FP2級合格後は何をする?AFPへの登録費用や期間・次におすすめの資格も紹介!
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ファイナンシャルプランナー
FPこう
「FPは金融機関で高く評価されると言うけれど、本当なのかな?」
「お客様のために、FPの知識やスキルをブラッシュアップしたいけれど、FP2級の合格で満足しているだけで良いのだろうか?」
FP2級の試験合格後に次の目標を設定しようとしても、選択肢が多すぎて迷う人もいらっしゃるのではないでしょうか。
この記事では、FP2級合格後の就職先や上手な生かし方、上級資格への挑戦について詳しく解説しています。
FP2級合格後のステップアップ方法について迷いがある人は、ぜひ参考にしてくださいね!
「FP2級合格後のステップアップ方法」についてざっくり説明すると
- FP2級合格後は「就職・転職」「上級・類似資格の取得」「ダブルライセンス取得」の進路がある
- 単独資格では評価されにくいので、他の方法と組み合わせることで価値が生きやすい
- 上級資格やスキルアップを目指すならば、AFPの取得が望ましい
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FP2級に合格したら
FP2級合格後に、その後の選択についてどのような生かし方があるのか、次に何をしたら良いのか悩んでいらっしゃる方も多いのではないでしょうか。
FP技能士は国家資格でありながら独占業務がないため、汎用性がある一方で、単独資格として独立開業している人はまれです。
- 就職に生かすのか
- 次の上級資格を目指すのか
- 他の専門資格を取得してダブルライセンサーを目指すのか
それぞれの流れを選んだ場合と、FPの生かし方についてまずは解説していきましょう。
FP2級合格後の就職先
そもそも、FP2級の取得目的として、「就職で少しでも評価されたい」と考えている人はかなりの数になるでしょう。
さまざまな国家資格が存在する中で、FPの有用性・汎用性が語られることも多く、諸外国に倣ってFPとしての仕事を専門にしようと考えている人もいます。
また、他の資格と組み合わせてダブルライセンサーとして活躍するケースも増えてきており、他業者との差別化の手段として、FPの資格を取得するケースもよく耳にします。
ただしFPの単独資格だけで開業するのは、現状では困難です。国家資格でありながら独占業務がなく、試験の6つの領域についても、より専門的な知識は他の専門職に後れを取るからです。
ここからは、FPの知識が重宝されやすい就職先について、ご案内しましょう。
金融・保険業界
FPの有資格者は、銀行や保険会社などの金融関係で働いている人が中心です。どちらも「お金に関わる商品」を売るのが業務の一環であり、昇進要件としてFP取得を義務付けている企業も多いものです。
また、顧客とのコミュニケーションが重要視される仕事というのも、共通しているでしょう。お客様の
- 現在のライフプランのままだとどうなるのだろう?
- 自分の資産を上手く活用できているか心配
- 老後の資金を確保するために見直すべきポイントは?
といった悩みを聞き出し、それに答える具体的な提案をしなければなりません。
そのため金融・保険業界においては、さまざまな角度からお客様のライフプランを俯瞰できるFPの資格取得が奨励されているのです。
不動産業界
不動産業界も、FPの有資格者が多い業界です。不動産業の取引は資産運用や相続対策を兼ねていることも多いので、そのような視点から顧客に対して、最適なプランを提案できなくてはなりません。
例えば不動産取引の国家資格としては、宅地建物取引士が代表的です。ここで不動産取引の証券化など、現状に即した金融商品の知識も交えた提案もできると、宅建士の専門知識のみの既存業者よりも一歩リードできるでしょう。
税理事務所・公認会計士事務所
金融系の国家資格としては、税理士や公認会計士を思い浮かべる人も多いのではないでしょうか。近年はこれらの専門職でも、コンサルタントとしての役割を求める顧客も多く、税理士事務所や公認会計士事務所に就職する際に重宝されます。
また、税理士事務所では将来的に独立を考える人も多いものです。
税務に関する知識だけでなく、年金や社会保険、金融資産運用など幅広い視点からアドバイスできるFPとしての役割は、今後は税務分野においても比重が高まっていくでしょう。
共済関係
FPとしてのリアリティのある知識は、相手に寄り添ったアドバイスやサポートをする上でも大切です。
JAや生協などの共済では相互補助の関係が基本ですが、その性質上、地域や個人間でのやり取りが多く行われるのが特徴です。
その際に、地域の実情に即した現実的・具体的な提案をできるFPの有資格者は、共済の中でも頼れる人材として期待されるでしょう。
その他のFP資格を取得する
FP2級取得後のイメージとして、直感的に思い浮かべやすいのが別のFP資格を取得することではないでしょうか。
FP資格は制度がやや複雑ですが、ざっと次のように分類できます。
国家・民間の分類 | 資格名称 | 主催団体 |
---|---|---|
国家資格 | FP技能検定 (1~3級) |
日本FP協会 金融財政事情研究会 |
民間資格 | AFP・CFP | 日本FP協会 |
日本FP協会と金融財政事情研究会は別の団体ですが、相互の資格の価値を認め合っているので、どちらの資格から進んでもスキルアップが期待できます。
また、国家資格と民間資格の差についても、就職先によって重視する度合いが異なりますから、名称ほどは差がないと言えます。
いずれにせよ、さらにスキルアップを図るために、上級や同等のFP資格に挑むのはアリでしょう。
FP1級
FP1級の資格取得に要する時間は、少なくともFP2級の2倍は必要と言われています。また、FP1級の資格に挑むには、次の方法が考えられます。
1. 金融財政事情研究会のFP1級受験
2. 日本FP協会のAFP認定研修→CFP認定者(もしくはCFP資格審査試験の合格者)→FP1級受験
1の場合は、2級の合格実績に加えて1年以上の実務経験が必須です。2の場合は、CFP認定者の要件に実務経験が加えられており、いずれにせよ、ある程度実務経験を積んでいた方が望ましいでしょう。
また、試験の合格率は金融財政事情研究会においては、2020年の学科試験合格率が15.01%、2021年2月に行われた実技試験が88.4%でした。
同様に2020年9月に実施された日本FP協会の試験においては合格率が97.9%と高い数値ですが、試験自体の難易度は高いので、合格率の数値のみを見て「簡単だ」と決めつけるのは早急です。
FP1級の所持者は希少性が高く、価値があると言えます。FPとしての活躍を視野に入れているのであれば、所持しておくと他のFPの有資格者との差別化につながるでしょう。
AFP
FP2級を取得した人の多くが追加取得するのが、AFPの資格でしょう。FP2級の合格後、指定の研修機関で講座を受講し、それを修了すれば簡単に取得できます。
言い換えれば「ある程度費用をかければ取得できる」資格ですから、スキルアップの一つとして取得する人も多いです。ですが、難易度としては低めで所持者も多いので、アピール材料にするにはややインパクトに欠けてしまいます。
CFP
CFP資格はFP1級と同じように、FP2級までとは難易度が桁違いです。金融財政事情研究会のFP1級と同様に、少なくても実務経験が通算で3年以上必要なため、取得まで時間のかかる資格です。
試験は6科目に分かれており、それぞれの合格率は30%程度と科目単位で見ればそう難しくはありません。ですが試験範囲のボリュームが非常に多く、一度に全科目を合格する人は受講者全体の10%以下となっています。
科目単位で少しずつ合格していく方法もありますが、時間がかかることは明白ですから、短期合格を望む人には向いていません。ただし、FPの単独資格で独立開業を目指し、他の有資格者と差別化を図る人であれば、CFPの資格取得もアリでしょう。
関連性のある別の資格を取得する
FPは幅広い分野において役立ちます。お金の知識は各種専門資格の領域を超えて必要ですから、ダブルライセンスとしての価値も非常に高いと言えるのです。
別分野で活躍しながら自己価値を高めたいという人には、ダブルライセンス取得は非常に効果的です。
不動産関係の資格
FP資格保持者の多くに不動産関係者が含まれているように、FP資格と不動産の相性は良いと言えます。
不動産関連の専門資格としては、宅建士・マンション管理士・不動産鑑定士などが有名です。FPの受験科目にも「不動産」が存在し、勉強しやすいというのも相性が良い理由の一つでしょう。
また、不動産分野においてもマネーリテラシーを持っている専門家は重宝されます。
中小企業診断士
中小企業診断士は、会社の経営について多角的な視点やアドバイスが求められる資格です。中小企業では一族経営を行っている場合もあり、会社の経営状況が経営者のライフプランにも大きく影響を与えることも多いものです。
そのため、相続などの知識も持つFPとの相性は抜群だと言えます。中小企業の数は非常に多く、顧客に困ることもまず考えにくいでしょう。
さらに、自分自身がコンサルタント会社などを設立する際にも、中小企業診断士の資格は大いに役立ちます。国家資格の中でも比較的難易度が高いと言われており、就職などでも評価されます。
社労士
FP試験では、年金・公的保険に関する内容も含まれています。これらの分野のスペシャリストである社労士は非常に難易度の高い試験だと言われていますが、保険や年金に関する知識や技能を身につけられるため、働く幅はぐっと広がります。
また、独占業務があるので収入の安定化を図りやすい点も魅力の一つでしょう。取得に時間はかかりますが、難易度が高い分だけ世間の評価も高く、就職でも有利に働きます。
社労士業務にもコンサルティング業務が含まれており、この分野においてFPの知識を活用することも可能でしょう。
簿記2級との相性はいまいち
FP資格と簿記2級はどちらも金融に関連する分野ですが、関連性は薄いと言えます。
前者はライフプランや資産活用の提案をするのが主な目的であるのに対し、後者は会社の帳簿の分析を行い、経営状況の把握や改善を図るのが目的です。
目的が全く異なる資格ですので、相互の資格知識は生かしにくいでしょう。就職の場面で目を引くきっかけにはなるかもしれませんが、実務では別の資格と組み合わせるのが賢明です。
証券関係の資格との相性は悪い
FP資格保持者の多くが金融機関で働いていることもあり、次のキャリアアップとして証券関係の資格を思い浮かべる人もいるかもしれませんね。
スキルアップの一環として証券外務員などの資格を取得するのは良いのですが、転職目的で証券関係の資格取得を目指すのは、オススメできません。
なぜならば、金融機関や証券会社は中途採用を行っているケースが少なく、知識を身に着けたところでそれを活用できる場面は非常に限られているからです。転職目的でダブルライセンスを狙うならば、他の資格取得を目指すのが効率的でしょう。
AFPを登録する
FP2級取得後の選択肢の1つとして、多くの人が挑むAFP資格ですが、AFP登録は行うべきものなのでしょうか。また、登録するにはどのような準備が必要なのでしょうか。
それらについて、以下の項目で詳しく解説します。
そもそもAFPとは
AFPとFP2級の難易度は、基本的には同程度とされています。ですが、その違いについてよく分からない人も多いのではないでしょうか。
FP2級は、金融財政事情研究会や日本FP協会が認定している国家資格です。それに対して日本FP協会が認定している民間資格が、AFPです。
2つの資格の難易度はほぼ同程度とされており、FP2級に合格するとAFPの研修受講資格を得るので、最終的にAFPに登録できます。
FP資格を取得せずにAFPに登録するのは不可能ですから、せっかくFP2級を取得したのであれば、ついでにAFPも取ってしまおうと考えるのは、多くの人が納得できるルートではないでしょうか。
ですが「とりあえず登録する」のではなく、メリットやデメリットを把握した上で、登録しなければなりません。
AFPに登録するメリット
FPが国家資格であるのに対して、AFPは民間資格です。つまりAFPの資格が必須の仕事はなく、信頼度の指標としての役割にとどまると言えるでしょう。
では、AFPに登録するとどのようなメリットがあるのでしょうか。
AFPの登録による一番のメリットは、日本FP協会とのつながりです。AFPに登録すると、必然的に日本FP協会主催のセミナーや相談会に出席する機会ができるため、FPとして働くノウハウや勤務先を見つけるチャンスに出会いやすくなります。
また、AFPに登録しているFPも多いので、同業者とのつながりも広がります。知識の共有や交流ができるので、実務上でもメリットが大きいと考えられるでしょう。
本格的にFPとして働こうと考えている人は、登録する方が望ましいと言えます。
CFPの取得にはAFPが必須
日本FP協会の認定するCFPは、先に述べたように高難度の資格です。CFP資格に登録するためには、AFPの登録が必須です。
また、上級資格であるCFPは国際的な資格としての側面も持っています。
そのため、海外事情にも精通したFPを目指す人や、さらにスキルアップをしたいと考えている人は、AFPの登録が必要だと言えるでしょう。
AFPの登録方法
このようにいくつものメリットがあるAFPですが、実際に登録するにはどのような手順を踏めば良いのでしょうか。
AFP認定研修への申し込み
FP2級合格後にAFP登録をするには、AFP認定研修を終了していなければなりません。
認定研修は、主に以下の2通りの方法があります。
基本課程:FP2級合格前に、FP2級の合格を目指しつつAFP認定研修を受ける
技能士過程:FP2級合格後にAFP認定研修を受講・修了する
FP2級に合格している場合は、「技能士過程」を経てAFPの資格を取得することになります。認定研修では受講期間内に提案書を提出しなければならず、提出期間は1年以内です。
受講期間内では何度でも再提出ができるので、早目に手をつけておくのが得策でしょう。
AFP登録の期限
FP2級の資格取得とAFP認定研修の2つを修了した後、FP協会への登録の手続きを行わなければなりません。2つの条件を終了した日の翌々年の年度末、すなわち両方の過程を完了した2年後の年度末が登録期限ですから、それまで登録の手続きを終えましょう。
手続きが全て完了すると、AFP資格を取得し「AFP認定者」を名乗れます。
登録費用がかかるのがデメリット
AFPとして登録するには、多額の費用がかかります。登録費用やその後にかかる主な費用は、以下の通りです。
名目 | 金額 |
---|---|
日本FP協会入会金 | 10,000円(課税対象外) |
研修費用(基本課程の場合) | 3~20万円 |
研修費用(技能士過程の場合) | 1~3万円 |
年会費(維持費) | 12,000円(課税対象外) |
資格更新のための学習会 | 約1万円(2年間の費用) |
AFPは金融関係者の間などではその価値が認められるものの、そのためにお金をかけるにはコスパが悪すぎると感じて、実際にはAFPとしては登録していないFP合格者も多く存在します。
継続教育のための更新制度
AFP登録後は、2年に1度資格を更新しなければ資格は失効します。更新の目的としては継続教育が掲げられており、更新時に単位の取得をしなければなりません。
有資格者であっても、実務に従事していても資格取得の際に得た知識をほとんど忘れているケースも、珍しくはないのです。
そのような事態を避けるために、一般的にはAFPに登録して更新時に講習で知識を継続させることが望ましいと考えられています。
ですが、単位の取得システムそのものに面倒臭さを感じて、それを短期間で単位取得させる本来の目的とは外れたビジネスも存在し、完全な教育システムとは言えません。
結果的に講習を受講しても知識が完全に維持できる保証はないので、面倒なだけだと感じる人も多いと言われています。
FPとして働くために
では、実際にAFPとして働くにはどのようなことが大切なのでしょうか。
ダブルライセンス取得後もスキルアップは可能!
FP2級とAFPのダブルライセンス取得後も、それに関連するさまざまな資格を取得することで、スキルアップを図ることもできます。
元々FPの知識自体が幅広い分野に渡るため、社会保険の資格や不動産の資格の勉強など、自分の得意分野の資格取得や知識の深掘りをすることで、顧客からの信頼度もアップします。
これらの知識やスキルの開拓を早くから心がけることで、起業や開業への道のりも見えてきますから、ダブルライセンスで満足せずさらに先を見据えましょう。
実務をこなすことが最も重要
もちろん資格は就職やその後の業務において、無資格者よりは有利に働きます。ですがそれだけが重要でないのは分かりますよね。
無資格者よりも仕事ができないと言われれば、逆に評価が下がってしまいます。実務経験を重ねてそこから得た経験や知見が何よりも大切なのは、言うまでもありません。
資格の名称に自惚れることなく、その名称にふさわしいスペシャリストになるよう研鑽を重ねたいものです。
FP技能士センターを利用する
ただし、今まで金融とは無縁の仕事をしていた人や学生などは、「実務」そのものに携わる機会が限られるかもしれません。そのような場合は、金融財政事情研究会が展開している「FP技能センター」を利用するのがおすすめです。
技能士センターでは、最新のFPの実務情報と学習機会を得られます。サービス内容により正会員~準会員Cまでの4クラスがありますが、準会員BまでであればFPの月刊誌が送られてくるなど、より実務に近い情報が入手しやすい環境が整っています。
実務経験の浅いうちは、技能士センターなども利用してみましょう。
「FP2級合格後のステップアップ方法」についてまとめ
「FP2級合格後のステップアップ方法」についてまとめ
- FP2級合格後は向上心を持つことで、資格の真価を発揮する
- ダブルライセンスを目指すなら、他資格との相性を考慮しよう
- FP1級やCFPを目指すならば、AFPの取得は必須
各種資格でおよそ2級まで取得すると、それで一通り満足してしまう受験生は多く、FPも例外ではありません。ただし、知名度の割にまだ単独ライセンスで活躍している人が少ない実情を考慮すると、少なくても知識の継続やスキルアップは必須だと言えます。
FP1級やCFPは難易度が高く取得までの時間もかかりますが、それらの取得の前提となるAFPであれば、比較的取り組みやすい資格です。
次のステップアップにつなげるために、AFPを始めとする各種の資格学習やFPの実務研修を通して、自己研鑽に励んでくださいね!