臨床心理士の年収は?平均年収・仕事の評判・需要から公務員の給与事情まで解説!

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この記事は専門家に監修されています

医師

安藤広真

「臨床心理士ってどういう仕事なの?」

「臨床心理士の収入や需要について知りたい」

このような疑問をお持ちの方もいらっしゃるのではないでしょうか。

これから臨床心理士を目指そうとしている人の中には、具体的な仕事内容がわからない、収入や将来の需要に不安を感じている、という悩みを抱えた人もいるでしょう。

そこで、臨床心理士の年収や需要について解説します。あわせて評判や口コミ、臨床心理士になる方法についても紹介しますので、参考にしてください。

臨床心理士の年収や需要についてざっくり説明すると

  • 臨床心理士の年収はあまり高くない
  • 臨床心理士の需要は拡大し続けている
  • 臨床心理士になる方法としてアメリカの大学へ進学するの道もある

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臨床心理士の年収はどれくらい?

たくさんのコインとお札

臨床心理士という職業があることは知っているという人もいるでしょう。後ほど解説しますが、臨床心理士の需要が高まってきている影響もあり、注目度もそれに比例して高くなってきてます。

しかし、臨床心理士の年収は知らないという人も一定数存在します。具体的な平均年収はどれくらいなのでしょう。まずは臨床心理士の平均年収について解説します。

臨床心理士の平均年収は350万円

年齢 年収(円) 月給(円)
20~24 194万 12万
25~29 241万 15万
30~34 265万 17万
35~39 303万 19万
40~44 340万 21万
45~49 381万 24万
50~54 408万 26万
55~59 405万 25万
60~65 275万 17万

厚生労働省の発表によると、臨床心理士の平均年収は約350万円とされています。一般的なサラリーマンの平均年収は約440万円と発表されていますから、それよりも少ないということです。

上記は、年齢別のそれぞれの平均年収と月給を一覧表にしたものです。この表を見ても、臨床心理士の平均年収が決して高くないことがわかります。

また、平均年収や平均月収のピークは50~54歳です。しかし、それでもサラリーマンの平均年収に届いていません。さらに、それ以降は年収月収共に下がっています。

臨床心理士の給料は男性と女性で異なる?

年齢 男性の平均年収(円) 女性の平均年収(円)
20~24 273万 164万
25~29 281万 191万
30~34 222万 165万
35~39 229万 199万
40~44 253万 219万
45~49 297万 259万
50~54 339万 298万
55~59 335万 295万
60~65 203万 175万

臨床心理士の年収は年齢だけではなく、男性と女性でも大きく異なります。それを示したのが上記の一覧表です。女性の方が男性よりも平均年収が大変低いことがわかります。

一般的に男性と女性の差は縮まってきていると言われています。しかし、臨床心理士では男性と女性とで年収に大きな差があるのが現実です。

役職が上がる毎に年収がアップする

役職 平均年収(円) 平均月額給与(円)
主任 292万 18万
係長 363万 23万
課長 480万 30万
部長 530万 33万

臨床心理士には役職が存在します。役職付きになれば役職手当が加算されるため、年収や月収は高くなります。

上記の一覧表は、臨床心理士の役職別に平均年収と平均月額給与をまとめたものです。役職が高くなるごとに、年収や月給が高くなっていくことがわかります。

働く場所で給与が異なる

企業の規模 平均年収(円) 平均月収(円)
大企業 394万 25万
中企業 326万 20万
小企業 296万 18万

臨床心理士の勤め先は、特定の医療機関や福祉施設だけではありません。大企業や中小企業などのような企業に勤めるケースが多々あります。

上記の一覧表は、企業の規模別の平均年収と平均月収をまとめたものです。福利厚生などが充実しているため、年齢別や性別で見た場合と比べて高いことがわかります。

また、企業の規模によって福利厚生の充実度は異なります。臨床心理士として勤めるなら、大企業の方がおすすめです。

公務員として働く場合の年収

臨床心理士として勤める場合、公務員として働くという選択肢もあります。公務員として働く場合、給料は公務員の俸給表に沿った金額が支給されます。

公務員給与の内訳は、「基本給」と「手当」の2つに分かれています。俸給表に乗っているのはこの2つのうちの「基本給」です。これにプラス「手当」が別に支給されます。

基本給だけで見ると大変安いと感じるかもしれません。しかし、一般的なサラリーマンに比べて公務員は手当が大変充実しています。そのため、公務員の月収は一般サラリーマンのそれと比べると高くなります。

非常勤の場合は時給制で働く

臨床心理士の中には、非常勤として働いている人たちも存在します。非常勤として臨床心理士の仕事に従事したの場合の給与形態は時給制です。

時給の最低金額は1,000円程度と言われています。かなりの経験を積んだベテランと呼ばれる臨床心理士になると、時給は10,000円を超えることもあります。

しかし、最初はほとんどの非常勤臨床心理士が時給1,000円からスタートします。仕事の数もあまり多くないため、複数の仕事を掛け持ちする必要があるでしょう。

都道府県別に年収が異なる

都道府県 平均年収(円)
北海道 306万
青森 272万
岩手 306万
宮城 340万
秋田 272万
山形 306万
福島 306万
茨城 340万
栃木 340万
群馬 340万
埼玉 306万
千葉 340万
東京 476万
神奈川 374万
新潟 306万
富山 306万
石川 340万
福井 340万
山梨 306万
長野 340万
岐阜 306万
静岡 340万
愛知 374万
三重 340万
滋賀 340万
京都 340万
大阪 408万
兵庫 340万
奈良 340万
和歌山 306万
鳥取 306万
島根 306万
岡山 340万
広島 340万
山口 340万
徳島 340万
香川 306万
愛媛 306万
高知 306万
福岡 340万
佐賀 272万
長崎 306万
熊本 306万
大分 306万
宮崎 272万
鹿児島 306万
沖縄 272万

上記は、都道府県別の臨床心理士の平均年収を一覧表に示したものです。すべての都道府県を網羅していますが、都心部で働いた場合の方が年収が高いことがわかります。

これは都心部の方が物価が高いからだと予想されます。どのような職業でも、物価が高い場所では年収はアップします。それは、臨床心理士においての年収についても同じことが言えるということです。

年収1000万を目指す方法

臨床心理士で年収1000万円を目指そうと思うのなら、独立開業をすることがもっとも良い方法と言えます。ただし、すべての責任をすべて負うなどのリスクも生じるため、メリットばかりではありません。

そうは言っても、独立すればセミナー講師などの仕事を受注することも可能です。定期的に有料セミナーを開くことで、年収を1000万円まで近づけることも夢ではありません。

さらに、書籍を出版するという方法もおすすめです。実績やキャリアを活かして本を出版することで、印税という収入を得ることができます。年収1000万円も夢ではなくなります。

最近では、大学において心理学の授業を行うところが増えてきています。大大学講師として働けば、安定した収入を得ることが可能です。年収も一気に跳ね上がり、1000万円に近づくでしょう。

また、大学講師をすれば、信頼性や知名度が高まります。すると、セミナー講師や書籍出版の依頼が舞い込みやすくなるため、年収1000万円以上になる可能性が高まります。

臨床心理士とは

白いエプロンをした黒髪の女性

臨床心理士とはどのような人たちなのでしょうか。具体的な仕事内容はもちろん、臨床心理士についての一般的な評判や臨床心理士になる方法についても紹介します。

これから臨床心理士を目指している人はもちろん、臨床心理士の仕事に興味がある人もぜひ参考にしてください。

心の医者である

臨床心理士は、簡単に言えば心の医者です。誰にも言えない複雑な気持ちや悩みを抱えた人たちは、一定数存在します。そのような誰にも言えない苦しみや痛みを抱えた人たちに寄り添い、解決の手助けをするのが臨床心理士です。

心理学を用いて、心の中にしまい込んだ悩みや問題と向き合い、解決してく方法を模索します。そのためには、クライアントとの会話が必要不可欠です。面接やテストなどを通じて心の扉を開き、治療を行います。

クライアントは、初対面の臨床心理士になかなか心の扉を開かないこともあります。猜疑心が強くなってしまった場合でも、安心して心を開くことができるようなコミュニケーション能力を身につけることも必要不可欠です。

臨床心理士の評判・口コミは?

どれだけ勉強しても、興味が尽きることがない。さまざまな職業や環境の人たちと出会うことができる クリニックで臨床心理士として働く方の声

学ぶ機会が大変多いので、常に成長し続けることができる。さまざまな領域の仕事ができるので、経験値や実績がアップする。 スクールカウンセラーとして働く臨床心理士の声

その人にとって何が一番良いのかを考えることが楽しい。同じ答えがない点に魅力を感じている。 ベンチャー企業で臨床心理士として働く方の声

上記の3つは、それぞれ働く環境は異なりますが、臨床心理士として仕事をしている人たちの口コミや評判です。

一口に心理学と言っても、異なる学派や考え方が存在するため、同業者間で対立が起こることもしばしばです。そのため、クライアントだけではなく、同業者に対しても柔軟な考え方で対処していく必要があります。

しかし、臨床心理士の仕事にゴールはありません。どれだけ勉強しても未知なる世界への扉が開くため、学習意欲が高い人にとってはおすすめの職業と言えます。

臨床心理士になるには

臨床心理士になるには、日本臨床心理士資格認定協会が主催する資格試験に合格しなければいけません。

また、誰でも資格試験に受験できるわけではなく、受験資格が設けられています。詳しい受験資格については以下の項目で解説します。

臨床心理士試験の受験資格

  • 指定の大学院(1種・2種)を修了後、所定の条件を満たしている者
  • 臨床心理士を養成する専門職大学院を修了した者
  • 外国で指定大学院と同じレベルの教育暦があり、修了後日本での心理臨床経験が2年以上ある者
  • 医師免許取得者で、心理臨床経験が2年以上ある者

上記は、臨床心理士の資格試験に設けられている受験資格の一部です。

受験資格をクリアするためには、臨床心理学部がある大学に通学する方法と、大学院に進む方法の2種類があります。

しかし、大学院は倍率が10倍くらいあるため、難易度はかなり高めです。臨床心理学部がある大学に進学した方が、受験資格をクリアしやすいでしょう。

臨床心理士の需要はあるの?

赤い大きなはてなマーク

臨床心理士を目指している人にとって気になるのは、需要の有無でしょう。苦労して臨床心理士になっても、仕事がなければ資格を取得した意味がありません。

そこで、臨床心理士の需要の有無について解説します。

臨床心理士の仕事は拡大し続けている

現在、うつ病や精神疾患が社会問題になっており、心の病に苦しんでいる人は年々増えていると言われています。それに比例して、臨床心理士の需要も年々増加傾向にあるのが現状です。

臨床心理士の主な勤務先は医療や福祉施設などです。しかし、昨今は大学などの教育現場にスクールカウンセラーを常駐させるところも増えてきています。そのため、勤務先は年々拡大しています。

現在日本でのスクールカウンセラーは、臨床心理士の資格を必要としていません。しかし、将来的には臨床心理士の資格が国家資格になる可能性があるため、スクールカウンセラーも臨床心理士の資格が必須になる可能性大です。

このような現状から、臨床心理士の仕事は拡大し続けています。人間の心の病は同じ人間にしか治療することができません。今後も臨床心理士の需要は高まっていくでしょう。

臨床心理士の雇用形態

臨床心理士はほとんどが、病院などの医療機関や大学などの教育機関で仕事に従事しています。医療機関や教育機関などの常駐臨床心理士として仕事をしているのです。

しかし、中には独立開業している人もいます。また、非常勤臨床心理士の場合には、本業とは別にセミナー講師や書籍出版などを副業として行っている人も存在します。

臨床心理士の仕事のやりがい

臨床心理士は、心の病で苦しんでいる人を助ける仕事の従事しています。仕事を通じて人の手助けができるという点に、大きなやりがいを感じることができるでしょう。

また、臨床心理士は心専門の医者です。内科や外科などの医師と同じ地位があるので、高い誇りを持つことができます。それは、自分自身に対する自信にもつながるでしょう。

臨床心理士の仕事の大変さ

臨床心理士が扱うのは人間の心です。人間の心は大変繊細なため、扱いを間違うと取り返しのつかない事態を引き起こす可能性があります。そのような意味では、大きなプレッシャーがある大変な仕事です。

仕事でプライベートを持ち込むことは許されません。臨床心理士は、自分の現状にどのようなことがあっても常に冷静でなければいけないのです。

また、クライアントに共感しすぎると、自分自身の心が苦しくなることもあります。ある一定の境界線を保った状態で、クライアントに向き合うことも重要です。

臨床心理士の試験の難易度

教室に並べられた机と椅子

臨床紳士理の仕事は、人間の心という繊細なものを扱う仕事です。そのような重要な仕事に就くための資格試験の難易度とは、どれくらいなのでしょうか。

試験の難易度はもちろん、研修制度や臨床心理士に向いている人、さらにはアメリカ大学院へ進学する道についても解説します。

臨床心理士試験はやや易しい試験

年度 受験者数(人) 合格率(%)
2018 2200 63.6
2017 2400 65.5
2016 2600 62.9
2015 2600 61.8
2014 2600 60.4
2013 2700 60.4
2012 2800 62.4
2011 2800 59.1
2010 2700 60.6
2009 2600 61.3
2008 2500 62.3

上記は、臨床心理士試験の受験者数と合格率を年度別に表した一覧表です。受験者数はおおよその人数で表記しています。

臨床心理士の合格率は平均62%ほどです。60%を切った年度もありますが、おおむね60%以上をキープしています。

大学や大学院で臨床心理士に必要な知識やスキルをしっかり習得すれば、試験は充分合格できるということです。

5年毎の研修・更新

臨床心理士は、資格を取得すればずっと使うことができるというものではありません。資格更新システムが導入されており、5年に一度の資格更新が必要です。

更新はポイント制です。臨床心理士としての活動や研修をポイント換算し、5年間で15ポイント以上取得することで、更新が可能です。

臨床心理士として仕事に従事していれば、仕事や活動はポイントとして加算されていきます。継続して臨床心理士に従事し続けることで、その後も継続して従事できるということです。

臨床心理士に向いている人

臨床心理士は誰にでも向いている仕事ではありません。向いている人もいれば向いていない人もいます。臨床心理士として向いている人の特徴は以下の通りです。

  • コミュニケーション能力が高い人
  • 人間観察が得意な人
  • 広い視野で物事を考えることができる人

クライアントの中には、視野が大変狭くなっている人もいます。そのような人は視野を広げてあげることで、問題や悩みが解決します。そのためには、臨床心理士が常に広い視野で物事を考える必要があります。

また、臨床心理士の主な仕事は人間の心のケアです。コミュニケーションを通じて問題や悩みを明確にし、本人が気づいていない点に光を充てなければいけません。そのために、高いコミュニケーション能力も必要です。

アメリカの大学院に進学する道も

臨床心理士になる方法として、アメリカの大学院に進学するという道もあります。アメリカは日本以上に心理学や心のケアの方法が優れているからです。

アメリカの大学院に進むことで、最先端の心理学や心のケアの方法を学ぶことが可能です。国が変わっても問題や悩み、そしてそれらを解決する方法に大差はありません。

また、臨床心理士の受験資格には、「外国で指定大学院と同レベルの教育暦がある」という条件が設けられています。アメリカの大学院に進学することで、受験資格の条件をクリアすることが可能です。

最先端の心理学を学びたい、または国を超えて心のケアに従事したいと思うのなら、アメリカの大学院に進学することをおすすめします。

臨床心理士の年収や需要についてまとめ

臨床心理士の年収や需要についてまとめ

  • 臨床心理士の平均年収は一般サラリーマンよりも低い
  • 独立開業することで年収1000万円以上を稼ぐことは可能
  • 臨床心理士の需要は今後拡大していくことが予想される

臨床心理士の年収や需要について解説してきました。現在、年収だけで見ると一般サラリーマンよりも低いため、あまり良い条件とは感じないかもしれません。

しかし、近年精神疾患が社会問題になっています。それに伴って臨床心理士の需要が増加しているため、年収や条件も今後は改善されていくでしょう。

やりがいのある重要な職業ですから、ぜひ頑張って目指してください。

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