保育士の仕事って実際大変?きつい仕事内容からやりがいまで徹底解説!

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「保育士って大変な仕事なの?」

「どんな仕事をするのか詳しく知りたい」

このような疑問を抱えている人も多いのではないでしょうか?

保育士の仕事には大変な面もありますが、やりがいも大きい仕事です。

ここでは保育士の仕事の大変さからやりがいまで詳しく解説していきます。

保育士の大変さをざっくり説明すると

  • 仕事量が多く、仕事でつかれた後持ち帰って作業することもある
  • 給料が比較的低い
  • 人間関係に悩む人も多い
  • 子供の笑顔や保護者の信頼が得られるため、やりがいも大きい

そもそも保育士の仕事内容とは?

カラフル? 保育士の仕事内容は多岐に渡ります。

具体的には、

  • 子供に対する保育
  • 保護者へのアドバイス
  • 事務作業

の大きく3つに分類できるでしょう。

以下ではこれらの内容について詳しく解説していきます。

保育士の仕事は多岐にわたる

保育園では0歳~6歳の対象となる年齢の子供を預かり、基本的な生活習慣の取得の手助けや、集団生活を通じた社会性の育成を行います。子供たちが安全に過ごせるような配慮が必要となります。

保護者へのフォローも欠かせません。子育ての悩みを一人で抱えている人も多く、保育の専門家として、保護者に寄り添いながらアドバイスしていくことも求められるでしょう。

また、連絡帳などを通じて子供の様子を伝えることも大切なことです。保護者とコミュニケーションをしっかりとることで、双方が子供の状態をしっかり把握でき、より適切な対応がとれるようになるでしょう。

加えて事務作業として、日々の連絡帳の記入や保育計画書の作成、教材の準備、季節に合わせた掲示物の制作なども行います。遠足や運動会などの行事に関する、準備や運営など多岐にわたる業務をこなす必要があります。

保育士の仕事には大変な側面もある

時計 保育士という職業にあこがれを持つ人も多いですが、大変な側面も多いです。

東京都が2018年に行った保育士実態調査では、 「保育士として働く前保育士についてどのような印象をもっていたか」「保育士として実際に働くなかで保育士についてどのような印象を持っているか」

回答項目 就業前 就業後
勤務時間が長いと思う 90.2% 86.9%
勤務時間が短いと思う 9.8% 13.1%
休暇が少ない 88.2% 81.0%
休暇が多い 11.8% 19.0%
給与が低い 95.3% 92.0%
給与が高い 4.7% 8.0%
人間関係は大変 74.0% 51.5%
人間関係は良好 26.0% 48.5%
保護者への対応が大変 85.5% 65.3%
保護者への対応は良好 14.5% 34.7%
精神的にきつい 84.9% 79.7%
精神的に楽 15.1% 20.3%
体力的にきつい 92.6% 89.7%
体力的に楽 7.4% 10.3%

参照:平成30年度東京都保育士実態調査結果「調査結果詳細」

就業前に大変さを予想していた人が多いため、就業後の方が若干イメージがよくなっていることが伺えます。ただ、86.9%もの人が就業後も勤務時間が長いと答え、89.7%もの人が体力的にきついと感じています

また、人間関係が大変だと回答した人が過半数いるのも特徴でしょう。

これから、これらの各項目について詳しく解説していきます。

人間関係での苦労が絶えない

保育士はまだまだ女性の多い職種です。9割以上が女性で同性が多い分人間関係が複雑になりやすく、上司や同僚との付き合い方に苦労する人が多いです。

保育園では1クラスを何人かのチームを組んで保育します。その際、リーダーや同僚と性格が合わず、文句をつけられたり無視をされた経験を持つ人も少なくありません。上司と意見が合わない、相性が良くないといった悩みも多いです。

「先輩に雑用をさせないよう注意を払っている」、「作業しながら話をすると先輩が怒るため、毎回手をとめて聞いている」、「先輩に嫉妬されて、嫌みを言われた」といった人の声も見受けられました。

協力・分担して行う仕事であること、閉鎖的な環境であるなど人間関係が複雑になりやすい要素があり、ストレスに感じたり、つかれたりするケースも多いようです。

勤務時間が長い

先ほどご紹介した平成30年度東京都保育士実態調査結果で、就業後の保育士の86.9%が勤務時間が長いと回答しているように、保育士の労働時間は長い傾向にあります

「保育園が開いている時間は限られているのになぜ?」と思う人もいるかもしれませんが、子供たちが帰宅後に書類作成や政策に関する事務作業、研修や会議を行うため、労働時間が長くなりがちです。

年齢によってはお昼寝の時間もありますが、なかなか寝付けない子や早く目が覚めてしまう子も多く思うようにはかどりません。

休憩の時間を減らしたり、昼食の時間を短くして仕事を行わざる終えなくなっている現場もあります。

また詳細は自治体によって異なりますが0~2歳までのクラスは、数分に1回睡眠中の子供の呼吸を確認しなくてはならないため、より作業を進めるのが難しいでしょう。

休日出勤もしばしば

仕事量が多く、休日出勤を行うこともあります。特に運動会や学芸会の直前は休日出勤が増えがちです。

掲示物の作成や行事の準備が業務時間内に終わらないため、仕事でつかれた後も持ち帰って自宅で仕事をしている保育士もおり、近年仕事量の多さは保育士不足の一員として問題視されています。

プライベートの時間を確保しにくいのが、保育士の大変な面だと言えるでしょう。

体力を使う仕事が多くきつい

保育士に多いのが、「肩こりと腰痛の悩み」です。重いものを持つことが多いため、疲労が蓄積され、慢性的な痛みに悩まされることもあります。

重いものの代表格が子供でしょう。特に乳幼児のクラスでは、抱っこやおんぶをする機会が多く、例えば生後2ヵ月の男児で4.41~7.18kg、生後6ヵ月の男児は6.44~9.57kg、1歳になると10㎏を超える子も出てきます。

また、子供はパワフルで、年齢が上がるとひたすら走り回っている子もいます。だだをこねるときの力も遠慮が少ないため強いです。これらのことから、体力勝負な面も大きく、きついと感じている人も多くなっています。

給料が少ない

保育士の給与は、けっして高給ではありません。私立保育園の保育士の平均月収は約23万円、年収は342万程度です。サラリーマンの平均年収は約420万円なので、これと比較すると低いことが分かるでしょう。

保育士の仕事内容は体力的にも精神的にも大変な部分が多いため、報酬に合っていると思えずに離職する人もいます。また月収、年収は厚生年金や保険などが引かれる前の数字で、実際手元に入る手取りはさらに少なくなります。

地域や給料、一人暮らしか実家暮らしかなどによって異なりますが、生活するのに精いっぱいで金銭的に余裕がなく、モチベーションが保ちにくいというケースもあるようです。

子ども同士の関係を助ける必要がある

子供は大人と違い、発言をうまくオブラートに包むことができず、思ったことをそのまま口に出してしまうことが多々あります。

そのため「あっち行って」や「それ変」など、人を傷つける言葉を発して、トラブルになることも多いです。

また年齢が上がると、グループができて仲間に入れない子も出てくるため、それを取り持つ保育士のスキルも必要になります。

子供どうしの関係を取り持つのは難しく、子供の気持ちに寄り添った対応が必要です。これらの調整が大変と感じる保育士も多くいます。

子供がけがをしないか見守らなければいけない

小さい子供の行動は突飛です。周りを見ずいきなり走りだしたり、急に危険な高さの所に登り始めたりします。

年齢にもよりますが、何をするとものが倒れてきて、何をすると危険か判断ができないため、常にケガのリスクが伴います

保育園では、転倒や衝突、遊具での負傷などが考えられるため、けがをしないよう危険なものは排除し、衝突した際にもけがをしにくい素材やガードを用いるなど物理的な工夫を施しますが、それでもリスクをゼロにすることは不可能でしょう。

そのため、保育士が人の目や手で安全を守らなくてはなりません。大きな事故は子供の健康や命に係わるため、責任が大きく大変な仕事です。

保護者からのクレームは悩みの種

「モンスターペアレンツ」という言葉もあるように、過度なクレームをつけてくる親も中にはいます。具体的には、子供がけがをしてしまった際に、原因は何か詰められたり、暴言を吐かれたというケースがあります。

また保育士が保護者より若い場合、ルールに則った指示でも聞いてくれないことがあるようです。

熱が出ても預けに来たり、アレルギーがないのにも関わらず持参した水分だけ飲ませてほしいと依頼するなど、無茶な要求をする保護者もいます。

親が子供を大切にしており心配しているからという側面もありますが、保護者との人間関係も保育士が苦労することの一つといえるでしょう。

服装などのおしゃれに制限がある

保育士の服装を定めている保育園も多いです。園によって異なりますが、子供の安全を考え、多くの園で以下のようなことが禁じられています。

  • 引っ張られてけがをする恐れがあるため、ピアス禁止
  • 落下後誤飲の可能性があるため、ピン禁止
  • 化粧はナチュラルメイクまで
  • スカートNG
  • フードや紐、ボタンのついた服禁止
  • 伸びた爪はNG

乳児は、目にしたものを何度も口に入れてしまう習性があるため、誤飲の可能性のあるものは、避けるのがよいでしょう。また化粧が濃い場合、保護者から反感を買うこともあるので、ナチュラルメイクにしておくのが無難です。

爪は伸ばすと子供の肌をひっかいてしまう危険があるため、短く整えなくてはなりませんが、派手でないネイルは問題ないこともあります。

服装は元気な子供を相手するため、動きやすさや引っ張られた時の安全性を優先させるため、自由におしゃれをすることは難しいでしょう。

保育園に入社する前に、どのような規定があるのか理解しておくことをおすすめします。

雑務や行事準備でも大変なことは山ほどある

東京都が2018年に行った保育士実態調査では「保育士として負担に感じること」についてもアンケートを行っています。結果は以下のとおりです。

項目 つらいと感じる割合
行事(準備を含む) 62.8%
保育計画書の作成 55.9%
職員間の情報共有・打ち合わせ 40.8%
保育教材準備 38.1%
保育日誌の記入 36.5%
監査等への対応 33.9%
掲示物作成 32.3%
連絡帳の記入 30.4%
職員育成 26.5%
児童の安全チェック表の記入 25.1%
食育計画書の作成 16.4%
地域への対応 15.4%

多くの人が行事や行事準備を負担に感じていることが伺えます。また保育計画書の作成や、打ち合わせも負担となっているようです。

子供たちのケアと同時に、行事準備や雑務などの地道な作業も日々並行して進めていかなくてはならないことが、「仕事が大変だ」と感じる保育士が多くいる要因の一つでしょう。

参照:平成30年度東京都保育士実態調査結果「調査結果詳細」

保育士はどういうときにやりがいを感じる?

風船と手を広げる女

保育士には、これまでご紹介してきたような大変さもある反面、やりがいもたくさんあります。保育士として働いてきた人がどのような場面でやりがいを感じたのか調査しました。

こどもの笑顔が見られる

保育士になる人のほとんどは、「子供が好き」でしょう。無邪気な子供の笑顔は、癒しを与えてくれます。

最初は警戒したり保育園に来るのを嫌がる子供も多いですが、信頼関係を築いていくうちに懐き、慕ってくれるようになります。

「先生だいすき」と言ったり、抱き着いてくることもあるでしょう。小さな手でぎゅっと手をつないでくれたり、手紙や絵をプレゼントしてくれるなんてこともあり、子供が楽しく過ごしてくれることをやりがいに感じる人が多いようです。

保護者から頼られるとき

子育てに悩みは尽きません。そのため、保護者から子育てをどうすればよいかアドバイスを求められることも多々あります

保護者の悩みは、「落ち着きがない」、「トイトレが進まない」、「好き嫌いが多い」、「信頼関係が築けていない気がする」など多岐に渡ります。

保育士として実際に多くの幼児に触れ経験を積むうちに、引き出しが増え、適切なアドバイスができるようになるでしょう。

保育士のアドバイスのおかげで「○○できるようになりました!」など感謝される場面も多くあり、保育の専門家として、保護者から頼られたり感謝されることにやりがいを感じる保育士も多いです。

子供の成長を肌で実感する時

保育士は、子供の成長を身近で感じられる職業です。小さかった子供が成長し、たくさんのことができるようになるまでをリアルタイムで追えます。子供にとって家族の次に身近な存在となる場合もあるでしょう。

保育士の声掛けで苦手だったことができたり、成長を感じられる場面があると、より仕事をやりがいに感じる人が多いようです。

行事が成功するとき

保育園で行われる行事は、保育士が計画し、実行します。運動会や学芸会の演目を考え、必要な衣装や小道具をそろえ、子供と練習し、当日一人ひとりの様子を見ながら成し遂げるまで、様々な苦労があるでしょう。

準備が大変な分、成功した時の喜びはひとしおであり、大きな達成感を得られます

保護者や幼児の喜ぶ顔を見られることも多く、大変な分やりがいも感じられます。

保育士の大変だったエピソード

アンニュイな子供

保育士の人の大変だったエピソードを調査しました。

人が足りず仕事が回らない

保育園では限られた人員で、たくさんの仕事を回しているため、一人が欠勤して穴埋めの人員がいないときには大忙しです。とある保育園ではある日、リーダーの保育士がお休みを取り、代わりに新人保育士が指揮を執ったそうです。

0歳児クラスの担当で、ミルクづくりやおむつ替え、泣く子をあやしたり、寝かしつけたりを、それぞれの子にあったリズムで行います。そんなとき嘔吐する子がいました。

それとほぼ同時におむつを替えている最中に下痢のうんちをしてしまう子がいて、保育士の服や床、赤ちゃんの服が汚れてしまったそうです。

次々にやらなくてはいけないことが増えていくと、どれから処理していくか冷静な判断が難しくなります。

あまりに大変で、パートさんと新人保育士だけでは回らない仕事量に困り果て、隣のクラスの保育士にも手伝ってもらったとのことでした。

癖のある上司に困惑

経営者の中には、癖の強い独特な人も多いです。保育園の園長先生が、社会経験の少ない変わった人だったというエピソードをご紹介します。

とある保育園の園長先生は、親が経営していた保育園を引き継いだため、自分で買い物をしたり面倒なことしたことがないいわゆるお嬢様で、気に入らないことがあると会議を抜け出し、部屋にこもったりするそうです。

決定権は園長先生にあるため、保育士が謝ったり機嫌を取ったりしなくてはならず、子供の相手ではなく園長につかれたと辞めてしまったそうです。

しんどい時は転職も視野に

夕日と二人 保育士が大変だ、つかれたと感じているときは、転職も選択肢の一つでしょう。過労で倒れたり、ストレスで心が参ってしまっては、何のために働いているのか分かりません。自身の健康が一番大切なことを忘れないでください。

きついと感じる原因が、上司や待遇の場合は、保育士としてほかの職場に移るほうが得策でしょう。保育士は人材不足なため、求人の数も多く転職がしやすいです。

保育園によって、制作物の完成度を優先させるのかその子らしさを尊重するのかや、教育的な要素が強いのか自由遊び重視なのかなど運営方針は異なります。

そのため自分に合った、いきいきと仕事のできる園に出会える可能性も大いにあります。

保育士の仕事の大変さまとめ

保育士の仕事の大変さまとめ

  • 子供の世話だけだなく、保護者との関係づくりや事務作業を行う
  • イベントの準備が大変
  • 体力の必要な仕事である
  • 子供の成長を間近で感じられる職業

ここまで、保育士の大変さについて解説してきました。

決して楽な仕事ではなく、労働時間や人間関係において、きつい面もあることが伺えます。

ただ社会的に必要で、子供や保護者に頼られる、大変な分やりがいの大きな仕事とも言えるでしょう。

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