精神保健福祉士(PSW)の年収はどれくらい?仕事内容や給料・ボーナスまで徹底解説

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医師

安藤広真

「精神保健福祉士ってどんな仕事?」

「精神保健福祉士の年収はどれくらい?」

精神保健福祉士に興味がある方は、このような疑問をお持ちなのではないでしょうか。

この記事では、精神保健福祉士の年収、仕事の内容、国家試験の受験資格、ボーナス、仕事のやりがいなど、精神保健福祉士について徹底解説しています。

精神保健福祉士に興味がある方、精神保健福祉士になりたい方はぜひ参考にしてみてください。

精神保健福祉士の年収についてざっくり説明すると

  • 精神保健福祉士(PSW)の年収は300~500万円ほど
  • 給料は大学の新卒で20万円程度だが、収入よりもやりがいを重視して仕事をしている人が多い
  • 精神保健福祉センターなどの行政機関で公務員として働いている人は収入が高め

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精神保健福祉士(PSW)とは

クエスチョンマーク

精神保健福祉士(PSW)とはどのような資格なのでしょうか。まず初めに、精神保健福祉士とはどのような仕事なのか、精神保健福祉士になるにはどうすればよいのかなどをご紹介していきます。

こころの病の専門家

精神保健福祉士とは、英語ではPsychiatric Social Workerといい、略称でPSWとも呼ばれます。精神保健福祉士(PSW)とは、精神疾患を抱える方の回復を助ける仕事です。

精神科医のように直接医療行為をするわけではなく、精神疾患を抱える方やそのご家族に相談業務や生活支援などを行います。

また、病院などの医療機関に勤めている場合は、デイケアでレクリエーションなどを実施することで患者さんの精神的なケアをしていく仕事もあります。

毎回の仕事に正解はないため、自分の経験や知識を頼りに患者さんやご家族と接していく職業です。

精神保健福祉士になるには

精神保健福祉士(PSW)になるには精神保健福祉士国家試験を受ける必要があります。

精神保健福祉士国家資格の受験資格を満たすのは、以下の11パターンです。

  • 4年制の保健福祉系大学等

指定科目を履修済みの人は受験資格が得られます。

  • 3年制の保健福祉系短大等

指定科目を履修済みの人は、相談援助の実務経験を1年積むと、受験資格が得られます。

  • 2年制の保健福祉系短大等

指定科目を履修済みの人は、相談援助の実務経験を2年積むと、受験資格が得られます。

  • 4年制の福祉系大学等

基礎科目を履修済みの人は、短期養成施設等で6ヶ月以上学ぶと受験資格が得られます。

  • 3年制の福祉系大学等

基礎科目を履修済みの人は、相談援助の実務経験を1年積んだあと短期養成施設等で6ヶ月以上学ぶと受験資格が得られます。

  • 2年制の福祉系大学等

基礎科目を履修済みの人は、相談援助の実務経験を2年積んだあと短期養成施設等で6ヶ月以上学ぶと受験資格が得られます。

  • 社会福祉士登録者

短期養成施設等で6ヶ月以上学ぶと受験資格が得られます。

  • 4年制の一般大学等

一般養成施設等で1年以上学ぶと受験資格が得られます。

  • 3年制の一般短大等

相談援助の実務経験を1年積み、その後一般養成施設等で1年以上学ぶと受験資格が得られます。

  • 2年制の一般短大等

相談援助の実務経験を2年積み、その後一般養成施設等で1年以上学ぶと受験資格が得られます。

  • その他

相談援助の実務経験を4年積み、その後一般養成施設等で1年以上学ぶと受験資格が得られます。

受験資格での注意点

上記のように、受験資格では出身大学・短大で履修した科目や在籍年数などによって、細かく条件が別れていますので、自分はどれに当てはまるかしっかり確認するようにしてください。

4年制の保健福祉系大学で指定科目を履修し卒業した人はそれだけで受験資格がありますが、その他の方は実務経験を積むことや、短期養成施設、一般養成施設に通うことが必要です。

通信大学に入学する方法もある

特に気を付けたいのは、一般短大や高卒以下の方です。この方々は実務経験を積む必要がありますが、未経験かつ福祉と関係がない学歴の状態で相談援助の仕事に就くのはなかなか難しいことです。

特に、高卒以下の方の場合、受験資格を得るまでに相談援助の実務経験4年と一般養成施設での学習1年の計5年がかかってしまうという点は注意が必要です。

このような方々には、精神保健福祉士養成課程がある通信大学に入学することをおすすめします。この方が確実に受験資格が得られますし、専門的な知識が得られるメリットがあります。

国家試験の難易度・倍率

同じ国家試験の一種である社会福祉士との違いは、支援対象の違いです。

社会福祉士の支援対象は、高齢者、生活困窮者、身体・知的障害者などさまざまですが、精神保健福祉士は精神疾患を持つ方が対象です。

また、精神保健福祉士国家試験の合格率は60%くらいで、難易度はそこまで高くはありません。

精神保健福祉士の年収は国家公務員の水準

大量のお札

精神保健福祉士(PSW)の給料水準は、国家公務員の水準に合わせた額になっていることが多い傾向があります。

そのため、基本給はあまり高くはありませんが、各種手当やボーナスの待遇はよいとされています。

では、年収はいったいどれくらいなのでしょうか。

精神保健福祉士の平均年収はどのくらい?

精神保健福祉士の年収は300~500万円と言われています。給料は大卒で20万円ほどですが、役職が付くことでさらに高い年収が見込めます。

日本人の平均年収は441万円と言われているため、精神保健福祉士の年収はちょうど日本の平均値に位置しています。

精神保健福祉士と一言で言っても働く場はさまざまです。最も多いのは精神科病院や小規模の心療内科などの病院、または精神保健福祉センターなどの行政機関や福祉施設です。

これらのどこで働くかによって給料・年収はかわってきます。

精神保健福祉センターなどの行政機関で働く場合は公務員となりますので、その自治体の公務員の給料に沿った額になります。

精神保健福祉士のボーナスは?

勤務先によって異なりますが、ボーナスの平均は80万円程度です。福祉施設に比べると、医療機関の方がボーナスが高い傾向があります。また、行政機関に勤めている公務員の場合、自治体にもよりますが平均よりは高いボーナスになるでしょう。

精神保健福祉士の場合、資格手当、通勤手当、住居手当、役職手当などの各種手当がありますので給料は変動しますが、ボーナスの変動はほぼありません。

勤務地別精神保健福祉士の平均年収

精神保健福祉士の年収は勤務先によっても異なります。また、人によって待遇もそれぞれ違うため正確な平均年収を出すことは難しいですが、基本給に着目し、おおよその平均年収を計算したものが以下の表です。

職種 給与
精神病院 430万円~
心療内科(医院) 380万円~
行政機関 420万円~
福祉施設 390万円~

このように、精神科病院や行政機関に勤めている場合は年収が高い傾向があります。

精神保健福祉士の年齢別年収

精神保健福祉士の20歳~65歳までの、年齢別年収、給料をまとめました。

年収 年収 給料
20~24歳 226万円 16万円
25~29歳 325万円 23万円
30~34歳 330万円 27万円
35~39歳 341万円 28万円
40~44歳 380万円 31万円
45~49歳 439万円 35万円
50~54歳 491万円 38万円
55~59歳 486万円 37万円
60~65歳 305万円 25万円

精神保健福祉士も、他の職業と同じように年齢とともに年収が上がる傾向があります。また、精神保健福祉士の場合、男女の年収差があまりないことが特徴です。

若いうちは給料は低めになっていますが、精神保健福祉士の多くは給料よりもやりがいを求めて働いています。

精神保健福祉士の雇用形態

精神保健福祉士は正社員として働くことはもちろん可能です。他にも、派遣社員、パート、アルバイトとして勤務することができます。

非正規雇用の場合は時給制となり、相場はおおよそ1,000~1,200円です。また、非正規雇用の場合、勤務先の状況によってフルタイムか短時間か、週の出勤日数などの条件はバラバラです。どのくらいの収入になるかは勤務条件によって異なります。

精神保健福祉士の地域別年収比較

精神保健福祉士は、地域によっても年収が変わります。そこで、地域ごとの年収をまとめました。

地域 年収 アルバイトの時給
北海道・東北 282万円 1,057円
甲信越・北陸 294万円 1,030円
関東 335万円 1,072円
東海 329万円 1,089円
関西 309万円 966円
中国 288万円 927円
四国 293万円 900円
九州・沖縄 284万円 943円

関東、東海、関西では年収が300万円を超えています。しかし、その他の地域では200万円台後半が一般的です。

また、アルバイト時給は、東日本の方が高い傾向があります。

精神保健福祉士の就職・転職

ネクタイを締める男性

精神保健福祉士の就職・転職状況は、どのようになっているのでしょうか。

精神保健福祉士の仕事はどこでもできる

精神保健福祉士は、地域や場所を選ばず働くことができます。資格があるため、急な引越しがあっても引越し先で新たな職を見つけやすく、収入に困ることはあまりないでしょう。

精神保健福祉士の募集は、主に病院が多いですが、その他にも老人福祉施設、障害者福祉施設、障害児関連施設、保健所などでも募集があります。

特に最近では、老人福祉施設での需要が高まっており、求人が多く出ています。

このように、精神保健福祉士はどこでも職場を見つけやすいというメリットがあります。

精神保健福祉士の仕事のやりがい

精神保健福祉士は患者さん一人一人に合った対応が求められます。その対応によって、患者さんの回復の進み具合や効果が変わってしまうこともあります。

患者さんの中には、感情を表に出さない方や、感情を出すのが苦手だという方もおり、そのような方に寄り添っていく仕事であるため、患者さんの何気ない変化や、出している合図を拾っていくことが重要です。

このように大変な仕事ではありますが、だからこそ患者さんの回復が少しでもみられると嬉しく、やりがいを感じることができるのです。

精神保健福祉士の仕事の辛いこと・大変なこと

精神保健福祉士は人と向き合う仕事です。患者さんの重い過去や辛い状況を受け止めなければなりません。

また、患者さんによって対応が変わるため正解がない仕事であり、経験が浅いうちは自分の力不足を責めてしまうこともあります。

さらに、精神疾患を抱えた方への対応の中で、ときには患者さんから暴言や暴力を受けてしまうことも考えられます。

これを仕方がないことだと割り切れない場合、ストレスとなり自分を追い詰めてしまう可能性もあります。

精神保健福祉士は、責任が大きく、肉体的・精神的にもプレッシャーが大きい仕事なのです。

独学で精神保健福祉士の試験は取れる?

ノートと鉛筆

精神保健福祉士国家試験は独学で合格することは可能なのでしょうか。

独学可能だが受験資格を満たす必要がある

冒頭の方で紹介した通り、国家資格を受けるためには受験資格を満たす必要があります。

大学で指定科目の履修をしているか、大学・短大等で基礎科目を履修した上で実務を経験し、条件によっては短期養成施設、一般養成施設で訓練を受けた人でないと受験できません。

受験資格をクリアしていれば試験自体は独学が可能です。独学をする場合は、自分で参考書や問題集を読み勉強する必要があります。

精神保健福祉士の資格を取ろう

精神保健福祉士を目指すなら、とにかく資格を取ることが重要です。受験資格をクリアしていない人は、まず受験資格を満たせるよう、科目履修をしたり、実務経験を積んだり、短期養成施設・一般養成施設に通ったりすることから始めましょう。

また、受験資格を満たして試験を受ける準備ができた方は、しっかり試験対策をするようにしましょう。精神保健福祉士は16科目あり、年に一度受験が可能ですので、幅広い範囲をまんべんなく勉強し、確実に合格できるようにしておく必要があります。合格ラインは、163点満点中60%程度点数を取ることです。

精神保健福祉士に向いている人

精神保健福祉士は精神疾患を抱えている人と関わる仕事です。そのため、コミュニケーションを取るだけではなく、人の心に寄り添い、向き合う能力が必要です。つまり、相手の話に耳を傾け、相手の立場に立って物事を考えられる人です。

患者さんの中には、自分の気持ちを発することができない方もいますので、そのような方に積極的に寄り添い、手を差し伸べられることも大切です。

また、精神疾患は一度の治療で回復するわけではないため、根気強く患者さんの問題解決のために試行錯誤できる能力も必要です。

このように、精神保健福祉士は、人と深く関わることができる人、人の役に立ちたい気持ちが強い人、利他的な人が向いています。

精神保健社会福祉士になるまで

階段と賞状

精神保健福祉士になるためには、どのようなプロセスが必要なのでしょうか。

ここでは、精神保健福祉士になるために必要なことや、国家資格に合格するための勉強法をご紹介します。

とにかく受験資格を満たさなければいけない

試験を受けられなければ資格を取ることも職を得ることもできません。まずは受験資格があるか確認し、ない場合は受験資格を満たすことが必要です。

受験資格は簡単に得られるものではありません。多くの方が数年かけて受験資格を得ています。そこから国家試験の準備を始めるのですから、資格取得までは時間がかかることを前提に、将来の計画を立てるようにしましょう。

精神保健社会福祉士の勉強法

国家資格に合格するための勉強法は、参考書を解く、問題集を解く、過去問をやり込むことの繰り返しです。

過去問を解くことは、本番の試験形式や出題傾向を掴む上で非常に大切です。過去問を解くことで、自分の苦手な分野を知ることもできます。

また、模試を受けてどのくらいの実力が付いてるのか試すのもおすすめの方法です。一般社団法人日本ソーシャルワーク教育学校連盟では全国統一模試が開催されていますので、こちらもチェックしましょう。

独学で勉強を続けるのが不安な方は、通信講座を受講するのもよい方法です。通信講座なら、丁寧な解説の講義動画やテキストが揃っていたり、学習スケジュールがあらかじめ決まっていたりするため、効率よく勉強を進めることができます。

過去問の入手法

過去問は、公益財団法人社会福祉振興・試験センターのHPで公開されています。印刷して、本番と同様の形式で解くのがよいでしょう。

また、試験対策のサイトでは、過去問が分野別に分類されていたり、過去問をもとにした予想問題が掲載されていることもあります。このようなサイトを利用するのもよいでしょう。

精神保健社会福祉士になったら

グッドサインをする男女

試験に合格し、実際に精神保健福祉士(PSW)になったらどのような仕事をしていくのでしょうか。

医療業界で働く精神保健社会福祉士

どこでも職を見つけることができるのが精神保健福祉士であり、医療現場で働く人も多いです。

支援する対象は精神疾患を持つ患者さんであり、彼らが回復し、よりよい暮らしができるようサポートします。

具体的には、相談支援、デイケアでの支援、ハローワークなどへの同行などの就労支援、生活支援、支援サービスの紹介などを行うのが仕事です。

また、入院している患者さんには、入院生活中の相談業務をしたり、退院計画の立案に携わったりします。退院後には、社会復帰できるよう引き続き患者さんをサポートしていきます。

社会のために働く精神保健社会福祉士

精神保健福祉士は自分のために仕事をしているのではなく、精神疾患を持った患者さんのために人生をかけて仕事をしています。

精神疾患を持った方が抱える問題を解決し、よりよい生活を送れるようサポートをする精神保健福祉士の仕事は、社会にとって非常に大切な仕事です。精神保健福祉士はソーシャルワーカーと呼ばれるほど社会に貢献しています。

対人業務であることや、現在精神疾患を持った方は多くいることから、今後も必要不可欠である職業です。

精神保健福祉士についてまとめ

精神保健福祉士の年収についてまとめ

  • 精神保健福祉士のボーナスの平均は80万円程度
  • 地域別年収では、関東、東海、関西が300万円以上で高い地域になっている
  • 職種別では精神科病院勤務が430万円と一番高い

精神保健福祉士(PSW)の年収や仕事内容、受験資格、給料、などについて解説しました。

精神保健福祉士は国家資格ではありますが、年収は一般的であり、取り立てて高い収入が得られる職業ではありません。

しかし、収入の高さよりも、患者さんの回復の役に立ちたいという強い気持ちでこの仕事をしている方が多いのです。

精神保健福祉士は病院、公務員、福祉施設等さまざまな場所で働くことができ、将来性もある仕事です。ぜひ資格取得を目指してみてはいかがでしょうか。

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