保育士資格に年齢制限はある?何歳まで取得可能かや年齢層別の求人事情も解説

更新

「保育士の資格に年齢制限があるって本当?」

「高齢になってからでも保育士の仕事があるのか知りたい!」

こんな疑問をお持ちの方は多いのではないかと思います。

保育士は若い女性の仕事だというイメージがありますが、年齢を重ねてから目指したくなることもありますよね

そこでこの記事では保育士の年齢制限について、具体的に何歳まで取得可能なのか、また年齢層別の求人事情なども詳しく解説していきます。

読み終わる頃には年齢に対する不安はなくなっているはずですよ。保育士を目指す方はぜひ最後まで読んで参考にしてくださいね!

保育士資格の年齢制限についてざっくり説明すると

  • 保育士の資格取得には年齢制限はない
  • 雇用には暗黙の年齢制限が設けられている場合もある
  • 年齢が上がっても社会人経験などのアピールポイントを活かして働くことは十分可能
  • 定年後も「グランドシッター」として働く道もある

保育士を目指せる年齢は?

笑い合う女性たち

早速、保育士を目指せる年齢は何歳までなのかを見ていきましょう。

保育士資格の取得に年齢制限はない

実は、保育士資格の取得には年齢制限はありません

保育士の資格を取るためには、国家試験を受けて合格する、もしくは各都道府県知事が指定する「指定保育士養成施設」で学び、定められたカリキュラムを修了するという方法があります。

保育士試験の受験資格に年齢はない

まず保育士の国家試験ですが、こちらは明確な年齢制限はありません。

ただし学歴に関しては規定があり、「大学もしくは2年以上の短大・専門学校卒業、もしくは必要単位を取得して卒業見込みの者」とされています。

つまり、一般的には20歳以上の方が受験することがほとんどです

もし中卒や高卒で保育士試験を受けようとする場合は、一定期間の実務経験を積めば受験可能です。

保育士の受験資格について詳しく知りたい方は下記記事をご覧ください。

保育士養成施設の入学は18歳が一般的

次に保育士養成施設ですが、こちらは主に大学や短大、専門学校といった場所で学ぶことになります。

大学や短大などに入学する場合、入学資格は「高卒以上」となっている場合が多いです。つまり自動的に18歳以上の入学が一般的になるでしょう

大学の受験資格を得るための「高卒認定」は18歳以下でも取ることはできますが、日本の大学は受験資格を「18歳以上」としている場合が多いです。どちらにしても18歳以下での保育士養成施設への入学は難しいと言えます

公務員保育士の年齢制限は地域次第

保育士として働くには、民間の採用の他に「公務員保育士」を目指す道もあります。

公務員保育士になるためには、各自治体の公務員採用試験の保育士枠に合格しなくてはなりません。

公務員試験には年齢制限がある場合がほとんとのため、実質的には保育士枠にも年齢制限が設けられることになります

ただし公務員保育士の場合、公務員試験の一般的な年齢制限よりも緩和されていることが多いです。特に保育士が不足している地域では40歳以上でも受験可能な場合がありますので、受験する自治体の受験要項を確認してください。

また自治体によっては、公務員保育士の採用条件に「実務経験」を必須としていることもあります。こちらも合わせて確認しておきましょう。

職業訓練校に年齢制限はない

保育士の資格は、職業訓練校の保育士養成講座でも取得することができます。職業訓練校の受講資格は以下のようになります。

  • 高校卒業以上、もしくはそれに準ずる資格がある者
  • 受講開始日の時点でハローワークにて休職の申し込みをしており、公共職業安定所長の受講指示・受講推薦なたは支援支持を受けている者
  • 受講開始日から過去1年以内に公共職業訓練、または求職者支援訓練の実践コースを受講していない者

上記の条件を満たしていれば、各自治体の職業訓練校、もしくは委託された民間の教育訓練機関に2年間通うことができ、卒業すると保育士資格を取得することができます

「高校卒業以上」の項目により実質的には18歳以上の方しか受講できませんが、年齢制限の上限はありません

現在すでに学校を卒業されている社会人や主婦で、保育士資格取得を目指している方は以下の記事を参考にしてください。

保育士の年齢層は若い人が多数

若い女性

保育士になるためには年齢制限がないというお話をしてきましたが、実際の現場では若い保育士が多数を占めています

この段落では、保育士に若い人が多い理由を解説していきましょう。

保育士の4割が20代

まずはこちらのグラフをご覧ください。(保育サイト「ほいくジョブ」の調査によるデータ)

こちらのデータを見ますと、保育士として働いている人で最も多いのは30代未満の層だということがわかります。

もちろん40代後半以上の保育士もいますが、正規職員としてクラス担任を任されている保育士は20代~40代が多く、それ以上の年齢になると非常勤として担任サポートに回ることが多いとされています。

ちなみに厚生労働省による「平成28年賃金構造基本統計調査」のデータを見ますと、保育士の平均年齢は36歳です。この平均年齢はここ数年で上昇傾向にあり、今後も少子高齢化の影響でさらに上昇していくと考えられています。

保育士に20代・30代が多い理由

先ほどのデータでもわかるように、日本の保育士は20代~30代が半数以上を占めています。これはどうしてなのでしょうか。

結婚や出産を機に退職してしまうから

保育士の現場は9割以上を女性が占めていると言われています。

20代~30代は女性にとっては出産の適齢期ですから、結婚や出産を機に退職してしまう人も多いです。そのため40代以降の保育士は増えにくいのです。

もちろん、産休や育休を取れば現場に復帰することも可能です。しかし私立の保育園ではこうした休みがとりづらく、一度退職するしかないという声が多く聞かれます。

保育士は体力が必要だから

保育士は元気な子供たちと毎日関わる仕事ですし、抱っこやおんぶなど腕力がいる場面も多いですよね。

40代以降になるとどうしても体力が落ちてきますので、体力勝負の仕事を続けるのが難しいケースもあるようです。

また私立保育園の場合、人件費の問題も関わっています。

年齢が高い保育士を雇うと、どうしても人件費が高くなりがちです。できるだけ若い保育士を雇うことでコスト削減に努めているという職場の事情も、保育士の年齢を下げる一因と言われています。

年齢層によって雇用形態が異なる

以下は保育士の正規職員と有期契約職員の割合を表にしたものです。まずはご覧ください。

年代区分 正規職員 有期契約職員
全体 63.6% 36.4%
女性計 62.5% 37.5%
女性20代 92.2% 7.8%
女性30代 62.0% 37.9%
女性40代 36.5% 63.5%
女性50代以上 30.8% 69.2%
男性計 84.7% 15.3%
男性20代 93.4% 6.6%
男性30代以上 72.7% 27.3%

(参考:平成30年度東京都保育士実態調査報告書

上記の表を見ると、女性保育士は30代~40代にかけて、正規職員の割合が大きく減っていることがわかります。その分有期契約職員が増えていますよね。

これは結婚や出産のタイミングで保育士の現場から一度離れ、育児が一段落して復職する時には非正規として雇用されていることが多いためと考えられます。

復職後になかなか正規職員になれないという点も、保育士全体の平均年齢を下げる一因かもしれません。

保育士の求人における年齢制限

円グラフを指し示す人

保育士の資格そのものには年齢制限はありません。

しかし保育士の求人には年齢制限が存在しているケースがあります

採用されやすい年齢層は存在する

保育士の求人情報では、年齢制限が明記されていることはあまりないですよね。

しかし実際には、保育士として採用されやすい年齢層があると言われています。大体の目安は以下のとおりです。

保育士のポジションごとの採用年齢の目安

ポジション 採用されやすい年代
クラス担任など一般の正規職員 20代〜30代
主任・園長などの役職がある正規職員 40代〜
保育補助などを行う非正規職員 年齢不問

こちらの表を見ても、やはり保育士の正規職員として採用されやすいのは20代~30代であることがわかります。公立保育所の場合は、正規職員枠は25歳以下、もしくは30歳以下とさらに厳しい年齢制限があります。

ただ、パートや契約社員などの非正規雇用の場合は年齢不問としている場合が多いです

また近年は人手不足ということもあって、公立保育所でも30歳以上の臨時職員やパート採用が増加しています。

保育士資格を別のところで使う手もある

ここまでの内容から考えると、正規の保育士として働くには30代前半まででないと難しいかもしれません。

しかし保育の現場は保育園だけではありません。

例えばベビーシッターチャイルドマインダーを目指す場合にも、保育士資格を活用することができます。

これらの仕事はパートや派遣社員雇用が多いため年齢層も幅広く、40代以降になっても活躍できるチャンスは多いことでしょう

実際の保育士求人の応募資格

保育士求人の応募資格は、一般的には以下のような内容になっています。

  • 保育士資格保有者
  • 保育士として働く体力に自信がある
  • 過去に保育士として勤務した経験あり(ブランク可)
  • 子育て経験のある方歓迎

通常は保育士資格を持っていないと保育士としての採用はされませんが、保育士資格支援研修を行っている保育園では、保育士の資格を持っていなくても採用される場合があります

ただし実際は、ほとんどの場合において保育士資格は必須となります。無資格や未経験OKとしている保育園はかなり少数ですので、この点は覚えておきましょう。

保育士の年齢層別の就職事情

スマホを見る女性たち

この段落では、年齢によってどのような保育士になれるのかを考えていきます。

30代は働き方を選べる

30代から保育士を目指す場合、ある程度の社会経験が求められます

保育士としての経験値はなくても保護者の対応を安心して任せられるという期待がありますので、はじめから責任ある仕事をすることが多くなるでしょう。

キャリアプランに沿った働き方をしよう

30代はまだ若手として扱われることも多いですが、園長先生や主任を目指してキャリアを積むには最適の時期と言えます。

出産を考えている方は育児との両立を考えて、最初から非常勤として経験を重ねる選択をしても良いでしょう

自分が将来どのような保育士になりたいのかを考えた上で、ライフプランに沿った働き方ができるのが30代の強みです

40代は子育て経験が活かせる

40代の保育士も30代と同じく、社会経験をある程度積んだ上で、常識を兼ね備えていることが求められます。

40代になるまで保育士としての勤務経験がなかったとしても、自分の子育てを経験したり社会人としてキャリアを積み重ねてくれば、その土台が保育士の現場でも活かされることは間違いありません。

謙虚さが必要

保育士としての経験がなくても、保育士業界は人手不足ですから40代でも需要は大いに期待できます

ただし、新しく保育の現場に入れば「新人」となります。自分よりも若い20代~30代の保育士に仕事の指導を受けることになりますので、謙虚さが必要不可欠となるでしょう。

復職する30代・40代の保育士も多い

30代・40代では、転職ではなく復職を目指す保育士も多いです。

保育士は出産や育児、介護などで一度休職した後に復帰する方も珍しくなく、各自治体では復職を支援する制度が整備されています

一度現場を離れると復職に気後れする方もいるかもしれませんが、例えば出産や育児を経験すれば保護者の気持ちが理解できるようになりますよね。

子どもとの関わり方にも深みが出ますから、より良い保育ができるようになる可能性が高いです。

職場によっては育児と両立も可能

近年は保育士の人手不足問題もあり、休職や離職をしなくても育児や介護との両立を目指せる保育園が増えています

これから保育士として働く方は、産休や育休制度だけでなく短時間勤務制度もあるような、育児や介護との両立ができる職場を選ぶと良いでしょう。

50代以上は非正規雇用が多い

50代から保育士を目指す場合は、どうしても体力面の不安がありますので正規雇用は難しくなります

人間関係においても、一回り以上年下の先輩保育士と馴染むのは難しいです。そのためパートやアルバイトなど、補助的なポジションでの採用が多くなることを知っておきましょう。

年齢がプラスになることもある

50代から新人保育士として働く場合でも、年齢が高いことはマイナスばかりではありません。人生経験の深さや気配りなど、仕事で活かせる強みはたくさんあります。

素敵な保育士として活躍できる可能性は十分にありますので、ぜひ諦めずに保育の現場に入ってみてください。

保育士は何歳まで働ける?

スタート前の女性

現実として、保育士は何歳まで働けるのでしょうか?

保育士の定年は60~65歳

保育園によっても違いますが、保育士の定年は60歳~65歳が一般的と言われています。

ただ、60歳まで保育の最前線で働くには体力が持たないこともあるでしょう。その場合は保育園側と相談して、あまり体力を必要としない仕事に移行できることもあります

例えば子どもの人数が少ない時間外保育や、保育現場ではなく施設の運営側に回るなど、色々なポジションがあります。働き方は幅広く選べますからそこまで心配することはないでしょう。

どうしてもその保育園に留まるのが難しい場合は転職することもできますが、保育園側とよく相談してから決めていってください。

保育士は定年後も仕事ができる

保育士としての定年を迎えても、近年は人手不足によりそのまま再雇用されるケースも少なくないようです。

その場合は非常勤のような雇用形態になりますが、現場に残りたいと考える方は再雇用のスタイルについても保育園と相談しておくと良いでしょう。

グランドシッターという仕事もある

最近は「グランドシッター」という仕事も注目されています。

グランドシッターは保育の現場で補助的な仕事をするポジションで、主に60歳以上の方向けの仕事となります。そのため、定年後にグランドシッターを目指して保育士免許取得を目指す人もいます。

グランドシッターはシニア向けの資格として近年人気が出てきており、今後もグランドシッターを目指すシニア層は増えることが予想されています。

年配の保育士ならではの強みもありますから、ある程度年齢を重ねたらグランドシッターの道を考えるのも良いかもしれません。

年齢が高い保育士が活躍するには?

女性と子供

保育士は体力勝負の仕事なので若いほうが有利ではありますが、年齢が上がれば経験値を活かした活躍もできます。

この段落では年齢が高い保育士の活躍のしかたをご紹介していきましょう。

保育士は人手不足

厚生労働省が出した「保育人材確保のための『魅力ある職場づくり』に向けて」によると、2017年度に国内で必要な保育士の数は約46万人だとされていました。

しかし2020年現在、全国の保育所で働く保育士は約40万人にとどまっています。6万人も足りていない状況ですから、保育士は慢性的な人手不足と言えるでしょう

保育士の人手不足について詳しく知りたい方は、下記の記事をご覧ください。

求人倍率もかなり高い

こちらも厚生労働省の調べですが、2018年11月時点で全国の保育士有効求人倍率は3.20倍となっていました。最も高いのは東京で、6.44倍にものぼります。

このデータを見ても、保育士の人手不足が深刻になっていることがうかがえますね。

そのため現在は、全国各地で待機児童対策を行っています。保育園の新設が積極的に行われており、当然保育士の需要も非常に大きくなっています

ベテランの保育士が求められる

保育園が新設されれば、すぐに待機児童の受け入れが始まります。経験豊富なベテラン保育士は、即戦力として非常に役立つことでしょう

何年も経営が続いている保育園なら新しい人材育成を積極的に行うこともできますが、新しい保育園ではまず運営基盤を整える必要があります。ベテランならではの経験値を活かして保育園を支えていってください。

また私立保育園は公立の保育所と異なり、非正規雇用枠が多く用意されています

年齢が高い保育士がすぐに働きたい場合は、非正規枠のある私立保育園を選ぶとすぐに採用が決まるでしょう。

子育てや社会経験をアピール

年齢が上がれば、どうしても体力面で厳しくなってきます。

しかしその反面、豊富な経験値は強みです。保育の技術や保護者対応などに能力を活かすことができるでしょう。

子育てを経験した方は子どもとの接し方にも慣れているでしょうし、社会人としてのマナーやコミュニケーション能力は、年齢が高い保育士ならではのアピールポイントです。

保護者からは、若い保育士よりも年上のほうが「マナーがしっかりしている」「安心できる」などの理由で高く評価する声も聞かれます。

ベテラン保育士ならではの利点をしっかり活かして、保育士の現場で活躍していきましょう。

保育士として長く働き続ける方法

少し年配の女性と子供

保育士として長く働き続けるには、どのようなことを心がければ良いのでしょうか。

仕事にやりがいを見つける

どのような仕事でもそうですが、やりがいを見つけると長く楽しく働くことができます

保育士の場合ですと、「子どもの成長を感じられる」「保護者から感謝される」「待機児童が問題の社会で役立っている」など、色々なやりがいを見出すことができますよね。

ただし保育士はつらいことも多いと言われていますから、やりがいだけでは続けられない時もあるでしょう。

どうしてもつらい時には周りの人に相談したりショッピングを楽しむなど、上手に気分転換をして乗り切ってください。

保育士のやりがいについてリアルな声を知りたい方は以下の記事をご覧ください。

自分のライフスタイルに合わせて働く

保育士を目指す方の多くは、正規職員を目指していることでしょう。確かに保育士の正規職員として働く場合は、高賃金や安定といった魅力があります。

ただしその分責任がかなり重く、仕事量も増えます。育児や介護と両立させたい方にとっては、正規職員の保育士として働くのは負担が大きいかもしれません

その場合はぜひ、パートやアルバイト、派遣といった非常勤の働き方も検討してみてください。

保育士は人手不足の業界ですので、非正規雇用でも常に求人が出ています。自分のライフスタイルに合わせて働き方を変えることができるのも、保育士の大きな強みと言えるでしょう。

待遇が良い保育園を選ぶ

保育士の仕事を探す時は、ぜひ待遇が良い保育園を選ぶようにしてください

保育士は仕事量に対して給与が安いと言われていますが、近年は保育士の待遇改善が国からも推奨されています。

給与を上げる取り組みが行われている保育園を選んだ方が、モチベーションを保って長く働くことができるでしょう。

転職する場合の参考サイト

いざ働き始めてみたらあまりにも給与が低かったという場合は、転職するのも手です。

保育士の転職には以下のサイトがおすすめです。

正規雇用の保育士として転職する場合はできるだけ若いほうが有利ですのでタイミングを逃さないように転職活動を開始してくださいね

保育士資格の年齢制限まとめ

保育士資格の年齢制限まとめ

  • 保育士の資格取得に年齢制限はない
  • 保育士の現場は人手不足のため、需要は非常に高い
  • 30代以降からでも、年齢を重ねたなりの強みをアピールをすることで保育士を目指すことは可能
  • ライフスタイルによって色々な働き方ができる

保育士の資格には年齢制限がありませんが、体力面で20代と同じ仕事ができないことも出てきます。

しかし、年齢を重ねればその分経験値が上がりますベテラン保育士なりの働き方をアピールしていきましょう

ぜひ、子どもたちに慕われる素敵な保育士になってくださいね!

資格Timesは資格総合サイト信頼度No.1