電験三種は意味ない・役に立たないって本当?資格の価値や実際に食えるのかを徹底解説
「電験三種は意味ない・役に立たないって本当?」
「価値のある資格なの?取得するメリットは?」
などと疑問をお持ちの方もいるでしょう。
第三種電気主任技術者(電験三種)は、独占業務を持つ国家資格で、取得すれば様々な職場で重宝されます。
しかし、電験三種を「取得しても意味ない」「持っていても役に立たない」などとネガティブに評価する見方があることも事実です。そうした意見を聞いて、取得するかどうかを迷っている方もいるでしょう。
そこで今回は電験三種は意味のない資格なのかについて、役に立たないと言われる理由や保有するメリットなどを含めて解説します。
電験三種は意味ないのかについてざっくり説明すると
- 就職や転職での良いアピール材料になる
- 電気主任技術者は需要や将来性が十分な職種
- 全国どこにでも働き口がある
- これから取得を目指すのもおすすめ
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電験三種はとっても意味ない?
電験三種は、「第三種電気主任技術者」という国家資格です。電気系の資格の中ではトップクラスの難易度を誇ります。
基本的には需要の高い有用な資格ですが、中には「取得する価値はない」「持っていても意味ない」といった意見を言う人もいます。
しかし、以下で紹介するように、電験三種を取得するメリットは非常に大きいです。
就職や転職で大きな武器に
電験三種の保有者は、事業用電気工作物の取り扱いに精通したエキスパートであり、色々な職場で重宝される人材です。
履歴書に堂々と記載できることはもちろん、採用担当者への十分なアピール材料にもなるので、持っておけば就職・転職を有利に進めることができます。
難関資格であることから、専門性だけでなく、取得過程での努力や行動力、積極性なども含めて評価されるでしょう。
独占業務だから需要が高い!引く手あまた
電験三種は電気設備の保安・監督という独占業務を持つため、電気設備が設置されている様々な場所で働けます。例えば、オフィスビルや大規模商業施設、ホテル、マンションなどです。
そうした職場は全国各地にあるため、電験三種は居住地域に関わらず、非常に役立ちます。
そのため、キャリアチェンジを考えている方や引っ越ししても働ける資格がほしい方などに、男女を問わずおすすめです。
電験三種の保有者が活躍する業種・職種をチェック
平成30年に経済産業省がまとめた『電気保安人材の中長期的な確保に向けた課題と対応の方向性について』という資料によると、電験三種取得者の就業状況は以下の通りです。
業種・職種 | 割合 |
---|---|
電気保安 | 2% |
ビルメンテナンス | 14% |
電力 | 10% |
電力工事 | 6% |
建設(電工以外) | 3% |
製造 | 26% |
公務員 | 13% |
その他 | 26% |
出典:経済産業省 「電気保安人材の中長期的な確保に向けた課題と対応の方向性について」
電気設備の保安監督に関わる電験三種ですが、意外にも保安業界で就業する有資格者は2%にとどまり、それ以外の方は他の様々な業種・職種で活躍しています。
製造業や公務員に電験三種の資格を活かして働く人も多いです。
取得によって高い専門性を身につけられる
電験三種の有資格者が、様々な職場で重宝されるのは、高い専門性を有する貴重な人材だからです。
第三種電気主任技術者試験では、以下の4科目に関する問題が出題され、合格すればそれぞれに関する高度な知識やスキルを習得していることを証明できます。
科目 | 内容 |
---|---|
理論 | 電気理論・電子理論・電気計測及び電子計測 |
電力 | 発電所・変電所の設計及び運転 送電線路・配電線路(屋内配線を含む)の設計及び運用並びに電気材料 |
機械 | 電気機器・パワーエレクトロニクス・電動機応用・照明・電熱・電気化学・電気加工・自動制御・メカトロニクス並びに電力システムに関する情報伝送及び処理 |
法規 | 保安に関する電気法規及び電気施設管理 |
資格手当で給与アップ
電験三種は特定の職場においては、需要の高い資格であり、取得によって資格手当がもらえることも多いです。
特にビルメンテナンス業界では重宝され、電験三種の資格があれば、会社から高く評価されるでしょう。
また資格を取得し、実務経験を重ねれば、大幅な収入アップを得ることも可能です。
このように電験三種の取得には、経済的・金銭的なメリットもあります。
月々1万円程度が加算される
電験三種を取得すれば、一般的に月々1万円程度の資格手当が支給されると言われています。
会社によっては5,000〜8,000円程度の場合もあるようですが、それでも年間だと収入にかなりの違いが出てくるので魅力的です。
ちなみに電気工事士の場合は、第一種を取得しても月5,000円程度しかもらえないと言われており、電気主任技術者の格の高さが伺えます。
AIに代替されにくい
AI技術の進展により、将来的には多くの仕事が機械によって代替されてしまうと言われています。
しかし、電気主任技術者の仕事は、高度な専門性と人間的なスキルを要するため、AIに業務を取られてしまう可能性は低いです。
仕事を効率的かつ安全にこなすには、電気設備についての知識やスキルはもちろん、コミュニケーション能力も必須であり、担当するのはAIではなく、国家資格を持った生身の人間でなければなりません。
電気主任技術者の仕事は工事ではなく監督
電験三種を含む電気主任技術者の主な仕事は、電気設備を保安監督することです。
この業務によって、設備に不良が発見された場合は、電気主任技術者の依頼や指示に沿って、電気工事士が工事を行います。
監督の業務には、関係者との細かいコミュニケーションや臨機応変な対応が含まれるので、やはりAIによって仕事を奪われてしまう可能性は低いと言えるでしょう。
将来性が高く安定して働ける
電気主任技術者には、電気設備の保安・監督に関する独占業務が与えられており、将来性も高いと言えます。
電気設備を備えた建物が大きく減少することは考えにくく、法律が変更されない限り、電験三種には安定した需要が見込まれます。
そのため、電験三種を取得し、現場で活躍できるだけの知識やスキルを身につけておけば、以後働き口に困ることはないでしょう。
定年後に働きたい人にもおすすめ
電験三種は需要が高いことから、定年以後も仕事を続ける人が多いです。
定年退職後に電験三種を取得し、70代になっても現役で活躍している人もいます。
そのため、年齢を重ねてからもバリバリ働きたいと考えている方にも電験三種はおすすめです。
電気主任技術者の仕事は、体力的にはそこまでキツくないため、知識やスキル、経験さえあれば、中高年になっても十分に働けます。
保安業界では将来電験三種が人手不足になる
先ほども参照した『電気保安人材の中長期的な確保に向けた課題と対応の方向性について』では、2045年には保安業界で電験三種の人材が足りなくなると言われています。
有資格者が減少していく一方で、業務ビルは増加していくので、4,000人規模の人材不足に陥ると想定されています。
そのため、2023年現在に電験三種を取得すれば、先20〜30年は仕事に困ることはないと言えるでしょう。
例えば、20代が取得すれば、40〜50代になる頃には、かなり忙しく働くことができます。それまでに高い専門性と豊富な実務経験を備えておけば、高収入を得ることも可能です。
電験三種が「役に立たない」と言われる理由は?
上述の通り、電験三種の取得には豊富なメリットがあるのにも関わらず、「電験三種は役に立たない」「取っても食えない」といった否定的な意見も聞かれます。
以下ではそうした意見が生まれる背景について解説します。
責任が重いわりに稼げない
電気設備の不良は重大な事故につながる恐れもあるので、電験三種の仕事では、些細なミスや見落とし、手抜きなどは許されません。
電験三種の仕事においては、電気設備の安全と信頼性を確保することがなによりも重要なのです。
そのように重い責任が伴う仕事の割には、給料が高くないとの理由で「食えない」「価値がない」といった不満の声を漏らす人もいます。
しかし、重い責任に比例して、電験三種の仕事にはやりがいも大きいです。また需要も非常に高く、圧倒的な高収入は狙えないものの、食いっぱぐれないというメリットもあります。
そのため、責任感の強い方や人々から必要とされる仕事に従事したい方などに電験三種はおすすめです。
勉強時間の割に合わない
「苦労して電験三種を取ったけど、実際には意外と稼げなくてがっかり」といった声も聞かれます。
電験三種を取得するには1,000時間の勉強が必要と言われており、試験対策はかなり大変です。
一方で電験三種取得者の平均年収は450万円程度で、これは日本人全体の平均年収とそれほど変わらないことから、コストパフォーマンスが良くないと考える人もいます。
しかし、電験三種を取れば資格手当がもらえることが多く、全国各地で働き口を見つけられるので、経済的なことを考えても取得する価値は十分です。
電験三種試験の合格率をチェック
過去5年間における電験三種試験の合格率は以下の通りです。
年度 | 合格率 | 科目合格率 |
---|---|---|
令和5年度上期 | 16.6% | 32.8% |
令和4年度下期 | 15.7% | 28.7% |
令和4年度上期 | 8.3% | 29.4% |
令和3年度 | 11.5% | 32.5% |
令和2年度 | 9.8% | 30.0% |
令和元年度 | 9.3% | 32.1% |
上記の通り、電験三種試験の合格率はかなり低いですが、科目合格率は標準的だと言えます。
電験三種試験では、3年間で4科目全てに合格すれば資格を取得できるので、コツコツ勉強を続けられる人にとっては、取得は十分に現実的です。
<(参考)令和5年度上期の科目別合格率>
科目 | 合格率 |
---|---|
理論 | 26.6% |
電力 | 25.4% |
機械 | 24.6% |
法規 | 28.8% |
大企業では無駄になることも多い
人材に恵まれている理系の大企業だと、電験三種の保有者が多く、取得しても特別重宝されません。
そのため、大きな会社に勤める場合は、電験三種は「無駄」「役に立たない」と感じられることもあるでしょう。
一方で高齢化や人手不足などの問題が表面化している中小企業では、電験三種を持っていることは非常に評価されます。
中小企業では限られたリソースと人材に頼る必要があるため、専門知識の提供者としての役割が一層重要視されます。
よって、自分の職場の状況や将来のキャリアプランなどを踏まえて、電験三種の取得が適切かどうかを検討するのが良いでしょう。
無資格者の適当な声も
ネットでの「電験三種は取っても無駄」「取得しても役に立たない」といった書き込みは、資格を持っていない人が無責任に書いたものの可能性もあります。
電気主任技術者は重い責任を背負う職種であり、現場で活躍している人は、わざわざそんなことを書き込まないでしょう。
「電験三種を取得すれば稼げる!」などと書けば、競合を増やして自分の身を危うくする可能性もあり、有資格者にとってメリットはありません。
そのため、「意味ない」「食えない」といった意見を真に受ける必要はないと言えます。
独占業務があり、需要も将来性も十分であることを踏まえれば、電験三種の取得が無駄でないことは明らかです。
電験三種は意味ないのかまとめ
電験三種は意味ないのかまとめ
- 色々な職場で活かすことができる資格
- 独占業務を持つことから需要・将来性は十分
- AIによって代替される心配も少ない
電験三種は意味ない資格なのかについて解説しました。
結論を言うと、電験三種は決して意味ない資格ではありません。様々な職場で活かすことができ、需要及び将来性も申し分ないので、今からでも取得を目指すべきです。
電験三種を持っておけば、就職や転職を有利に進められ、月1万円程度の資格手当をもらうこともできます。
またAIによって仕事を代替される心配が少ないことや、全国各地に働き口があること、以後20〜30年は売り手市場であることなども、評価できるポイントです。
よって現在電験三種の試験勉強をしている方は、どうぞ引き続き頑張ってください。これから新たに勉強を始めるのもおすすめです。