電子会計実務検定ってどんな資格?実用性、試験方法、簿記との違いまで全て解説!

「電子会計実務検定ってよく耳にするけれど、一体どんな資格なの?」と気になっている方は少なくないでしょう。

電子会計実務検定はIT化が進むなか、どの企業で働くうえでも役に立つといわれている資格です。

この記事では電子会計実務検定について詳しい情報をお届けします。

記事を読み終わる頃には仕事内容や実用性、試験内容、勉強法、簿記との違い、あわせてとりたい資格まで、さまざまな情報を知り、電子会計実務検定について詳しくなっているでしょう!

電子会計実務検定についてざっくり説明すると

  • どの企業でも重要視されるであろう資格
  • 会計ソフトを使えるようになるだけではない
  • 働くうえで多彩なメリットがある

電子会計実務検定ってどんな資格?

はてなマークを乗せる手

電子会計実務検定の試験は、2005年から実施されています。「電子会計実務検定に合格すると、どんなことに役立つの?」と気になる方は少なくないでしょう。

そこでまずは、電子会計実務検定とはどんな資格なのかをご紹介します。

電子会計実務検定とは

電子会計実務検定とは会計のデジタル化が進むなか、企業の電子会計の実践力や対応力を高めるために始まった検定です。中小企業の会計指針を浸透させること、当たり前にしていくことも目的としています。

なお電子会計実務検定は2005年からおこなわれており、主催は日本商工会議所です。

電子会計実務検定は日商簿記検定の知識だけでなく会計ソフトの知識も手に入れられることから人気を集めています。

電子会計の必要性

パソコンとインターネットが浸透し、企業ではさまざまな業務のIT化が進んでいます。

会計事務においてもデジタル化が進んでおり、業種や業態、企業の大小にかかわらず電子会計が必須ともいわれている時代です。

電子会計を分析し活用することが大切

電子会計は使いこなすだけでなく、分析し活用することが重要です。

会計ソフトを導入した場合、労働力の削減や業務の効率化に期待できます。

とはいえ労働力の削減や業務の効率化だけでは企業にとって不十分といえるでしょう。企業は会計ソフトを使いこなせるだけではなく、情報をもとに分析し活用していけるような人材を確保する必要があります。

進み続けるIT化に柔軟に対応することが大切

IT化は日々進み続けています。会計事務においても「e-tax」による電子申告や電子納税、「e文書法」による帳簿と証憑書類の電子保存など、新しいシステムが導入されていく時代です。

そのため企業は、新たなシステムにも柔軟に対応していける人材を確保しなければなりません。

進み続けるIT化へ柔軟に対応し、経営革新や経営改革に役立つ人材が求められています。

電子会計実務検定と簿記試験との違いは?

電子会計実務検定と簿記試験との違いは、電子会計実務検定では簿記の知識にくわえ、簿記試験では求められなかった会計ソフトの知識が必要になることです。

電子会計実務検定でも必要になる簿記試験の知識とは

簿記試験では経営活動の記録や計算、整理をするための知識が求められます。簿記検定に合格した場合、企業の経営成績や財政状態を把握できるでしょう。

なお簿記試験では実務に沿った内容を出題することが一般的です。そのため会計実務をおこなう人材の育成に貢献しているとして、社会から高い評価を受けています。

今後は電子会計実務検定が重要になる

簿記試験が高い評価を受けているものの、実際の現場では電子会計が主流です。そのため今後は、電子会計実務検定が重要になるでしょう。

電子会計実務検定では、簿記検定の知識と会計ソフトの知識が必要です。

ただし会計ソフトの知識は、取り扱い方法のみに限りません。会計ソフトの情報を分析し、活用していくための知識も求められます。

さらに今後は新たなシステムも浸透していくとみられており、進歩を続けるネット社会に対応していく力が必要になるでしょう。

電子会計実務検定取得の仕事内容・実用性

仕事に使うグラフや表

「電子会計実務検定の仕事内容が気になる。」「電子会計実務検定って、どんな風に使えるの?」といった疑問を抱く方は少なくないでしょう。

そこで電子会計実務検定の仕事内容や実用性についてご紹介していきます。

仕事内容・活躍場所

電子会計実務検定の資格は、さまざまな仕事で応用し活かすことができます。電子会計実務検定の資格を取得している場合、業種や業態、企業の規模を問わず、会計ソフトを取り入れているあらゆる会社で会計事務をおこなえるでしょう。

会計ソフトを取り入れている企業は、増加傾向にあります。そのため幅広く活躍できる資格として人気です。

ただし電子会計実務検定の資格は特殊な技術が求められるわけではないので、資格による高収入は見込めないといわれています。

就職・転職・昇進の足がかりとなる

電子会計実務検定は、企業の経理担当者から会計実務に携わる方、一般社会人、学生まで、幅広い方が受験しています。

現在経理や会計を担当している方は、スキルアップの一環として受験する方が多いでしょう。また一般社会人の受験者は、仕事の幅を広げるべく受験しています。

一般社会人や学生の場合、経理事務や会計事務への就職、転職活動に有利に働くといわれているので人気です。経験や勤続年数にともない、収入アップや昇格など、さまざまな点で有利に働くでしょう。

資格の将来性はある?

資格の将来性は十分に見込めます。IT化が進むことにともない、あらゆる企業で重宝される存在となるでしょう。

ただしIT化のさらなる進歩に柔軟に対応できるスキルが求められます。会計ソフトの進歩に目を向け、変化に対応していく力があれば、将来も安心して働いていけるでしょう。

会計ソフトは一般事務でも役立つ

電子会計実務検定の資格は、一般事務や日常生活でも役立てることができます。

専門の会計業務にとどまらず一般事務でもIT化は進んでいるので、資格を取得することでさまざまな業務に役立てるといえるでしょう。

また会計のソフトは高価なものではありません。そのため家計簿の整理や光熱費の記帳など、日常生活にも生かせる資格といえます。

電子会計実務検定の試験内容

勉強する人の手元

電子会計実務検定の試験内容について解説します。

試験範囲や出題形式、試験方法、合格発表の方法、会計ソフト情報など、気になる情報が盛りだくさんです。

電子会計実務検定の試験範囲と出題形式

電子会計実務検定の出題形式は受験する級によって異なるので注意しましょう。出題形式と試験時間は、下記の通りです。

出題形式 試験時間
3級 択一式・数値記入式 40分
2級 択一式・数値記入式 60分
1級 記述中心 90分

なお電子会計実務検定の合格ラインは70点以上です。ただし合格率は公開されていません。

また、いずれの級においても日商簿記の知識や理解は必須です。必ず勉強する必要があります。

3級の出題範囲

3級の出題範囲をご紹介します。

3級の出題範囲

  1. 電子会計データの流れ

    • 各種原始証憑の見方・取扱

    • 会計データの入力

    • 各種で帳票書類の出力

    • 電子会計データのバックアップとバックアップデータのリストア(復元)

  2. 電子会計情報の活用

    • 各種電子帳票書類の見方

2級の出題範囲

2級の出題範囲をご紹介します。

2級の出題範囲

  1. 関連業種等からの業務データ等の活用

    • 購買・製造・販売・在庫管理・給与計算等の関連業務から作成される各種データの活用

    • 支点別・営業所別会計等からの会計データの活用

  2. 電子会計情報の活用

    • 決算書・資金操り表等による損益状況や資金状況の捉え方
  3. 電子会計データの保管・管理

    • 電子会計データの保管・管理方法

1級の出題範囲

1級の出題範囲をご紹介します。

1級の出題範囲

  1. 電子会計情報の活用

    • 各種電子帳票書類やキャッシュ・フロー計算書

    • キャッシュフロー計算書など

  2. 会計ソフトの導入・運用

    • 会計ソフトの導入・運用の指導・支援

    • インターネットバンキングの仕組み理解など

  3. 会計データの電子保存と公開

    • 電子帳票保存法の理解

    • 財務情報のwebサイトへの公開

  4. 電子申告・納税システムの理解

    • 電子申告、電子納税、電子申請・届出等の理解
  5. 企業会計以外の会計システムの理解

    • NPOや公益法人等の会計の仕組みの理解

電子会計実務検定の試験方法・合格発表

電子会計実務検定の試験方法と合格発表の方法について、級ごとに解説します。

まずは2級と3級の試験方法と合格発表の方法です。

  • 2級と3級の試験方法

試験会場のパソコンを使って試験をおこないます。なお試験の自動実行プログラムと試験問題は、自分でダウンロードする必要があるので注意しましょう。

  • 2級と3級の合格発表の方法

試験終了後に答案がインターネット採点されるので、すぐに結果を見ることが可能です。

つづいて1級の試験方法と合格発表の方法を解説します。

  • 1級の試験方法

試験会場のパソコンを使って試験を実施します。なお試験の自動実行プログロム、それから試験問題は自分でダウンロードしなければなりません。

  • 1級の合格発表の方法

試験の答案ができたら答案を日本商工会議所に送ります。その後、日本商工会議所で中央採点をおこない、結果が通知されます。

会計ソフトを用いる

電子会計実務検定の試験では、実際に会計ソフトを使って受験します。会計ソフトは市販のものです。

下記の5つの会社のソフトを使いますが、ソフトのバージョンは毎年2月から3月に見直しがあります。電子会計実務検定公式サイトの確認が必要です。

会社名 ソフト名
弥生株式会社 弥生会計
株式会社オービックビジネスコンサルタント 勘定奉行
ソリマチ株式会社 会計王
ピー・シー・エー株式会社 PCA会計
株式会社スマイルワークス ClearWorks 会計ワークス

電子会計実務検定の勉強法

勉強道具を並べた写真

電子会計実務検定を受けたいけれど、勉強方法がわからないといった方は少なくないでしょう。

そこで気になる電子会計実務検定の勉強法をご紹介していきます。

電子会計実務検定の勉強法は簿記から!

電子会計実務検定を勉強する場合、まずは日商簿記検定の勉強から始めましょう。電子会計実務検定の受験には、日商簿記検定の知識や理論の習得は欠かせません

電子会計実務検定を受験するのであれば、日商簿記検定の2級と3級を取得することがおすすめです。

なお電子会計実務検定は、会計ソフトを使いこなせるだけでは受かりません。会計ソフトから得られた情報を分析し、活用する力が求められます。そのため日商簿記検定について学んだだけでは合格できないでしょう。

テキストは会計ソフトごとに存在する

テキストは会計ソフトごとに存在します。またレベルによっても選ぶテキストは異なることが一般的でしょう。

自分の受験にあわせてテキストを選ぶことが重要です。

とはいえ、どのテキストが自分に合っているのかわからないといった方も少なくないでしょう。そこでおすすめのテキストをご紹介します。

  • 弥生会計(3級用)
令和4年度 コンピュータ会計 基本 テキスト (弥生School)
2310円
令和4年度 コンピュータ会計 基本 テキスト (弥生School)
2310円
令和4年度 コンピュータ会計 基本 問題集 (弥生School)
1980円
令和4年度 コンピュータ会計 基本 問題集 (弥生School)
1980円
  • 弥生会計(2級用)
令和4年度 コンピュータ会計 応用 テキスト
2200円
令和4年度 コンピュータ会計 応用 テキスト
2200円
令和4年度 コンピュータ会計 応用 問題集
1980円
令和4年度 コンピュータ会計 応用 問題集
1980円
  • 勘定奉行(3級用)
実教出版株式会社
勘定奉行 日商電子会計実務検定試験対策テキスト3級
2310円
実教出版株式会社
勘定奉行 日商電子会計実務検定試験対策テキスト3級
2310円
  • 勘定奉行(2級用)
実教出版株式会社
勘定奉行 日商電子会計実務検定試験対策テキスト2級
2200円
実教出版株式会社
勘定奉行 日商電子会計実務検定試験対策テキスト2級
2200円
実教出版株式会社
勘定奉行 日商電子会計実務検定試験対策問題集2級
1980円
実教出版株式会社
勘定奉行 日商電子会計実務検定試験対策問題集2級
1980円

HPに模擬問題が存在する

商工会議所のホームページには、電子会計実務検定の模擬問題があります。解説や解答も提供されているので、試験前には模擬試験を必ず受けましょう

なお会計データは、会計ソフトごとにあります。会計データを用いることで、より実践的な練習ができるでしょう。

試験の雰囲気を掴むために、確認することがおすすめです。

電子会計実務検定の試験日程・会場・申し込み方法

スケジュールを組む様子

電子会計実務検定を受けるために必要となる基本的な情報をご紹介します。

試験日程や会場、申し込み方法、受験資格、受験料など、詳しい情報が盛りだくさんです。

電子会計実務検定の基本情報

2級と3級の場合、試験は毎週のようにおこなわれています。試験を実施する機関によって試験日は異なるでしょう。

学校やパソコン教室など、さまざまな機関で試験を受けられます。最寄りの機関に問い合わせてください。

なお電子会計実務検定1級については、毎年2月と10月に実施されています。

電子会計実務検定に受験資格はある?

電子会計実務検定には、受験資格がありません。年齢や性別、国籍を問わず、誰でも受験できます。ただし受験する場合、日商簿記検定の理論や知識は必須でしょう。

また電子会計実務検定は受験資格がないだけでなく、どの級からでも受験できる試験です。そのため2級や1級から挑戦したい方は、2級や1級から挑戦しましょう。

なお各級のおおまかなレベルとして、下記の情報が参考になります。

1級は「電子会計情報を活用して経営に携わる者、経営の助言をする者」、2級は「企業や公益法人などの会計実務及び財務責任者」、3級は「企業の経理担当者、NPO、公益法人などで会計実務に携わる者、および一般社会人、学生・生徒」を対象としています。 電子会計実務 電子会計実務検定Q&A | 商工会議所の検定試験

自分のレベルがどの程度であるかを考えて受験しましょう。

電子会計実務検定の受験料

電子会計実務検定の受験料は、下記の通りです。

実施級 受験料(税込)
3級 4,200円
2級 7,330円
1級 10,480円

電子会計実務検定の受験料は、受験する級によって大きく異なります。

また税金の影響で、2019年9月までの受験料と2020年4月以降の受験料は異なっているので注意が必要でしょう。

電子会計実務検定の受験料は、受験する級が高まるごとに高くなっています

電子会計実務検定とあわせて受けたい2つのおすすめの資格

手をあわせる仲間たちの手元

電子会計実務検定を受験する人におすすめの2つの資格をご紹介します。電子会計実務検定とあわせて受験しましょう。

おすすめの資格①秘書検定

秘書検定とは、社会人にとって必要だといわれる基本的な常識を身に着けられる試験です。企業でのニーズが高い試験なので、1度の試験において約5万人以上が受験するといわれています。

秘書検定では筆記試験のみならず、面接試験もおこないます。筆記試験においても面接試験においても、基本的な常識だけでなく人としての感じのよさが求められる資格です。

電子会計実務検定とあわせて勉強することで、企業で働くうえでのスキルを高められるでしょう。

おすすめの資格②ITパスポート

ITパスポートとは、すべての社会人にとって必須ともいわれるITの基本知識を習得していることをあらわす国家資格です。IT化が進んでいく日本での需要が高まっている資格でしょう。

ITパスポートの試験では、新しい技術や新しい手法にまつわる知識、経営にまつわる知識、ITの知識、プロジェクトマネジメントの知識など、ITのみに限らず幅広い知識が求められます。

社会人やこれから社会人になる人など、さまざまな人が挑戦している国家資格です。

電子会計実務検定についてまとめ

電子会計実務検定についてまとめ

  • IT化が進むなかで重要視される資格
  • 会計ソフトを使いこなすだけでなく分析や活用ができるようになる
  • 就職・転職・昇格の役に立つ

日商電子会計実務検定についてご紹介しました。仕事内容や実用性、試験内容、勉強法、あわせてとりたい資格など、さまざまな情報をお届けしています。

日商電子会計実務検定で習得できる知識は、簿記の知識や会計ソフトの使い方についての知識のみに限りません。会計ソフトの分析方法や活用方法まで、さまざまな知識を身に着けられるでしょう。

転職や就職、昇格を目指している方、それから社会人として働く方、ぜひ挑戦してください。

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