保育士は悩みの多い仕事？保育園での人間関係や一年目ならではのストレスを解説！

保育士は、可愛い子どもと接することができる素敵な仕事です。子どもから元気がもらえるというイメージもあるため、それほどつらい職業とは思われないことが多いようです。

実際保育士は人気の職業として長年トップに位置付けられていますし、目指す人も毎年多くいます。

しかし子どもを預かる時には大きな責任が生じます。また、保護者や同僚との人間関係で悩む保育士も多いです。

まずは保育士にはどのような悩みが生じがちなのか、代表的なものを見ていきましょう。

保育園での人間関係が上手くいかない

保育士の悩みとして最も多いのが「人間関係」です。

保育士の主な仕事場である保育園は、狭い中で人間関係が固定されやすいです。

一度こじれると深刻な問題になりやすく、他の保育園に転職したくても、経済面の不安もあり簡単にはいかないという声も聞かれます。

ここからは、保育士の人間関係において具体的にどのような問題が起きるのかを解説します。

同僚とトラブルを抱えている

保育士は女性の割合が非常に多く、保育園内では女性が多い環境ならではのトラブルが多いと言われています。

例えば性格が合わない同僚との意思疎通が難しかったり、一年目の新人保育士に適切な指導をしてくれないケースもよく聞かれます。

派閥争いやいじめ、仲間はずれも起きやすく、こうした悩みを抱えている保育士は非常に多いようです。

上下関係でストレスを感じる

保育園では園長、副園長、主任と役職が分かれてます。通常は、これらの正しい上下関係で指揮系統が回っていきます。

しかし保育士業界では、役職に関わらず経歴や能力によって上下関係が生まれることがあります。

園長すらも先輩の保育士に逆らえない状況も実際に起きています。

また園長の権力が強すぎる保育園では、園長が保育士の意見を全く聞かず、保育士に対して差別的な対応をするケースもあるようです。

セクハラやパワハラを園長から受けたと訴える保育士も珍しくなく、保育園内での人間関係によるストレス・悩みは日常茶飯事になっています。

保護者対応がストレスになる

保育士は、保護者と良好な関係を築かないと良い仕事ができません。

しかし昨今の保護者の中には、理不尽なクレームを言ってくるケースも多いと言われています。

保育士の話を聞かず一方的な決め付けで文句を言ってきたり、男性保育士に対して「男性に子どもを預けたくない」というような、きつい内容も存在します。

こうしたクレームへの対応を間違えるとさらに状況を悪くしてしまいます。そのため保育士は常に言動に気を遣わなければならず、疲弊してしまう人も少なくありません。

子どもとの関わり方が難しい

当然ですが、子ども達は一人ひとり性格が異なります。全員同じように対応するわけにはいきません。

ケースバイケースで多様な対応が必要になるため、毎日気を張っている保育士も多いと言われています。

子どもの性格によっては、保育士として正しく接することができているか不安になることもあるでしょう。

また、小さな子どもは注意をしても聞かないことが多く、かと言って強く注意し過ぎると親からのクレームにつながります。こうしたバランスも難しいところです。

乳児クラスでは特に注意が必要

0～2歳のいわゆる「乳児クラス」では、通常の保育以上に注意が必要です。

乳児は子どもによって発達の差が大きく、子ども同士でトラブルが起きた時の解決が非常に困難になるからです。

子どもたちの要求を聞く時も、まだ意思疎通が困難な年齢ですから正しく把握することが難しいでしょう。

発育状況や体調にも最新の注意を払わなければなりませんので、保育士の心労も特に強くなりやすいと言われています。

自分の理想とする保育が実現できていない

保育士として一生懸命な人ほど、自分の理想とのギャップに悩みやすいようです。

例えば、アレルギーや障がいを持つ子どもへの対応が、知識不足によって難しいと感じる場面や、上手に子どもを叱れなかった時に自分を責めて、保育士に向いているか不安になることもあるかもしれません。

自分の理想の保育と保育園の方針が違う時にも、歯がゆい思いをすることでしょう。

自分の理想とする保育ができないことがストレスだという悩みを抱える保育士は、かなり多いとされています。

労働環境が厳しい

保育士は常に人手不足の業界です。労働環境の改善には国や自治体、また保育園自身も取り組んでいますが、十分に改善されているとは言いがたい実情があります。

給料の割に仕事が過酷すぎる

保育士は給料と仕事のバランスがかみ合っていないとよく言われます。

昼間は子どもたちの世話に追われ、事務や行事の準備、制作作業などは残業や持ち帰りの仕事としてこなすことも多く、家に帰っても休む時間がないという話がよく聞かれます。

仕事が多いわりに給料が少ないという事実は、保育士になりたての頃は我慢できるかもしれません。しかし年数を重ねるごとに疲弊し、辞めていってしまう保育士も多くいるようです。

休みがなかなか取れない

通常、保育士の1年間の休日は100日～120日あると言われています。

しかし人手不足という現状もあり、なかなか休みが取れません。職場の暗黙の了解で有給休暇も取らせてもらえず、(体調が悪い時も仕事が休めないこともあります。

自分だけなら良いですが、我が子が急病の時にも仕事を休むことができないという話は、保育士業界ではよくあることだと言われています。

また先ほどご紹介した「保育園内の人間関係のトラブル」により、引継ぎがうまくいかないことで休みづらくなるという実情もあるようです。

退職しづらい空気がある

一般的には、期限が定まっていない雇用の場合、退職日の2週間以上前に申告すれば退職できることになっています。

しかし保育園によっては、1ヵ月以上前に申し出なければ退職できないと就業規則で定められていることもあります。一般的な常識と異なる部分がありますので、就業規則はあらかじめしっかり確認しておいてください。

さらに、周囲からプレッシャーをかけられて退職できないケースもあると言われています。特に、クラス担任をしていると年度の途中では退職しづらく、退職時期を逃してしまう人も多いです。

こうした実情を知った上で、円満に退職できるように根回しが必要です。

プライベートが上手くいかない

保育士の現場は女性が非常に多いので、いわゆる「出会い」はほとんどありません。

仮に出会いがあったとしても、非常に忙しい毎日を送るため普通の恋愛は難しいでしょう。

結婚にたどり着いた後も、保育園によっては産休や育休が取りづらいことも多く、出産のタイミングが難しいです。仕事との両立ができずに結婚や出産を機に退職せざるを得ないという声もよく聞かれます。

病気やケガの危険がある

子どもと触れ合うことはとても楽しいですが、元気すぎる子どもを相手にするとつらい姿勢を続けたり、力仕事・水を使った作業をすることも多くなります。ケガをする可能性も、他の職場と比べて格段に多いでしょう。

特に腰痛や肩こり・手荒れに悩まされている保育士はたくさんいるとされています。

また、保育園はインフルエンザが蔓延しやすい場所です。子どもからの感染はもちろん、保育士から子供に感染させないように体調管理には非常に気を遣わなくてはなりません。

保育士になる場合、病気やケガのリスクがあることも常に心に留めておく必要があります。

保育士になったばかりの新人保育士さんには、新人ならではの悩みもあると言われています。

上下関係が厳しいあまり新人だというだけで先輩保育士から怒られたり、いじめのような事態に発展するという話は、保育士業界ではよく聞かれます。

では先輩に気に入られれば良いかというとそうでもなく、先輩と仲良くなれば同僚の保育士から嫌がらせを受けるケースもあるといいます。

相談できる人を見つけておくと良い

新人保育士は、まずは子どもとじっくり向き合いながら、保育やその他の仕事を覚えていかなくてはなりません。

学ばなければならないことが多いのに、人間関係で余計なストレスを抱えたくないものです。

ぜひ、いざという時に備えて「遠慮なく相談できる先輩保育士」を見つけておきましょう。わからないことがあった時は、どんどん相談してください。

経験やスキル不足は、先輩のサポートを得ながら補っていけば大丈夫です。

人間関係も相談できる先輩を見つける

普段の業務の相談だけでなく、人間関係についても相談できる先輩も探しておくと安心です。仕事の相談と違いかなりデリケートな相談になりますので、信頼できる人を選んでください。

頼れる先輩が一人いるだけでも毎日のストレスが半減します。少しずつ経験を積んで、強い保育士になりましょう。

保育士の悩みを解消しようと思った時は、「人間同士の関係を見直す」ことを中心に考えると良いです。

人間関係を円滑にする基本は、「まず相手の話を聞くこと」です。相手の事情を理解した上で、こちらの接し方を工夫しましょう。すると相手の態度が軟化しますので、交流しやすくなっていきます。

悩んだ時はぜひ抱え込まず、誰かに相談してください。休日にはしっかりリフレッシュするなどして、ストレスをため込まないようにしましょう。

人間関係の見直しやリフレッシュ法などを、以下で詳しく解説していきますね。

子どもの気持ちを考えて接する

子どもと接する時も、大人との関係構築と同じように「相手の話を聞く」を基本理念にしましょう。

叱る時であっても、ただ叱るのではなく子どもの話をしっかり聞いてあげることが大切です。

遊ぶ時は思いっきり一緒に遊び、子どもと同じ目線に立って考える習慣をつけましょう。

目の前の子どもと信頼関係を築こう

保育士の中には、子ども全員と仲良くなることを目指している人も多いかもしれません。

しかし保育士と子どもの関係にも相性がありますから、全ての子どもと一気に仲良くならなくても大丈夫です。目の前の一人ひとりの子どもと信頼関係を築くことを意識して、少しずつ仲良くなっていきましょう。

子どもたちに好かれている先輩保育士の様子をよく観察し、真似したりアドバイスを求めることもおすすめです。

保護者には誠意を持って対応する

保育士にとっては、保護者との関係構築も重要な仕事となります。

誠意を持って対応するのはもちろんですが、まずは明るく挨拶をして、親近感を持ってもらえるようにしましょう。子どもが保育園でどのように過ごしているかを伝えながら、積極的に話しかけると良いです。

保護者との関係構築のコツは、「全員平等に接する」ことです。

対応に差があると保護者全員の不信感につながってしまいますから、相性が合わないと思う保護者にも礼儀正しく挨拶をし、会話をしてください。

もし保護者から苦情が来た時には、「まずはしっかり話を聞く」ことを徹底してください。全ての意見を一度受け入れた後で、こちらの考えを伝えるようにしましょう。

自分だけで対応するのが難しい場合は、迷わず周りの保育士に助けを求めてくださいね。

職場では自分からコミュニケーションをとる

職場内でのトラブルを避けるためにも、同僚とは普段からしっかりコミュニケーションを取ってください。

職場内で問題やトラブルが生じた際には、協力し解決策を見つけるためチーム内で連携することが大切です。

先輩保育士にはなかなか話しかけにくいと思うかもしれませんが、こちらからしっかり挨拶をして、空き時間には質問するなど積極的に関わりましょう。

もちろん、仕事をスムーズに行うためにもいわゆる「ほうれんそう（報告・連絡・相談）」は欠かさないでください。いつでも相談できるように、信頼できる同僚と仲良くなっておくことも必要です。

仕事を効率よくできるよう工夫する

保育士はとにかく忙しい仕事ですので、効率的に動き回らなくてはなりません。

効率良く仕事をするためには、まず優先順位を決めましょう。期日が早い順、重要度の高い順などポイントはいくつかありますが、わからない時は周りに相談しながら考えてください。

子どもと接する仕事の時には、保育の内容をあらかじめ考えておくと良いです。何かを作る時は材料を全てそろえた上で作業を開始するなど、準備をしっかりしておくと仕事がスムーズに流れます。

ひとつひとつの仕事にかかる時間を最小限にしていくことが、大切な要素となります。

完璧な保育を目指しすぎない

保育士の仕事は、完璧な保育を目指し過ぎないことも大切でしょう。

最初から完璧を目指してしまうと、途中で心が折れてしまいます。そうすると全てが中途半端になる可能性もありますので、結果として良くないことになってしまいます。

新人として保育の現場に入ったら、最初の1ヵ月は「流れを把握する」ことに注力しましょう。子どもと仲良くなるのは2ヵ月目からで大丈夫です。少しずつ目標を立てて、良質な保育を行えるようになってください。

自分の考え方を変える

保育士として働く中で、自分の考えが否定されることもあるかもしれません。

先輩保育士から怒られたり、保護者からのクレームを受けた時などには、納得がいかないと思う場面もあるでしょう。

しかしそういう時も、まずは相手の話をよく聞いてください。しっかり受け止めれば自分のためになる意見があるかもしれません。

自分の意思を貫きすぎるよりも、ある程度柔軟に意見を取り入れていくことで、より良い保育が行えるでしょう。

もしも相手の意見に全く納得できない場合は「この人はこういう人だ」「仕事だから仕方ない」と割り切っても良いです。ただしその結論に達する前に、必ず全ての意見を受け止めてから判断するようにしてください。

言動に気を遣ってみる

人間関係が上手くいかないと感じる時は、自分の言動を少し変えてみるとうまくいくかもしれません。

例えば先輩保育士に対しては、「こういうことがやりいんですが、先生だったらどうします？」のように聞けば、相手の能力を認めていることが伝わります。先輩も快く教えてくれるでしょう。

保護者に子どものことを相談する時には、「ご家庭ではどうしてますか？」というように、まずは相手の事情を聞くようにすると良いです。

いきなり「お子さんのこうした行動で困っている」などと言ってしまうと、保護者の神経に触りますので、トラブルに発展しやすくなります。くれぐれも、保護者に歩み寄った言い方をするようにしてください。

周りの人に相談する

悩みを一人で抱え込んでしまうと、徐々に冷静な判断ができなくなります。精神的に追い込まれる前に、ぜひ周りに相談してください。

ただし、悩みの内容によって相談相手は選びましょう。

子どもや保護者の対応で悩んでいる時は、同僚もしくは保育士の仕事をしている友達に相談してください。

職場での人間関係の場合は特に注意が必要です。単なる愚痴であれば保育園とは関係ない友人に話すのが良いですが、同僚でなければ相談できない内容の時は、信頼できる人を慎重に選んでくださいね。

定期的にリフレッシュする

保育士の仕事は非常に忙しい仕事ですので、休日にはしっかりリフレッシュしましょう。

ストレス解消法は人それぞれですが、少し贅沢な食事をしたり、エステやサロン、買い物やカラオケなど、定期的に自分にご褒美をあげてください。

休息と楽しみを大切に、バランスの取れた生活を送ることが肝心です。

365日仕事をしていては、心身がどんどん疲弊してしまいます。リフレッシュも仕事のうちですから、体調管理の一環として思いっきり心身を解放しましょう！

保育士以外の様々な人と交流する

保育士として働くと、平日も休日も保育士とばかり関わるようになりがちです。

しかし、保育士どうしで一緒にいるとどうしても仕事の話になってしまうため、オンオフの切り替えができません。

ぜひ意識して、保育士以外の人と交流するようにしましょう。学生時代の友人でも良いですし、社会人サークルに入るのもおすすめです。保育士以外の人と関われば、それだけで仕事でのストレスから解放されますよ。

転職したり働き方を変えたりする

ここまでご紹介した内容で悩みの解決ができない場合は、別の保育園に転職することも検討してください。

保育園は公立か私立かによって待遇が異なりますし、私立保育園の中でも職場環境は園によって色々です。

最近は非常勤や派遣で働く方法もありますので、人間関係でストレスを抱えたくない方はそういった働き方を選択しても良いでしょう。

自分にとって一番良い働き方ができるように、模索してみてください。

ストレスを抱え込みすぎない

アメリカで行われたとある研究では、「うつ病になりやすい業種」第一位が「保育・介護関係」というデータが出ています。

もちろん保育士全員がうつ病になるわけではありませんが、ご自身にもその危険があることは知っておきましょう。

眠れない、頭痛がする、食欲がない、息が苦しい、フラフラする、突然涙や大量の汗が出てくるといった症状がある場合は、ストレス過多の状態です。

まずはしっかり休みを取って、心身の回復に努めてください。それでも体調がひどい場合は病院に行きましょう。

早めに対処すれば重症にならずに済みますので、気後れせずに受診するようにしてくださいね。

保育士は悩みの多い仕事ですが、やりがいも非常に大きいと言われています。

保育士にはどのようなやりがいがあるのかをご紹介します。

子どもの成長を間近で見られる

保育士の一番の醍醐味は、子どもの成長を近くで見られることです。

保育士の方々は、日々の仕事に追われて子どもの成長にまで目を向ける時間はないかもしれません。しかし子どもは毎日、確実に成長してくれています。

もし仕事で行き詰った時は、子どもをじっくり観察してみてください。何か成長している点が必ずあるはずです。

そのまま成長していったらどのような小学生、中学生、大人になっていくかを想像すれば、きっと励まされます。

子どもの人生に関われていることを噛みしめながらの仕事には大きなやりがいがあるでしょう。

行事で子どもや保護者が喜んでくれる

保育士の仕事には運動会や卒園式など、行事の準備も含まれます。こうした作業は大きな負担となるため、嫌がる保育士も多いようです。

しかし実際に行事を成し遂げれば、その達成感は非常に大きなものになるでしょう。

子どもたちの一生懸命な姿は癒されますし、子どもだけでなく保護者も喜んでくれれば、それが保育士の喜びとなります。

保護者に感謝される

保育士にとって、保護者との関係構築は悩みのタネでもあります。

ですが真摯に向き合えば必ず気持ちは伝わります。保護者から感謝される場面も増えてくるでしょう。

特に行事が成功した時などは「先生が担任で良かった」という言葉をかけてくれる保護者も多く、この上ない喜びを感じることができるはずです。

一生懸命やったことが報われることを信じて、日々真剣に向き合ってみてください。

社会に貢献している

保育士は、共働き家庭の毎日を支える重要な仕事です。未来ある子どもの成長をサポートするという大きな役割も担っています。

保育士の仕事は、社会への貢献度が非常に高い仕事と言えるのです。それを考えれば自分のしていることに自信が持てるでしょう。

特に昨今は保育士の人手不足が問題になっています。保育士一人ひとりが社会に果たす役割はとても大きいと言えるのです。

保育士は、保育園という狭い環境で仕事をするため、人間関係の悩みが大きくなりがちです。

どのような場合もまずは「相手の話を聞く」ことから始めて、良好な人間関係を築けるようにしてください。その上でどうしても解決しない時は、転職も視野にいれると良いでしょう。

保育士は大変意義のある仕事です。毎日工夫しながら、ストレスをためないように仕事をしていきましょう！