017年度に誕生した公認心理師は、今後需要が高くなる資格でしょう。
心理職で初の国家資格である「公認心理師」を取得して、専門的な知識や技術を活かしていきましょう。