保育士が人手不足って本当?足りてない原因から待機児童問題対策まで解説!

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「保育士の資格を取ったけど、保育士って厳しい仕事なの?」

「保育士の労働環境が悪くなっているって本当?」

保育士の仕事に脅威がある方は、保育士の仕事について調べていくうちに、このような疑問を抱くのではないでしょうか。

この記事では、保育士の人手不足問題、労働環境、待機児童問題など、保育士として働きたい人が減少している原因について解説しています。

これから保育士を目指したい人、すでに保育士の資格を持っている人は、ぜひ保育士が置かれている現状を理解し、保育士として働くことを検討してみてください。

保育士の人手不足問題についてざっくり説明すると

  • 保育士の人手不足のため、待機児童問題が社会問題化している
  • 保育士の資格を取っても、半数は他の仕事に就く
  • 保育士になっても、労働環境がよくないため5年以内に辞める保育士も多い

保育士はどれくらい不足しているの?

クエスチョンマーク

現在、保育士不足が社会問題化しています。実際、どれくらい不足しているのでしょうか。厚生労働省のデータから保育士の現状を解説します。

全国で保育士が約6万人不足している

厚生労働省の「保育人材確保のための『魅力ある職場づくり』に向けて」によると、保育士の数は2017年の時点で約46万人必要だとされていました。

現在保育所で働いている保育士は約40万人であるため、約6万人が不足していることになります。

また、厚生労働省によると、2018年11月の時点での全国での保育士の有効求人倍率は3.20倍、また、有効求人倍率が最も高かった東京では6.44倍となっていました。

このように、全国的に保育士の需要が非常に高くなっています。つまり、現在保育士は慢性的な人手不足であると言えるのです。

保育士不足により待機児童問題が発生

保育所の入所条件を満たしているため入所申請をしても、保育所の定員が満員であるため入所できない児童を「待機児童」と呼びます。

2016年、保育園に入所申請をしたところ落ちてしまった母親が匿名ブログで綴った「保育園落ちた日本死ね!」という言葉は話題となり、その年の流行語大賞トップ10に入りました。

このように待機児童が増えてしまった背景には、入所を希望する児童の数に対して保育士の数が足りないという問題があります。

保育所を新設しても保育士が不足しているため子供を多く受け入れることができず、結果的に経営不振となり閉園となる事態も起きており、保育を巡る状況は深刻化しているのです。

有資格者は多いが保育士が足りない

男女のイラスト

ここまで、現在日本では保育士が不足しているという実態をご紹介してきました。

しかし、実は保育士の資格を持った人が減少しているというわけではありません。

保育士の資格を持っているにもかかわらず、保育士の仕事に就いていない人がいるのです。それはいったい何故なのか解説します。

保育士の仕事を希望しない人が多い

厚生労働省の調査によると、保育士の資格を持っている求職者の中で、保育士の仕事を希望する人は51.5%で、残りの48.5%は保育士の仕事は希望しないということがわかりました。

出典:保育士人材確保のための「魅力ある職場づくり」に向けて

つまり、保育士の資格を持っている人の約半数が保育士の仕事をしたいとは思っていないということです。

実際に、保育士資格を取得した人の中で保育所に就職するのは半数程度だと言われています。

2015年時点での保育士の登録者数は119万人ですが、その中で保育士の仕事をしていない「潜在保育士」は76万人もいるとされています。

保育士の資格を持ちながらも保育士の仕事をしていない人がどのような仕事に就いているのかを表しているのが、以下の円グラフです。

このように、保育士の資格を持ちながら保育士になっていない人は多いことがわかります。待機児童問題をなくすためにも、保育士資格を持っている人が保育士として働くように促す必要があります。

半数以上の保育士が5年以内に辞職している

以下のグラフは保育士の勤務年数を厚生労働省が調査したものです。

出典:保育士人材確保のための「魅力ある職場づくり」に向けて

この円グラフを見ると、保育士として就職してもその半数の人が5年以内に退職しているという現状があります。

その原因としては、保育士は女性が多く、出産や育児のために退職してしまうことが挙げられます。

現在の保育園では、保育士が妊娠しながら働いたり、産休・育休を取ったりする環境が整っていないため、辞めざるを得ないのです。

出産や育児をしながらでも、問題なく仕事を続けていける環境作りをする必要があります。

保育士が人材不足である原因

子供たちの写真

厚生労働省は、保育士の資格を持ちながらも保育士として働くことを希望しない理由について調査しています。その結果は以下の通りです。

【保育士としての就業を希望しない理由】

理由 割合
賃金が希望と合わない 47.5%
他職種への興味 43.1%
責任の重さ・事故への不安 40.0%
自身の健康・体力への不安 39.1%
休暇が少ない、休暇がとりにくい 37.0%
就業時間が希望と合わない 26.5%
ブランクがあることへの不安 24.9%
業務に対する社会的評価が低い 22.3%
保護者との関係がむずかしい 19.6%
子育てとの両立がむずかしい 14.9%

出典:保育士人材確保のための「魅力ある職場づくり」に向けて

このように「保育園の労働環境が悪い」「子供を預かることの責任の重さに不安を感じる」などの理由から、保育士として働くことを選ばない人が多いのです。

賃金が安い

保育士の賃金が安いことも、保育士が不足している大きな原因の一つです。

厚生労働省は、保育士、幼稚園教諭、看護師、福祉施設介護員、ホームヘルパーの平均賃金についてまとめています。6ヶ月分の税込みでの現金給与総額は以下の通りです。

給与額(男女計)
全職種 329万6,000円
保育士 216万1,000円
幼稚園教諭 231万4,000円
看護師 329万円
福祉施設介護員 219万7,000円
ホームヘルパー 220万7,000円

このように、保育士は激務であるにもかかわらず、他の職種と比べて賃金が安くなっています。

もともと保育や福祉系の職業は賃金が安くなる傾向にありますが、保育士はその中でも一番安くなってしまっているのです。

私立保育園の保育士の場合、平均月収は約23万円、年収は342万円となっています。サラリーマンの平均年収である420万円と比較しても、100万円ほども低くなってしまうのです。

これは税込みの金額であり、手取りの額となるとさらに低くなります。例えば、手取りの月収が20万円以下になり、生活が苦しくなることもあります。

厚生労働省が2011年に実施した調査によると、自分の勤務内容と給与を比較して、37.2%の人が「やや安い」、15.0%の人が「かなり安い」と回答しています。

このように、保育士は長時間の肉体労働であるにもかかわらず給与が安いことにより、モチベーションを保ちにくくなっています。

それでは給与を上げればよいという話になりますが、保育士の給与を上げることは現実的には難しいのです。

認可保育園の場合、補助金で経営が成り立っているため給与を上げられないという事情があります。

また、認可外保育園も、保育料が公的価格で決められているという事情があるため、給与を上げることはなかなかできません。

重圧に耐えられない

また、保育士にならない人の中には、他人の大切な子供を預かるということへの重圧に耐えられないという人もいます。

ただでさえ保育士の数は少ないため、一人の保育士が担当する子供の数は多くなります。多くの子供を常に見ていることは難しく、もし自分の不注意で子供が事故に遭ってしまったらどうしよう、怪我をしてしまったらどうしようという不安がつきまといます。

さらに、保護者から「保育士になら預けても大丈夫」と思われることもプレッシャーになってしまいます。

このような精神的負担の大きさから、保育士にはなりたくないと思う人が少なくないのです。

休みがとりにくい

保育士の勤務形態は保育園によって異なりますが、基本的に週休二日のシフト制です。

しかし、人材不足であることや行事を行うためなどが理由で、休みが設定されていても実際には休みを取りにくくなっています。

また、保育園の人間関係は閉鎖的になってしまっているため、気を遣ってしまい休みたいと言えない環境になっている場合もあります。

さらに、行事の直前などは休日出勤をするのが当たり前になってしまい、心身への負担が大きくなっていきます。

仕事が終わらない場合は、仕事を家に持ち帰ってやらなければならないことも多いため、プライベートの時間がほぼない状態の人も少なくありません。

このように、仕事中も休日も仕事漬けになってしまい、休む暇がないというパターンは保育士にはよくあることです。

子供がいる保育士の場合、仕事と家庭の両立に不安を感じる人も多くいます。未婚の保育士でも、将来結婚してからも続けられる職業ではないと感じる人も多いでしょう。

労働時間が長くなりやすい

調査では、9割近い人が勤務時間の長さを問題視しています。仕事量が多いことから、保育士の勤務時間は長くなりやすい傾向があるのです。

主な仕事である子供の世話の他、事務作業、保護者への連絡業務、研修、会議など、やらなければならない仕事は多くあります。

そのうえ、保育士の仕事はシステム化がされておらず、書類作成や報告作業が手書きで行われるなど、一つ一つの仕事に時間がかかってしまうことも多いのです。

また、仕事の多くは、子供の世話をしていないときに行う必要があります。そのため、休憩時間や給食の時間などを利用して仕事をしなければなりません。

お遊戯会、入園式、卒園式などの行事がある時期には、準備があるため特に忙しくなり、残業や休日出勤も増え労働時間はさらに長くなっていきます。

保護者との人間関係が上手くいかない

保護者と良好な人間関係を結ぶことは簡単なことではありません。モンスターペアレントという言葉もあるように、保護者と接する中でトラブルになるケースもあります。

保育園では、子供を心配する親からの過剰なクレームが寄せられることが多々あります。例えば、子供が怪我をしてしまったとき「どうして怪我をしたのか詳しく説明しろ」と迫ったり、怒りのあまり暴言を吐いたりする親もいるのです。

クレームを言ってくる保護者の他にも、困った保護者はいます。例えば、他の子供のことを考えておらず、子供が熱を出していても園に連れてくる保護者は少なくありません。

また、家から持ってきた飲み物しか飲ませないようにしろという理不尽な要求をしてくる保護者もいます。

中には若い保育士は認めないという保護者もおり、保育士の言うことを全く聞き入れてくれない場合もあります。

保育士同士の人間関係が上手くいかない

保育士は9割以上が女性であるため、職場では女性特有の人間関係があり、複雑な状況になることが多々あります。女性ばかりの保育園で男性保育士が働く場合、肩身の狭い思いをすることもあるでしょう。

職場の人間関係に問題がある場合、チームで保育をする際にチームのメンバーたちと性格や保育への考え方が合わないと、口論になったり、最悪の場合無視をされたりする可能性があります。

保育士が抱える人間関係の悩みでは、特に上下関係に関する悩みが多いです。

例えば、

  • 先輩には雑用をさせないように注意しなければならない
  • 先輩と会話をするときは、自分の作業は止めなければならない
  • 先輩から嫉妬され嫌味を言われる

などです。

保育園は閉鎖的な環境であるため、このような人間関係によってストレスが溜まりやすくなっています。

出産・育児などで退職する保育士が多い

東京都福祉保健局が2014年に保育士を退職した人対して実施した調査では、保育士を退職した理由の第1位は「妊娠・出産」で、割合は25.7%でした。

先ほども述べたように、保育士の労働時間は長く、休みも取りにくいことから育児と仕事を両立できるか不安に思う人が多いと考えられます。

また、自分自身が子供を保育園に預けることができず、仕事をすること自体が不可能になる場合もあります。

このような理由により、仕事を続けられなくなり退職を選ぶ保育士は多いのです。

育児と仕事の両立が難しいケースが多いことから、政府や自治体による育児支援策や柔軟な労働環境の整備が急務です。

政府の保育士不足問題に関する対策

電球と黒板

保育士不足の原因となる問題が解消された際に保育士への就業を希望すると答えた人の割合は、厚生労働省の調査によると以下の円グラフのとおりです。

出典:保育士人材確保のための「魅力ある職場づくり」に向けて

よって、上で説明した保育士不足の原因となる問題を解消することで、保育士の人では改善されると期待されます。

以下ではこれらの問題解消に向けた政府の動きを紹介します。

2度に渡る「保育士処遇改善等加算」を実施

政府は2013年から「保育士処遇改善等加算」制度を開始しました。

これは、保育士の労働環境の改善に取り組んだ保育園に補助金を支給し、保育士の賃金を上げることを目的としたものです。

2017年には、保育士処遇改善等加算制度実施前の5年前と比べると、月額の賃金が約10%(約3.2万円)ほどアップする結果となりました。

2017年からはさらに「保育士処遇改善等加算Ⅱ」が開始されました。まず、職員一律で給与を6,000円アップして、給与をさらに改善しました。

また、役職を新たに作り、キャリアアップを支援する仕組みを作ったのです。

「保育士キャリアアップ研修」を実施

厚生労働省は、平成29年に保育士のキャリアアップに関するガイドラインを定め、研修制度について改定しました。

大きな特徴としては「職務分野別リーダー」「専門リーダー」「副主任保育士」という役職を新たに設けたことが挙げられます。このことにより、役職ごどにキャリアアップ研修を実施したり、役職によって手当を支給したりすることができるようになりました。

具体的な内容は以下の通りです。

役職 条件 待遇
副主任保育士 経験年数が7年以上あり、職務分野別リーダーを経験し、マネジメントと3つ以上の分野の研修を修了していること 月額4万円の給料改善
専門リーダー 経験年数が7年以上あり、職務分野別リーダーを経験し、4つ以上の分野の研修を修了していること 月額4万円の給与改善
職務分野別リーダー 経験年数が3年以上あり、①乳児保育 ②幼児教育 ③障害児教育 ④食育・アレルギー ⑤保健衛生・安全対策 ⑥保護者支援・子育て支援 の研修を修了していること 月額5千円の給与改善

2015年から「保育士確保プラン」を開始

厚生労働省は2015年から「保育士確保プラン」を開始しました。

これは、2017年度末までに必要となる保育士の人数6.9万人を確保しようというものでした。

そのために、

  • 保育士試験を年1回から年2回実施に変更
  • 2017年度から保育士の給与を一律で6,000円アップした
  • 雇用保険の被保険者等が指定保育士養成施設で受講する場合の費用を支援
  • 保育士・保育所支援センターで離職保育士の再就職を支援

などの対策を行いました。

2019年から「保育士確保集中取り組みキャンペーン」を開始

厚生労働省は2019年に「保育士確保集中取り組みキャンペーン」を開始しました。

これは、待機児童問題を解決するため、2019年4月までに保育士を確保しようというものです。

  • 民間保育園で働く保育士の給与を2019年度に月額で約1%(3,000円程度)改善
  • スキルや経験に応じて、給与を月額5,000円~40,000円改善
  • 保育士・保育園支援センターで、ブランクがある保育士に保育実技研修を行い職場復帰を支援する
  • 職場復帰する保育士に、就職準備金(上限40万円)を貸付したり、未就学児がいる場合には保育料を一部貸付する
  • ICT(情報通信技術)を活用し、書類作成の負担を減らす支援を行う
  • 保育士の宿舎の借り上げを月額で82,000円まで支援する
  • 保育士の補助を行う保育士補助者を雇用する際の賃金の支援

といった対策を行いました。

地方自治体の保育士不足問題に関する対策

テーブルとグラフ

ここまで保育士不足問題に対しての国の対策を解説してきました。それでは、各地方自治体ではどのような対策をしているのでしょうか。各地方自治体の保育士問題に関する対策を以下にまとめました。

都道府県 市区町村
東京都 平成29年度から、国の補助に上乗せして給与を約44,000円補助している。
国と協力し「保育士住居支援制度」を施行して国が50%、都が25%費用を負担した。
その結果、区市町村負担が12.5%、事業者負担が12.5%となって導入しやすくなった。実際に、世田谷区、江戸川区、台東区などがこの制度を実施している。
杉並区 保育士の資格があり、過去3年間保育士として働いた経験がない人に、2017年から杉並区内で使える5万円分の商品券を配布している
江戸川区 江戸川区で働く保育士の雇用保険給付金の支給期間を延長し、自分の子供を保育所に預けられるまで無給にならないようにする
千葉県 松戸市 保育士資格を持っている人に月45,000~72,000円の手当を支給している。
保育所入所の優先度を上げる。また、育休復帰後には保育料を最大で月27,000円安くする
千葉県 流山市 2016年から月額上限82,000円の家賃補助制度を実施したほか、保育士修学資金貸付制度を4年延長した
千葉県 船橋市 2015年から家賃補助制度を開始し、保育士養成施設で学ぶための修学資金貸付制度も開始した
千葉県 野田市、浦安市 家賃補助制度、修学資金貸付制度
神奈川県 横浜市 国の「処遇改善等加算」に加え、横橋独自の「職員処遇改善費」を導入した
雇用開始年度から10年目の会計年度末までの保育士に対して、上限月額61,000円の家賃補助制度を実施
京都府 保育士に「キャリアパス」という職位証明書を導入した。キャリア別の仕事内容を設定したことで、他の保育園で働く際にも職歴を活かしやすくなった
大阪府 大阪市 平成29年4月2日以降に保育所等に就職した保育士は、保育士登録後1年以上かつ保育所等を離職後1年以上経過した場合、上限40万円の就職準備金を貸与する(就職後2年以上継続して保育士として働いた場合、返済免除)
福岡県 福岡市 2013年、2014年に年間一人当たり約10万円の賞与を支給し、2015年以降は基本給に加算した
初任給調整措置費、勤続手当といった独自の「業界補助金制度」で助成金を支給
沖縄県 非正規雇用の保育士を正規雇用した認可保育園に月額6万円の補助金を支給

保育園がとるべき保育士不足問題のための対策

女性とチェックリスト

保育士不足の問題へのアクションは政府だけでなく、職場である保育園側も積極的にとっていく必要があります。

ある企業の調査によると、保育士の採用が難しい理由に挙げられたものとして以下のようなものが挙げられます。

今回はそれらの対策方法について詳しく解説していきます。

労働環境を改善する

補助金で経営しているなどの理由で保育園側が賃金を上げることは難しいため、労働環境を改善するためには国や自治体の対策が必須となります。

約半数の保育士が希望する勤務時間は8~9時間だと答えました。しかし、実際には約6割の保育士は10時間以上勤務しており、希望時間と実際の勤務時間の間に差があることがわかりました。

勤務時間を1時間減らすだけでも保育士の満足度は変わってくるでしょう。行事や研修で休日出勤をせざるを得ない保育士も多いため、休日出勤を減らす取り組みも必要とされます。

休日出勤の削減や勤務時間の短縮は、保育士の仕事とプライベートのバランスを取り、職場でのストレスを軽減する重要な対策と言えます。

人間関係のトラブルを減少させる

保育士をやめる理由、保育士として働けない理由の上位にくるのは、労働環境の悪さの他に人間関係のトラブルもあります。

園長、先輩保育士たちが新人の意見も取り入れる体質に生まれ変わる努力をする必要があります。

特に、園長などが職場でいじめやハラスメントが起こっていないか、しっかりチェックする体制を整えることは早急に行うべきことでしょう。

また、保護者からのクレーム対応や、コミュニケーションで苦労する保育士も多いです。クレームについては専門機関に委託したり、保護者対応のマニュアルを作ったりして対策するのが望ましいでしょう。

保育士のモチベーションを上げる

保育士の仕事は、労働時間が長い割に給料が低く、働くモチベーションが保ちにくい傾向があります。

経験やスキル別の給与体系を明確にしたり、福利厚生を整えたりするなど、働きたくなるような労働環境を用意することで、保育士の満足度を上げる必要があります。

また、給与の査定においては、仕事量や貢献度などの人事評価項目の基準を客観的な尺度で評価できるように設定しなければなりません。少しでも主観的な評価があれば、たちまち保育士のモチベーションは再び下がってしまうでしょう。

また、せっかく基準が出来ても次第にうやむやになり、いつの間にか再び以前のような労働環境に逆戻りにしてしまう可能性も考えられます。

そうならないためにも、評価基準については定期的に第三者にチェックをしてもらい、保育士からの信頼度を上げていく必要があります。

資格を持っているなら保育士として働こう

笑顔の少女

保育士資格を持っていながらも保育士として働いていない方は多いことが調査でわかっています。

保育士として働かない理由としては、「労働環境がきつい」、「給与が低い」、「ブランクがあるから復職できるか心配」などが挙げられますが、近年、これらの問題をクリアすべく、行政と民間が協力して対策し保育士の労働問題は改善しつつあります。

現在保育士は人手不足であるため、保育士の資格がありながら保育士として働いていない「潜在保育士」の存在が重要なカギとなっています。

この「潜在保育士」たちが働きたいと思えるような保育業界にすれば、保育士は増え、さらに保育士たちが働きやすくなります。

保育士の資格を取ってから、または保育士を一旦辞めてから時間が経っており、不安があるという方はパートやアルバイトから始めてもよいでしょう。

保育士が足りない現状では、パートやアルバイトでも保育士が増えることは保育園からすればありがたいことです。

それでも不安が残り行動に移せないという方でも各自治体の保育士・保育園支援センターではブランクがある方向けに研修などを行っていますので、まずは研修を受けてみてはいかがでしょうか。

保育士の人手不足問題についてまとめ

保育士の人手不足問題についてまとめ

  • 保育士の労働環境にはさまざまな問題があるため慢性的な人手不足状態
  • 厚生労働者ではさまざまな改革を行い、保育士の労働環境を改善している
  • 以前保育士を辞めてからブランクがあって不安な人には、保育士・保育園支援センターが研修を行い復職を支援している

保育士の人手不足問題について解説しました。

保育士はただ子供の世話をしていればよいだけではありません。その他にもやらなければならない仕事の量が多く、休日出勤も当たり前であることから、敬遠されがちな職業です。

しかし、少子高齢化の今安心して子供を生み育てられるためには保育士の存在は欠かせません。保育士は子供たちと接することができるだけではなく、社会貢献もできる重要な仕事なのです。

保育士の職場環境は日々改善していますので、保育士の資格を持っている人はぜひ復職を検討してみてください!

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