公認会計士は意味ない資格になったのか?AI台頭の影響や必要性の実態を徹底考察!
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公認会計士
白井敬祐
「公認会計士の価値は下がり始めているのかな?」
「AIの台頭で今後仕事が淘汰される資格もあるようだけれど、公認会計士の将来性はどうなんだろう?」
AIの台頭によって、一部では「会計士の仕事もAIに奪われるのではないか」と危惧する余り、「意味ない」「無駄」といった悲観的な見方をする人もいます。
ですが、その予測は本当に正しいのでしょうか?
この記事では、そのような悲観的な噂の根拠やこれからの展開について詳しく考察しています。
公認会計士の意義や在り方について悩んでいる人は、ぜひ参考にしてくださいね!
公認会計士資格の価値についてざっくり説明すると
- 公認会計士の資格は需要が伸びている
- 公認会計士の仕事はAIで簡単に代替できる代物ではない
- 「意味ない」「無駄」という批判は根拠が乏しい
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公認会計士が「意味ない」がウソの理由
この話は非常に質問が多く、またそんなウソが出回っているのが嘆かわしいと思っています。
まずその話をしているのが誰なのか確認しましょう。おそらく公認会計士ではなく、会計士の仕事をよく知らない記者だったり、不合格者が恨み混じりに書いているケースがほとんどです。
AIに代替されることはないと私が断言しますので皆さんは勉強に集中していただければよいと思います。私のYouTube動画でも語っております。
公認会計士は合格率がわずか10%前後であり、超難関資格として有名です。一方で、一部では「そこまで時間を費やしても仕方がない」と囁かれており、心が折れそうになる人もいるのではないでしょうか。
ですが、公認会計士の資格を取得する価値は非常に高いと言えます。以下の項目で、公認会計士資格の価値の実態について説明しましょう。
就職や転職で極めて有利
公認会計士は、各種財務のプロフェッショナルの中でも最上位に位置する資格です。どの業界においても、会計業務は避けて通れないですから、資格所持者は幅広い業界で頼りにされます。
現在、大手監査法人だけでも求人数は2,000人前後であると推定されています。他方、合格者は2022年度試験の合格者数はわずか1,456人と、需要に供給が追いついていない状態だと言えるでしょう。
さらに現在はベンチャー企業が増えており、新規株式公開(IPO)を目指すベンチャー企業も少なくありません。ですが上場直後の不祥事が発覚するケースが相次ぎ、監査の厳格化が求められた結果、さらに公認会計士の需要は高まっている状態です。
このような理由から、監査業務のスペシャリストである公認会計士の注目度・人気度はますます高まっているのです。
需要が高く職場での昇格にもつながる
公認会計士の就職先として考えられるのは、監査法人が一般的でしょう。ですが、ベンチャー企業などで有資格者がいると、自社の事情にも精通しているので細かい目配りも利き、会社にとって有り難い存在です。
国家資格ですから、社内で資格手当も付く可能性が高いでしょう。また、会社に対する責任が重く独占業務も存在するので、昇給に加えて昇格も期待できます。
一時はコロナ禍などで経済活動の縮小が懸念されていましたが、帝国データバンクが発表した2021年3月の全国景気動向調査において、「今後は緩やかな上向き傾向にある」と予想されています。
景気動向と公認会計士の業務は密接な関係にありますから、当面は公認会計士の需要は伸び続けるでしょう。
士業資格であり独立開業も可能
公認会計士は士業の1つであり、公認会計士法第2条1項に定められた独占業務が存在します。同法に定められた監査証明業務は、以下の2つに大別でき、独立開業を見据えた際にも大きな武器になります。
1.法定監査
法律上、必ず公認会計士による監査を受けなければならない監査を指します。
<代表例>
-
金融商品取引法上の監査:有価証券報告書に含まれる財務諸表の監査証明など
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大会社・委員会設置会社における監査業務(会社法第327条・328条)
他にも、会計監査人の設置を定款に定めている場合や、私立学校法人の監査なども、公認会計士のみ認められている法定監査業務だと言えます。
2.任意監査
法律上の設置義務はありませんが、監査の目的や内容などが当事者同士の契約によって定められ、実施される監査です。
粉飾決算などの不正経理があると追徴課税を始め各種ペナルティを受けるので、それを避けるため、自発的に公認会計士や監査法人の監査を受ける場合があります。
また、銀行の融資を受ける際の審査において、銀行の求めに応じて監査が必要な場合も公認会計士の出番だと言えるでしょう。
就職・独立が自由に選べる
公認会計士は、行政書士などの独立前提の士業と異なり、一般企業勤務のインハウス活動も認められています。
各種予備校の合格体験談などでも、大手監査法人で勤務した後に地元の監査法人に転職したり、ベンチャー企業のCFOとして招聘される例も、数多く紹介されています。
企業経営者は、必ずしも全員が経理や財務、税金の知識に精通しているわけではありません。さらに有資格者は法務の知識も持ち合わせていることが多いので、会計の知識のみの簿記の有資格者よりも期待度が高く、経営者の右腕となるケースが多いのです。
いずれにしろ、必ずしも会計士試験に合格したからと言って独立する必要はなく、資格を現在の仕事や転職に生かして、安定した収入を維持する方向を目指すのも良いでしょう。
平均年収も非常に高い
公認会計士の平均年収は、2018年度の賃金構造調査において892万円と非常に高い数値が報告されています。これだけの年収が得られる根拠としては、次の要因が考えられます。
- 社内の資格手当の支給
- 現在の職場における昇給の影響
- 転職による増収
- 独立で成功させやすい
また、下記の表はある監査法人の役職ごとの年収幅です。役職によって数値に幅はありますが、上級職であるマネージャークラスになると、かなりの収入を得ていることが分かります。
役職 | 年収幅(単位:万円) |
---|---|
監査 | 440~1600 |
コンサルタント | 500~1500 |
アソシエイト | 500~800 |
アドバイザリー | 500~1800 |
スタッフ | 300~880 |
会計士 | 550~1200 |
マネージャー | 800~1600 |
さらに、こちらの監査法人では男女の賃金差も少なく、女性が働くことにも理解があるとの意見が多く見られました。
士業業界では、業種によってはまだまだ男女差別の風潮が残る職種もありますが、公認会計士は比較的男女差別が少ないと言えるでしょう。
公認会計士はなぜ無駄な資格と言われるのか
数年前の大量合で監査法人入りできない時期があった
公認会計士の試験制度は、2006年より短答式試験が年2回の開催になりました。それを機に、2010年をピークに公認会計士の大量合格者が生まれ、監査法人に就職できない人が続出したと言われています。
試験合格者の平均年齢は、例年26~27歳くらいです。この時点で大学の新卒者かつ有資格者を欲していた企業の思惑と、大きなズレが生じていたと言えるでしょう。
国の施策の狙いと企業の思惑の認識のズレが、大量の公認会計士の就職難民を生む原因になり、公認会計士のイメージダウンを招いた可能性があります。
公認会計士求人の現状
ですが、現在はその当時より経済状況が回復しており、グローバル化も進んでいることから、多方面で活躍できる公認会計士は需要が増えつつあります。
実際に大手監査法人の求人も数百名単位で人員募集をするなど、USCPAの資格も持つ公認会計士などは引く手あまたの状況です。
逆に公認会計士の受験者数はピーク時の半数以下に減っているので、これから公認会計士を目指す人にとってはチャンスの到来だと言えるでしょう。
将来はAIに仕事を取られる?
公認会計士の仕事は、非常に多岐に渡ります。それにも関わらず、一部で「公認会計士の仕事はAIに取って代わられる」という噂が流れ、不安になった受験生も多いのではないでしょうか。
この噂の出処として考えられるのは、2015年に発表された「野村総研とオックスフォード大学の研究結果」です。この中で「AIに代替される仕事」として公認会計士の業務も含まれていたため、誤解を招く一因になったと言えます。
公認会計士とAIの共存
ただし公認会計士の仕事は、仕訳の入力など単純作業だけではありません。近年はクライアントとのコミュニケーションが大切なコンサルティング業務も多く、クライアントの機微の読み取りや状況の変化に応じなければならないので、コンサルタント業務は、AIには不向きだと言われています。
むしろ、一般業務の一部としてAIを導入しても、今度はそれを管理・運用する人材が必要です。
既にいくつかの監査法人では最先端のIT事情に精通した人材を求める徴候が見られますから、AIと共存して最先端の業務に応じられるかどうかが、これから活躍する分岐点になるでしょう。
独立に失敗してしまう人がいる
士業で良く言われることですが、独立開業し、顧客獲得が出来るかどうかは自分次第です。
独立開業するノウハウを持っていない状態や、同業者や他士業の人脈がない状態で独立しても、事業が失敗するリスクは大いにあります。
合格したばかりの状態では全ての業務に精通しているわけではなく、それぞれ得意分野や不得意分野があるものです。その際に協力者がいないのは大きな痛手になるでしょう。
また、公認会計士の独立は景気変動に大きく左右されます。不景気の際には経済活動縮小に伴い仕事も減少すると予想され、廃業のリスクが高まるでしょう。
廃業リスクを避けるには?
廃業リスクを避けるには、企業勤務型の「組織内公認会計士」を選ぶのも一つの手です。先に述べたように、公認会計士はインハウス活動が認められており、会社に在籍したまま公認会計士として活躍できます。
一方、独立開業する「開業公認会計士」の働き方をしていても、再就職先のポジションに拘らなければ、比較的再就職しやすいのもこの業種の特徴です。
ですので、実務経験が不十分な状態で独立するのはオススメできません。金銭面や準備を十分に整えて、独立するモチベーションが到来した時に独立するべきで、どの士業にも共通することだと言えます。
不合格者による嫉妬も影響
公認会計士試験は非常に難易度が高いことで有名です。毎年1万人近くもの人が不合格になっており、悔しい思いをしている人もかなりいるでしょう。
公認会計士試験は司法試験のように三振制度はありませんが、受験生生活が長くなると、モチベーションも低下しがちです。
長年勉強し続けてきて不合格になってしまい、公認会計士になるのを諦めてしまった人が悔し紛れに「公認会計士の資格は意味ない」と吐き出しているケースも、ネット上で見つかるかもしれません。
もっとも、ネガティブな声を上げる人のほとんどが、実際には公認会計士の仕事に携わった経験のない人です。
案件をコンスタントに受注してきて毎日忙しい公認会計士の方が、「仕事がたくさんあります」とわざわざネットなどで公開するというのは、まず考えにくいのではないでしょうか。
よって、情報を取得する際にはその情報源に対しても細心の注意を払うようにしましょう。
公認会計士は意味ない資格なのかまとめ
公認会計士資格の価値まとめ
- 公認会計士はグローバル化が進む中で、売り手市場である
- 一時の就職難は過去の話であり、現在は当てはまらない
- 現状ではAIと共存できる公認会計士が求められている
公認会計士のネガティブな噂を聞いて、あれこれと思い悩む人もいたかもしれません。ですがそれらの噂は根拠が乏しく、むしろ今こそ公認会計士の資格を取得して活躍の場を広げるチャンスでしょう。
現状の公認会計士の求人内容を鑑みても、今後その需要はさらに高まっていくと予想されます。大変難易度の高い資格ではありますが、やりがいと将来性を見越して諦めないでくださいね。