公務員の新教養試験とは?出題内容や難易度からわかる傾向と対策を徹底解説!

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「地方公務員試験の新教養試験って、どんな試験?」

「従来の試験とは、どのような点で異なるの?」

地方公務員になりたい人の中にはこのような疑問をお持ちの方も多いでしょう。

地方公務員試験は2018年度から新教養試験が導入されています。自治体の90%以上が採用しているので、市役所などを目指す人のほとんどがこの試験を受験する必要があります。

新教養試験は時事問題が重視されるなど、過去の試験とは形式も難易度も異なる点が多くあります

ここではそんな新教養試験について解説します!

新教養試験についてざっくり説明すると

  • 90%以上の地方自治体で行われる。
  • 大きく3つのタイプがある。
  • いずれのタイプでも時事問題が重視される。
  • タイプごとに問われる能力が異なる。

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新教養試験とは

クエスチョンマーク

「新教養試験」とは公務員の採用試験で行われる新しい教養試験のことです。従来の教養試験をリニューアルした試験で、2018年度(平成30年度)から始まった統一試験で導入されました。

新教養試験の試験問題は公益財団法人日本人事試験研究センターが作成しています。

全国に地方公共団体は1765ありますが、そのうちの1617の団体、つまり91.6%がこのセンターに試験を委託しています。

地方公務員統一試験はいくつかの日程に分かれていますが、新教養試験が行われるのはB日程、C日程、D日程です。

新教養試験の特徴はレベル別になっていることです。

「Standard」「Logical」「Light」という3つのタイプがあります。「Light」以外はさらに2つのレベルに分かれているので、合計5パターンあります。

このリニューアルに伴って試験内容の難易度基準が変更されています。地方公務員を目指す人は必ず確認しましょう。

なぜ新教養試験に変更されたの?

教養試験は地方公共団体の職員に求められる職務遂行能力を測定することを目的としています。公務員として職務を遂行することができるかどうか判定するためのものです。

そのために、新規学卒者を対象に多様な能力を測定しています。例として、高校や大学で学習する内容の知識、理解力、思考力、表現力などが挙げられます。

しかし、職員に求められる職務遂行能力は画一的に決められるものではありません。各地方公共団体によって求めている人材は様々です。

地方公共団体からも試験に関して多くの声がセンターに寄せられました。ある団体は多様な人材の確保ができる試験を求めていますが、別の団体は民間志望者の併願しやすさを期待している、などです。

そこで、それぞれの団体に合った試験にするために試験制度の変更に踏み切りました。そうして導入が決まったのが新教養試験です。

また、従来の教養試験では学歴によるおおよその区分がありましたが、新教養試験ではそれも撤廃され、より幅広い人材を獲得することができるようになりました。

新教養試験の試験の種類

従来の教養試験と新教養試験を比べてみましょう。まず、従来の試験の内容を確認します。

試験区分 対象
教養1 上級 大卒
教養2 中級 大卒・短大卒・高専卒
教養3 初級 高卒
教養4 初級 高卒・社会人経験者

従来の教養試験は学歴や年齢ごとに対象を分けていました。

大卒・大学院修了程度を対象とする上級、短大卒や高専卒が中心の中級、高卒対象の初級などです。社会人や障がい者向け試験は、別に実施されます。

新教養試験ではこの区分が大きく変わりました。次のような区分けで行われます。

試験区分 種類 難易度
標準タイプ StandardⅠ 上級程度
StandardⅡ 中級から上級程度
知能重視タイプ LogicalⅠ 上級程度
LogicalⅡ 中級から上級程度
基礎力タイプ Light 初級程度

新教養試験は問題の内容や傾向によって3つのタイプに分かれています。

出題内容のバランスが良い標準タイプ、一般知能の出題が多い知能重視タイプ、民間企業の筆記試験に近づけた基礎力タイプです。

標準タイプと知能重視タイプには異なる二つの難易度がありますが、Lightには難易度の違いはありません。

学力による区分けもないので、学歴とは違う観点で受験者を判別できる試験です。

いずれの試験区分も試験問題や過去問は公開されていません。試験問題は試験終了時に回収されてしまいます。この点は従来と同じです。

いずれの区分でも時事問題を重視する傾向に

新教養試験ではすべての試験区分で時事問題が重視されます

政治や経済、環境問題や社会問題、情報通信技術など幅広い分野の知識が問われます。

試験合格のためには、時事問題に触れておくのも重要です。公務員試験だからと手を抜かず、普段からニュースや新聞などに目を通すように心がけましょう。

新教養試験の対象となる自治体

新教養試験の対象となるのはB日程、C日程、D日程で実施される地方公務員試験です。主に市役所などの市町村、消防組合などです。

日本人事試験研究センターは地方公共団体に試験問題を提供している団体なので、地方公共団体以外は新教養試験の対象外になります。

たとえば次のような公務員試験は対象外です。

まず、国家公務員試験です。そもそも地方公務員試験ではないので、関係ありません。

次に、東京都庁や特別区です。これらの団体は独自に試験問題を作成しています。

そして、A日程で行われる自治体も対象外です。A日程は道府県庁などの大規模な自治体の試験が該当します。

また、稀にですが、B日程からD日程の中で従来の教養試験を実施するという自治体もあり、こういった自治体でも新教養試験は採用されていません。

このように、すべての公務員試験が新試験になるわけではありません。自分の受験する試験が新試験なのかどうか、確認しておきましょう。

新教養試験の対象の日程

新教養試験が実施されるのは地方公務員試験のB日程、C日程、D日程です。

それぞれの日程がいつ頃なのか確認しておきましょう。例年、以下のような日程で試験が実施されます。

日程 試験日
B日程 7月第2週の日曜日
C日程 9月第3週の日曜日
D日程 10月第3週の日曜日

なお、これらは全て筆記試験の日程となります。

どのタイプが出るか事前にわかる?

カレンダー

新教養試験は上記のように5パターンあり、それぞれ出題傾向や難易度が異なります。本番で受験することになるタイプがどれなのかわかると、対策もしやすいですよね。

しかし結論を言ってしまうと、残念ながらどのタイプが出題されるのかは事前にわかりません

当日に問題を見ればどのタイプかわかりますが、もちろん対策としては無意味です。

受験する自治体の昨年度の問題と同じタイプの問題が出題される可能性が高いとは言われています。

昨年にどのタイプが選ばれたかを先輩や予備校に聞けば対策はある程度しやすくなるでしょう。ただし、当然変更される可能性も十分にあるので、注意は必要です。

一般的な傾向として、B日程ではStandardを採用している自治体が多いようです。C日程ではLogicalやLightを選ぶ自治体も見られます。

とはいえ、この傾向についてもC日程でStandardを出題する自治体もあるのであくまで傾向であるとしか言えません。

Standard I・IIの対策

ノートとペン

Standardは標準的なタイプの問題であり、2018年では多くの自治体に採用されたタイプです。

Standardは従来の教養試験と最もよく似たタイプであり、Standard ⅠとStandard Ⅱの2段階の難易度に分かれています。

内容
出題数 40問(知識分野20問/知能分野20問)
形式 五肢択一式
解答時間 120分
特徴 従来の試験と共通性が高い

Standardの難易度

StandardタイプはⅠもⅡも従来の教養試験と共通性が高い試験です。

傾向や特徴はIとIIで大きくは変わりませんが、難易度はそれぞれ異なります。Ⅰの方がⅡよりも難しく、より高度な内容が問われます。

Standard I の難易度

StandardⅠの難易度は従来の試験における教養1と同じ程度です。

大学教養程度の内容が出題されるため、大学卒業者や大学院修了程度の受験者を主な対象としている試験と言えるでしょう。

Standard II の難易度

StandardⅡの難易度は従来の試験における教養2・3と同じ程度です。高卒程度から、大学や短大、高専卒まで幅広い学歴の人を対象として想定しています。

Standardの出題内容

Standardタイプの試験は幅広い分野から出題されます。

従来の試験と似ていますが、変更点もいくつかあります。詳しい出題範囲を表で確認していきましょう。

区分 出題数 内容
知能分野 20問 数的推理、判断推理、資料解釈、文章理解
知識分野 20問 時事問題、人文科学、自然科学、社会科学

一般知能の分野では数的推理や判断推理、資料解釈、文章理解などの能力が問われます。

これらの項目は従来の試験でも問われていましたが、新教養試験では古文などの出題がありません。

一般知識分野では人文、自然、社会それぞれの分野の基礎知識が出題されます。

また、これまでの試験以上に時事問題が重視されます。時事問題では社会に関する幅広い内容が出題されています。

新教養試験では、古文、哲学・文学・芸術など、国語(漢字やことわざ)といった問題が試験範囲から外されました。

また、日本史・世界史・地理はそれぞれ1問ずつ出題されます

実際に出題された問題

2018年に行われた試験では、StandardⅡとLogicalⅡに共通した問題が32問、Standardでだけ出題された問題が8問ありました。

StandardⅡのみに出題された特徴的な問題を以下の表にまとめました。

科目 出題内容
社会 日本の農業
地理 陸地と海洋
数学 二次関数
物理 直列回路
化学 HClとNaOHの中和
プラスチックの特性
生物 人のホルモン
森林のバイオーム

物理の直列回路など従来の試験における頻出分野からも出題されています。

一方、科学の中和や生物のバイオームのような以前はあまり重視されていなかった分野からの問題も目立ちました。

もう少し過去問が蓄積されていけば傾向もわかって来るでしょう。今後の試験でも2018年の傾向を踏むのかどうか、データが少ないので現状では予測ができません。

Standard対策の勉強法

Standardタイプの試験は従来の試験と似通った部分が多い試験です。

そのため、対策は比較的容易です。かつての教養1と同じような対策を行えば大丈夫でしょう。

知識分野が20問、知能分野が20問と出題バランスも今までと同じです。社会分野が問われやすいので、社会を中心に対策を進めましょう

また、新教養試験では時事問題が重視されます。

環境問題なら温室効果ガスや森林破壊、社会保障問題なら年金や公的扶助などニュースで話題になっている問題に対しては常にアンテナを張っておくと良いでしょう。

Logical I・II の対策

たくさんの本

Logicalは知識よりも知能を重視する試験です。論理的思考力や推理能力などが試されます。Standardと同じくⅠとⅡの二つの難易度があります。

内容
出題数 40問(知識分野13問/知能分野27問)
形式 五肢択一式
解答時間 120分
特徴 論理的思考力重視

Logical の難易度

Logicalの難易度はIとIIで違います。それぞれの難易度は従来の試験と比べてどの程度なのでしょうか。

Logical I の難易度

LogicalⅠは従来の教養1よりやや易しい程度の難易度です。

大学で学ぶような内容も出題されているので、大学卒業程度の受験者を想定した試験と言えます。

Logical II の難易度

Logical II は従来の教養2・3と同じくらいの難易度です。

高校卒業程度から大学卒業程度まで幅広い受験者を想定した試験です。そのため、そこまで高度な内容は出題されないと考えられます。

Logical の出題内容

Logicalの試験範囲は次のようになっています。Standardと似ていますが、細かな違いがあります。

区分 出題数 内容
一般知能 27問 数的推理、判断推理、資料解釈、文章理解
一般知識 13問 時事問題、人文科学、社会科学

一般知能では数的推理、判断推理、資料解釈、文章理解の問題が27問出されます。Standardタイプよりも一般知能のすべての科目で問題数が増えている点が特徴です。

一般知識では時事問題、人文科学、社会科学から13問出題されます。こちらはStandardよりも問題数が減っています。

また、Logicalタイプでは自然科学の問題が出題されません。ただし、Standardでは自然科学は出題されるのでその点は間違えないようにしましょう。

従来の試験と比べると、試験科目は少なくなっています。自然科学だけでなく、古文、漢字やことわざ、哲学・文学・芸術といった内容は出題されません。

LogicalはStandardと共通点が多い試験です。40問中32問が同じだったこともあり、対策も両立しやすいと言えます。

実際に出題された問題

2018年に行われた試験では、ほとんどの問題がLogicalとStandardで共通していました。Logicalのみに出題されたのは40問中8問だけです。

Logicalに特有の問題を以下の表にまとめました。

科目 出題内容
判断推理 順序関係
数的推理 確率
資料解釈 風力発電1kw当たりの価格
文章理解 現代文(主旨把握)
現代文(空欄補充)
英文(内容合致)
社会 世界人権宣言第一条

特筆するべきは資料解釈の問題です。かなりの計算スピードがなければ時間内に正解できない難問でした。

また、数的推理で出題された確率のように従来の試験での頻出分野は新教養試験でも引き続き出題されています。

従来の試験の傾向を引き継ぐのか、それとも新しい傾向の問題が増えていくのか、現在では何とも言えません。

Standard同様、もう少し年度が経てば傾向も見えてくるでしょう。

Logical対策の勉強法

Logicalの試験は一般知能の分野から多く出題されます。そのため、知識を詰め込む対策はあまり効果がありません

数的推理や資料解釈ではかなりの計算スピードが要求されます。これらの科目では繰り返し過去問や問題集を解いて計算速度を上げていきましょう

上で述べたようにLogicalタイプの新教養試験では自然科学の問題が出題されません。

Logicalタイプを受験する可能性が高い場合は、自然科学を勉強する時間を数的推理などに回してしまいましょう。

また、Logicalタイプでも、Standardと同じく時事問題が重点的に出題されます。普段から新聞やニュースを見るよう意識しましょう。

Lightの対策

ノートにマーカーを引く

Lightは公務員試験に向けた対策を行っていない、民間企業志望者でも受験しやすいタイプです。

StandardやLogicalとは異なり、ⅠやⅡのような難易度は設定されていません。

内容
出題数 60問(社会への感心24問/言語的な能力18問/論理的な思考力18問)
形式 四肢択一式
解答時間 75分
特徴 特徴 基本的な言語能力や論理的思考力を測定

Lightの難易度

LightはStandardⅡやLogicalⅡよりも易しい試験です。基本的な能力を調べるための試験なので、あまり高度な内容は問われません。

新規学卒者を対象として試験で、職種を問わず用いられます。民間企業志望者も受験しやすいような内容になっており、SPIに近いとも言われています。

Lightの出題内容

Lightの出題内容を見てみましょう。試験内容は大きく3つの分野に分かれています。それぞれの分野の出題数や内容を表にまとめました。

区分 出題数 内容
社会への関心と理解 24問 時事、社会科学(政治、経済、法律、現現代社会)、地理
言語的な能力 18問 文章理解(現代文、英文)、漢字読み書き
論理的な思考力 18問 数的推理、判断推理、資料解釈

Lightタイプは基礎的な能力を判断するための試験です。

社会についての関心や、基礎的・常識的な知識、職務遂行に必要な言語能力、論理的思考力が問われます。

高度な内容が問われないため、職種に関する専門試験や適性試験などと組み合わせて実施される可能性もあります。

Light対策の勉強法

Lightタイプは他のタイプよりも試験時間が短く、75分間に60問解く必要があります。そのため、解答スピードが要求されます。

他のタイプと比べると易しい問題が多いのが特徴です。社会的な常識や知識、公務員として最低限度の言語能力と思考力が試されるだけです。

そのため、最も出題数の多い「社会についての関心や基礎的・常識的な知識」に関する部分だけを対策しておけば十分です。

政治や地方自治、時事問題に関して問題集などで勉強しておきましょう。

また、Lightは民間企業の筆記試験として使われることの多いSPI試験と似ているとも言われています。そのため、SPI用の問題集に取り組んでも対策できます。

新教養試験は独学で突破できるか

ジャンプする人のシルエット

ここまで新教養試験の3つのタイプについて内容や形式の変更点について紹介してきました。では、新教養試験は独学で突破できるのでしょうか。

独学は可能ではある

結論からいえば独学は不可能ではありません。公務員試験については使い勝手のよい参考書や問題集がいくつも市販されています。使いこなせば対策を行うことは可能です。

費用をどうしても抑えたい人、大学受験など難関試験を独学で突破したことがある人、計画的に物事を進められる人などは独学でも新教養試験をクリアできるでしょう。

独学が難しいのは事実

独学が不可能ではないとはいえ、公務員予備校や通信講座に比べるとやや不利なのは事実です。

前述の通り、公務員試験では過去問が公開されません。そのため、本番でどのタイプが選ばれるか確かなことがわからないのです。

また、新教養試験はあくまで公務員試験の一部分でしかありません。新教養試験以外にも面接試験や論文、専門試験などの対策もしっかりと行う必要があるでしょう。

これらを総合的に考えると、独学はやや不利となってしまいます。公務員試験が第一希望の人は予備校や通信講座を利用した方がスムーズに対策できるでしょう。

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公務員の新教養試験の難易度まとめ

公務員の新教養試験の難易度まとめ

  • 内容や難易度の異なる3つのタイプがある。
  • StandardⅡやLogicalⅡは難易度が高く、Lightはやや低い。
  • 時事問題が重視される。
  • 実施回数が少なく、今後の傾向はまだわからない。

この記事では地方公務員試験の新教養試験について説明してきました。

新教養試験は90%以上の地方自治体で導入されています。地方公務員を目指すほとんどの人が受験することになるでしょう。

実施回数がまだ少ないため、現時点でははっきりとした傾向まではわかりません。しかし、それは他の人も同じです。

新教養試験は時事問題が重視されるなど従来の試験とは異なる部分がいくつもあります。

地方公務員試験を目指す人は試験の内容を理解した上で、しっかりと対策を行いましょう!

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