行政書士はやめとけって本当?稼げないと言われる理由や資格のメリットまで徹底調査!
「行政書士はやめとけって言われたけど本当にそうなの?」
「資格を取ることのメリットやデメリットを知っておきたい!」
こんな疑問をお持ちの方もいるのではないでしょうか?
確かに「行政書士は稼げないからやめとけ」と言う人がいるのは事実です。しかしこの言葉を鵜呑みにする前に、行政書士の仕事の実態を知っておきたいですよね。
そこでこの記事では行政書士の収入事情をはじめ、稼げないと言われる本当の理由、さらには資格取得のメリットについても徹底的に解析し、ご紹介していきます。
ぜひ参考にしてください。
行政書士の実態についてざっくり説明すると
- 行政書士は資格保持者が多く平均年収もそこまで高いわけではないため、良くないイメージを持つ人もいる
- 稼げない行政書士もいる反面、実力次第で年収1,000万以上も可能
- 受験資格がなく独立開業へのハードルも低いことから、挑戦しやすい業種と言える
- 大企業への転職の足がかりにもなる
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行政書士がやめとけと言われる主な理由
なぜ「行政書士はやめとけ」と言われることが多いのでしょうか。考えられる原因をご紹介していきます。
行政書士は飽和状態で仕事がない?
行政書士の仕事があまり良く思われず、「やめとけ」と言われる理由のひとつとして、行政書士の人数の多さが挙げられます。
以下は、2022年度の主な士業の受験者数です。まずはご覧ください。
士業 | 2022年度の受験者数 |
---|---|
行政書士 | 47,850人 |
社労士 | 40,633人 |
税理士 | 28,853人 |
中小企業診断士 | 17,345人(全科目受験者数) |
司法書士 | 12,727人 |
公認会計士 | 16,701人 |
弁理士 | 3,177人 |
こちらの表を見ると、行政書士の受験者数は主な士業の中で突出して多いことがわかります。
合格率も10%を超えることが多く、受験者の総数を考えると行政書士の資格保持者の人数は、他の士業よりもかなり多いことになります。
実際、令和2年10月時点での行政書士の登録者数は49,441人でした。これは司法書士と比較すると2倍以上の数です。
とは言え、行政書士は「力試しに受験しただけ」「登録したものの10年の間に廃業した」という資格保持者もかなり多いとされています。また、行政書士は一人あたりの仕事量が元々多い職業として知られています。
思った以上にニーズはある仕事ですので、単に数字だけ見て「飽和状態」と判断することはできないでしょう。
就職できない
行政書士にマイナスのイメージがあるもうひとつの原因は、就職が難しい点にあります。
実は、行政書士事務所は経営が上手くいっているところが少ないため、求人が出にくいとされています。そのため行政書士の資格を取った方の9割は、就職ではなく「独立」を選ぶと言われています。
他の士業でも独立を視野に入れて資格取得する方は多いですが、企業からの求人も多いです。この点を考えると、行政書士の資格は士業の中では若干弱いとも言えるでしょう。
さらに、行政書士は資格を取ればそれで終わりということはありません。業務の正確さを担保するためには資格取得後も勉強を継続する必要がありますので、こうした面においても非常に大変と言えます。
自分で仕事を取ってくるのが大変
実は行政書士は、司法書士などのように一般企業に勤務して独占業務を行うことが認めれられていません。
そのため、行政書士としての業務で生計を立てたい場合は独立開業が基本となります。この場合「自分で顧客を獲得する」力が必要になるでしょう。
行政書士の仕事は、特定の顧客から継続して定期的に依頼を得られるような案件はあまり多くありません。その都度自力で仕事を獲得し続けなければならないため、営業力がないと安定した収入を得るのは難しいでしょう。
こうした点も、行政書士が非常に大変で、営業力の低い人に取っては「やめとけ」と言われてしまう要因なっています。
稼げない行政書士が多い
現在、行政書士の平均年収は600万円程度と言われています。
この数字は士業の年収としてはさほど多いものではありませんので、資格取得の労力や日々の業務内容に見合わないと感じる方も多いでしょう。
この一面を見れば「やめとけ」と言いたくなるのも理解できます。
ただし上記の年収データはあくまでも「平均」です。行政書士は会社勤務ではなく独立して営業しているケースが多いため、人によって収入の差は大きいとされています。
1,000万円を超える年収を獲得している行政書士もいますし、その反面ほとんど稼げない行政書士も存在します。つまり、年収の高低はご自身の力量次第と言えるでしょう。
独立開業はリスクが高い
行政書士として独立開業しても、実はその6割が3年以内に廃業しているという実態があります。
というのも行政書士は他の士業と比較すると独占業務があまり多くないため、他の士業と比べると事務所を存続させるのが難しいとされています。
短期間で半数以上が廃業する現実がある以上、リスクが高いことは心に留めておく必要があります。必ず儲かるとは断言できないでしょう。
ただ先ほども触れたように、行政書士として稼げるかどうかは個々の資質に大きく依存します。廃業する行政書士が多数いる一方、継続して仕事を得られる行政書士もいますので、どう捉えるかは個々の考え方によると言えます。
将来性が低い
行政書士の仕事は、主に書類作成業務です。しかしこうした仕事は近い将来AIによって代替できるようになると多くの専門家が予測しています。
実際に、現在も行政書士に頼らずPCを使って書類を作成している人もいます。資格がなくても書類作成が可能になれば行政書士への依頼は激減する可能性が高く、将来性にはあまり期待できないでしょう。
とは言え、会計記帳や決算などについて企業にコンサルティングを行う業務に関しては、AIが代替するのは難しいです。こうした仕事は将来的にも重要な業務として残っていく可能性が高いでしょう。
これから行政書士を目指す方は、行政書士の仕事がどのように変わっていくかも見据えてご自身の進路を考えていってください。
他の士業と比較して独占業務が少ない
行政書士には、以下のような独占業務があります。
- 役所に提出する許認可等の申請書類の作成と提出手続代理
- 遺言書等の権利義務、事実証明や契約書の作成など
つまり権利関係の申請書類の作成全般が行政書士の仕事となりますので、業務内容の範囲はかなり広いです。
しかし他の士業にはもっと多くの独占業務がありますので、他と比較すると行政書士の独占業務の種類は少ないと言えます。
独占業務が少ないぶん、行政書士への依頼の内容は限定されます。これも将来的に仕事が減る原因になりますので、こうした点からも「やめとけ」という意見が多く出ていると考えられます。
行政書士を取得するメリットはあるの?
ここまでご紹介した内容を見ると、行政書士の資格を取得しても利点は少ないように感じられます。
しかし、行政書士の資格取得には大きなメリットがあります。その理由について詳しく解説していきます。
学習内容が無駄にならない
行政書士の資格を取得するには、以下の内容を学ぶ必要があります。
- 基礎法学
- 基憲法
- 基民法
- 基行政法
- 基商法
- 基政治・経済・社会
- 基情報通信・個人情報保護
- 基文章理解
実はこれらは、行政書士以外に司法試験や司法書士の試験対策として学習する内容と重複しています。
行政書士の勉強をしておけば他の士業の資格を取る時にも役立ちますので、無駄になることはないでしょう。
また、上記のうち憲法や民法、政治・経済は日常生活においても役立ちます。
各種手続きの際の書類作成だけでなく、何かトラブルが起きた時に対処する能力を養えるという点でも、メリットは大きいと言えます。
受験資格がなく合格しやすい
士業の資格試験の多くは色々な受験資格が設定されている中、行政書士の試験には受験資格が存在しません。
年齢や性別、経験の有無などに関わらず受験可能で、合格基準とされる点数を取れば資格を取得できます。興味があれば誰でも挑戦できるというのは非常に大きなメリットと言えるでしょう。
また、合格に必要な勉強時間も800~1,000時間と比較的少ないとされています。
他の士業の資格試験では数千時間の勉強が必要になるケースも多いため、それに比べれば行政書士は合格しやすいです。比較的低いハードルで士業の仕事に就くことができるのは嬉しいポイントです。
転職で役に立つ
行政書士は、士業の中では比較的簡単ではあるものの難関国家資格のひとつです。行政書士の資格を持っているということは「行政に対する知見」「民法や行政法などの法律の知識」を持っている証明になります。
行政書士事務所への就職はもちろんのこと、弁護士事務所など法律関係の事務所に転職活動をする際には、行政書士の資格があればかなり有利になることは間違いありません。
さらに、法律の専門知識があれば大手企業の法務部や総務部への採用もありえます。行政書士の資格を持っていて得になることはあっても、損になることはないでしょう。
法律に興味のある方はぜひ挑戦してみることをおすすめします。
独立開業しやすい
行政書士の主な業務は書類作成ですから、専門的な機器は特に必要ありません。事務作業ができるオフィスと、PCやコピー機といった簡単な設備のみで独立開業が可能です。
開業時に省庁や都道府県、役所などに提出する書類作成と手続きは元々行政書士の仕事ですので、自分で行うことができるでしょう。
そのため行政書士として独立開業する際の初期費用は、行政書士の登録費用やオフィス、機器のレンタル代などを含めて約30万円ほどで済むとされています。
独占業務があり、なおかつ起業時の初期投資が安く済むのは大きなメリットです。独立開業には適した業種であると言えるでしょう。
自分で自由に働ける
独立開業すれば、仕事のペースや内容を全て自分の裁量で決めることができます。
上司や同僚との人間関係で悩む必要はなく、そういった面での負担も少なくなるでしょう。
さらに、頑張ればそれに応じた収入アップが可能ですから仕事のモチベーションも高まるでしょう。独立開業には会社勤めでは得られないこうしたメリットが数多くあります。
行政書士がおすすめな人とは?
最後に、行政書士におすすめな人の特徴をご紹介しましょう。
営業能力が高い
行政書士は独立開業が基本ですので、自分で仕事を獲得しなければなりません。そのため、コミュニケーション能力をはじめとした「営業能力」は必須です。
会社勤めをしているとわかりにくいのですが、仕事というのはどこから舞い込んでくるかわかりません。
地元のサークルやご近所付き合いなど、仕事とは関係ないコミュニティにおいても、仕事につながるきっかけが隠れていることがよくあります。
行政書士として仕事をしていくなら、業務とは関係なく日頃から人付き合いを大切にしていきましょう。こうした付き合いが苦にならない方は、行政書士に向いていると言えます。
若くから稼ぎたい
一般的な仕事に就くと、若いうちは下積みとして幅広い業務や雑務などをこなしていくことになります。
しかし行政書士の場合、開業した瞬間から自分の頑張り次第で収入の額が決まることになります。顧客の獲得方法、仕事の量や速さなどのスキルを磨くことによって、年収をどんどんアップさせることも可能でしょう。
20代~30代という若い時期に年収1,000万円を超えることも、決して不可能ではありません。
枠にはまることなく若いうちからどんどん稼いでいきたいという方は、行政書士として活躍し、思う存分その手腕を発揮してみてはいかがでしょうか。
行政書士の実態についてまとめ
行政書士の実態についてまとめ
- 行政書士は難関国家資格であり、資格に価値があることは間違いない
- 頑張り次第で年収1,000万を超えることもできる
- 大企業の法務部などへの就職も可能
- 受験資格が必要ない
- 独立開業も比較的簡単。「やめとけ」という言葉を鵜呑みにしてはいけない
行政書士の仕事には、確かにマイナスな部分も存在します。それが「行政書士はやめとけ」と言われる原因になっていることは否定できません。
しかし行政書士は難関国家資格であることに変わりはありませんし、社会的な意義も大きい仕事です。頑張り次第で高年収も可能ですから、意欲的な方はぜひチャレンジしてみてください。
ぜひ高いスキルを身につけ、多くの人の役に立ってくださいね。