メディカルクラークは独学も可能?必要なテキストの選び方や勉強法まで徹底解説!
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この記事は専門家に監修されています
医師
安藤広真
「メディカルクラークってどんな資格?」
「メディカルクラークを取得したいけど、独学で合格できる?」
このような疑問を持っている方もいるのではないでしょうか。
この記事では、メディカルクラークは独学で合格できるのか、勉強法で気をつけることは何かなどについて解説しています。
メディカルクラークについて詳しく知り、合格を目指していきましょう。
メディカルクラークの独学についてざっくり説明すると
- メディカルクラークの試験は実技Ⅰ、実技Ⅱ、学科試験の三つがある
- 初めて勉強する人の場合、勉強時間は200時間ほど必要
- 試験で持ち込める資料をうまく活用できる人が合格しやすい
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メディカルクラーク試験は独学合格できる?
メディカルクラークとは、医療事務の資格の中では最もメジャーな資格です。
試験は医療事務の業務に関する作業をしなければならないことが多いことが特徴で、医療事務の経験がない方が初めて勉強するとなかなか理解することが難しいのが一番の課題になります。
試験形式が独特
メディカルクラークの試験は実技Ⅰ、実技Ⅱ、学科試験という三つからなっています。
実技Ⅰは患者に対してどのように応対できるかについて、400字程度の記述問題が2問出題されます。
患者から質問を受けたときにどのように答えるのか、具体的な受け答えについて解答するという問題です。
学科試験は、医療事務に関する知識が問われますが、学科試験の場合は資料の持込が認められているため、資料を見ながら解答をすることができます。
また、選択式で答えるため簡単だと思われがちですが、実際の問題は高度なため、勉強をする際にはしっかりとした対策が必要です。
実技Ⅱはカルテを見ながら正しいレセプトが出来ているか確認する問題です。問題で間違っているところがあれば、正しいレセプトに訂正します。実技Ⅱも資料の持込は可能ですが、実際のレセプトを再現しなければならないため、難易度は高いと言えます。
実技Ⅰ、実技Ⅱ、学科試験のそれぞれで7割を取らなければ合格できないため、苦手な分野があると合格は厳しいでしょう。
メディカルクラークの合格率は?
メディカルクラークの合格率は60%ほどです。この合格率は、医療事務の資格の中では一般的な数字であると言えます。
そのため、医療事務の資格では合格しやすいものの一つであるとも言えますが、簡単に合格できるものではありません。
試験形式は実技と学科試験とがあり、またどの科目でも7割を取らなければならないなど、特殊な面があります。
そのため、しっかりとした試験対策が必要です。もし試験対策が甘いままであれば簡単に不合格になってしまうため注意しましょう。
独学合格に必要な勉強時間
メディカルクラークを初めて勉強する方の場合、必要な勉強時間は200時間ほどです。
一日あたりの勉強時間を3時間ほどとすると2ヶ月ほどかかる計算になります。
1日の勉強時間が2時間の方であれば3ヶ月以上かかりますので、ある程度勉強する期間を設けなければならない資格だと言えます。
独学で合格した方も多くいますが、医療事務の仕事をしたことがない方、独学での合格をする自信がない方は通信講座を受講する選択肢も考えてみましょう。
独学で勉強するメリット・デメリット
メディカルクラークは独学での合格も可能です。しかし、独学にはメリットとデメリットがあります。
独学のメリットは?
独学にはどのようなメリットがあるでしょうか。
必要な費用が少なくて済む
独学の最大のメリットは、費用をあまりかけずに済むということです。
予備校や通信講座は学費が必要です。特に予備校は実際に学校へ通わなければならないため、学費以外にも交通費などがかかり、費用は高くなります。
また、通信講座は自宅での受講ができるため費用は予備校より安いとは言えますが、学費はかかります。
しかし、独学での出費は参考書や問題集を買うときや模擬試験の受験料のみで済みますので、費用を安く抑えられるという点はかなりのメリットです。
実際にメディカルクラークの試験に向けて必要な参考書の金額は20,000円程度で十分です。
学習時間が柔軟に選べる
独学では、自分で学習する時間を柔軟に調節することができることもメリットです。 例えば、予備校や通信講座は勉強のスケジュールが決められていますが、独学の場合は苦手な分野があれば長い時間をかけて重点的に勉強することができます。
また、あらかじめ知識がある分野は時間をかけず簡単に終わらせられることもできます。
急な予定が入ったときなどは、予備校の場合は欠席しなければなりませんが、独学であれば勉強を自由に休むことができるなど融通が利くのも特徴です。
独学のデメリットは?
このように、独学にはメリットがいくつかありますが、一方でデメリットもあります。
適切な学習計画がわからない
独学は自分でスケジュールを立てられるのがメリットだと言えますが、自分でスケジュールを立てるからこそのデメリットもあります。
例えば、詰め込みすぎて実現できなかったり、演習が足りなかったりして十分な勉強ができないことが多いです。
メディカルクラークは合格率が60%ですから、4割の方は落ちてしまいます。周りの受験生よりも勉強するくらいでないと合格は難しいと言えます。スケジュールの立て方は非常に重要なのです。
勉強のやる気が続かない
メディカルクラークは200時間ほどの勉強時間が必要とされているため、社会人の方の場合、勉強する期間は3カ月以上必要です。
独学の場合一人での勉強となりますので、一緒に合格を目指せる仲間がいない中、3ヶ月以上モチベーションを保つのは難しいことだと言えます。
特に、メディカルクラークの場合はレセプト作成など簡単に理解できない分野もあることもネックです。そのため、難しい部分を勉強していく中で挫折をしてしまうこともあります。
点数の改訂に注意
医療事務が扱う診療報酬の改訂が2年に一度行われるため、改訂直後の試験を受験する際には、持ち込んだテキストが改訂後のものであることをしっかりと確かめましょう。
メディカルクラークの独学が向いているのはどんな人?
独学はどのような人でも出来るわけではなく、向き・不向きがあります。メディカルクラークの場合はどうでしょうか。
医療で用いられる言葉を知っている人
医療の現場で用いられる言葉を知っていると、試験勉強の内容が理解がしやすくなります。
また、言葉を知っていると試験で問われる内容についても理解することができます。自分がわからない点についても具体的に把握することができるため、勉強をスムーズに進めることもできるのも有利な点です。
しかし、メディカルクラークは資料の持込が許可されている試験であり、わからない単語があっても資料を見れば問題を解くことはできます。
そのため、専門用語を理解しているかどうかが点数に影響することはあまりない点は注意が必要です。
普段から多くの資料を読んでいる人
たとえ過去に医療の仕事をしていた経験があるなどで事前に知識がある方でも、資料を見ずに問題を解くことは難しいのがメディカルクラークの試験です。
そのため、メディカルクラークの試験の合否は、持ち込んだ資料を活用できるかにかかっていると言えます。
普段から多くの文章を読み、わからないことがあれば調べてまとめる習慣が出来ている方は、メディカルクラークの試験で使用する資料もスムーズに読むことができますし、わからないところをあらかじめメモしたオリジナルの資料を作ることもできます。
そのように資料の扱いに慣れている方は、医療事務の知識を身に付ければ試験問題をしっかり理解して解くことができるでしょう。
メディカルクラーク受験のための参考書
現在、メディカルクラークの合格を目指すための参考書はありません。そのため、勉強したければ一般的な医療事務の入門書などで代用することになります。
その他には「診療報酬請求事務能力認定試験」のテキストを使うこともおすすめです。
メディカルクラークより高いレベルの内容までが扱われている資格なので、メディカルクラークの試験範囲をある程度はカバーできます。
また、メディカルクラークはテキストだけではなく過去問についてもほとんどないため、代わりに予想問題集を使うことがおすすめです。
本屋で予想問題集を選ぶ際には、まず実技Ⅱのレセプト作成についての導入部分を読んでみましょう。難しいと思ったときには、予想問題集以外にも入門用のテキストを買って基礎から勉強してみることがおすすめです。
参考書については、数冊を買い何回も勉強することの方が効果的なのでたくさん買うことは避けましょう。
その他には、診療点数早見表を試験のときに使いますのでこちらも買う必要があります。
独学で勉強を進める方法
独学はただやみくもに勉強をすればよいというものではありません。テキストや問題集には使い方があります。また、勉強している人の理解度によっても勉強法を変える必要があるため注意が必要です。
以下に紹介する勉強法を参考にして、自分の独学をよりよいものにしてみてください。
最初は導入部分だけ読む
医療事務の経験がない方は、まずテキストの導入部分だけを読むことがおすすめです。
最初は単語の意味を知らない状態ですので、まずはテキストの導入部分で単語の意味を知ることから始めましょう。
例えば、日本は国民皆保険制度をとっており、国民全員が何らかの保険に入っている状態です。しかし、保険や国民皆保険制度という言葉を知らなければ、社会保険や国民健康保険といった種類があることもわかりません。
また「高齢者」という言葉についてもよくわかっていないとテキストを読み進めていってもわからない部分があるでしょう。
65歳以上は高齢者だと知っていても、75歳以上は「後期高齢者」であり、制度も65歳ほどの方とは違うものも出てきます。
このように、最初に基本的な単語の意味を把握しておかないとテキストや問題集がわかりにくいため、まずは導入部分を読んで単語の意味を覚えておきましょう。
単語の意味をしっかり覚えておくと、勉強がスムーズに進めることができますし、実際に働くようになってからも役に立ちます。
問題を見て出題形式を知る
勉強を始めたばかりのときに問題集を見るのもよいですが、基礎的な知識がない状態では問題の情報量が多いため、内容が理解しにくくなってしまいます。
勉強を始めたばかりで問題集を見るときには、まずは全体の内容がわからなくてもよいですので、学科試験の難易度と実技Ⅱの仕組みについては理解しておくことが大切です。なお、事前に知識があるという方は、問題集を解くことから始めてもよいでしょう。
勉強を始めたばかりの段階では、何問かは解くことができるかもしれませんが、ほとんどの問題は意味がわからないことが多いはずです。
このときには、何がわかれば問題を解くことができるのかをノートにメモすることがおすすめです。自作のノートも試験本番では持ち込めますので、ノートをしっかり作っておくことで自分専用の攻略本になります。
テキストで各分野について把握する
出題範囲は大きく分けて次の三つで、この分類に沿ってテキストで勉強していきます。
一つ目は、医療関係の法律や制度についてです。二つ目は診察料についてですが、注射、入院、リハビリテーションなど範囲が広いため、テキストでは細かく分けられています。
三つ目はレセプト作成についてで、外来と入院に分けて勉強します。レセプトの他にも、参照元になるカルテについても学びます。
テキストの各章には簡単な確認のための小テストが付いていることが多いため、利用するようにしましょう。
試験では資料の持ち込みができるため、テキストを全て暗記しようとするなど深いところまでは覚える必要はありません。しかし、だいたいの内容は把握しておきましょう。
問題集を解いて形式に慣れる
メディカルクラークには医科と歯科がありますが、医科の方は扱われる範囲が広く、専門性も高い内容が多いことが特徴です。
メディカルクラークの試験はインプットしなければならない量はそこまで多くありませんが、特に医科の方では出題形式に慣れておかないと、問題を解くことはできません。
問題集を解きながら、試験の形式に慣れていきましょう。最初からどんどん解こうとするのではなく、形式に慣れることを意識し、ゆっくり時間をかけることが大切です。
一問一問を正確に解けるようになることを目指し、丁寧に勉強していきましょう。問題演習をしながら自分の苦手分野を把握し、苦手な部分をなくしていくことがメディカルクラークに合格するコツです。
メディカルクラーク資格を取るメリットは?
メディカルクラークの資格を取ることには、どのようなメリットがあるでしょうか。
医療事務の転職に有利
メディカルクラークの資格を持っていると、医療事務は全く未経験であっても医療事務の仕事に就ける可能性が高まります。
医療事務の採用は経験者が求められることも多いですが、メディカルクラークは実際の業務を想定した試験内容であるため、合格した人は即戦力としてみなされることもあるのです。
未経験でも医療事務に転職がしたい方には、メディカルクラークはおすすめの資格です。
他の資格の土台になる
メディカルクラークの資格は、医療事務の業務を行う際に必要な知識が試されますので取得しておくと医療機関での就職がしやすいと言えます。
そのため、まずはメディカルクラークの資格を取得後に医療事務として就職し、働きながら他の医療事務資格の勉強を始めるといったやり方もできるため、メディカルクラークの資格取得をきっかけにして、より医療事務としてのエキスパートになることも可能です。
メディカルクラークの独学まとめ
メディカルクラークの独学まとめ
- レセプト作成など、実務に関するものは難しいため独学では挫折することもある
- 出題形式に慣れるために問題集は時間をかけて解く
- 独学で合格することも可能だが、医療事務の経験がないなどの場合は通信講座の受講がおすすめ
メディカルクラークの資格についてご紹介しました。
メディカルクラークはメジャーな資格であるため、合格しやすい資格だというイメージがある方もいるかもしれません。しかし、出題形式が独特な点、レセプト作成をしなければならない点など難しいところが多い資格です。
もし独学でうまくいかないときには、通信講座を受講して確実な合格を目指しましょう。