危険物取扱者の講習の申請期間は?更新義務はあるのかなど詳しく解説!
「危険物取扱者の講習って何をするの?」
「講習に出られなかった場合はどうなるの?」
このような疑問を持っている方は多いのではないでしょうか。
危険物取扱者資格を有している人は、定期的に講習に参加する義務があります。この記事では、危険物取扱者講習の基本的な内容に加え、講習に参加できなかった場合等の良くある疑問についても解説します。
危険取扱者の講習についてざっくり説明すると
- 危険物取扱者資格を持って仕事をしている場合、講習を受ける義務がある
- 講習を受けるタイミングは資格を使って仕事をしているか、前回の講習を受けたかで決まる
- 講習は都道府県ごとに行っているため、申し込み時期や講習日程が都道府県ごとに違う
- 申し込みには申請書や危険取扱者資格免状、受講手数料の用意が必要
危険物取扱者の講習とは?
危険物取扱者講習は別名 「保安講習」とも呼ばれています。危険物取扱者資格を持ち、危険取扱者としての職業に従事している全ての人に必要な講習です。
この危険物取扱者講習は消防法第13条23の規定により定められていますから、危険物取扱者として働いている人は受講が義務となります。
受講には申請書の記入や受講料等の準備が必要です。 普段から講習を受けなくてはならない期間を覚えておき、期間が近くなったら受講の準備を始めるようにしましょう。
危険物取扱者の区分について
危険物取扱者資格には区分があります。
- 甲種危険物取扱者
- 乙種危険物取扱者
甲種も乙種も区分は違いますが、危険物取扱者講習の受講義務は変わりません。
講習のタイミングは講習を受けた時期と危険物取扱者資格を用いて仕事をするかどうかによって変わります。
甲種、乙種共に講習を受けたタイミングは覚えておきましょう。
危険物取扱者講習の講習概要
危険物取扱者講習は資格を使って仕事をする場合は、必ず受けなくてはならない講習です。
この講習は申込みや講習のスケジュールがあらかじめ決まっているため、それに合わせて準備しなくてはなりません。
まずは、講習のスケジュールや受講タイミング等の基本的な内容を解説していきます。
危険物取扱者の区分と講習スケジュールの違い
危険物取扱者は主に2つのグループに分かれて講習を受けます。
- ガソリンスタンド(給油取扱所)で働く人(いわゆる乙4)
- それ以外の危険物を取り扱う人
一部の地域では働く場所ごとにもっと細かいグループに分かれる場合もありますが、多くの場合この2つのグループに分けられます。
このグループ分けによって講習スケジュールが違う場合もあります。講習を受ける時は、自分が受ける講習とそのスケジュールの確認を必ず行って下さい。
乙4が他の区分と分けられている理由
乙4の所持が義務付けられているガソリンスタンドの仕事は、全国どの町にもありふれています。そのため、乙4を持って仕事をする人は他の区分よりもたくさんいるのです。
また、ガソリンスタンドは、異常があると周りの人達を危険にさらす可能性が高い施設でもあります。 この特徴から、乙4を持って働く人は、他の区分の人達とは別に講習を受けるのです
危険物取扱者講習の期限
同じ種類、区分の危険物取扱者でも、講習を受ける期限は人によって違います。
これは、危険物取扱者の資格を取得して働き始めた時期によって受けなくてはいけない時期が違うためです。よくある4つのケースについて解説していきます。
危険物取扱者資格を活かして仕事をしている場合
最初は 前回講習を受けた上で危険物取扱者として働いている場合です。この場合、 以前講習を受けた時から最初に迎える4月を基準として、4月から3年以内に受けなくてはなりません。
例えば、2020年の5月に講習を受けたとします。この場合、次の年の2021年4月から3年以内、つまり2021年4月1日~2024年4月30日までに講習を受けなくてはなりません。
乙4等の資格を新たに活用する場合
初めて危険物取扱者として働く人や、かつて危険物取扱者として働いていた人のケースです。この場合は 資格を取得して1年以内に講習を受けなくてはなりません。
2020年の5月1日に仕事に就いたとしたら2021年の5月31日までに講習を受ける形になります。講習を受けた後はケース1と同じく、最初に迎える4月から3年以内に講習を受けます。
危険物取扱者としての仕事再開後も講習制度に注意
ケース2に該当する人が2年以内に講習を受けている場合です。以前に講習を受けてからそれほど日が経っていない場合、ということです。
この場合もケース1と同じく、 以前受けた講習から最初に迎える4月を基準として、その4月から3年以内に受けなくてはなりません。
繰り返しになりますが、危険物取扱者講習を受けたら、受けた日にちを覚えておくようにしましょう。
危険物取扱者として働かない場合は受講義務はない
最後は危険物取扱者の資格はあるが、危険物取扱者としての仕事をする予定が無い場合です。この場合は 講習の受講は任意となります。
危険物取扱者講習が必須になるのは、資格を用いて仕事をする場合のみです。資格があっても仕事をする予定がないなら、講習を受ける必要はありません。
危険物取扱者の申請方法
危険物取扱者講習は講習を受ける為に申請書を提出し、受講手数料を支払わなくてはなりません。 申請の際には以下の書類と費用が必要です。
- 受講申込書
- 危険物取扱者免状
- 受講手数料
- 82円切手を添付した返信用封筒
申請書は 消防署で配布されています。近くに消防署が無い場合は、各都道府県の 消防署や危険物安全協会連合会のホームページからダウンロードできますので、それを利用しましょう。
申請書には必要事項の記載と受講手数料の収入印紙を貼り付け、危険物取扱者免状のコピー、返信用封筒と一緒に指定の住所へ郵送します。
返信用封筒は受験票の送付や、変更が合った場合の手続きで使用しますので忘れずに入れて下さい。書類不備に気を付けて準備しましょう。
危険物取扱者免状と郵送方法について
危険物取扱者免状は危険物取扱者試験に合格した時にもらえます。コピーを取り、申請書と一緒に郵送してください。
また、危険物取扱者資格は10年に1度顔写真を更新しなくてはなりません。また、住所等記載されている内容に変更が合った場合も、更新手続きが必要です。
これは資格を使って仕事をしていない場合でも必要です。 更新時期と講習時期が重なると手続きが大変になります。講習の時期だけでなく、更新時期もチェックしておきましょう。
無くした場合は都道府県の当センター各支部に再発行申請が必要です。再発行には時間がかかりますから、無くさないようにしましょう。
受講手数料と支払い方法について
受講手数料は 4,700円(非課税)です。 収入印紙を手数料分購入し、申請書に貼り付けて送ります。
この時、受講する地域の収入印紙で送りますので、間違えないようにして下さい。収入印紙は役所や銀行で購入できます。
危険物取扱者講習の申請期間
申請日程は講習の日程によって変わります。 大体各講習の10日前まで受付可能ですが、空席状況によっては講習を受けられない場合もあります。
講習は都道府県ごとに行っていますから、毎回自分が受ける所の申請時期や講習時期を調べるようにしましょう。
例えば神奈川県の場合、第1次受付は令和2年(2020年)6月29日消印分~令和2年(2020年)8月7日消印分となります。この第1次受付に空席があれば、第2次受付に申し込みが可能です。
危険物取扱者講習情報
次の項目からは実際に講習を受ける時に覚えておきたい情報を解説していきます。こちらも忘れずに覚えておくようにして下さい。
危険物取扱者の講習場所と講習日程
先程から何度か触れていますが、危険物取扱者講習は自分が住んでいる都道府県や受講する区分によって申込期間や受講日が違います。
受ける講習は自分が働く施設によっても変化するため、申込期間や受講日を必ず確認しなくてはなりません。
以下の図は東京都の令和2年講習スケジュールです。かなり細かい区分となっており、区分によって開催される日数も違います。
講習区分 | 従事施設 | 令和2年5月 | 6月 | 7月 | 8月 | 9月 | 10月 | 11月 | 12月 | 1月 | 2月 | 3月 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
第1 | 給油取扱所 | 14日(木) | 8日(月)、30日(火) | 20日(木) | 5日(月) | 19日(木) | 7日(月) | |||||
第2 | 製造所、一般取扱所 | 18日(月) | 18日(土) | 28日(月) | 2日(月) | 22日(月) | ||||||
第3 | 屋外タンク貯蔵所、屋内タンク貯蔵所、移送取扱所 | 15日(月) | ||||||||||
第4 | 地下タンク貯蔵所、異動タンク貯蔵所 | 2日(火) | 6日(木) | 12日(月) | 30日(月) | 14日(月) | 22日(月) | |||||
第5 | 屋内貯蔵所、簡易タンク所蔵所、屋外貯蔵所、販売取扱書 | 15日(月) | 19日(月) | 21日(月) |
危険物取扱者講習時間
講習日程で気を付けなくてはならないのは、開催日だけではありません。時間も注意が必要です。都道府県によって開催時間や受講時間が異なるため、それに合わせて予定を組み立てる必要があります。
開催時間とスケジュールの違いの例
開催時間の例として、東京都と神奈川県の開催時間と講習時間を見てみましょう。
東京都の場合は、13時~17時となっており、これまでに受付を済ませ受講しなくてはなりません。
一方、神奈川県の場合、1日に2回講習が行われています。
- 午前の部 受付:9時~9時30分 講習:9時30分~12時30分
- 午後の部 受付:13時~13時30分 講習:13時30分~16時30分
神奈川県の場合は、2つの部のうちどちらかに出席すれば受講したことになります。
この様に、受講時間や開始時間は都道府県によって違うため、それに合わせてスケジュールを立てる必要があります。講習日時や講習にかかる時間は必ず調べるようにしましょう。
危険物取扱者講習内容
危険物取扱者講習の内容は全国共通となります。内容は以下の3つです。
- 危険物関係の法令に関する講習
- 危険物の火災予防の講習
- 危険物取扱者の視聴覚検査
講習の時間配分はその講習によって違いますが、基本はこの流れで講習を行っていきます。
講習によっては、効果測定を行う場合もありますので、注意が必要です。
講習ではテキストを用いて授業を行っていきます。テキストは当日配布されますので、当日はテキストが入る大きさのカバンを用意しておきましょう。
危険物取扱者講習の当日の流れ
次に、実際の危険物取扱者講習の流れを解説していきます。以下の図は先程例として取り上げた神奈川県の危険物取扱者講習・午前の部のスケジュールです。
時間 | 講習内容 |
---|---|
9:20~9:40 | 受付 |
9:40~10:30 | 危険物法令 |
10:30~11:10 | 災害と予防対策 |
11:10~11:20 | 休憩 |
11:20~11:45 | 視聴覚教材 |
11:45~12:35 | 危険物施設安全管理 |
12:35~12:40 | 免状返還 |
この様に、大体30~1時間位の内容を学んでいきます。細かい時間は都道府県ごとに違いますので、こちらはあくまでも一例として捉えて下さい。
当日の持ち物
危険物取扱者講習は手ぶらでは受けられません。以下の持ち物が必要です。
- 受講票
- 筆記用具
- 危険物取扱者免状
受験票は申込みを済ませると渡されます。 郵送の場合は返信用封筒を使い郵送されますので、返信用封筒の同封を忘れないようにしましょう。
危険物取扱者免状は、受付の時に提出し、受講後に返還されます。 受験票と同じく、免状を忘れると受講できません。必ず持っていくようにして下さい。
危険物取扱者講習は遅刻や早退があると、受講したとみなされません。別の日に受講し直す必要があります。 講習当日は遅刻や早退を避けるためにも、時間や体調をしっかり管理しておきましょう。
危険物取扱者講習を受けないとどうなる?
危険物取扱者講習を受けない状態で資格を必要とする仕事をしていると、消防法第13条の2第5項の規定により免状の返納を命じられます。
危険物取扱者としての義務を果たせないとみなされる訳ですから、仕事にも大きく影響します。
また、受講中に居眠りやスマホの操作等、受講にふさわしくない態度を取った場合、受講したと認められない場合があります。ただの講習だからと気を抜かずに、真面目に講義を受けましょう。
なお、病気や仕事等、やむを得ない理由で講習を受けられそうにない場合は、出来るだけ早く管轄の危険物安全協会連合会に相談しましょう。 必要な指示や対処をしてもらえます。
因みに、受講義務が無くても危険物取扱者の資格を持っていれば、危険物取扱者甲種に参加することができます。
受講方法はこちらで紹介した方法で問題ありません。危険物に関する知識を新しい状態で保ちたい方は、ぜひ受講してみて下さい。
危険取扱者の講習まとめ
危険取扱者の講習まとめ
- 危険物取扱者の資格を使って仕事をするには、必ず講習を受けなくてはいけない
- 講習を受けないと資格を取り上げられてしまう場合もある
- 講習は資格の区分や講習を開催している都道府県によってスケジュールが違う
- 資格を使って働いている状態によって受講しなくてはいけない期間が決まっている
危険物取扱者の講習は、資格を使って仕事をしていく上で必ず受講しなければいけません。
また、講習を受けた時期と資格を使って働き始めたタイミングによって、受講しなくてはいけない期間が決まっている、という点にも注意しましょう。
申込期間が短い上に、会場の空席状況等も関係してくるため、受講するまで手間のかかる講習ですが、安全に危険物を取り扱うには必要な講習なのです。
今後も危険物取扱者資格を持って仕事をしていこうと考えているならば、忘れず講習を受けるようにしましょう。