男性保育士の実情はどんな感じ?給料・雇用の実態から今後の需要まで徹底解説!
「男性保育士を目指してみたい!」
「男性保育士の現状が気になる・・・」
これまでの長い間、保育所で働くのは「保母」として試験に合格した女性のみでした。その後、受験資格が男性にも認められ「保育士」として再スタートをして約20年。
まだまだ男性の保育士の人数が少ないことから、保育園は男性にとってどんな職場なのかと疑問の声も多いのではないでしょうか?
そこで男性保育士の現状について、給料・雇用の実態から今後の需要など幅広い観点から徹底解説します!
男性保育士の実情についてざっくり説明すると
- 男性保育士の比率は6.5%とかなり低い
- 男性保育士の正社員比率は84.7%と女性保育士よりも高い
- 男性の保育士の平均年収は約377万円ほど
男性保育士の現状
保育士の男女比率
保育園は長らく女性中心の職場であったため、1985年に制定された男女雇用機会均等法を受けて、男性の保育従事者を「保父」と呼称するようになって久しいものの、男女比率は圧倒的に女性が多い職場です。
2000年に実施された厚生労働省による推計によれば、男性保育士の比率は5,000人足らずで、全体では約1%しか存在しませんでした。
ところが、2018年の調査によると男性保育士の比率は5.8%に上昇しており、ここ十数年で男性保育士の人数は確実に増えています。
まだまだマイナーな存在の男性保育士ですが、今後その人数はさらに増えていくと予想されます。
男性保育士の就業率
男女比に続いて、男性保育士の就業率も気になるところです。
こちらも総務省国勢調査によると、2005年での男性保育士の登録者人数約1万5,000人に対して、実際に働いている男性保育士数が約5,000人であり、就業率は30%ほどでした。
それが2010年の総務省国勢調査によると、男性保育士の登録者人数約3万8,000人と倍以上に増加した一方で、実際に働いている男性保育士数が約9,000人であったため、就業率は約24%と低下しました。
その後、2015年の総務省国勢調査では、男性保育士の登録者人数約5万9,000人と増え続け、実際に働いている男性保育士数も約1万6,000人に増加し、就業率は約27%へ回復しています。
これらの推移から、男性保育士の就業率は、およそ25%であり、保育士資格を取得している男性うち、保育士として業務している男性は4人に1人くらいと言うことができます。
ちなみに、女性の保育士の就業率はおよそ42%であるため、これと比較すると就業率はやや低いといえるでしょう。
男性保育士の雇用実態
どうしても女性の人数が多い職場のため、男性保育士として働き始めるにあたっては、雇用形態も気になるところです。
男性の保育士の場合、その多くは、正社員契約による雇用が選ばれています。地域ごとに若干の違いはありますが、男性保育士は正社員契約を希望する保育所が圧倒的に多いと言えます。
東京都保育士実態調査によれば、2018年の男性保育士の正社員比率は84.7%と、女性保育士の正社員比率62.5%を大きく上回る結果が示されています。
これには、結婚後の妊娠、出産、子育て等で一時的に職場を離れる女性保育士が少なくないため、継続して従事することが期待される男性保育士をより多く確保したいという保育所の考えが反映されていると言われています。
男性保育士も正社員以外の雇用形態を選ぶことも
男性保育士でも正社員以外の雇用形態で働いている場合もあります。
これは保育士に限らずですが、労働環境は常に変化の荒波にさらされています。今後の転職を踏まえて、スキルアップを目指す働き方を選ぶ男性保育士も少なくありません。
待遇の良い民間保育所施設への転職を意識するのであれば、無理のない時間を保育所で働き、次の資格を取得するための勉強に時間を割くことも選択肢の一つです。
特に、労働の現場で役に立つマネジメントスキルは、厳しい労働環境の改善と密接に関わっており、リーダーの立場として保育所をまとめる上で、男性保育士に期待される職務の一つと言えます。
男性の需要は高くなっている
元気に体を動かす子供と一緒に生活する保育士にとって、体力に溢れる男性保育士の存在は人気の的です。
保育の現場では、遊具の運搬や管理のために、意外と力仕事が多いのも事実です。運動会や、お泊まり保育など、保育所ならではの催しによっても、活躍の場が広がります。
また男性保育士は客観的に物事を捉えて行動できる人が多いことから、リーダーシップを発揮するよう求められることも多いです。
そのため、募集時に主任候補や、責任者候補として採用面接の機会が与えられることも少なくありません。
このほかにも保育園は女性職員の多く、幼い子供の多い現場としては、男性保育士には、防犯上の役割が期待されることがあります。
このように男性保育士には女性にはできないことも、男性の需要は高くなっていると言えます。
男性保育士の給料はどれくらい?
2018年(平成30年当時)の男性の保育士の平均年収は厚生労働省の調査によると、3,772,600円となっています。
これに対して、女性の保育士の平均年収は3,396,700円であり、女性と比較すると40万円弱高い数字となります。
女性保育士よりも男性保育士の方が高額の支給となっていることが多い理由は、男性保育士の方が正社員である割合が多く、かつ、高い役職を得ていることが多々あることに起因しています。
このように女性と比較すると高い給料であるといえますが、同じ男性の間で比較するとかなり低いです。
2017年の民間給与実態統計調査の男性全体の平均年収は531.5万円であることから、数字でみると160万円ほど低い数字となります。
給料面は働く上で一番の厳しい点
男性保育士の給料は上で述べたように同じ男性の中ではかなり低い数字であり、この点について不満を持っている男性保育士の数はかなり多いです。
これは離職する際の理由にも表れており、実に80%以上の人が離職の決め手として安い給料を上げています。
保育士は肉体労働や長時間労働など厳しい面が多いにもかかわらず、その働きが正当に評価されづらいため、多くの人々が不満を持っているのです。
給料を上げてステップアップさせる方法も
保育士の仕事は好きだから、このまま続けたいと思っている男性保育士の方も多いのではないでしょうか?
ここでは好きな仕事をつづけながら同時に給料も挙げていく方法を紹介していきます。
スポーツインストラクター系の資格取得を目指す
子供と一緒に体を動かす機会の多い男性保育士にとって、子供の体調管理や成長を促すことが期待できるスポーツインストラクラー系の資格は、子供のみならず、父兄の方々からも人気を集めることができます。
運動の指導ができる立場の保育士は、他の保育所との差異化にも効果的です。
特に運動に力を入れている保育士でこの資格を持っていることで効果抜群であるといえるでしょう。
時間外労働も取り入れる
時間外労働による、時間外手当は普段の給料よりも高くつくので、体力のある方や夫婦で合意の取れた方におすすめです。
この際、自分の体調を崩さないように細心の注意を払う必要があります。
また、時間外労働は何度も繰り返し行えるものではないので、あくまでも次善の策として捉えておくとよいです。
保育所での管理職を目指す
離職率が決して低くはない保育所にとって、管理職を目指す保育士は貴重な人材と言えます。
この際には主任や・園長を視野に入れながら勤務に励むことが大切です。
園長の姿を意識することで、今自分がどのような能力をつけるべきか・そのためにはどのような行動が必要かが徐々に明らかになってくるでしょう。
保育士現場に男性がいることでメリットも多い
保育園に男性保育士がいることによるメリットは多いです。
主なメリットしては力仕事や体力仕事に強く、女性保育士では対応しきれない部分まで対応してくれることが挙げられます。
重い荷物をもって準備を率先して進めてくれたり、元気な男の子とグラウンドで思いっきり遊んだりと男性がいることで助かる場面はとても多いです。
特に育ち盛りの子供たちにとって、たくさん遊び相手をしてくれる男性保育士はあこがれの存在であり、人気も高まること間違いなしです。
また、性別ゆえに女性には抵抗感のある作業を男性が引き受けてくれることも大きなメリットです。
男の子のトイレに付き添ってあげることに抵抗感を抱く女性も多いため、その点に関しても貴重な存在であるといえます。
子供が思い描く男性保育士のイメージ
保育士の現場で人気の男性保育士ですが、子供たちからは以下のようなイメージを抱く人が多いようです。
- 一緒にボール遊びをしてくれる
- 困った時に助けてくれる
- 優しいお父さん
- テレビの話ができる
- 走るのが早い
- お昼をたくさん食べる
一緒にボール遊びをしてくれるというのは納得できるところですが、意外に感じるのは女性保育士に相談できないことを相談できるという回答でした。
また、子供にとっては家で接する時間の短い父親に代わる、優しいお父さんというイメージを抱いていることが分かります。
子供たちにとって、人気の男性保育士であると同時に、保育所になくてはならない人財を目指すことで、これまで以上にやりがいを感じることができるようになるでしょう。
親身になって相談に乗ってくれた男性保育士の姿は、これから小学校、中学校へと成長して行く子供たちにとって、大きな財産となるはずです。
男性保育士のデメリットも理解しておこう
まだまだ保育園の職場は女性が多いため、男性保育士が苦労する場面も多いです。
具体的には以下のようなデメリットが存在します。
- 演目や遠足の内容を協議する際、男性保育士の方が少ないことで、なかなか意見が通らない
- 設備が女性向けに作られている箇所が残っており、注意して動かなければ、頭をぶつけてしまう
- 更衣室やロッカーが女性保育士に限定されており、私物の置き場に困ることがある
- 子供の父兄から女性保育士による保育に変更して欲しいという希望を言われたことがある
いずれも、男性保育士にとっては、一人で解決することが難しい問題ばかりです。
どうすればより良い状態に近づけることができるのかを相談するためにも、仲間の保育士とチームで保育に取り組んでいる意識づくりを心がけるようにしましょう。
幼児の着替えに関する対応について
保育の現場では、時に保育士の人数が少なく、対応が追いつかない状態が発生してしまうことがあります。
そのため、男性保育士が女児の下着の着替えを担当しなければならないことや、逆に、女性保育士が男児の着替えやトイレに立ち会うことが求められることも少なくありません。
そのような事態を好まない保護者が一定数存在します。
このような場合には自分一人で悩まずに、必ず相談できる体制を保育所に求めるようにしましょう。
悩みを抱えるのではなく、問題化してしまう前に、日常の中で答えを出すための行動に移せる保育士を目指しましょう。
男性保育士に対する理解は進んできている
男性保育士はまだまだ珍しい存在ですが、近年は人数も徐々に増えてきていることから保護者からの理解が進んでいるケースも存在します。
これは今後も人数が増えるにつれてさらに加速するとみられることから、男性保育士の職場環境は今後改善していくことが期待されます。
男性保育士の実情についてまとめ
男性保育士の実情についてまとめ
- 女性保育士に比べて、男性保育士の比率は6.5%
- 男性保育士の正社員比率は84.7%と女性保育士よりも高い
- 男性の保育士の平均年収は約377万円ほど
男性保育士は女性保育士と比べると、まだまだ就業者数が少なく、どちからと言えば少数派です。
そのため、全体として決を取る際には意見が通り難いことも。また、保育所内の設備は体の大きな男性にとっては、少し使い難さを感じることもあるかもしれません。
しかし、男性保育士が保育に参加するようになり、子供たちは女性保育士に相談できない事柄を優しいお父さん役の男性保育士に相談することができるようになりました。
労働環境の改善も始まっており、男性保育士は保育所の運営に欠かせない貴重な人財として、将来の保育所を背負って立つ経営者としての活躍も期待されています。