保育士の休みはどれくらい?勤務時間からシフト形態まで徹底解説!
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「保育士になると休みってどれくらいあるの?」
そんな疑問を持っている人もいるのではないでしょうか?
結論から言うと、人材不足などの影響もあって休みはどちらかと言えば少ないというのが現状です。
ただ、保育士自体の仕事環境は改善されつつあります。そのため、今後はもっと休みが多くなったり、取りやすくなったりしていくでしょう。
この記事では、そんな保育士の休みについてはもちろん、勤務時間などについても焦点を当てて解説していきます。
現在改革がなされている仕事環境の改善についてもご紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
保育士の休みについてざっくり説明すると
- 保育士の休みは少ないのが現状
- 保育士の休みの多さは勤務先にもよる
- 保育士の仕事環境が改善されつつあるので将来的には休みが多くなるかも
保育士はどれくらい休みがあるの?
これから保育士を目指している人は、休みがどれくらいあるのか気になるでしょう。
ここでは基本的な勤務時間から具体的な保育士の休み事情まで解説していきます。
まずは勤務時間を押さえよう
保育士の基本的な勤務は週休2日のシフト制です。また、勤務時間は8時間が比較的多くなっています。
具体的なシフト制勤務の中身は、早番なら7~16時の8時間勤務、中番は9~18時の8時間勤務、遅番なら10時~閉園までの勤務となっています。
この中で、基本となるのは中番です。中番勤務は子供ば一番多い時間帯でもあるため、中番を中心にしてシフトが組まれます。
ただし、早番・中番・遅番のシフト勤務ばかりとは限りません。保育所によっては延長保育や夜間保育、更には早朝保育などが設けられているところもあります。その場合のシフト勤務はさらに複雑になります。
一般的には延長保育なら22時まで、夜間保育は深夜や翌朝まで、早朝保育の場合は7時台や8時台となります。
これらが設けられている保育所では、その間も保育士が常駐しなければならず、その保育所に勤務している保育士が交代で勤務にあたります。
定時で帰れない場合も
保育士の仕事は、ただ単に子供を預かるだけではありません。通常の会社なら他の部署が負担してくれるような仕事も保育士で負担しなければならないため、仕事量はかなり多めです。
ただ、子供がいる間は事務仕事などに従事する時間を取ることができません。子供が帰宅した後で事務作業を行なうことになるため、遅くまで残業をして片づけるということも多くなります。
また、保育所では運動会などの行事が大変多いところもあります。行事の準備をするのも保育士の仕事です。子供を預かっている時間は行事の準備に時間が割けないため、残業をして準備にあたることも多々あります。
保育士の休みは園や時期によって変化
実際の保育士の休みが何日なのかは明確ではありません。これは、勤務先や時期によって休みの日数が変わるからです。
1つの指標としては、「全国保育協議会会員の実態調査2021」を参考にすると良いでしょう。この中の「平均年間休日総数」は、保育士に近い分野である医療・福祉分野で平均111.5日となっています。
一般的な休日の目安は120日とされていますから少ないということがわかります。
有給休暇の取得日数に注目しても、全体平均が10.1日なのに対して保育士は5〜9日と少なくなっています。
また、休みの目安は基本的には週休2日制となっています。これは、月1回以上週2日以上の休みがあればOKということです。完全週休2日制とは異なるため、注意が必要です。
保育園によっては、4週間で8日の休みを保証しているところもあります。ですが、現在保育士の人数が減っていることから、実際に4週間で8日の休みが取れるかどうかは確実ではありません。
また、保育園は行事が多いのも特徴です。行事を行なうためには当然準備が必要で、その準備にあたるのは保育士の仕事です。
園児を保育している時間は準備の時間が取れないため、結果的に時間外や休日出勤をして働くというパターンも多くなっています。
土日勤務が必要で休みが満足に取れない場合も
保育士の仕事は園児の保育だけではありません。事務的な仕事もたくさんあります。その代表的なものとして挙げられるのが、連絡帳記入です。
園児一人ひとりの連絡帳に保育園での出来事などを記入します。この連絡帳は個人情報にあたるため、自宅に持ち帰ることができません。
また、それ以外にも自宅に持ち帰って片付けることができない仕事はたくさんあります。行事の際に使う大きな張りぼてなどを作る場合、自宅に持ち帰って作業に当たることはできません。
このように、自宅ではできない仕事をしなければならない場合は、平日に残業をして処理することになります。ですが、それでも終わらない場合もあるので、土日勤務をして終わらせる必要が出てくるケースもあります。
また、土日祝に園児の受け入れを行なっている保育園もあります。この場合は、当然保育士が常駐しなければいけませんから、必然的に休日の出勤が求められます。
行事の影響も大きい
保育園では、運動会はもちろん、さまざまな発表会も催されます。これらの行事は保護者の方たちの予定なども考慮されるため、多くが休日に開催されます。
休日に開催されるということは、当然保育士は出勤しなければならなくなり、土日勤務が必要になります。
一般企業などでは、土日や休日出勤をすれば平日に振替休日を取得できるところが多くあります。
ですが、保育士は現在深刻な人手不足という問題を抱えており、平日に振替休日を取ってしまうと、本来の園児の保育という仕事に支障をきたす恐れがあります。
多くの保育士を抱えている保育園なら、土日や休日出勤をした場合には、平日に振替休日を取得できます。ですが、そのような保育園は大変数が少ないため、休日返上で出勤しても代休が取れないというところがほとんどです。
休みを確保する動きも
保育士は業務負担が大きいわりに、休みを確保するのが難しいというのが現状です。そのような仕事環境のため、保育士になることをためらってしまう人や離職率も増えてきています。
そこで、最近は休みを確保しやすいような環境作りが促進しています。その大きな取り組みが、「週休3日制の導入」と「ICT化に対しての補助金」です。
「週休3日制の導入」とは、わかりやすく説明すると、1日の勤務時間を増やして休日を週3日にするという取り組みです。
保育士の基本的な勤務時間は8時間ですが、この時間を増やし、その代わりに週に3日の休日が取れるようにしています。
「ICT化に対しての補助金」とは、保育士の残業の原因となっている事務作業をICTシステムを導入して効率化を図り、保育士の負担を減らすという取り組みです。
ただ、保育園にICTシステムを導入するには、かなりの費用がかかります。その費用の一部を区市町村が負担してくれるのです。
このように、保育士の負担を少しでも減らし、休日を取りやすくすることで深刻な人材不足問題を解決しようと取り組んでいます。
保育士の有給休暇
保育士にも有給休暇が与えられます。付与される有給休暇は一般企業と大差ありません。入社半年継続勤務で10日間付与され、そこから勤続年数を重ねることで徐々に加算されていきます。
6年勤務した場合は20日間の有給休暇が与えられ、使わない分に関しては翌年に持ち越すことも可能です。
有給取得率は高い?
保育士に付与される有給休暇は一般企業と大差ありません。それでは、保育士の有給取得率で見た場合はどうでしょう。
有給取得率の詳しい数字は以下のようになっています。
グラフを見てもわかるように、有給取得日数の割合が多くなっているのは10~15日です。
特に、民営の場合は10~15日の割合が高くなっているので、十分休暇を取得できているようです。ですが、完全消化という観点から見ると少ないと言わざるを得ないでしょう。
グラフだけで見ると、保育士の有給取得率は少ないように感じられます。ただ、厚生労働省発表の令和4年調査における全職種の平均有給取得日数は10.3日となっています。
この数字と比べると、保育士だけが極端に少ないとは言えないことがわかります。
人材不足で有休がとりづらい状況
保育士の有給取得率が低いのは、人材不足で有給休暇を取りにくいという状況が大きな理由です。
保育士の配置人数については、厚生労働省により園児の人数に対しての保育士の配置基準が定められています。これを守らなければ、保育園そのものが法律に触れることになり、閉園を余儀なくされることもあります。
よって、保育士の人数が不足している中でもこの基準を守るために、多くの保育士が働かなければいけない状況が生まれてしまっており、休みがとりづらくなっています。
また、行事などが重なって忙しいため、有給休暇のタイミングを逃してしまうパターンも散見されます。
他の休暇制度も併せて押さえよう
保育園では、有給休暇以外にも休暇制度が設けられています。有給休暇以外の休暇制度にはどのようなものがあるのか、知らない人も多いでしょう。
そこで、その他の休暇制度について解説します。
育児休暇・産前産後休暇
一般に「産休」と呼ばれている休暇は正式には「産前産後休暇」と言います。産休には2種類があり、出産予定6週間前から取得できる産前休暇と、出産の翌日から8週間取得できる産後休暇に分かれます。
産休は法律で定められている休暇ですから、誰でも取得可能です。正社員はもちろん、派遣社員やアルバイト・パートの人たちも取得できます。
ですが、保育士の場合は人材不足などの理由から、実際には取得が難しいというところもあるようです。
一方の育児休暇は、1歳未満の子供がいる場合のみ1年間休暇を取得できる制度です。ただし、育児休暇取得後1年以内は雇用関係を解消しないなどの条件が設けられています。
これ以外にも「ミルクタイム」や「時短」などのような独自の制度を設けているところもあります。勤務先となる保育園ではどのような制度が設けられているのか確認すると良いでしょう。
保育園独自の休暇制度も
保育士の仕事環境を改善するため、保育園独自で休暇制度を設けているところも増えてきています。
独自の休暇制度を設けることで、魅力アップや長期勤務をしてもらうことが目的となっています。
夏休み・正月休みもばっちり
保育士のメリットとして、夏休みや正月休みしっかり設けられているところが挙げられます。一般企業では夏休みという形での休暇がないため、この点は大きな魅力と言って良いでしょう。
実際の休日日数は、夏休みの場合は園によって異なります。ただ、多いところでは1か月の夏休みが用意されているところもあります。一方の正月休みは1週間前後がほとんどです。
育児休暇とは別の育児時間も存在
保育士の福祉制度には、育児休暇とは別に育児時間というものがあります。これは、1日2回で1回につき30分まで自分の子供のために休みを取ることができるとという制度です。
1日2回で1回につき30分までとなっていますが、これを1日1回にして1時間まとめて休みを取るということも可能です。
「毎日少しだけ休みを取って自分の子供の面倒をみたい」という人のために設けられています。ただし、1歳未満の子供がいる女性のみという条件が設けられています。
休みを取ることによるメリットはでかい
保育士は人材不足などの点から、休みを取ることが難しいことも多くあります。ですが、その状況を仕方がないと受け止め、休みを取らないで勤務し続けることはあまり良いこととは言えません。
休みを適度に取ることで、生活のリズムが安定したり、自分だけの楽しい時間を過ごしてリフレッシュしたりすることができます。
例えば休日に家族と過ごす時間を取って気分をリフレッシュしたり、映画を見たり、お出かけをすることで普段の疲れを一時的に忘れることができます。
また、休みを定期的にとることで、仕事にもメリハリがついて集中力が増すなど、リフレッシュ面だけでなく仕事の面にもいい影響を与えます。
休みが取れないのは仕方がないと諦めるのではなく、さまざまな制度を調べたり、職場に相談したりして積極的に休みを取る努力をした方が良いでしょう。
保育士の休みについてまとめ
保育士の休みについてまとめ
- 保育士は土日祝勤務を余儀なくされることがあるが、代休が取りにくい現状がある。
- 最近では週休3日制やICT化への補助金などの取り組みがあり、職場は改善されつつある
- 休みを取ることで保育士としての仕事に良い影響をもたらしてくれる
保育士の休みについて解説してきました。
保育士は休みが取りにくいという現状がありますが、その状況は積極的に改善されつつあります。
これからも保育士の職場環境は改善されて居僅差うから、今後は休みが取りやすい状況も生み出されていくでしょう。